【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠ -6ページ目

【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

28冊目:きみの隣で

益田ミリ

2024/08/18

 

 

 

「先生の生まれた日は?」「虹、出てたかもしれないよ」
「きっと、なにもなかったと思うよ」(P15)
→これに対するお母さんのアンサーが
「ヒナが生まれた日も、いいお天気だったな」(P135)なのはよかったです。
他の人からすればなんてことはないただの日でも、母親からすれば大切な1日だから。

自分が子供を産んだ日も、他の人からしたら前日に梅雨入りしたどんよりとしたただの雨の日でしたが、私にとっては強く印象に残っている大切な日です傘


「公園のすべり台の冷たさとか」
「かくれんぼで、かくれてる時の息の白さとか」
「どうして忘れずにあたしたちの中に残ってるんだろうね」
「覚えていようって、思ってないのにね」
「人が生きていくために大事だから、残ってるんだろうね」(P66)


「よそのお母さんもひとりで旅行するの?」
「さあ、どうかな」「太郎はお母さんがよそのお母さんと同じがいい?」「お母さんは、太郎がよその子と違ってもいい」(P81)


「生きがい、ではないです」「夫婦で大切に、大切に育ててますけど」「子供は生きがいではない気がします」「生きがいは、ひとりひとり自分の中にしかないんだと思うんです」(P132-133)
→この言葉、深いよなあ。もちろん子供が生きがいって人もいると思うし、それもいいことだと思う。でも、子供は自分とは違う1人の人間で、過度に期待をすれば自分も子供も苦しくなる。線引きは必要だよね~。

私も子供はもちろん大切だけれど、生きがいにはしたくないなあ。じゃないと、もし子供がいなくなったら自分の人生には意味がなくなるのか?ってことになる。子供だけではなく、生きがいを他人に設定するのはよくない気がするなあ。


「こんなにも、美しい世界に別れを告げ いつか死んでいく自分が 悲しかったこと」
「この悲しさは、きっと美しさの一部なんだよね」(P138)
「命というものは、はかないからこそ、尊く、厳かに美しいのだ」という言葉をドイツの小説家トーマス・マンが残したように、終わりがあるからこそ美しく感じるのだと思います。

物事に終わりがなく、今日も明日も全く同じ日常が続くことが約束されていたら、きっとすべてが当たり前に感じてしまい、美しさなんて感じなくなるんじゃないでしょうか。

終わりがあるから美しい、終わりに対する悲しさも含めて美、なのではないかと思います。


「週末、森で」が前作のようなのですが、前情報なしに読んだので前作があるのを知りませんでした汗うさぎ

近いうちに「週末、森で」を読みたいと思います。

 

 

 

29冊目:世界のおやつ おうちで作れるレシピ100

鈴木文

2024/08/18

 

 

 

著者の方は元々は立教大学卒業後アパレル会社に入社、その後パティシエに転身。世界50か国以上を訪れ、現地のお菓子を現地の人々と一緒に作る。その土地の歴史、文化、風土などお菓子の裏側にあるストーリーを伝えることを大切にしている。

 

珍しい経歴の方ですよねうさぎ

レシピは掲載しませんが、ただのおやつのレシピ本ではなく、その国でなぜそのお菓子が親しまれているのかということをその国の歴史や気候、文化などと絡めながら教えてくれる本です。

 

 

最近は何となくいろいろなことに対して、結果だけではなく、なぜそうなったのかという経緯が気になるようになってきましたキョロキョロ

なぜそうなったのか、昔はどうだったのか、ということが分かることで、今の状態に改めて感謝できるんじゃないかな~なんて思っています。

なので、そういう意味で自分の今の考え方にマッチした本でした。

肝心のレシピについてはまだ作っていないのでわかりません爆笑が、わかりやすく書かれていたので作りやすいとは思います。

 

フォトミステリー―PHOTO・MYSTERY―

道尾秀介

2024/08/16

 

 

 

★ひとことまとめ★

推理力が問われる

 

 

 

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】 

 世の中にすでに存在する写真に文を添えることで
   まったくあたらしい物語が生まれた――

     道尾秀介による危険な悪戯

写真から生まれた、道尾秀介初のショートショート集。
読み返すほど深まる――写真と連動する新感覚のミステリー。


(タイトル[一部])
静かな午後 
さがしもの 
能才 
デュロン 
つちのうま 
今夜
聞いてごらん、と言った女性の肌は濡れていた 
何日か経つと静かになった         
中身は家の裏に埋めたそうな 
弟は野良猫とビーグルのあいだだった 
指 
髪飾りに見えるのは目だった 
いたずら少年は翌朝になって発見された 
旅立ち 

