だから構造家は、楽しい -24ページ目

すみだ生涯学習センター


すみだ

建築設計:長谷川逸子建築計画工房

構造設計:梅沢建築構造研究所


建築技術の連載記事執筆+インタビューにあたり、取材というか予習をしに行って来ました。

実物を見る、というのはやはり大事なことですね。


細川コレクション 永青文庫

京都北山通りにある、表千家北山会館にて開催中の

「~細川コレクション 永青文庫~ 茶道具名品展」

に行ってきました。


お目当ては、夜桜棗 だったのですが、こともあろうに、

会期の前半と後半で展示物の一部が入れ替えられており、

残念ながら後半に入ってしまった今は、見ることができませんでした。


何が入れ替え展示品なのか、ちゃんと告知しておいてくださいよ・・・。

しかしこのように細川家に今も大切にしてもらっているというのは非常に名誉な話です。


ひととおり見終わった後、お抹茶をいただいて、欲しかった6年前のMIHO MUSEUMでの永青文庫展の目録本を購入し、早々に退散。

今日の展示品の中では、

利休尻ふくら

が抜群に素晴らしかったです。


(※作品のリンク先はMIHO MUSEUMです)

EX-IC

先月末から東海道新幹線で始まったICカードを利用したチケットレスサービス をEX-ICサービスと言うのですが、

これ、めちゃくちゃ便利なのです。


携帯やパソコンから自分の乗る新幹線を予約しておけさえすれば、新幹線の改札でICOCAやSuicaと同じように改札機にタッチすると、座席番号を記した利用表が航空機の半券風に出てきます。

窓口や発券機に並ぶ必要は一切なし。


駅での乗換え時間は、単純に歩いた距離に比例するだけなので、非常にスムースに、ストレスを感じることなく乗換えができることになります。

SuicaとEX-ICを2枚重ねでタッチしてもちゃんと認識してくれますし、Suicaを使えば東京駅の丸の内側改札からも無料で出入りできるようになり、わざわざ八重洲側に迂回する必要もなくなりました。


しかもこれまでのExpress予約よりも200円安いので、在来線利用区間が渋谷-品川間(160円)または東京-新宿間(190円)の僕にとっては、よりお得なサービスとなりました。


改札機の一方の端にタッチしてから改札機のもう一方の端に歩いてたどり着くまでの間に、自分の予約した座席を印字した利用票を出してくれるそのスピードには感激しました。だって、次に誰がタッチするのかなど改札機はわかっていないわけですから。


僕がタッチをしてから何歩か歩いて進むそのわずかの時間に、改札機は

 1)カードを認識する。

 2)カード情報をセンターに送信する。

 3)センターからカード所有者の予約情報を取得する。

 4)取得した予約内容を利用票に印字する。

 5)印字した利用票を取出口に排出する。

という作業をこなしているわけです。優秀すぎます。


今日は経堂を16時26分発の小田急線に乗り、渋谷・品川経由で帰ってきたのですが、途中、山手線の車中から携帯で新幹線の予約をして、17時07分品川発ののぞみに乗り、京都19時22分着。この間、一度も券売機や窓口の前には立っていません。

のぞみも全列車が品川に停車するようになったので、迷わず品川へ向かえるようになったのも大きいですね。こういう技術以外の部分での配慮もありがたいです。


別にJR東海のまわしモノではありませんが、今回の新サービスには結構感激しました。


N700系の時に使われていましたが「最新技術というおもてなし」というコピーは僕は非常に好きです。


最新技術に触れているからうれしい・楽しい、などという浅い話ではなく、「もてなし」という言葉にふさわしい真摯な技術開発をやっているんだという自信がそのコピーには感じられるからです。


お花見@京都御所


@京都御所


京都御所にてお花見をしてきました。


岡田さん一家、山崎井口さん一家、スペインから帰国したばかりの森田さん一家、京都に越してこられたばかりの左官の久住さん一家に、我が家を加え計5家族。


借景(壁の向こう)は京都迎賓館です。

もっと桜の綺麗なところはあるんですけれど、非常にこの面々らしい場所の選択かと思います。


子供だけで合計10人のとても賑やかなお花見でした。


けんちくの手帖

鉄の教会の見学後、某コンペの打ち合わせを済ませ、阪急電車を梅田で途中下車して、common cafeにて行われている、けんちくの手帖 、というイベントに参加。


今回は、アーキフォーラムの運営やヴィヴィッド・テクノロジー の製作の裏話を、学芸出版社の井口さん、編者の小野暁彦さん、アーキフォーラム運営スタッフの今井敬子さんが語る、というイベント。


小野さんは2年間かけて作ってきたその想いを非常に熱く語ってくださいました。


おそらく、これがヴィヴィッド最後の関連イベントではないかと思います。

関係者の皆様、大変おつかれさまでした。


まだ読んでいらっしゃらない方、自分で言うのもナンですが、本当にいい本です。

是非、ご購入の上、読んでいただけたら、と思います。


モエレ沼公園


モエレ沼公園

モエレ沼公園を初訪問してきました。



ガラスのピラミッド

ガラスのピラミッド




繊細な外部通路

ピラミッド横の外部通路は雪の多い北国っぽくない細い柱。

いわゆるミース系。

ディテールを観察すると、どうやらムクっぽいですね。

パイプだと蓋に相当するプレートとガセットが必要でそれらの溶接手間がありますが、ムクだとセンターを削り落とすだけで済むという利点があります。

もちろん鉄骨量は増えますが。



ピラミッド内観

内部の構造にも同じディテールが採用されていました。




ステイのアンカーディテール

ステイも床レベルに直接アンカーするのではなく、いったん箱状のスチールで持ち上げ高いところで受けてやることで、椅子っぽくなっていますね。気の利いたデザインで面白いです。




エレベータシャフトが凄い

エレベータシャフトは何にも囲われていない非常に大胆なモノでした。

(囲われていない、ということは、シャフトという呼び方も変な気もしますが・・・)


ピラミッド以外の建築も素敵でした。


白がいいですね

駐車場付近の建物(インフォメーション+売店?)

