2019年7月21日(日)午前11時42分 仙台市若林区/荒井駅


 北口から駅を見よう。地下1階と地上3階建ての新しい駅であり、建物には色合い豊かなパネルで装飾がなされている。2階には保育園や『せんだい3・11メモリアル交流センター』が入居しているという。
さく「ほら、こういういい色してる。」
めぐ「入口も水色で、こう…。」


 駅建物を南口から見れば、こちらは壁面を緑化して装飾。駅から各地へ向かうバスのターミナルは南口に形成された。現状見る限り、他は住宅ぐらいしかなさそうだ。
もも「…何かないかっていうし。」
さく「ま、できたばっかりだから?」


 せっかくなので屋上へ上がろう。南向きは住宅メーカーなどが主体となって、開発が進められているらしい。この一帯は2011年3月11日、津波浸水域がすぐ近くまできていた。
めぐ「こういう…、新しいの見るのが。」
なぎ「ここから始まるみたいな?」
めぐ「いや、なんか雰囲気的に。」


 北向きに眺めれば周辺が開発されず、広がりを見せるのは水田地帯。遠目にはまち並みも見られるほか、付近に高速道路のインターも…。
もも「こっちはこっちで、駅にあるような景色じゃないし。」
さく「田舎ならいいよ?急に駅、つくろうって。」


 そんな屋上は庭園となっており、ベンチと共に植物が植えられていた。一部区画は保育園の施設内にあたるため、一般人が入れないよう仕切られている。
なぎ「…なんかいい時間。」
めぐ「雨、降ってなくてよかった。」


 夏場の雨上がりに雲が多ければ蒸し暑いため、とりあえず小休憩のちに駅へ戻ろう。1階天井の配管類は隠すことなく黒色に塗装、木目パネルを所々に置いてオシャレに仕上げている。
めぐ「天井の色が暗くてね…。」
もも「あのさ…、さっきから全然まとまってない。」


20.荒井12:07発→仙台12:21着 八木山動物公園行き 仙台市2415
 改札からホームへ降り、ちょうど入ってきた東西線の2000系電車。フロントマスクが少々凝っており、伊達政宗の三日月兜をイメージした形状となっている。南北線と同じく全区間島式ホームで統一されていることから、やはり運転台は右側に配置。
さく「これで直通はできないよね。」
なぎ「いや、しないって。」


 ドア窓は南北線と同じく、楕円形で統一されている東西線。液晶画面式案内はドア横右側上部に設けられ、左側も準備工事済み。
もも「もうさ…、こういうのしか見るものなくなっちゃったし。」


 荒井を出て14分。仙台の駅に着いたら、同じように通路を戻ろう。こちらも天井の配管類を隠さず、スリット状に仕上げている。
さく「これって前あった485の…。」
なぎ「そんなもんはない。」


 概ね2時間弱かけて東西線を1往復した格好となり、再び南北線ホームへ戻ってきた。ここからはもう一方の終着駅、富沢がまだ残っているのだ。
もも「…これ、先に富沢じゃダメだったの?」
めぐ「そう思ったんだけど…、そうなっちゃったもん。」


21.仙台12:28発→富沢12:40着 富沢行き 仙台市1201
 このパターンに飽きたとか言ってはいけない。長町まではすでに乗っているため、割愛しても問題はないだろう。
もも「ダメよ、この人。どこかに外出るとこあるかもって。」


 地下を進んでいき、富沢の手前で地上に顔を出す。高架へ上がる南北線は…。
めぐ「…なんだっけ?」
なぎ「…言わない。」


 12分で到着した高架駅は、やはり1面2線の島式ホームであった。ここでも折り返すことなく回送されるため、乗車用と降車用が分けられる。
さく「やっぱオーバースペックだったかも。」
もも「え、何いきなり?何がオーバースペックって。」
さく「20mの4ドアで4両だったら、結構。」


 車両規格についてはさておき、駅に来た以上は外へ出て収めたいのが旅行班。北口が地平上、東口は歩道橋の上にある富沢駅。両者は外からも行き来自由な構造となっている。バスはこちらから発着するらしく、ロータリーが完備。
めぐ「じゃあ、次。」
もも「早くない?もうちょっと下降りたっていいのに。」
めぐ「そんなに時間取るとアレだし…。」


 高架橋は車両基地へそのまま続く。周辺はやはり住宅が多いようで、集合住宅は目立ちやすい存在となる。公園の木々が安らぎを与えてくれそうだ。スーパーなどの店があるのに対し、飲食店はないようなもの。
さく「ここは…、豊田市の郊外みたいな。」
なぎ「…ないな。」


