ツバキ文具店
小川 糸
2021/07/11
★ひとことまとめ★
先代の心の内を知り、涙腺崩壊
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
言いたかった ありがとう。言えなかった ごめんなさい。
伝えられなかった大切な人ヘの想い。あなたに代わって、お届けします。
家族、親友、恋人⋯⋯。
大切に想ってっているからこそ、伝わらない、伝えられなかった想いがある。
鎌倉の山のふもとにある、小さな古い文房具屋さん「ツバキ文具店」。
店先では、主人の鳩子が、手紙の代書を請け負います。
和食屋のお品書きから、祝儀袋の名前書き、離婚の報告、絶縁状、借金のお断りの手紙まで。
文字に関すること、なんでも承り〼。
ベストセラー『食堂かたつむり』の著者が描く、鎌倉を舞台した心温まる物語。
【感想】
先日親と一緒に祖父母のお墓参りと、祖父母のお家の様子を見に行きました
途中、こんにゃくパークに寄りました
両親はすでに行ったことがあったのですが、私は初めてだったので学生ぶりくらいの工場見学ワクワクしました
こんにゃくバイキングでは、なんと無料でこんにゃく料理が食べることもできるんです〜
おすすめです
さて、今回読んだのはドラマ化もした小川糸さんの作品です。(ドラマは見てませんが…)
小川糸さんの作品は「ライオンのおやつ」「食堂かたつむり」を読んだことがありますが、どちらも感情が揺さぶられる作品でした。特にライオンのおやつは読んでいて号泣してました
今回の作品は、江戸時代から続くとされる代書屋を務める雨宮家のお話です。
舞台は神奈川県鎌倉市。先祖代々代書屋を営む雨宮家に生まれた、雨宮鳩子(通称ポッポちゃん)。鳩子の母は、鳩子が物心つく前に消えてしまったため、雨宮家の先代である祖母・かし子が鳩子を育てていた。
雨宮家の跡継ぎとして一人前の代書屋にするために、先代は毎日厳しく鳩子を指導していた。しかし、青春時代を書道の練習に奪われた鳩子は先代に反抗し、雨宮家を出て行ってしまう。
先代、そして先代の妹・スシ子が亡くなったため、鳩子は久しぶりに先代が営んでいた”ツバキ文具店”に戻り、代書屋として生きていく決心をする。
いくつになってもおしゃれでボーイフレンドが何人もいる隣人のバーバラ婦人や、ツバキ文具店が代書屋を再開したと聞きやってくる依頼者たちとの交流を通じ、代書屋そして先代に対する鳩子の考えも変わっていきます。
文中には、詳しい人が読めば「わかるわかる」と言いそうな歴史ある文房具や、手紙の書き方に関する知識がたくさん出てきます。
不祝儀の場合、薄墨で書くのは知っていましたし、その理由も何となく聞いたことは有りましたがすっかり忘れていました。
悲しみのあまり硯に涙が落ちて墨が薄まってしまったため、というのが理由なのですが、昔の人は粋ですね~。
好きだったが一緒にはなれなかった相手への手紙の依頼、借金の依頼を断る手紙の依頼、汚文字のため手紙が書けず手紙の代筆依頼などなど…様々な理由から鳩子に代書を頼む依頼人たち。
それぞれの依頼者の心情を聞き取り、まるで本人が乗り移ったかのように字体や口調を変えて手紙を書くというのはすごい集中力と気力を使う作業だろうと思いました
挿絵(?)として、それぞれのお手紙が載っているのですが、書いてあるのは字だけなのに人間性や性格、見た目まで想像できてしまいました
なかでも男爵の依頼した手紙が、男爵らしさが全面に出ていると感じました
先代とは喧嘩別れして、お見舞いにも行かなかった鳩子。
ある日、ニョロと言う外国人男性が訪ねてきて、生前先代が書いた手紙を渡されます。
その手紙には、先代が鳩子のことを愛しながらも、素直に接することのできない苦しみが書かれていました。
厳しく接することこそが愛情と思い、鳩子を厳しく指導してきた先代ですが、死ぬ間際の手紙にはたくさんの後悔と、鳩子への詫びの言葉が書かれています。
先代の手紙の挿絵部分を見た時は、もう涙腺崩壊状態でした
嘘をついてまで鳩子と一緒にいたかったのに、結果的に鳩子は出て行ってしまった。
一緒に行きたいと思っていた旅行も、もう二度といくことができない。会いたくてももう会うことができない。
達筆な先代でしたが、死の間際ということもあり崩れかけている字の感じや、涙のあとのような滲みなど、読めば読むほど私も涙が止まりませんでした
そんな先代に、初めて手紙を書く鳩子。
「先代というお面の下には、私と似た、人生に悪戦苦闘する、ひとりの頼りない女性がいたということを、未熟な私は想像すらしませんでした。」(P262)
どんな人だっていろんなお面をつけているし、お面の下は覗こうと思わなければわからない。
鳩子も、きっともう少し大人だったら、先代の気持ちを考えることもできたかもしれません。
私も最近色々と考えますね~。
自分の母親と自分を重ねたりして考えることも増えました
こんな風に考えることなんて、学生の頃はなかったからな~!学生の頃は親のことなんて考えず、ほんと自分のことばかりでした~。
「ライオンのおやつ」も含め、小川糸さんの作品を読むと、普段当たり前と思っていることが、実はとっても幸せなことなんだということに改めて気付かされます
いろんな人、ものに感謝をして生きていこうと思います。定期的に読んで心を浄化させたいです