ぷかぷか天国
小川糸
2023/08/28
★ひとことまとめ★
小川さんの毎日を垣間見
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
満月の夜だけ開店するレストランで、焚き火を囲んでお月見をしたり、急遽思い立って、三崎港へのひとり大人遠足を計画したり。ベルリンでは、語学学校に通って予習と宿題に追われ、束の間の休みは、ご近所さんとホットワイン片手にクリスマスマーケットを梯子する。自分の気持ちに素直に、日々を自由に自然体で生きる著者による人気日記エッセイ。
【感想】
いままで読んだ小川さんの本はこちら→「食堂かたつむり」「ライオンのおやつ」「ツバキ文具店」
どれもオススメですが特にライオンのおやつがオススメです!
こちらの本は、小川糸さんのHP 糸通信内の、てがみに投稿されたエッセイがまとめられた本です。
2017年1月8日~12月29日分までが収録されています。
小川糸さんのお母さんが亡くなったお話から始まり、鎌倉での暮らしのお話、ドイツで語学学校に通うお話などが書かれています。
途中日本にも帰国はされていますが、3月からドイツ・ベルリンに行かれているので作品のメインはドイツでの生活についてとなっています。
こちらの作品でもそうですが、小川さんの作品ではおいしそうなお料理がたくさん出てくるので、てっきりお料理関係の学校などに行かれていたのかな?と思っていましたが、プロフィールを見る限りお料理は完全に趣味のようです…!すごい
特に印象に残ったのは、やっぱりお母さんが亡くなったことについてのお話かなあ。
小川糸さんのお母さんは今でいう毒親で、子供だった小川さんに暴力を振るっていました。
小川さんは、他の家庭みたいに普通にお母さんとお茶したり旅行に行ったりしたかったけれど、そういったことは叶わないままお母さんは亡くなってしまった。
素敵な作品をたくさん書かれている小川さんだけれど、その原点は「家の中にキラキラした物語がなかったから、自分でそれを作るしかなかった」というのが子供のころの壮絶さを物語っています。。。
闘病で体も心も弱ったお母さんに対して、「自分がこの人の親なのだと思うようになったことで楽になった。母と娘が逆だったら、もしかしたらうまくいったのかもしれない。」と思えた小川さんがすごいなあと感じました。
母親って、いい意味でも悪い意味でも子供にとってはいつでも何歳になっても絶対的な存在なんですよね。
最後、「死にゆく後ろ姿をちゃんと見せてくれた母に、心から感謝している」という心境になれたのもすごいと思います。
本当は生きているうちに仲良くなれたらよかったけれど、そうできない場合もありますよね。
「母親が亡くなってからの方が、私は母を、ずっと身近に感じている。」
亡くなってから分かり合える関係というのもあるのかもしれません。
他だとやっぱりお料理に関するお話かな~
オーブンがないから難しいけれど、鯛の塩釜焼作ってみたいな~
納豆も味噌も自分で作れるんだなあ~
売り物とは全然味も違うと思うけれど、この食べ物はこうやって出来上がるんだな~ってことを実感しながら、自分で作ったものを食べてみたいな~
タイトルの「ぷかぷか天国」はエストニアでの海水プールでぷかぷか浮かんだときのことが書かれているのですが、
「母の胎内にいる時も、きっとこんな感じだったのだろう、と想像したら、涙が出てきた。おそらく、あのぷかぷかは、それ以来の経験だ。」
海水のプール、入ったことないなあ。包まれる間隔なのかな。小川さんも書いているけれど、プールだと波がないから海とはまた違うんだろうなあ
ドイツについてのお話では初めて知ることがいっぱいでした
ドイツの郵便はDHLで時間指定はなく、受取人が不在の場合はご近所さんに置いて行ってくれるんだそう!
日本は時間指定もあるし、Amazonやヨドバシなどは当日便もあって、すごく便利ですが運送会社の人は大変ですよね
便利なサービスを不便にするっていうのはなかなか難しそうですよね。不便って言っても当日便を無くすとかそのレベルですが、それでも反発する人はいるんだろうな~。
一度この便利さに慣れてしまうと、なかなか前に戻れませんよね~。
けれど、いつかはドイツまでとはいかなくてももう少し不便にしていかないと運送業も破綻しちゃうよな~
ドイツの戦争との向き合い方も考えさせられます。
駅にはいつ何人のユダヤ人がどこへ送られたかを記録したおびただしい数の金属板があったり、虐殺された人たちの名前・誕生日・命日・亡くなった場所が記載されたプレートがその人がかつて住んでいた家の前の舗道に埋め込まれていたり。
日本ではなかなか日常で戦争を思い出す場ってないですよね。
終戦の日などに特集がやったりはしているけれど、普段は自分で調べない限り目にもしませんよね。
かく言う私は日本史も世界史もてんでわからず、どことどこの国が戦争したの…というレベルのバカなんですが、それでも戦争が良くないということだけはわかります。
というか、自分が母親になってより一層思うようになりました
亡くなっていった人たちにも母がいて、子がいて…。
家族ともっと一緒にいたかっただろうし、こんな悲惨な別れ方もしたくなかっただろう。
いまのウクライナとロシアの戦いのニュースを見ていても心が苦しくなります。
それぞれの正義があるのもわかるけれど、悲しい思いをする人がこれ以上増えないといいなと思います。
エッセイって楽しいな~。
自分以外の人はこういう時どんな気持ちなんだろう、そしてその気持ちをどんな表現で表すんだろうな~と思うことがあるので、エッセイを読むと「なるほど、この人はこうやって表現するのね」と知ることができて楽しいんです。
わかるわかる、と共感したり、自分がまだ体験したことのないような出来事…例えば親を亡くしたお話などには、私もこういう気持ちになるのだろうか、と気持ちの予習(?)をしたりしてます
自分も、日々の出来事を人に読んでもらうような文章にすることができたらな~と思いつつもセンスが無く出来ないので、自分の気持ちはGoogleカレンダーやこのアメブロに書いています
久しぶりに小川さんの作品読みたいな~