78冊目:食堂かたつむり | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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食堂かたつむり

小川糸

2018/10/23

 
 

 

★ひとことまとめ★

おいしそうな料理にうっとりしつつ、感動も。

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

おいしくて、いとおしい。
同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。
山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。
巻末に番外編を収録。

 

 

【感想】

こちらも王様のブランチの本に紹介されていた本◎

柴咲コウさんで映画化もされた本。(まだ見ていない)

 

インド人の恋人に、祖母の形見のすり鉢からホーロー鍋、エプロン、フライパンなどすべての料理道具を持ち逃げされ、残ったのは祖母の形見のぬか床のみ。倫子はそのショックから声が出なくなってしまった。他に行くあてもなく、不仲なおかんのいる実家に帰った倫子。

倫子はそこで一日一組限定の食堂を開く。人々の心に響くとっておきの料理を振る舞う倫子。その料理は食べた者に奇跡を起こし、やがて恋や願い事が叶う食堂として噂されるようになる。

 

倫子の食材や、命に対する尊敬の念が伝わってきて、本当に大切に大切に料理をするんだなあと感じた。ファーストフードとかになれてしまうと、つくり手の料理に対する気持ちってあまり考えなくなると思うんだよね。

私のお客様にも有名な料理人の方がいらっしゃるけれど、食材や調理法などについてかなりこだわりを持っていて。その信念にあこがれて弟子入りする人だっているし。そのくらい、料理を作る作り手の人には思い入れがあるわけなんだよね。もちろん料理人の人だけではなくて、食材をそもそも作っている人(農家さんだったり、畜産農家さんとか)もそうだよね。

もっと日頃から自分の食べている物について考えていただきたいなとも思ったし、そういう信念を持った料理人の方のお料理を食べにいきたいな~と思った。

 

倫子のお料理はまるで食べたことがないものばかりだったから、どんな味なのかな~って想像しながら読んだ。それでもいまいちわからなかった。食べてみたいなあ。

 

倫子のお料理でみんながほんわか幸せになっていく様子に、いいなあ~みんなどんどん幸せになってほしいし、倫子も幸せになれると

いいなあ~って思っていたところで、急におかんの話と豚のエルメスの話でズドンと地に落とされた感じがした。

特にエルメスね。。。家畜の屠殺の映像を見たことがあるからリアルに映像として頭に浮かんでしまった。。。家畜だから、もともとは食すために産まれてきたのかもしれないけれど、やっぱり飼っていると愛着とか情が湧いちゃうよなあ。自分の娘とか妹みたいに思ってた存在を食すわけだからなあ。。。命をいただくって、そういうことなんだろうけれど。

 

食、命、当たり前と思っているものも本当は当たり前じゃない。声だってそう。親だってそう。急になくなることもある。でも、それに絶望することなく、頑張って生きていくしかないっていうメッセージみたいな気がした。

あとは、やっぱり食べ物ってすごく重要だよね。食べ物、水で人間ってできてるんだよな~って改めて思える。食べないと当たり前だけど死ぬし、不健康なものは、やっぱり体も不健康になるし、心も不健康になる。おいしくて、栄養のあるものって、体も健康になるけど、気持ちも前向きになる気がする。

 

つくり手の人のメッセージだったり、こだわりが詰まった料理を食べたいな~と思った本だった。自分がもし食材だったら、無駄にすることなく、自分が一番おいしく仕上がるように考えて考えて考えて調理してくれる人がいいもんな。