 西口はささやかなロータリーのほか、駐車場と新しい集合住宅が見られる程度。店は北口(・東口)以上に"ない"。バスケットボールのカメイアリーナ仙台(仙台市体育館)はこちらが最寄となる。
めぐ「終わり。」
なぎ「終わんな。」


22.富沢12:49発→仙台13:01着 泉中央行き 仙台市1301
 結局9分いただけで富沢を後にすることとなった。一旦引き上げてから折り返した、同じ編成に乗車。
さく「この車両古いはずなんだよね。」
もも「まあ…、東西線と比べりゃね。こっちも結構…、お得意のリニューアルじゃないけど。」


 無性に親近感を覚えた風景を見て、すぐに地下へと潜っていく南北線。天候は相変わらずながら、昨日午後からの雨はずいぶんと上がったようだ。
もも「9分で駅前ちょっと見て終わって、何を親近感って…。」
めぐ「なんかこう…、マンションとか多くて名所も何も思いつかないとこ?」


 そのまま12分の乗車時間は何もなく、写真をメモにしながら仙台に戻ってきた。ここまで乗ってきた南北線の車両は開業以来用いられており、リニューアルを経ても地下鉄内完結であるためか古さを一切感じさせなかった。それもとうとう2023年以降、新車によって置き換えられることとなる。
(杜の都仙台、野球の遊園地へようこそ!? つづく)


まりえ「これにて仙台市地下鉄は東西線と、南北線も完全制覇となりました。当初計画にあったJR利府支線の時間が浮いた分、やはり気楽ですごくよかったみたい。気楽な気分でスタートも遅かったのですが、時刻はすでに昼過ぎ。2夜連続2夜目のメインイベントが待ち構えていますし、そろそろ本気出しません?」
 

(杜の都仙台、野球の遊園地へようこそ!? 第17夜)

2019年7月21日(日)午前10時38分 仙台市青葉区/仙台駅


 東西線は後発路線であるため、ホームは地下深くに設けられている。乗っているエスカレーターが長かった。
もも「本当、半分もたれかかってりゃ楽だもん。」
めぐ「そうそう、今日あんまり動きたくないのよね。」


18.仙台10:43発→八木山動物公園10:55着 八木山動物公園行き 仙台市2405
 先に八木山動物公園行きが入ってきたのでそちらへ乗ろう。都営大江戸線のような小断面地下鉄らしく、車体のサイズが小さい東西線。狭い車内にそれほどの混雑は見られない。
さく「…はい。」
なぎ「じゃあ、次…。」


 大町西公園を過ぎると地上に顔を出す。こちらもまた都市部から外れた、自然の多い車窓である。次は『国際センター』だが、名古屋の『国際センター』とは大違いだ。
もも「たまたま名前が同じじゃなくって?」
さく「ま、そうでしょ。全国どこだってそういうのは。」


 そのまま地下へ戻っていった。この2000系電車は新型らしく、デザイン性も優れた印象を覚えるもの。青系モケットの座席はなかなかカタく、短距離乗車に特化したもの。車端部壁面は濃い色でまとめ、ガラス面の大きな貫通扉とお似合いだ。フリースペースは1両あたり1か所確保されている。
めぐ「なかなか…、で。」
なぎ「まとまってない。」

 八木山動物公園の手前で地上に顔を出す地下鉄東西線。再び地下へと戻って、終着駅に入っていく。
めぐ「ごめん、合わない。」


 12分で到着した八木山動物公園の島式ホームは、南北線(泉中央)と同様の交互に入って折り返す方式。開業が2015年と新しいこともあって、ホームドアが完備されていた。


 ステンレス鋼かアルミニウム合金か、調べればアルミニウム合金製だと…。そんな無塗装車体には南北線と対になるよう路線色の水色系が入っている。ホームドアがあるため、下半分に装飾はなされていない。
めぐ「…じゃあ、次。」
もも「あ、ホームと電車見たから出ようって?」


 改札を出てからは案内に従い、動物公園のほうへ進んでみよう。展望台もこちらから向かうこととなる。新しい駅にして、壁面は無機質な印象を覚えるタイル張りだ。奥のほうへ進むと照明色が暖色系と…。
さく「これ…、今からどこ行くんだろうね?」


 お目当ての1つとした展望台へはエレベーターで、地下2階から5階まで上がることとなる。薄暗く無機質な奥詰まったところにある佇まいが、大きな集合住宅を連想させた。
もも「本当にこんなとこから動物公園上がれんの?」
なぎ「なってんなら、…そうなんだろ。」


