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共明塾 × キッズアース播磨町校

1970年から兵庫県加古郡・加古川地域て信頼と実績を積み重ねてきた共明塾。
2007年からは東大卒講師を迎え、2017年からはキッズアースと提携し、小学生向けの科学実験教室を始めました。
共明塾はこれからも学ぶ楽しさを発信していきます。

さて、ここまで、何度かに分けて、「妖怪の科学」について考えてきました。

では、具体的に、夏休みの自由研究にするには、どんなアプローチの仕方があるでしょうか?

 


例えば、「」について考えてみましょう。

(「」を「妖怪」として語るのは抵抗がありますが…)

 

古生物学的な考え方としては、「」のモデルとなった生き物を考える、というアプローチがあります。

 

 

」について、ワニを基本のモデルとして考えるならば、ワニと「」の違いから考えてみると良いでしょう。

何が違い、何が同じなのか。

 

見た目の違いだけでなく、住むところ、食べるものについても考えてみましょう。

生物として考えるならば、手足のつき方に注目してみるのも良いでしょう。

 

ワニの化石について調べてみると、今よりもっと「」に似たワニがいたのかもしれません。

 


文化人類学、民俗学的なアプローチとして、

」と「Dragon」のイメージの違い、形態や役割について考えてみてはどうでしょう。

 

ヨーロッパの「Dragon」には翼があるようです。

では、インドに「」はいるのでしょうか?

その姿は「」と「Dragon」どちらに近いのでしょう?

 

中国の「」と日本の「」では違うのでしょうか? 

 

」の爪の数にも注目しましょう。3本爪や5本爪があるはずです。

実はこれにも意味があります。日本の「」は何本爪でしょうか?

違いがあると知った上で調べると、理解が深まります。

 

アジアの各国に「十二支」はありますが、そのすべてに「」は入っているでしょうか?

どの国にどのような「」の物語があるか調べてみるのも面白いでしょう。

 


また、漢字の「」という字の成り立ちを調べると、何か分かるかもしれません。

襲う」という字にも「」が含まれていますね。どんな成り立ちなのでしょう。

 

恐竜」はどうでしょう?

恐竜」の中に、「」のイメージに近いものはいるでしょうか?

 

タツノオトシゴ」はどうでしょう?

どのあたりが「」なのでしょうか?

 


少し変わったアプローチとして、ゲームや漫画に出てくる「」を比較してみても面白いかもしれません。

 

悪役なのか、主人公の味方なのか、願いを叶えてくれるのか?

どんな種類がいて、何色が強いとされているのか。

 


」という切り口だけでも、様々な自由研究が出来そうだ、と思って頂けたでしょうか。

同じように考えていけば、「河童」や「」も自由研究の対象に出来ますね。

 

もちろん、調べたことをもとに、オリジナルの「」や「河童」「」を作ってみるのも良いでしょう。

 


さて、キッズアースの実験教室では、教科書を読むだけでは得られない「何か」を感じてもらうことで、

生徒の皆さんの可能性を拡げたいと思っています。

 

」について勉強する機会は、残念ながら通常カリキュラムにはありませんが、

恐竜」や古生物、タツノオトシゴなどについては、触れる機会もあると思います。

 

また、自由研究の相談にも応じていますので、お気軽にお問い合わせください。

 

こういった経験・体験を通じて、未来の「科学者」の卵への一助となれることを願っています。

 

 

大航海時代、ヨーロッパには様々な「異国」の文物が伝えられました。

その中には、それまでのヨーロッパ世界の想像を超えるような文物もあったことでしょう。

 

そういった「物珍しいもの」が集められたのが、「Wunderkammer(ヴンダーカンマー)」です。

Wunder」はドイツ語で、英語の「wonder」にあたります。「kammer」は「部屋」の意味。

あわせて、「驚異の部屋」と訳します。

 

 

最初はイタリアの貴族たちの趣味による蒐集がもともとだったようですが、

この趣味がドイツやイギリスにわたり、貴族だけでなく学者たちの手を経ることにより、

これらのコレクションが整理され、分類され、博物学へとつながっていきました。

 


私もドイツでいくつか美術館巡りをしましたが、それはそれは不思議な博物館がいくつもありました。

この「驚異の部屋」の伝統を受け継いでいる博物館なのだ、とも言えるかもしれません。

 

  

   

  

 


以前紹介した「驚異と怪異」展でも、オランダのライデンにある「国立民族学博物館」から

ろくろ首」や「人魚のミイラ」など、多数の文物をお借りしていたようです。

 

驚異の部屋」が「民俗学」「博物学」へと、学問へと昇華しているのを見て取ることが出来ます。

 


日本にも「好事家(こうずか)」と呼ばれる人たちが集めたものがありました。

 

しかし、学問的にも価値が高く、また、何が集められているのか良く分からない、という意味で、

驚異の部屋」にとても近いと言えるのが、東京大学のコレクションを展示している「インターメディアテク」でしょう。

東京駅の向かい、JPタワーの2階と3階にあり、なんと入場は無料。

 

