共明塾 × キッズアース播磨町校 -35ページ目

共明塾 × キッズアース播磨町校

1970年から兵庫県加古郡・加古川地域て信頼と実績を積み重ねてきた共明塾。
2007年からは東大卒講師を迎え、2017年からはキッズアースと提携し、小学生向けの科学実験教室を始めました。
共明塾はこれからも学ぶ楽しさを発信していきます。

江戸時代に生きているあなたのもとに、子どもが何だか分からない生物の骨を持ってきて、

何の骨が教えて欲しい」と言われたとします。

(普通は「汚いし、捨ててしまいなさい」となる、というのはおいておいて)

あるいは、現代なら真面目に図鑑や図書館、博物館に行って調べるなり聞くなり、ですが、

例えば横町のご隠居のもとに持って行って「これはきっと“河童”の骨じゃ。」なんて言われたら...。

 

信じるしかないですね。

 

ところが、江戸時代の「教養」のレベルは高く、横町のご隠居には無理でも、

珍しいものを集めているコレクターの横のつながりがあったり、

その極めつけとしての平賀源内先生がいたりするのです。

 

龍の骨」と言われているものが、化石だということもどうやら分かっていたようで…

 

 

妖怪」の定義は難しいですが、歴史書の中にも「怪異」として語られている存在は多数あります。

有名なところだと、この本の題名にもなっている「鵺(ヌエ)」や「」、もちろん「河童」や「一つ目」なんて「妖怪」もいます。

 

空想の産物でしょ」と切って捨てるのは簡単ですが、ちょっと待ってください。

何か本当にあった出来事を記録していて、私たちが読み解けていないだけなのだとしたら?

例えば今では絶滅してしまった実在の生き物に関する記述なのだとしたら?

ご隠居が「この部分が目じゃとすると、一つ目入道の骨に違いない」と言ったのだとしたら?

 

この本は、「妖怪」の正体に関する想像に、古生物学の知見から可能性を探った、非常に面白い本です。

作者の言う通り、「これが正体だ!」という本ではありません。

ただ、その可能性はあり得る、という示唆を与えてくれます。

 


有名な話ですが、イグアノドンの骨を発見したマンテルは、指の骨を角だと思って復元図を描きました。

 

wikiコモンズより)

 

もしかすると、「」や「」にも、同じような「誤解」があるのかもしれません。

 

wikiコモンズより)

 

源頼政の鵺退治に

ちょっと待ってください!それは絶滅危惧の希少生物なのです!

と立ちはだかる生物学者を想像すると、少し楽しくなります。

 


さて、この本では、さらに「天狗の髑髏(どくろ)」、頭が1mもある「蛇骨」をはじめ、

信濃奇勝録』記載の「雷獣」や「猿手狸」「野茂利」「石羊」などについても、

幅広い知見と専門性を活かして、その正体に迫っています。

 

古代の生き物と言えば、恐竜にスポットが当たりがちですが、

哺乳類は我々に連なる生き物であり、鳥類も、爬虫類も、両生類も、

それぞれの時代に「適応」し、あるいは滅んで、

様々な種類に分かれて現在へとつながっています。

 

もしかすると、その狭間にいる「妖怪」や「怪異」もあるのかもしれません。

 


UFO」とは、「未確認飛行物体」であり、その正体が分れば

(例えばそれが宇宙人の乗り物だと分かれば)

それは既に「UFO」ではありません。

 

何か分からないモノ」が「怪異」なのであり、その正体を見極めることで、

怪異」は「新発見の生物」や「ある疾患の症例」になりえるのです。

 

その意味では、妖怪の正体について、科学的に考えることは可能なのです。

 


 

さて、キッズアースの実験教室では、教科書を読むだけでは得られない「何か」を感じてもらうことで、

生徒の皆さんの可能性を拡げたいと思っています。

 

「妖怪」について勉強する機会は、残念ながら通常カリキュラムにはありませんが、

この著者である荻野先生は、丹波市(「ちーたんの館」)にいらっしゃるということですので、

いつか会いに行ってみたいですね。

 

こういった経験・体験を通じて、未来の「科学者」の卵への一助となれることを願っています。

 

 

扇風機から時々おかしな音が聞こえるようになりました。

良く観察してみると、扇風機の羽が、後ろのカバーに時々当たって、音を出しているようです。

このままだと危険なので、分解して修理することにしました。

せっかくなので、扇風機の仕組みも見てみましょう!