短いからこそ生まれる面白さに圧倒される「50作品」を収録。

 

 

 

【感想】

最近好きな道尾さん。

1~2枚の写真を見て、道尾さんが文を添える。

パッと見ほんわかとした写真なのに、道尾さんの文がつくことで一気に不穏な雰囲気に変わります真顔あせる

 

各写真のタイトル、フォントや太字がごちゃ混ぜなのって気持ち悪いですね汗うさぎ

わかりやすいのは省いて、ちょっとわかりづらくてこういうことだろうか?と考えた物の考察を書きます。

 

・ジャンプ力

バンドのドラムが落下死ってのが意味わからないなあ…

なんかテレポーテーション的なことが発生して、ほかのメンバーはジャンプしていて助かったけれど、ドラムはジャンプできないから死んだとか?う~ん。

 

・手羽先

男女2人の会話、「わたしたちがこうなっちゃったのに」というところから、別れることになったカップル?

晩飯を作ることも珍しいようなので、冷め切った夫婦?

2人ぶん料理→夫婦2人分の食事ということではなく、2人の人間を料理(殺した)ということかな。「食材のこと」とも言っているし。ただ、出されたのが人間の手だったらヤバイ!って夫(?)の方もなると思うんだけれど…。

おそらく、妻(?)の方は幸せなカップルを見て、自分たちはこんなに冷え切っているのに!とブチ切れて殺したってことかなあ…。

弓矢の下りはわからないけれど、中古品=人間2人を殺した中古の弓矢、ってことかな。人間を殺した弓矢って珍しいでしょってことかなあ~。わからん。

 

・いかないで

反転した文字の方がガラスの中の世界にいる誰かで、正しい向きの文字の方が現実世界にいる子。

最後は入れ替わっちゃったんですね。

 

・よくいるクレーマー

往復書簡で出ていた研究所ですね。間違えてチンパンジーのサンプルで作っちゃったのかな。

でも、よくいるクレーマーだろ、で片付けられちゃうのかな~

 

・大丈夫

死んじゃったワンちゃんのことを、あたしは忘れてないかな?ってことかな。

ずっと心の中で生き続けるんだよ~、ってやつですね。

 

・FはFlee/FreeのF

生き餌に出てきた父と息子の妹で、妹も生き餌にさせられそうになったからFlee(逃げる)して、Free(自由)になったってことかな。

逃げる時に指に釣り糸が巻かれたまま走ったから、指が千切れたか使えなくなったか…。

 

・夢

この写真は聖獣バロンだと思うんですが、文にあるように殺した人間が一つになったものではなく、実際のバロンは魔女ランダを含む悪霊と戦い人間を守る存在のようです。

ただ写真だけ見たら怖い鬼みたいに見えますよね。

 

・指

ドアに指挟んじゃって、指だけ置いてきちゃったのかな?

でもそうするととりよせバッグのくだりがわからないよなあ~。

 

・髪飾りに見えるのは目だった

蚊取り線香見つめている女の人の赤い髪飾りが目玉ってこと?

押し入れに隠れている主人公のことを見つけているってことかな?

でも、蚊が入ってこなくなったというのがわからないなあ~。唇の隙間から出てきたのはきっと舌だよね~。

カメレオンやカエルってああいう髪飾りみたいな目をしたしたのもいるし、カメレオンorカエルが女性に擬態していたってことかな?

んで、いまも家のどこかで擬態を続けていて、入ってくる蚊を食べている、とか…。

 

・幼体

・成体

洒落怖とかで有名なくねくねのオマージュ?かな。

けどくねくねって洒落怖の話通りだったら幼体があるものではなく、精神疾患の人間だったような。

おじいさんも「高く売れる」とか言ってるし、どういう世界線の話なんだ…

 

・地球の導火線

地球の導火線って何なんだろうなあ。これをつければ地球は爆発するんだ!世界が終わる!死ぬんだ(死ねるんだ)!=死ぬ方法ってことかな~?

そんで大人になって、水を使うもの=服毒自殺?を選んだってことかな。

 

・デュロン

・ベロン

封筒からデュロンって出てきて、頭に封筒がくっついたままだったデュロンくん。

封筒を外したくて思い切って外したら、皮ごとなのか、ベロンとはがれたからベロンくんに。

見た目がちょっとアレになってしまったから紙袋かぶせてる感じかな…?

