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こないだは彼の毎月訪れる記念日だった。

 

 

フレンチレストランを予約していたけど

 

彼の仕事がとても長引き(医者あるある)

 

結局フレンチは断念・・・。

 

 

帰宅が何時になるかも分からないので

 

とりあえず自宅で待機していた。

 

 

彼と付き合いたての頃は

 

彼の仕事の都合で遅くなることが

 

苦しかったけど、

 

 

今となっては「オッケー!多くの人の命が助かりますように」

 

とまで思えるようになり

 

我ながら精神の成長を感じさせるが

 

9時前に帰宅した彼の精神は病んでいた。

 

 

”めっちゃ落ち込んでる・・・!”

 

 

 

帰宅して早々彼は言う。

 

 

「花束買えなかった」

 

 

毎月記念日の時に欠かさなかった花束が

 

今月は買えなかったらしい。

 

 

私は、そりゃそうだよね。遅いと花屋も閉まるもんね〜。と思いながら

 

「ありゃ花束ない記念日は初めてだな♡」

 

と、うかつにも茶化してしまったのだ。

 

 

更にどよんと落ち込む彼。

 

 

”・・・しまった!!”

 

 

しょぼくれる彼に

 

やばいぞ〜と冷静な私。

 

 

”よし話題を変えよう”

 

「ご飯どうしよっか?」と聞く。

 

 

彼はご飯が大好きなので

 

気分が直るかと思ったけど

 

しょぼくれている彼は

 

返事も大抵しょぼくれている。

 

 

 

「もう遅いからコンビニでいいよ」

 

 

・・・はぁ。

 

 

”待ってたのにコンビニなんてあり得ないでしょ。

 

ご飯楽しみにしてたのに!”

 

 

心の中で苛立つ私。

 

 

腹をすかせた女ほど

 

短気なものはないと思う。

 

 

 

そこから5分くらいだろうか

 

険悪ムードになってしまったけど

 

せっかくの記念日をよく分からない喧嘩で

 

終わらせてしまうなんて勿体ない。

 

 

私は気をとりなおして

 

「夜遅くでも空いてるところあるから!そこに行こう?」

 

彼を誘い出した。

 

 

彼はしょぼくれた顔で胸の内を吐き出した。

 

 

「花束買えなかった。

 

毎月欠かさなかったのに・・・。」

 

と。

 

彼はどうやら

 

花束を渡せなかったこと

 

よりも

 

花束の継続記録が断たれてしまったことに

 

ショックを受けているらしい。

 

 

 

なので私は

 

「大丈夫。当日渡せなかった記念日もあったじゃん?

 

だから記念日前後3日は、OKってことにしよう!」

 

という、新ルールの提案をした。

 

 

すると彼は「うん」と納得した。

 

 

”単純である”

 

 

彼はすくっと立ち上がり

 

仕事用のシャカシャカパンツから

 

コーデュロイのおしゃれなパンツに

 

颯爽と履き替えていた。

 

 

めっちゃ楽しみにしてるじゃん!

 

 

 

花束を買えなかったとしょぼくれていた彼も

 

肉の楽しみは待ち遠しいらしい。

 

 

 

 

しつこい女々男だった彼も

 

立ち直りの早さが

 

だんだんと磨かれている。

 

 

記念日を重ねることに

 

男らしい彼になっているのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

***おしまい****

 

 

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