 

まずは(とても大切なことですが)コンセントを抜いて、扇風機が絶対に回らないようにします

カバーから外していきましょう。

 

  

 

これで羽根を取り外せるようになりました。

羽根を外して、後ろのカバーも外します。

 

 

 

ドライバーを使って、この白いカバーも外していきましょう。

ネジをなくさないように注意してくださいね。

 

 

 

中には銅線を巻きつけたものが入っています。

後ろから見ても同じようなものがありますね。

 

 

 

 

扇風機は、モーターで軸を回転させ、その軸を使って羽根を回すことで風力を作り出しています。

 

モーターがどのような仕組みになっているのか、簡単な実験工作をしてみても面白いでしょう。

また、どうして扇風機の風はうしろに吹かないのか、羽根の向きや、ねじれを観察してみましょう。

風力発電機の形と似ていますが、羽根に違いはあるのでしょうか?

 

ちょっとした疑問を整理してまとめると、少しだけその答えが見えてきます。

分からなければ調べたり、同じようなものを作ってみることで、答えに近づけるかもしれません。

それだけで、立派な自由研究になります。

 

扇風機はとてもシンプルなつくりなので、取り組みやすいのではと思い、紹介しました。

 

 

誕生日のパラドックス」最終回では、「プログラミング思考」について考えます。

 

第2回、第3回で、40人のクラスの中に、「同じ誕生日の人がいる確率」と「私と同じ誕生日の人がいる確率」を計算しました。

第4回では、「私と同じ誕生日の人が2人以上いる確率」を出しました。

 

結果だけなら、カシオさんのサイトで、自分のクラスの人数を入れると、答えを得ることが出来ます。

 → カシオ計算サイト「誕生日が一致する確率

 → カシオ計算サイト「自分の誕生日と一致する確率

 


今回は、「結果」ではなく、「計算のプロセス」もっと言えば「考え方のプロセス」を書いてきました。

算数」「数学」というのは、数字の計算をする学問ではなく、純粋な論理学です。

だからこそ、「考え方」というのがとても大切になってくるのです。

 


今回、「40人のクラス」「365日」という大きな数字を扱うに際して、

「人数は4人にして「・冬」の4つの季節で考える」

という手法を取りました。

 

数字を小さくしたケースで「パターン」を見つけ、それをもとに「」を立てることが出来れば、

あとは数字をもとに戻すことで求める答えを得られる、ということなのです。

 


プログラミング思考」という言い方が最近よくされていますが、

パターン認識と、パターンへの分解、パターンの組み合わせ、

という意味では、中難度の数学の問題は、まさに「プログラミング思考」で解けるのです。

 

算数」から「数学」になって感じる「難しさ」は、抽象性が高くなることから生じます。

いままで数字で表されていたものが、「x」「y」という記号で表現されることで、難度が高くなったように感じられます。

しかし、この「x」「y」によって抽象性が高くなることで、どんな時でも使えるという汎用性が高くなるのです。

 

苦手な人は、「x」「y」に小さな数字、分かりやすい数字を入れて考える練習をしてみましょう。

文章題も同じです。具体的な例を小さな数字で考えるようにすると、間違いを減らすことが出来ます。

 


例えば「植木算」の問題を考えてみましょう。

450mの道に、5mおきに木を植える。端から端まで植えるとすると、木は何本必要か。

450/5 = 90 という計算まではすぐに出来るでしょう。

次に端の1本を足せば良いのか、それとも2本足すのか、「90」のままで良いのか、を考えなければいけません。

逆に言えば、端の木をどう処理するかだけの話なので、例えば10mで考えてしまえば良いのです。

10/5 = 2 ですが、植えている木の本数は1本多くなっていますね。

つまり、1本足せば良い、ということが分かります。

 

「植木算なんて覚えてない」ではなく、実際に小さい具体的な例で考えてみれば良いのです。

 


 

簡単な例から、パターンを見抜き、式を立てて、汎用化する。

 

ひらめきや発想の飛躍が必要な超難問は別として、

数学の基本的な問題は、この方法で考えると、答えへの道筋が見えてくることが多いです。

 

 

 

思考機械の事件簿』に登場する、ヴァン・ドゥーゼン教授の決め台詞は

2+2=4である。ときどきそうなるのではなくて、いつも必ず同じ結果をもたらす」です。

どの国でも、どの時代でも、この原則は変わりません。

 

