77冊目:家族スクランブル | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

家族スクランブル

田丸雅智

2018/10/22

 
 

 

★ひとことまとめ★

さくさく読めます◎

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介

星新一の孫弟子が紡ぐショートショート小説 

本書は、「星新一の孫弟子」と呼ばれる気鋭の作家・田丸雅智氏が、ささやかな幸せを追い求める家族たちの「一瞬の風景」を活写! 人情もの、ユーモアからファンタジー、ホラーまで、「思い出アルバム」をイメージしたショートショート集です。

●分身が作れる石鹸で3人の妻と同棲生活をすることになった夫の悲哀をコミカルに描く「白妻、黒妻」
●傷口に貼った絆創膏から育つ植物の実を食べる息子の闇を照らすホラー「吸血木」
●変な趣味を持つ父親が娘の結婚式で披露する贈り物が泣ける「鳩の箱」
●長年連れ添った最愛の妻に先立たれた老人が辿り着いた異次元の世界を紡ぎ出すファンタジー「おいらんちゅう」
・・・・・・など、新たな書き下ろし作品を含めた異色の18編を収録。

田丸氏は、2014年に単行本デビュー以来、又吉直樹(ピース)、大森望(書評家)、新井素子(作家)など、各氏が絶賛する新世代ショートショート作家。非日常と懐かしさがないまぜになった摩訶不思議な読後感は、目眩がしそうなほどキョーレツです。
平成の「ショートショート」ブーム到来! 星新一に夢中になった、あの「熱読体験」を再び――。

 

 

【感想】

こちらも王様のブランチの本に紹介されていた本◎

全部で18話のショートショートが詰まった1冊。

 

中でも印象に残ったのは、

 

・隣のランタン

家族と来たキャンプ場で、自分たちの炭になかなか火がつかないため、近くの小型タープのなかの男性に火を分けてもらった「私」。その男性は素敵なキャンプ道具を揃えており、中でも特にランタンに目を引かれた。男性曰く、そのランタンは特殊な力を持ったランタンなのだと言う。そのランタンをつけると、特殊な空間を生み出すことができるらしい。ランタンのマントルにそれぞれテーマがあり、そのテーマの空間を生み出すことができる。それでは、いま男性がつけているテーマは…?

これはまさに、信頼できない語り手って感じだよね。主人公がまるで置き換わってしまっているから、読み勧めていくうちにおや?って気持ちが高まっていく。あんまり考えたことがないけれど、要はゲームのCP側の気持ちということだよね。

 

 

・日光傘

このお話は良かったとか感動したとかいうわけではないけれど、こんな傘あったらいいな~って思った。春のうららかな陽気の日差しが再現されるような傘。冬でも、さしていればその傘の中だけは温かい。なんだかかわいいお話。春の日差しだけではなく、夏の日差しなどいろいろな種類の傘が売っているというのもいいなあ。日光傘もほしいけれど、星空傘なんてものもあったらいいなあ。いつでもきれいな星空がみられる傘。ずっと見ていたら流れ星もたまに見られたりするような傘。

こういう、想像力を掻き立てるようなお話いいなあ。読んでいて楽しい気持ちになれる。

 

 

・幸茶

こんなお茶ほしい!お茶がお湯につけるとにじみ出るように、ティーバッグを身に着けていると幸福がにじみ出てくる、幸茶。最後のオチもたしかになと思った。お茶がお湯につけないとにじみ出ないように、温かい心の持ち主でないと幸茶もその効果を発揮しない。私にも幸茶をください…

 

 

残りの15話がつまらなかったというわけではないんだけれど、こう、インパクトに残らなかったというか。田丸さんの書き方がほんわりやさしい感じだからかもしれないけれど、ホラーちっくなお話もいくつかあったんだけれど、怖くないんだよね。多分、私は真梨幸子とか好きで読んでるからかもしれないけれど。星新一も結構ゾッとする話もあったりするけれど、そこまでのインパクトもなくて。

ショートショートって、十数ページの中で起承転結というか、感動なりインパクトなりを与えなくてはいけないから、本当に難しいよなあと思う。壮大なスケールの話にしたらまとまらないだろうし、かといって短すぎて容易に想像できる内容ならつまらないと感じてしまうし。

そう考えると、本当に星新一ってすごいなあと毎回思う。どのお話も新鮮だし、設定がかぶっていることはあっても内容はもちろん違うし、何年も前のお話なのに今読んでも古く感じない。すごいなあ。

田丸さんが良くないというお話ではないよ。現代的で読みやすいと思う。