 

・いたずら少年は翌朝になって発見された

少年が翌朝になって発見された理由はよくわからないんだよなあ。

「少しも寒く…」「蟻のま…」はアナと雪の女王の「レット・イット・ゴー~ありのままで~」の歌詞かな~とは思うのですが、お姉さんといたずら少年の関係もよくわからないしなあ。雪女だったとか?冗談に怒った雪女に殺されたとかかなあ。

 

・思い出

・旅立ち

思い出の語り手は犬で、旅立ちの写真のおじいさんが犬を拾ったおじいさん?

でも、思い出の1枚目の写真の意味はなんなんだろう。

 

 

 

答えが書いてあるわけではないから、釈然としないままのお話もあってすっきりとはしないけれど、頭を捻って考えるのは脳トレ的な感じで楽しかったです笑ううさぎ

斬首の森

澤村伊智

2024/08/10

 

 

 

★ひとことまとめ★

文字通り、首を挿げ替える

 

 

 

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】 

わたしは今すぐ逃げなければならない。

あいつらから、この森から。なのにーー

鬱蒼と暗い森の中に建つ合宿所。ある団体の“レクチャー”を受け洗脳されかけていたわたしは、火事により脱出する。男女五人で町へ逃げだそうとするが、不可解な森の中で迷ってしまう。翌朝、五人のうちのひとりの切断された頭部が発見される。頭部は、奇怪な装飾を施された古木の根元に、供物のように置かれていてーー

戦慄のノンストップ・ホラーミステリ!

 

 

 

【感想】

大好きな澤村さんですにっこり

夏はやっぱりホラーですねおばけくん風鈴

そんでもってとても良かったー!!!

なーーるほどねーーー!と思いました。

面白いので気になる人は以下読まないでぜひ本を読んでみてほしいですね本

 

 

 

いなくなっても誰も困らないような最底辺の人間たちを集めて、合宿で”セミナー”や”レクチャー”を行う異常な会社「T」。

自分の心の傷や澱を吐き出さない者には第1段階から第4段階までのレクチャーが実施される。

第4段階のレクチャーでは”討伐”と称し、大きな樹木に似たオブジェの枝からつるされたいくつもの金属の棒を使い、自分自身を”討伐”させる。

ぶら下がった金属を使って自分自身を殴らせ、昏倒し自分で殴れなくなると社員たちが代わる代わる殴り続ける。

 

主人公の水野鮎美はレクチャーに参加し、討伐により死亡した参加者の遺体遺棄を手伝わされていた。

鮎美たちは遺体をラップでぐるぐる巻きにして、穴を掘って地面に埋めた。

同じく遺体遺棄を手伝わされていた参加者・シンスケに、「主催者たちのしたことは殺人に等しく、自分たちは犯罪の片棒を担がされている」と言われたことで洗脳から解ける。

洗脳から解け恐怖に陥っていたところ、研修所で火事が発生。逃げ遅れた鮎美だったが、何者かに助け出される。

 

鮎美を助け出したのは男女のグループだった。同じ合宿の参加者だった、土屋嘉明・久保靖・佐原はるな、そしてシンスケこと太刀川信介。

彼らは皆洗脳から解けており、脱出の策を練っていたところに偶然火事が発生し、合宿所から脱走したのだった。

 

脱走したのはいいものの、ここが何県のどこかさえわからない。

合宿所へのバスはすべての窓のカーテンが閉められていて、車内にて提供されたお茶を飲むと眠気が生じ、社員に起こされたときには合宿所についていた。スマホも身分証もすべて社員に回収されている。

彼らは太刀川の指示に従いながら、木の実や草などを食べて飢えを凌ぎ森の探索を続けるうちに、木の上に建てられた建物を発見する。

彼らはここで夜を明かすことにしたが、朝起きると太刀川がいなくなっていた。

鮎美、土屋、久保の3人で太刀川を捜しに行くが、彼らが発見したのは、枝にたくさんの刃物がぶら下げられた巨木の下に置かれている太刀川の頭部だった。

目の前の巨木は、あのレクチャーの”討伐”で使われていた樹木そっくりだった。

この森とは、討伐とは、太刀川はなぜ首を切られたのか、何者に切られたのか―…

 

 

 

ざっくりとまとめると、

フリーの記者・小田和真が「T」の合宿からの脱出者・水野鮎美にインタビューをする体で話が進んでいき、合宿中そして脱走中に起こった出来事について鮎美の視点で話が進んでいきます。