そして教授は(小説の中の主人公ではありますが)

論理的思考さえ出来れば、チェスを初めてやる人間であっても世界チャンピオンに勝てる

と言って、本当に勝ってしまいます。

 

算数」や「数学」の難問に頭を悩ましたら、「論理的思考」に立ち戻って、

簡単な例からパターンを見抜いて解くようにしてみてください。

それを意識するだけで、解けなかった問題が解けるようになりますよ。

 

 

誕生日のパラドックス」についての第4回です。

 

前々回、前回で、40人のクラスの中に、「同じ誕生日の人がいる確率」と「私と同じ誕生日の人がいる確率」を計算しました。

 

何人のクラスで何%かという結果だけなら、カシオさんのサイトで、自分のクラスの人数を入れてみてください。

 → カシオ計算サイト「誕生日が一致する確率

 → カシオ計算サイト「自分の誕生日と一致する確率

 

さて、今回がいよいよ本番。

40人のクラスの中に「私と同じ誕生日の人が2人以上いる確率」を求めてみましょう。

 


前回と同じく、これを考えるのに、簡単な例で考えます。

 

365日だと大変なので、「・冬」の4つの季節で考えます。

人数も4人にしてしまいましょう。

 

「私」の季節を「」に決めて、「残り3人の中に、私と同じ季節生まれの人が2人以上いる確率」を求めます。

全体像を、樹形図にしてみましょう。

「私」は「」に決めたので、「・冬」のどれでも選べる他の3人について考えれば良く、

組み合わせ全体では、4×4×4 = 4の3乗 = 64 通りあります。ここまでは前回と同じです。

 

このうち、「3人のうちの2人あるいは3人ともが私と同じ季節()の生まれである」、という確率を求めるわけですが、

今回は「余事象」を考えるのが難しそうなので、場合分けして積み上げていく方法で考えてみましょう。

 

ⅰ)3人のうち2人が「私」と同じ季節の生まれである

 

B&C、C&D、B&Dの3通りがあります。

 

3人から2人選ぶ方法は、3C2と表現し、この計算は (3×2)/(2×1) = 3 と求められます。

今回は、3人一緒の場合は別の計算をするので、3人目は別の季節(夏か秋か冬)にしなければいけません。

なので、3×3 = 9 通り です(下の図参照)。

 

ⅱ)3人のうち3人が「私」と同じ季節の生まれである(全員が同じ季節(春)生まれ)

これは3人から3人選ぶ計算になります。3C3 = (3×2×1)/(3×2×1) = 1

1通りしかありません。

 

ⅰ)とⅱ)の場合を足すと、9 + 1 = 10 通りの組み合わせが出来ます。

これを全体の数である64で割ると、10/64 = 0.156.. 約16%となります。

 


まだ少し、全体像が見えにくいですね。

Eさんにも入ってもらって、5人の場合を考えましょう。

 

全体の数は、4×4×4×4 = 4の4乗 = 256 通り になります。

 

ⅰ) 4人のうち2人が「私」と同じ季節の生まれである

4人から2人を選ぶので、先程と同じように、4C2を計算すると、 (4×3)/(2×1) = 6 通り の組み合わせがあります。

BさんとCさんが春生まれの時、DさんとEさんは春以外の季節になります。

どの組み合わせの時も同様になるので、6×3×3 = 54 通りの組み合わせが出来ます。

 

 

ⅱ) 4人のうち3人が「私」と同じ季節の生まれである

4人から3人を選ぶので、4C3を計算すると、(4×3×2)/(3×2×1) = 4 通り の組み合わせがあります。

残り1人について春以外の季節を選ぶので、4×3 = 12 通りの組み合わせが出来ます。

 

ⅲ) 4人とも「私」と同じ季節の生まれである

4人とも同じ季節になるのは1通りだけです。

 

 

ⅰ,ⅱ,ⅲを合計すると、54 + 12 + 1 = 67 通りになります。

これを全体の数256で割ると、67/256 = 0.261... 約26%になります。

 

さぁ、考え方が見えてきました。

 


さて、本題は、40人のクラスに「自分と同じ誕生日の人が2人以上いる確率」です

 

4つの季節」ではなく「365日」で考えます。

人数も5人ではなく「40人」にします。

 

まず、全体の数は、365の39乗になります。

 