 そんな"屋上"へ上がってみれば、ウッドデッキが濡れている。駅名となった動物公園はこちらが正面だ。
さく「そりゃこんな雨じゃ誰もいないって。」
もも「…今日日曜よね?」


 ここからであれば駅舎にもなる『八木山てっぺんひろば』の出入口。トイレも隣接している格好らしく、困ったときにはありがたい。
なぎ「完全に屋上だ。」
さく「本当に屋上上がっちゃったし。」


 八木山動物公園は標高136.4mの位置にあり、2019年7月時点で日本一標高の高い地下鉄駅とされている。せっかく来て霧がかった雨模様とあっては、高台から肝心の景色が見渡せない。
さく「こういう時、テレビだと晴れたときの画出すんだよ。」
めぐ「これ、狙って来れる距離じゃないんだよね。」


 設けられていた案内図が示すように、晴れていれば絶景だったに違いなかっただろう。東北旅行の機会が今後もあれば、再び訪れていいものか…。


 屋上から下へ降りてみた。この"構造体"は1階がバスターミナル、2~4階は駐車場となっている。駅ビルというよりは、人工地盤に近いものらしい。
さく「これもなんかイオンモールの駐車場?」
もも「あるわよね。本体と別で建物あるけど、本体にあるほうが大きいとかいうね…。」


 1階の出入口から駅に戻ろう。ここから八木山ベニーランドは徒歩5分とあり、こちらも駅から近い。
めぐ「じゃあ…、次。」
なぎ「荒井だっけ?」
もも「ちょっとはさ、ベニーランド触れなさいっての。」


19.八木山動物公園11:11発→荒井11:39着 荒井行き 仙台市2210
 発車して早々、橋を渡る形で地上へ顔を出す。上の道路と一体で橋になっているらしい。写真はピントが合わずに失敗。
もも「…別に狙って来れる距離じゃないからって、無理してまで撮らんでも。」
めぐ「うん、結構この辺って自然。」


 国際センターから大町西公園にかけて、地上へ顔を出す地下鉄。ビル街も遠目に見つつ、自然豊かな風景が広がっている。地下鉄は都会的イメージという先入観は、仙台市において通用しなかったか。
めぐ「今度は大丈夫。」
なぎ「それデジカメじゃないだろ。」

 以後は全て地下を進んでいく東西線。仙台を過ぎてもそれは変わらず、見られる景色がない。
さく「…座って景色見れないなら、メモしてたし。」


 28分の乗車で荒井に到着。こちらは八木山動物公園や泉中央と異なり、折り返すことなく回送されていく。
もも「ってか、車庫どこよ?」
めぐ「いや、そこまでは…。」


 ホームから改札へ上がるエスカレーターは、黒い土壁風の壁面がオシャレな印象。これまで地下鉄のなかった場所にあるためか地下浅いようで、エスカレーターに乗ったらすぐ地上へ出てきた。
(つづく)
 


まりえ「2019年夏の東北旅行、3日目はお姉ちゃんが案内します。仙台市内で迎えた日曜日の朝。この日は仙台市地下鉄の路線を制する目的があり、2路線という単純な構成であることから行程も行って戻っての繰り返し。制すべき地下鉄路線が単純に2路線なことから、行程としては緩く仕上がっています。」

 

 

 では仙台市内でゆるやかに3日目。時間を2019年7月21日に戻そう。本編は旅行ブログからの再編集となる。

 

2019年7月21日(日)午前9時39分 仙台市青葉区/快活CLUB仙台一番町店

(A)フルフラット席・12時間パック(快活CLUB仙台一番町店) 2916円
 先月に月間3000円利用したため、ポイント2倍になることを生かして長時間滞在の予定とした今回。昨日に一部予定を前倒して回ったため、滞在時間が増えている。結果は…、まさかの12時間扱い。

(S)ビニール傘(快活CLUB仙台一番町店) 167円
 さらには昨日置き忘れたビニール傘を、ジンクスの意味を含めて調達。こちらは利用料金や飲食代金と別で支払うため、200円に満たない。ポイントを気にしない決済手段で支払おう。
めぐ「そりゃあね…。」
さく「ま、ないよりいいでしょ。また降るかもだし。」


 日曜日の朝。雨は降っていないようだが雲は多く、路面はしっかり濡れている。
もも「本当に9時半すぎるなんてね…、今日がどこなのかもアレだし。」
めぐ「今日は地下鉄乗って、あとは昨日と同じの。」