雪景色や周囲の木々に繊細な白の鉄骨が良く溶け込んでいて綺麗です。

柱の繊細さに対し、やや梁が野暮ったく感じますが、雪国の宿命か・・・



フラットスラブも中々のモノ

駐車場屋根はRCフラットスラブ構造

建築家が嫌いがちな典型的なキャピタルも

正しいプロポーションで整然としていると綺麗です。


青空と白い雪と人の少なさとでとてもすがすがしい気持ちになれました。

これですっきり京都に戻れました。


KITA HOTEL


KITA HOTEL

設計:黒川雅之建築設計事務所

構造:佐々木睦朗構造計画研究所


せっかくの札幌でしたので、どうせなら、ということで師匠の作品に宿泊してきました。


佐々木事務所時代はRC造建物の例として青焼きの製本図面をよく参照していました。

1990年前後の建物だったかと思います。


六花の森

六花亭コンペは

最優秀賞:中山英之(構造担当:小西泰孝)

優秀賞 :石上純也(構造担当:佐藤淳)

という結果でした。


残念ながら、彼らの間に割って入ることはなりませんでした。

まだまだ力不足です。


一応振り返っておきます。


三振を取りに直球を投げ込んだんですよ。

コースも入ってたし、球の切れも良かったんですけどね。(本人談)


 ・

 ・

 ・


ただ、主審に「ボーク」と宣告されてしまいました。ヽ(;´Д`)ノ


どうやら、予選の時と違う球種を投げたのがダメだったみたいです。

また、アイデアコンペと実施コンペとの違いを意識したつもりでしたがそれも逆効果だったみたいです。


イチから出直しです。


次の試合こそ、同じ球で三振をとりたいと思います。


はるか1号

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六花亭Teahouseコンペ最終審査会出席のため京都駅5時46分発のこの列車に乗り関西空港から空路で札幌へ向かいます。
「注目の10人」の2強が勝ち残っていますが、こっちもやるべきことはやったので、そう簡単に負けるわけにはいきません。
(という位の気合いでないと面白くない。)

楽しみです。

どっちが上回っているかどうかじゃなくて

トラックバックです。(リンクはさせていません。)


現実が研究を上回っているのか、それとも・・・。



現実というものは、極めて不均一で不確定性の強い集合ですから、それを科学的に簡潔に記す(=モデル化する)ことは現時点では不可能だと思います。


研究について、再現性を担保し科学的に記述を行うこと、という前提を持ち込めば、研究対象は必ず記述可能(=モデル化可能)な範囲内にとどまるため、現実(=対象として完全に科学的に記述(=モデル化)することができない)を網羅する研究というのは不可能だと思います。


その考え方に立てば、必ず、現実は研究を上回ります。

これは極めて現実的な意見だと思います。


ビジネスライクに考えれば、成果主義の求められる設計と現在進行形の研究とを結びつけるのは無謀だとも言えるでしょう。(逆の言い方をすれば、簡単に設計に持ち込めるような研究というのは浅い研究だと思います。)

ビジネス(設計を含む)に使えるのは、あくまでも、既往の研究成果、もしくは、そのビジネスのためだけの研究の成果、だけだと思います。



一方で、まっとうな研究というものは我々の到達可能な点をより遠方にしてくれます。

たとえその条件が研究の時点で限定的であったとしてもです。


今から10年以上も前に、ちょうど僕が4年生になるときに、京都大学に建築情報システム学研究室ができました。数理計画的手法や遺伝的アルゴリズムなどを用いることで、建築計画や構造計画、都市計画というものがどう変わりうるのか、何が可能になるのかが未来を見据えて研究されていました。


ちなみに僕の場合は、構造力学研究室の教授と情報システム学研究室の助教授に指導してもらい、膜構造物の釣合形状と裁断図の同時最適化、について修士論文を書きました。これについては先日のトークイベントでの自己紹介で話した通りです。


その頃や、そのもっと先の時代から培われてきた多くの成果が「アルゴリズミックデザイン」などというカタカナに化けて今頃になってようやく建築の世界でちやほやされ始めている事実を考えると、


研究は現実を遥かに上回っていた、


とも言えるでしょう。


設計であれ研究であれ、大事なのは、未来を見据えているかどうか、本質を捉えているかどうか、だと思います。

(到達可能点を見誤らないのも大事なことで、なんでもかんでも出来るようになると思うのは大間違いです。)


そういう意味で、成果主義にとらわれず、本質をつかんだ飛距離の長そうな研究は、大事にしていってもらいたいですね。