異常な会社「T」で行われている異常な洗脳行為および殺人行為。「T」の社長・続木宣治の祖父であり、新興宗教「ひのたま教」の教祖・続木宣雄。

ひのたま教そして「T」の本拠地山間部にある禁足地「斬首の森」。

200年以上前に隕石、当時の人たちから見ると「火の玉」が落ちた。落下後30~40年が経ち、そこには木々が生え盆地となった。

森は自然と禁足地となり、そこで発見される動物たちは手足がいくつもあったり首がいくつもあったという。しかもそれはただの奇形ではなく、その森の植物を食べたものは分裂して増殖できるようになるのだった。

当時の人々はそんな分裂した人間や獣を退治するために、分裂が始まる前に本体の首を切って討伐していた。分裂中の本体の首を斬ると、出てくるコピーは首無しになる。首無しコピーはしばらくは動けるけれど、食事が取れなくてそのうち餓死する。

あの刃物のぶら下がった木々は、そうやって討伐した証だった。

ひのたま教でキヨが行っていたことは、病の人間を治すのではなく分裂したコピーの方を返していただけだった。

そして現代。なぜ「T」は人を集め討伐に模したレクチャーを行い、死体を埋めていたのか。

 

 

続木宣治もとい続木宣雄は文字通り首を挿げ替えて何年も何年も生き永らえていた。

新鮮な首から下を求めていたのか~。続木は不死の魅力に取り憑かれちゃったんですね。

消化器官がほとんど動かないと言っていたけれど、やはり首から下は別の人間だからうまくいかないんですかね真顔

しかも首から下は普通に腐っていくみたいだしなあ…。首から上は年をとらないのかな?

続木は森の植物を食べてしまって分裂人間(?)になってしまって、そんな気持ちの悪い生き方はご免だったから、過去の討伐の話を思い出して自分の首を自分で切った…のか?

でも、わざわざ討伐の儀式をレクチャーに取り入れるんだな~。自分も本来は討伐された対象だろうに…。

 

でも分裂が本格化する前(コピーが出つつあるとき)に本体の首を切ったら、胴体からは首無しコピーが出てきちゃうはず凝視はてなマーク

当時分裂中の続木の近くにも誰かがいて、その誰かの首を切った後に自分の首を切ったんだろうか。

首と胴体が切れたら、どうやって首を別人の胴体に付けるんだろう。誰がつけるんだ?首が勝手に動くのか?と思っていたけれど、鮎美が小田にくっつく場面で何となく理解はできた。胴体と離れても、意思?はちゃんと胴体に伝わっているのね。首が生きている間だけかな?と思ったけれど、首が死んでも土屋さんの胴体は鮎美を助けるために動いてたしなあ。

ちょっとそこらへんのルール(?)が理解できていません。

どんくさそうな鮎美が土壇場でルールに気づいたところはちょっとご都合主義っぽさを感じたなあ。

 

 

一度首を切って別の人の胴体にくっつければ、もう二度と分裂しない。

ただ、分裂人間の名残なのか、首は何度でも挿げ替えることができる。

現実的に考えてもしょうがないのですが、こういう人はどうやって生きていくんだろう。続木宣雄は続木宣治になったけれど、戸籍は?住民票は…?そんなのないのかな。病気になったら首挿げ替えればいいんだもんね…?

 

鮎美と一緒に行動していたメンバーたちの末路だけれど、

・太刀川さん→分裂中に鼓麻に首を切られる。よってコピーは首なしに。

・佐原さん→自分の手で、分裂し生えてきた手足を切ろうとした。その際、自分のコピーに返り討ちに合い首を斬られた。

ただ、終盤で顔のついたコピーが鮎美を助けに来たということは、分裂完了済みのコピーにやられたってことかな?

分裂中に首切ったら首無しコピーのはずだからね。

土屋さん→久保に首を斬られるも、首はしばらく生きていて久保に噛み付く。分裂中の胴体は、首が死んでもなお鮎美を助けるために久保を攻撃しつづけた。

・久保→森の植物は口にしていないので、胴体目当ての鮎美に首を切られて死亡。

・鼓麻→普通にコケて頭をぶつけて死亡。土屋によって無駄に首を切られる…

 

 

 

色々考えながら読むのも楽しかったな~ニコニコ

比嘉姉妹シリーズとは違った感じで面白かったですドキドキ