【なちゅの履歴書】番外編➁.(半狂乱で仕事に明け暮れたリーマンショック前夜)。 | なちゅの市川綜合研究所

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番外編➁.(半狂乱で仕事に明け暮れたリーマンショック前夜)。

入社した少数精鋭(?)の不動産ベンチャー企業では、人数が少ないこともあり、本当に何でもやりました。なんなら入社前の大学4年生の頃からインターンとしてアルバイトをしており、授業の無い日は修行料込みとか謎の理由で時給900円程で働いてました。本編でも触れたとおり、当時大学4年の私はその辺の大学生とは異なり、1千万円にも迫る資産を保有していた(注:程なくしてリーマンで全損)ので正直いくらでも遊べたのですが、授業にも行かずに金儲けだけして腐る自分も怖かったので、やっと居場所を見つけたような気持ちで喜んで働いてました。

 

インターンと言えば聞こえズラはいいのですが、不動産のチラシ作りやポスティング、新規事業のアイディア出し、先輩社員の小間使いといったおままごとのような内容でした。それでも自分だけ社会人を先取りしているようで酔っていたのかと思いますが、今にして思えば本当に勿体ない時間の使い方だったな・・・と思います。大金を持って、売るほどの時間を持ってる大学生など、まさに“斧に金棒“、“香港マフィアに青龍刀”、“カラーギャングにスタンガン”といった感じの史上最強の生命体なので、海外旅行にでも行きまくっておけばよかったです。

 

閑話休題。新卒1年目はインターンの延長といった感じなので、4月の入社時もフレッシャーズとしての新鮮さの欠片もありませんでした。就職した会社は社員20数人なのに、新卒を10人位採用しており、東北大とか早大院、千葉大や海洋大を出た同期がおり、限界オーナー系中小企業(しかもブルボン王朝)なのによくこの新卒が揃えられるな・・・氷河期って凄い!やばい!とびっくりするとともに、感心してしまいました。一方、そのへんの適当な私文卒の当方については、逆に人事に「お前なんぞがよくウチの会社に入れたな」などと言われるような有様で、褒められているのかそうでないのか、向こうからは逆に感心されてしまうような具合でした。お前が取ったんだろ、と喉元まで出かかって言うのをやめました。

 

仕事の方は不動産の転売をしていました。リーマンショック前は、株式市場もさることながら、不動産業界はもっと景気が良く、聞いたことの無いような名前のカタカナの名前の不動産会社が乱立していました。やることは基本みんな一緒で、仕入れた不動産物件に適当にリニューアルを実施して見栄えを良くしてからファンドやREITに売却し、驚くような利益を得ていました。そのうち、ファンド会社だけでなく戸建て業者やマンション業者も寄ってたかって参入し、“不動産流動化事業”というそれっぽい名前で、実際は単に右から左に流すだけの転売ヤーみたいなことに業界全体が夢中になっていました。

 

新人の私は上司と違って物件の仕入れのルートもないので、公表されている情報(レインズやアットホーム)に出ている売り物件情報を「全て」確認して、毎日毎日仕入れ物件を探していました。これは公然の常識ですが、不動産は少しでも旨味のある物件はそもそも表に出てこないか、プロが秒で掻っ攫っていきます。ネットなど誰でも見れるような場所に転がっている物件情報にひとつとして掘り出し物などなく、例外なく売れ残り物件です。

 

その中でどうやって仕入れていたかというと、とにかく圧倒的な量をこなすということと、利回りはイマイチだけど、何か一つ光るものがある物件・・・つまり、場所はどう見ても新橋だけど、住所上はギリギリ銀座にあるビルとかそういう物件を探します。そしてハゲタカファンドのように安い買い指値オーダーを出して、引っかかるのを待つという作戦でした。物件を売りたい人には様々な事情があり、中にはとにかく売り急いでいる人がもいます。あまりにも安い値段のため、よく怒られておとといきやがれとなるのですが、たまに「さすがにそこまでは下げられないけど、ローンなし現金で今すぐ買うならこの辺までなら安くできます」という売り急ぎ案件に当たることがあり、そこで初めて買うことが出来ました。

 

不動産業界は情報のやり取りが全てであり、人脈こそが全ての世界です。新卒の私には人脈が一切なかったので、結局はこうした労働の総量で人並みに追い付くほかありませんでした。数時間かけて、数百の物件情報に目を通し、ひとつもめぼしい物件が無いことも多く、まるで砂漠に水を撒くような気分で毎日仕事をしていました。また、仕入れる物件を見に行く時間も惜しかったので、めぼしい物件をストックしておいて、土日を返上して物件を見に行きました。それで現地を見るものの、想像以上に周辺がさびれていたり、すぐ近くが風俗店やラブホテルだったりして、売れ残る理由が納得できる物件ばかりだったりします。「これなら家でゆっくりしていた方が良かった・・・」と、肩を落として絶望しながら家に帰ることもしばしばでした。

 

そんな感じで折角の週末すら台無しになったりしていました。が、新卒入社して最初の頃は株の調子も良かったので、相場の開く平日の方がまだ楽しかったことから、週明け月曜日を迎えるのはそこまで苦ではありませんでした。仕事が大変なわりに中小企業で給料は安いけど、これは若者特有の修行のようなものなので、お金は株の方で稼げばいいか・・・本気でそのように考えていました。しかし、全てを絶望の淵に追いやる“リーマンショック”の魔の手は、足音を立てずに私の両足を掴むところまで伸びてきていました。(つづく)

 

*前回記事① 2023-08-15 

【なちゅの履歴書】番外編①.(“氷河期継続”の世界線で社員20数名の会社に就職)。

 

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