男の肥満
男性専用エステサロン「ダンディハウス」を運営するシェイプアップハウスは「男の肥満」に関するアンケート調査を実施した。対象は20~50代の働く女性1000名(各年代250名ずつ)。この結果、男性の肥満が「損」であることが浮き彫りになった。
まず「プライベート編」を見てみるが、約8割が「汗かき」「暑がり」などのネガティブな回答から「損」と評価をした。肥満男性は他にも「がさつ」「短気」「頭の回転が悪い」など、体型と関係のない評価までされる始末だ。「得」と答えた2割は「愛嬌がある」「優しい」などの評価をしている。
また、「ビジネス編」を見ても「損」と答えた人は約7割で、「得」は3割にとどまった。「損」の理由として、「怠慢」「スケジュール管理能力不足」「頭の回転が悪い」など、これまた体型とは関係のない評価をされてしまった。
同社では「男の肥満が気になるシチュエーション」についてのアンケートも行ったが、407人が「電車の中」を挙げた。肥満男性が電車で隣に座ってきたことで窮屈になったり、大量の汗をかいている姿を間近で見られることも影響しているのだろう。
体重220キロにも対応できる救急車、重い患者を動かすリフトマン-。欧米の医療現場で、超重量級患者への対応が相次いでいる。近年の肥満人口の増加ぶりは急激で、医療費の負担増を招くばかりでなく、交通機関の燃料消費も増え、排出される二酸化炭素の増加で環境にも負担がかかる。もはや肥満は個人の健康問題にとどまらず、社会問題ともなりつつある。
欧米における肥満の増加は深刻だ。世界保健機関(WHO)によると、肥満の指標であるBMI(体重÷身長÷身長)数値が30以上の肥満人口は、1995年から2000年の間に世界で2億人から3億人以上に増加した。人口に占める肥満者の割合(大人の場合)は米国で30.5%、英国で22.14%、オーストラリアは16.4%。日本(3.1%)や中国(2.9%)などアジア諸国に比べると、その数字は際だって高い。
肥満人口の増加に悩む米フロリダ州の病院では、重い患者を運ぶため、男性6人による特別リフトチームが結成された。体重約150キロを超える入院患者は、20年前は年に1人いるかどうかだったが、このところは毎日のように運ばれてくるという。
一方、豪州のサウスオーストラリア州では、今月、引っ越しトラックのような大型救急車を導入した。体重110キロを超える患者は8年前は年間10人ほどに過ぎなかったが、いまでは100人近くに上る。ニューサウスウェールズ州でも最近、救急車の担架積載能力を180キロから220キロに強化した。同州では、大型救急車の出動回数が過去3年で2倍以上も増えたといい、救急ヘリコプターも、重い患者を搬送できる機材に変更する予定だ。大型救急車の導入は、英国などでも相次いでいる。
肥満患者に対応できる救急車は1台約3000万円。行政側の負担も大きい。米国では肥満に関連した医療費支出が年間約750億ドル、うち約400億ドルが税金でまかなわれている。
米国人の場合、1990年代に平均4.5キロ体重が増えたために旅客機の燃料消費を押し上げ、年間380万トンの余分な二酸化炭素を排出しているとのデータもある。英国では旅客機で太った乗客の隣に乗り合わせたために身動きが取れず、血液が凝縮し筋肉を切断する手術を受けたケースまで報告されている。
WHOは「肥満は最も目に見えていながら最も放置されている公共的な健康問題だ」と警告している。(坂本英彰)
(2007/03/27 22:53)