(現)地下鉄土・日・休日一日乗車券(仙台市地下鉄) 大人620円
 この日は仙台市地下鉄を全て乗っておこうと考えており、休日用の1日乗車券を利用する。元々はJRの利府支線もこの日を予定していたが、前日に済ませていた。このため別料金だったものも浮いた計算だ。午後からは2夜連続の楽天生命パーク宮城だ。


(現)コインロッカー小(勾当台公園駅) 400円
 ひとまずは前日と同じように大荷物をコインロッカーへ預け入れよう。
もも「…ってことは3連泊?」
さく「そうなるね、戻ってくるわけだし。」

(現)ファミマの天然水・新潟県津南(ファミリーマート) 100円
 水分補給も忘れてはいけない。
なぎ「時間大丈夫か?」
めぐ「あ、もう終わる。」


16.勾当台公園9:57発→泉中央10:10着 泉中央行き 仙台市1206
 ここ2日同じような地下鉄の画だとか言ってはいけない。北仙台までは前日に乗っている区間なので省略するとして、地下区間は続いている。
さく「ズレてて正解。こんな座って優雅なの、多分今までないかも。」
もも「アンタら詰め込みすぎなのよ。こういう日が1日ぐらいね。」


 旭ヶ丘からは構造体に"スリット"が入り、外の様子が見られるもの。次の黒松は駅が半地下構造となっている。
さく「あれ、いつの間にこんなとこ来ちゃった?」
めぐ「地下鉄なのにわかんないよ。」


 そのまま地上の高架橋へ上がっていく。同じ仙台市にして地下鉄路線ながら、木々の多い景色が続いている。
もも「昨日のも仙台市内よね?」
さく「仙台市内だけど、あっちは山のほうってわかってるわけだし。」


 八乙女など、駅の周囲は住宅が多い。当然と言えば当然だろうが、見事に分かりやすく体現している。
なぎ「これ…、三田線じゃないんだよな?」
めぐ「ああ、そんな感じだったかも。」


 泉中央の近くは公園となっている。反対側に大きな施設を有しており、復路で見ていくこととしよう。


 13分で泉中央に到着。全区間全駅で1面2線の島式ホームとなっており、運転台も車両右側に設けられている。ここはそのまま車止めが設けられ、交互に入って折り返す方式だ。車両編成を溜めおくことはできない。
もも「なんか…、いずみちゅうおうって。」
なぎ「同じ読みって?」


 先月訪れた和泉中央(泉北高速鉄道)とは、読み仮名が同じ『いずみちゅうおう』の駅。東口からは地下鉄路線を補うべく、市内など周辺各地へバスが発着する。
さく「またつながっちゃったし。」
もも「確かに似たようなもんだったわよね。」


 駅ビルは東口にあり、ペデストリアンデッキのある2階以上がビル施設となる。改札は1階にあり、ホームが地下という構成だ。
めぐ「じゃあ、次。」
なぎ「時間なかったのか?」


 一方の西口は勝手口みたく、そのまま道路に面しておりこじんまりした印象。周辺はマンションが多く、ドラッグストアやコンビニがあるので買い物には困らないだろう。
めぐ「…終わり。」
なぎ「終わるな。」

17.泉中央10:20発→仙台10:35着 富沢行き 仙台市1206
 10分で軽く散策を終え、乗った車両でそのまま折り返し。少々高架橋区間が続くので、往路と反対側の景色を見ておきたい。


 すぐに見えてくる、サッカーのユアテックスタジアム仙台(仙台スタジアム)。地下鉄の高架橋を挟んで公園内に位置している。試合日には泉中央が便利で、多くの利用があることだろう。
さく「…いいんじゃないかな?あそこ、満員でも18000か何かぐらいって。」
もも「あのさ…、じゃあ昨日のは何?26000で。」
めぐ「1回中…。」
なぎ「また来た時な。」


 八乙女までは住宅の多いところ。以後は木々の多いところを通りつつ、黒松からは地下へ進んでいく。いくら仙台市の面積が広く、山形県との境が山間部となっているとはいえ。中心市街地からあまり遠くないところで景色のギャップを感じてしまった。


 15分乗ったら仙台市の中心部、仙台に到着する。東西線へ乗り換える際は案内に従えばいいだろう。
もも「本当、同じ仙台市なのかしらね?」
なぎ「そうなってるなら、そうなんだろ。」


 東京の地下鉄路線を全て制した身にとって、地下鉄の乗り換え通路は長いものと考えていた。もっともそうとは限らないようで、仙台も比較的分かりやすい。2路線(+JR仙石線)しかないためだろうか?
めぐ「ほら、札幌とかって。」
さく「札幌は、大通で南北線と東豊線。」
(つづく)