中に入ると、その圧倒的で秩序立てられた無秩序に、度肝を抜かれること間違いありません。

私は東京に行く度、くらいの頻度で寄っていますが、その度に、驚かされ、圧倒されます。

 

 

東京に行かれた際は、是非訪れてみることをお勧めします。

 


そして、もう一つ忘れてはいけないのは、大阪にある「国立民族学博物館」(みんぱく)でしょう。

 

 

 

文化的「常識」というものが、いかに、現代日本の一部での合意でしかないか、ということを思い知らされます。

それを揺さぶられるだけでも行く価値は十分にあります。今なら「おうちでみんぱく」もやっていますし、

パノラマムービーで、中を「見学」することも出来ます。

 

 


さて、異文化の目からすると、記録だけでは、「妖怪」とその国固有の生物の区別は一層つきにくいでしょう。

その逆もそうで、日本人の目からは信じられない生物も、世界には多く存在しています。

こういった様々な文物に触れながら、他国の文化や自然、その多様性について思いをはせることはとても大事です。

 

一方で「科学」は、生物や現象について、客観的に記述する手法です。

こうやって集められた文物が、実際に絶滅してしまった何かの生き物であると分かる日が来るのかもしれません。

作りものであることが明らかになるのかもしれません。

 

しかし、それが作りものであると分かったとしても、何故それが作られるに至ったのか、

どういう文化の中で作られたのかを考えることも、「学問」だと言えるでしょう。

 

 


キッズアースの実験教室では、教科書を読むだけでは得られない「何か」を感じてもらうことで、

生徒の皆さんの可能性を拡げたいと思っています。

 

こういった「異文化」の文物に触れることも、重要な体験です。

様々な経験・体験を通じて、未来の「科学者」の卵への一助となれることを願っています。

 

 

2020年8月25日は、旧暦の7月7日、すなわち「七夕」になります。

国立天文台さんのサイトでも「伝統的七夕」として紹介されています。

 

 

「織姫」とされるのは、こと座のベガ。

「彦星」とされるのは、わし座のアルタイル。

この二つの間を、天の川が横たわります。

 

また、この2つの星に、白鳥座のデネブを加えたものが、「夏の大三角形」です。

 

幸い、兵庫県の夜の天気は晴れ。

二人が年に一度の逢瀬を楽しみ、皆さんの願いを叶えてくれますように。

 

 

 

 

日本で「妖怪科学」について話をする時に、

井上円了先生と柳田國男先生の名前は外せません。

 

残念ながら、井上先生の著作は、ちゃんと読んだことがないのですが、

紹介されている内容を、かいつまんで表にするとこんな感じでしょうか。

 

 

妖怪」と言われるもののうちには、人為的なものや、見間違いなども含まれている。

これらも含めて、自然現象としての「妖怪」の正体は科学で解き明かすことが出来る。

(例えば「セントエルモの火」や「ブロッケン現象」などは、物理現象として解明されていますね。)

 

この分類は非常に分かりやすく、「妖怪」を科学で捉えるのに、非常に参考になる考え方だと思います。

 

この本あたり、買って読んでみたいですね…

 

 

 


そしてもう一人の柳田国男先生は、『遠野物語』の作者であり、兵庫県福崎町のご出身です。

 

 

 

柳田先生の根底には「日本人とは何か」という問題意識があり、

その手法もあわせて日本の民俗学の祖とされています。

 

ご出身の福崎町には、数多くの妖怪ベンチが設置され、妖怪たちが地域おこしに一役買っていますし

 

 

福崎町の友好姉妹都市であり、『遠野物語』で語られる遠野市でも、

文化研究を含めた様々な地域おこしの元となっています。

 

2020年は、『遠野物語』発刊110年、ということで、様々な企画も行われているようです。

 

遠野物語』の中には、「オシラさま」や「座敷童」「河童」も出てきますが、

妙にリアルで怖いのは、「山人」でした。

 

原文は、少し読みにくいので、「妖怪小説家」京極夏彦先生が

現代文にして並び替えられた「リミックス」をお勧めします。

 

 

 


井上先生は、非常に科学的なアプローチで、「妖怪」を分類し、その正体を見極めようとしました。

柳田先生は、民俗学的なアプローチで、今残っている「妖怪」を記録し、そこから考察を深めました。

 

現代においては、国際日本文化研究センター小松和彦先生らをはじめ、

多田克己先生や、村上健司先生らがご活躍されています。

 

 

 

もちろん、日本における「妖怪」文化を語る上で、水木しげる先生は外せませんし、

 

 

京極夏彦先生の活躍は言うまでもありません。

 

 

 

単に怖い、可愛い、という感想だけで終わるはなく、

文化的な背景まで含めて考えてみると、

妖怪」もしっかりと自由研究の対象に出来るのです。

 


 

さて、キッズアースの実験教室では、教科書を読むだけでは得られない「何か」を感じてもらうことで、

生徒の皆さんの可能性を拡げたいと思っています。

 

