79冊目:ナナイロノコイ | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

ナナイロノコイ

江國香織・角田光代・井上荒野・谷村志穂

藤野千夜、・ミーヨン・唯川恵

2018/10/25

 
 

 

★ひとことまとめ★

それぞれのお話の主人公になった気持ちで読める。

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

7人の作家が描き出す7通りの恋模様をオムニバス形式でまとめた、短編小説集。著者として名を連ねるのは、江國香織、角田光代、井上荒野、谷村志穂、藤野千夜、ミーヨン、唯川恵といった、すでに恋愛小説の名手と呼ばれる作家から気鋭の若手まで、幅広い面々だ。かすかな恋の始まりや別れの兆しなど、誰もが経験するような男女の機微を軸に、それぞれの持ち味を多彩に発揮している。

   危うい関係を謳歌していた女性の悲しさを砂糖菓子にたとえた「ドラジェ」(江國香織)、学生時代の女友だちとの関係を男性遍歴と重ねた「そしてふたたび、私たちのこと」(角田光代)、女性画家と謎めいた客との出会いを映像的な描写を交えて語る「くらげ」(ミーヨン)、そしてこれまでも数々の揺れる女性心理を描いてきた唯川恵が、奇妙な4角関係から始まった男女の顛末をつづる「手のひらの雪のように」など、一口に恋愛小説といえども、そこに記される恋の形はさまざまである。

   すべての作品に共通するのは、主人公が女性ということだ。気のおけない女友だちがいれば「一生恋人なんていなくたっていいんじゃないか」という角田と、その逆に、ふとした拍子で離れていく女同士の友情のもろさを描いた谷村。そして、女性が年齢を重ねることの意味を問う江國の作品など、恋愛という側面以外からも、考えさせられる部分は多い。個性豊かな作家たちの競演により、甘いだけでなく、人生のほろ苦さをも感じさせる恋愛小説集となっている。(砂塚洋美)

 

 

【感想】

オムニバスが読みたくなって。

 

・ドラジェ(江國香織)

昔関係のあった男性の結婚式に行くって、どういう感情なんだろうな。ほかに知り合いもいない状態で、ただ彼の幸せを祝いに行く感じ。

それも、恋愛なんて不毛だとさんざん言っていた人の結婚式。懐かしく思うのかなあ。

前半は新郎の奈津夫と私の過去についての回想を含む、歯科医である「私」のパートで、後半は新婦の友人である「私」のパート。

それぞれの視点からの結婚式についてが書かれている。

前半の私が、後半のパートの私に「いかにも孤独そうな中年女性だ。」って思われているのがとても悲しい…。

前半の私のパートからは、人生いろいろ経験した結果の、恋愛へのあきらめみたいな気持ちが伝わってきて、少し寂しい気持ちになるけれど、後半のパートでは、新婦の友達でありながらも新婦の結婚の考え方や、新郎の考え方に全く共感せず、結婚式の後に彼氏と会ったら~ってキラキラした気持ちが伝わってきて、同じ結婚式に参加していてもみんなそれぞれ思っていることは違うよなあという気持ちになった。

心の底から祝福する人、まあよかったねという程度の気持ちの人、なんだか複雑な気持ちを持った人…多くは祝福する人だろうけれど、そうじゃない気持ちの人もいるんだろうね。

 

 

・そしてふたたび、私たちのこと(角田光代)

私が語る、友人のユリエと、ワカコと、そして自分の20年くらいの間の恋愛についてのお話。ワカコは妻子持ちを好きになるし、ユリエもなぜかワカコの気持ちを知るためにと妻子持ちと恋愛をする。二人は愛人同盟を組んでいるが、私だけは加盟せず、一対一の恋愛に固執している。

 

私の言ってることで、いいなあと思ったところ。

 

「女同士の気楽な会合は、恋愛を、くだらない、ちっぽけな、なぜかまとわりついてくる小蠅みたいに感じさせることが、ときとしてあった。」(P54)

 

「恋愛というものが、相手のことをわかりたい、肯定したい、受け入れたい、あらゆる感情をともに味わいたい、できうるならばずっと一緒にいたいと願うことであるならば、私たち三人の共有しているある気分は、果てしなく恋愛に近いのではないか、と。」(P56)