ⅰ) 39人(自分を除いた人数)のうち2人が「私」と同じ誕生日

2人の選び方は、39C2 = 741

この2人以外は私の誕生日以外を取るので、364(1人目)×364(2人目)×…×364(37人目) = 364の37乗

この2つを掛け合わせると、組み合わせの数が出ます。

 

ⅱ)39人のうち3人が「私」と同じ誕生日

3人の選び方は、39C3 で、この3人以外は 364の36乗

 

ⅲ)39人のうち4人が「私」と同じ誕生日

4人の選び方は、39C4 で、この4人以外は 364の35乗

 

そろそろ仕組みが見えてきたので、Excelを使って計算してみましょう。

C」はcombinationの頭文字で、Excelの関数では「=COMBIN(左,右)」と表記します。

また、364の35乗は、「=364^35」と表します。

 

 

Dの列を合計すると、「40人のクラスに私と同じ誕生日の人が2人以上いるケース」の数が出てきます。

これを365の39乗で割ると、0.52%という確率が出てきます。

 

さすがに手計算では無理ですね…。

 

次回は最終回、難しい数学の問題をどう考えて解くかについてまとめましょう。

 

 

 

誕生日のパラドックス」についての第3回です。

 

前回は、40人のクラスの中に、「同じ誕生日の人がいる確率」は、どれくらいか、を計算しました。

 

何人のクラスで何%かという結果だけなら、カシオさんのサイトで、自分のクラスの人数を入れてみてください。

 → カシオ計算サイト「誕生日が一致する確率

 


今回は、同じく40人のクラスに「自分と同じ誕生日の人がいる確率」を計算してみます。

前回と同じく、これを考えるのに、簡単な例で考えてみましょう。

 

365日だと大変なので、「・冬」の4つの季節で考えます。

人数も4人にしてしまいましょう。

 

「私」の季節を「」に決めて、「残り3人の中に、私と同じ季節生まれの人がいる確率」を求めます。

全体像を、樹形図にしてみましょう。

「私」は「」に決めたので、「・冬」のどれでも選べる他の3人について考えれば良く、

組み合わせ全体では、4×4×4 = 4の3乗 = 64 通りあります。

 

このうち、「誰かが私と同じ季節()の生まれである」、という確率を求めるわけですが、

今回は場合分けして積み上げていく方法でも、「余事象」を使う方法でも、どちらでも可能そうです。

 

この場合の「余事象」は、「3人がみんな以外の季節生まれ」です。

となると、3人が「・冬」だけの組み合わせであれば良いので、

この組み合わせは、3×3×3 = 3の3乗 = 27通りあります。 

 

 

ということは、1 - 27/64 = 0.578

「私」を含めた4人がいた時に、「誰かが私と同じ季節()の生まれである確率」は、58%となります。

一方で、「誰か二人以上が同じ季節生まれである確率」は、90%でしたので、それなりの開きがあることが分かりますね。

 


さて、本題に戻しましょう。

40人のクラスに「自分と同じ誕生日の人がいる確率」です

 

4つの季節」ではなく「365日」で考えます。

人数も4人ではなく「40人」にします。

 

自分の誕生日は決まっているので、全体の数は、365(1人目)×365(2人目)×…×365(39人目) = 365の39乗 通りになります。

全体の数は、前回(365の40乗 通り)と、ほぼ同じですね。

 

自分と同じ誕生日の人がいる」の反対は、「自分以外の全員が自分と違う誕生日」になりますので、

先程と同じように考えると、

364(1人目)×364(2人目)×364(3人目)×…×364(39人目) = 364の39乗 通りになります。

前回は、365×364×363×…×326 と、かける数字がだんだん減少していましたので、ここが大きな違いですね。

 

計算すると、(364/365)の39乗 となり、0.898、つまり約90%という値が出てきます。

これを100%から引くと、約10.%となります

 


 

前回は「余事象」が約11% で、これを100%から引いて、89%が出てきました。

数字だけ見ると、まるで反対の結果が出たように見えますね。

 

クラスの人数が変わる場合も、同様の計算で出すことが出来ます。

結果だけであれば、こちらのサイトを利用してみてください。

 → カシオ計算サイト「自分の誕生日と一致する確率

 

さて、元の話は、「40人のクラスに私と同じ誕生日の人が2人いた(3人同じ誕生日)」でした。

次回は「私と同じ誕生日の人が2人以上いる確率」を計算します。