妖怪に関して、授業で取り扱うことはしませんが、

質問があれば、出来る限りお答えします。

 

経験・体験を通じて、未来の「科学者」の卵への一助となれることを願っています。

 

 

行きそこなってしまったのですが、兵庫県立歴史博物館にて「驚異と怪異~モンスターたちは告げる~」という展覧会が行われていました(2020年6月23日~8月16日)

 

最近話題のアマビエの絵から、「人魚」や「件(くだん)」、「ろくろ首」のミイラまで、これを逃すわけにはいかないと思わせるラインナップ。

なにしろ、歴博には、京極夏彦先生の小説にも登場する香川学芸員がいらっしゃるので、楽しみにしていたのです。

 

(作中、守備範囲の広い知識をお持ちで真面目な香川学芸員も大活躍!)

 

夏休みの自由研究に、という話も出来るかと思っていたんですがねぇ...。

 


しかし、歴博のページに「特別展「驚異と怪異」図録及びグッズの通信販売のご案内」のバナーが!

 

グッズはぐっと我慢して、国立民族学博物館驚異と怪異 想像界の生きものたち」の公式図録

兵庫県立歴史博物館「特別展 驚異と怪異-モンスターたちは告げる-」の公式パンフレットを購入しました。

 

 

(※通常の購入も可能です)

 

そう、国立民族学博物館の「驚異と怪異」も行きたかったのですよ。

 

 

巡回展ではありますが、歴博の展示は「妖怪」寄りで、民博の展示は「民俗学」寄りな気がします。

 


それにしても、人間の想像の翼は、どこまで広がるものなのでしょうか。

 

展覧会に行って、図録を買っても、文章のところはナナメ読みすることが多いですが、

今回は、展覧会に行けなかった分、じっくり拝読させて頂きました。

 


思ったことの一つ目は、知らない国の、知らない生物の話を聞いたときに、我々はどこまでそれを信じることが出来るか、ということ。

 

お腹に袋があって、子どもをその中に入れ、両足でジャンプして移動する、人間くらいの大きさの生き物」や

首の長さだけで人の身長くらいある、背が高く、角が三本ある生物」なんて、想像上の生き物なのか、実在するのか、判断できませんし、

それらしい骨や写真を見せられたら、「知らない国にはそんな生物もいるのか」と信じてしまいます。

 

しかも、それが伝統や文化と結びついて語られるとき、そういう生き物、存在について、

そのものでなくても、少なくともそれに類する「何か」の実在を反映していると考えるのが妥当と思われます。

 


二つ目は、「怪異」の存在を受容する我々の柔軟性についてです。

 

現在、コロナの流行に合わせるように、「アマビエ」がクローズアップされていますが、

アマビエ」と同様の「我が絵姿を厄除けにすべし」という伝承は日本だけでもいくつかあるそうです。

 

「昔の人はそんな存在を信じていたのか」という見方も出来なくもないのですが、

翻って現在を考えると、後世になって「アマビエ信仰があった」としか思えない流行ぶりではあります。

でも、一方で、「アマビエ」の実在を本気で信じている人はそんなにいないでしょう。

 

もしかすると、昔の人たちも、今の私たちと同じように、「まぁ、なんとなくご利益ありそうだし。」くらいの軽い気持ちだったのかもしれません。

そう思うと、なんとなく、過去に対する親近感が湧いてきませんか?

 


ちなみに、下記の「アマビエ」の原本は京都大学の所有ですが、今回、歴博に展示されていたのです!

 

『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵) 

Photograph courtesy of the Main Library, Kyoto University - Amabie』

 

交渉は、コロナの話の前に出来ているはずですから、先見の明があるラインナップだったと言えるでしょう。

 


さて、「妖怪と科学」という視点から言えば、各国における様々な「伝承」「意匠」を比較し、

民俗学」という光を当てることで、それぞれの国での様々な「驚異」の秘密に迫ることが出来ます。

 

もしかすると、その動物が、人間にとって脅威だったのかも知れません。

もしかすると、ある現象が、その動物の仕業と考えられていたのかも知れません。

 

何か一つの答えが定まるわけではないにせよ、可能性について論じることは出来るはずですし、

ある儀礼が今でも続いている、その意味や意義について、知見を拡げることが出来るはずです。

 

伝統や文化には、それぞれの時代の、何らかの知恵や知見が詰まっています。

それを読み解く、というのも立派な学問です。

 


 

キッズアースの実験教室では、教科書を読むだけでは得られない「何か」を感じてもらうことで、

生徒の皆さんの可能性を拡げたいと思っています。

 

「妖怪」について勉強する機会は、残念ながら通常カリキュラムにはありませんが、

自由研究で、何か妖怪を作ってみたい、妖怪を造形してみたい、ということであれば、お手伝いいたします。

 

 

(こんな本もあります)

 

こういった経験・体験を通じて、未来の「科学者」の卵への一助となれることを願っています。