【なちゅの履歴書⑩完結】リーマンショックからの立ち直り(~現在)。 | なちゅの市川綜合研究所

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リーマンショックの後は株のことは一切考えたくもない状態でした。ほぼ全財産である1,000万円をスッてしまったという現実をなかなか直視できず、証券口座にログインすら出来ない状態が何ヶ月も続きました。やっと投資を復帰させる気持ちになった時も、当時のトラウマから個別株を全く触れず、毎月ドルコストで積み立て投資をするインデックス投資(TOPIXとか)だけに限って再開したような有様でした。
 

ただ投資を再開したとは言っても、新卒数年目の限られた給料では家賃と生活費で殆ど終わりであり、月に5万円分を積み立てるのが精一杯でした。年俸制でその分月給が高く、ボーナスが無かったので、月5万円も積み立てられたという見方も出来ますが、入金出来るのは年間60万円であり、同じペースを続けられとしても10年経っても600万しか貯まらない計算となるため、その事実にも絶望しました。勿論、年功による給料のアップサイドは期待出来るものの、結婚したり、子供が出来たケースまで想定すると、以後も月5万円を投資に回せるかどうかは不明ですし、将来の配偶者が投資に否定的だった場合、入金による投資額の積み上げも難しくなるため、そういう悲観シナリオまで考えると、改めて失った1,000万円という金額の大きさに眩暈がしました。

 

ただそんな悲観的な状況でも、1万円とか2万円とか生活に余裕のありそうな月は、1万円分だけ好きなファンドを追加で買ったりして、それだけが私の日々の生活のささやかな楽しみでした。そしてそんなことをしているうちに、カタギの仕事の収入も牛歩ながら増え始め、インディックスファンドの積立を軸に、数万円の優待株に限ってのみ個別株投資を再開して、ほんの少しずつ優待銘柄を増やしていくようになりました。そんなことを10年繰り返して、今日に至っています。

 

後から振り返ってみてもそういう投資スタイルに行きついたのは、やはりリーマンショックによる経験が非常に大きいと考えています。既述のとおり、当時はレバレッジ効果もあって再起不能なほどのダメージを受け、退場寸前まで行きましたが、その時最後まで信用保証金代用証券(担保)としてある程度機能してくれたのが優待株でした。リーマンショックの時は業績が伴っているような成長株でも徹底的に売りこまれ、PER5倍の成長株でも買う人はおらず(そもそも買い板がない)、高利回り銘柄を売って換金しようにも、REITの利回りでも2桁はあって当然・・・といったド修羅の世界でしたので、とにかく現金の工面にはめちゃくちゃ苦労させられました。そんな時にまともな値段の買い板がそこそこあって、流動性が担保されたのが外食を中心とする優待株であり、虎の子のこれらを処分していくことで、退場を回避しました。当時は砂漠の中でやっと小さな池のあるオアシスに辿り着いたような気分であり、単なる居酒屋銘柄にも、こんな使い方があったのかと感動したのを覚えています。

 

おそらくそういう経験がトラウマのように焼き付いており、優待株から離れられないのだと思います。言うまでもなく、優待株より手許に十分な現金を持っておければモアベターなのですが、私の性格上なかなかそれは難しいことがわかっているので、何時でも換金出来る「上りも下がりもしない」優待株をポジションとして取り込むことで、自分の中で有事への対応ということにしており、信用取引から完全に足を洗ったこともありますが、ここ10年位はそんな感じで安定しているような状況です。次の10年もそんな感じで、変にイキることなく投資と付き合っていければいいなと考えています。 (完)

 

あとがき

―――

10回に渡って連載させていただいた回顧記ですが、いかがでしたでしょうか。本エントリは私がカタギの仕事の出張等が重なり、銘柄の分析記事を書くヒマがないので、急遽壊れかけの脳内ハードディスクからメモリーを抜き出し、日経新聞の「私の履歴書」風味のノリで書き起こしをさせていただきました。本エントリでもっとも言いたいところは、私のように他責理由(リーマンショック)と自責理由(レバレッジその他未熟さなど諸々)の両方で取り返しのつかないような大失敗をしても、時間をかければ必ず立ち直れるということです。古人は「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」などと言いますが、愚かな私は失敗して学んだことばかりでした。ここ6~7年くらいはアベノミクスに端を発したイージー相場が続いているので、このようなエントリはそもそも必要ないのかもしれませんが、相場が低迷した時や上手くいかない時ににでも思い出して読み返していただき、何かを感じ取っていただくことが出来れば、当方としては望外の喜びであります。

 

※更新情報(2023年8月17日)

2023年に身の回りの出来事(私の新卒時代の思い出)を中心に書き下ろした番外編①~③を追加執筆していますので、ご興味があればこちらもどうぞ。下記にリンクがあります。

 

*関連記事① 2023-08-15

【なちゅの履歴書】番外編①.(“氷河期継続”の世界線で社員20数名の会社に就職)。

 

*関連記事② 2023-08-16

【なちゅの履歴書】番外編➁.(半狂乱で仕事に明け暮れたリーマンショック前夜)。

 

*関連記事③ 2023-08-17

【なちゅの履歴書】番外編③.(終電まで働いてから朝までチラシ配り、そして退職へ)。

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