 

友達から、なんでそれをしたい相手(旅行なり、映画鑑賞なり)は彼氏じゃないとだめなの?友達と何が違うの?って言われたことがあって。その友達は、恋愛は煩わしいと思っているタイプの子なんだけれど。

でも、突き詰めてみたら、確かにそうなのかもしれないよなと思ってきて。あらゆる感情をともに味わいたくて、できるだけずっと一緒にいたい、それは、女友達でもいいんじゃないの?って。

まあ、でもいろいろ考えると(子供が欲しい、とか)、やっぱりそれは女友達ではなく、男じゃないとダメなんだなーとも思えてくるし、女同士だと、やっぱり同じメスなわけだから、気持ちもだいたいわかるけれど、男ってそもそもの作りも違うわけだし、わかり合おうと思っても、わかり合えない時もあって。たぶん、それが恋愛の醍醐味というか、わかりあえないからこそ知りたいみたいな?

全部が全部わかればそれはいいことなんだろうけれど、楽しくはないというか。

けれど、そういうずっと一緒にいたいっていう女友達がいることは、すごくいいことだとは思うなあ。私もそう思える友達を大切にしていきたいなと思った。

 

 

・帰れない猫(井上荒野)

杏と史行の、夫婦としての最後の1日のお話。荷物をまとめながら、いろいろ回想をして、最後を迎える感じ。寂しいなあ。

ちょっとずつちょっとずつすれ違ったり、相手を思いやる気持ちをなくしていった日々をぼんやりと回想する感じ。本当に、終わりって感じがした。

彼と別れるときで一番嫌なのが、彼の家に置いてある荷物を持って帰るときだったなあ。整理している間にいろいろ思い出してくるし。もうあの作業はしたくないな…

 

 

・これっきり(谷村志穂)

恋愛や友情の、もうおしまい、これっきり、を感じさせる話で悲しい~。花瓶の花が少しずつ減っていって、コップの中でなんとか咲いた最後の一輪が枯れてしまうようなとき。たとえがその通り過ぎて。

幾つかのこれっきり。もう、この人とはこれで終わりだねっているタイミング。何度も何度もあったよ、これっきり。

恋愛だけでなくて、このお話みたいに友情でのこれっきりも何度か経験しているから、しんみりしながら読んだ。

 

 

・ビルの中(藤野千夜)

恋のはじまりって感じだなあ。なんだか気になる、気になるっておもうとどんどん気になってくる感じ。知りたい、話したい、会いたい、でもそう思ってるときってなかなか会えないっていうね。お話自体はあまりぐっとくるものはなかったかなあ。

 

 

・くらげ(ミーヨン)

これは読めなかった。なんだろう?文章がわかりづらいというか、「彼」とか「彼女」とかで進んでいく話って自分的にわかりづらくて読めないんだよなあ。「男」とか「女」とか。途中で誰のなんの話なのかわからなくなってきて、読むことを放棄してしまった。

 

 

・手のひらの雪のように(唯川恵)

まとめると、彼氏彼女に浮気されたもの同士の、愚痴や討論などを交えた1年間にわたる友情の末、それが恋だと気づくお話。

1年後も変わらず私のこと好きでいたら、戻ろう、かあ。無理だよな基本。1年間連絡もとらず、会わずしてたら100%無理だと思う。少なくとも私は無理だなあ。結局は近くて、話を聞いてくれる人に気が向いちゃうと思うんだよね。1年も会わず連絡もせずで相手を好きって、もはやそれって過去のその人、妄想上のその人を好きなだけだと思うしなあ。

会わずに連絡も取らずに好きって、そんなの芸能人とかアイドルくらいじゃないかなあ。芸能人もアイドルも、会えなくてもテレビでは見れるし、そういう意味ではやっぱりすべて遮断しつづけても好きでいるのは無理だと感じた。

このお話も、結局は近くで話を聞いてくれた人に気持ちが動いたわけだしね。そういうものだよね。

 

 

しばらく恋愛をするつもりは自分にはないんだけれど、恋のお話は読んでいると当時の気持ちとかいろいろ思い出して、疑似恋愛しているみたいでいいよね。ウキウキした気持ちとか、せつない気持ちとか思い出せるから良い。