【妖怪の科学】驚異と怪異@兵庫県立歴史博物館 | 共明塾 × キッズアース播磨町校

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1970年から兵庫県加古郡・加古川地域て信頼と実績を積み重ねてきた共明塾。
2007年からは東大卒講師を迎え、2017年からはキッズアースと提携し、小学生向けの科学実験教室を始めました。
共明塾はこれからも学ぶ楽しさを発信していきます。

行きそこなってしまったのですが、兵庫県立歴史博物館にて「驚異と怪異~モンスターたちは告げる~」という展覧会が行われていました(2020年6月23日~8月16日)

 

最近話題のアマビエの絵から、「人魚」や「件(くだん)」、「ろくろ首」のミイラまで、これを逃すわけにはいかないと思わせるラインナップ。

なにしろ、歴博には、京極夏彦先生の小説にも登場する香川学芸員がいらっしゃるので、楽しみにしていたのです。

 

(作中、守備範囲の広い知識をお持ちで真面目な香川学芸員も大活躍!)

 

夏休みの自由研究に、という話も出来るかと思っていたんですがねぇ...。

 


しかし、歴博のページに「特別展「驚異と怪異」図録及びグッズの通信販売のご案内」のバナーが!

 

グッズはぐっと我慢して、国立民族学博物館驚異と怪異 想像界の生きものたち」の公式図録

兵庫県立歴史博物館「特別展 驚異と怪異-モンスターたちは告げる-」の公式パンフレットを購入しました。

 

 

(※通常の購入も可能です)

 

そう、国立民族学博物館の「驚異と怪異」も行きたかったのですよ。

 

 

巡回展ではありますが、歴博の展示は「妖怪」寄りで、民博の展示は「民俗学」寄りな気がします。

 


それにしても、人間の想像の翼は、どこまで広がるものなのでしょうか。

 

展覧会に行って、図録を買っても、文章のところはナナメ読みすることが多いですが、

今回は、展覧会に行けなかった分、じっくり拝読させて頂きました。

 


思ったことの一つ目は、知らない国の、知らない生物の話を聞いたときに、我々はどこまでそれを信じることが出来るか、ということ。

 

お腹に袋があって、子どもをその中に入れ、両足でジャンプして移動する、人間くらいの大きさの生き物」や

首の長さだけで人の身長くらいある、背が高く、角が三本ある生物」なんて、想像上の生き物なのか、実在するのか、判断できませんし、

それらしい骨や写真を見せられたら、「知らない国にはそんな生物もいるのか」と信じてしまいます。

 

しかも、それが伝統や文化と結びついて語られるとき、そういう生き物、存在について、

そのものでなくても、少なくともそれに類する「何か」の実在を反映していると考えるのが妥当と思われます。

 


二つ目は、「怪異」の存在を受容する我々の柔軟性についてです。

 

現在、コロナの流行に合わせるように、「アマビエ」がクローズアップされていますが、

アマビエ」と同様の「我が絵姿を厄除けにすべし」という伝承は日本だけでもいくつかあるそうです。

 

「昔の人はそんな存在を信じていたのか」という見方も出来なくもないのですが、

翻って現在を考えると、後世になって「アマビエ信仰があった」としか思えない流行ぶりではあります。

でも、一方で、「アマビエ」の実在を本気で信じている人はそんなにいないでしょう。

 

もしかすると、昔の人たちも、今の私たちと同じように、「まぁ、なんとなくご利益ありそうだし。」くらいの軽い気持ちだったのかもしれません。

そう思うと、なんとなく、過去に対する親近感が湧いてきませんか?

 


ちなみに、下記の「アマビエ」の原本は京都大学の所有ですが、今回、歴博に展示されていたのです!

 

『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵) 

Photograph courtesy of the Main Library, Kyoto University - Amabie』

 

交渉は、コロナの話の前に出来ているはずですから、先見の明があるラインナップだったと言えるでしょう。

 


さて、「妖怪と科学」という視点から言えば、各国における様々な「伝承」「意匠」を比較し、

民俗学」という光を当てることで、それぞれの国での様々な「驚異」の秘密に迫ることが出来ます。

 

もしかすると、その動物が、人間にとって脅威だったのかも知れません。

もしかすると、ある現象が、その動物の仕業と考えられていたのかも知れません。

 

何か一つの答えが定まるわけではないにせよ、可能性について論じることは出来るはずですし、

ある儀礼が今でも続いている、その意味や意義について、知見を拡げることが出来るはずです。

 

伝統や文化には、それぞれの時代の、何らかの知恵や知見が詰まっています。

それを読み解く、というのも立派な学問です。

 


 

キッズアースの実験教室では、教科書を読むだけでは得られない「何か」を感じてもらうことで、

生徒の皆さんの可能性を拡げたいと思っています。

 

「妖怪」について勉強する機会は、残念ながら通常カリキュラムにはありませんが、

自由研究で、何か妖怪を作ってみたい、妖怪を造形してみたい、ということであれば、お手伝いいたします。

 

 

(こんな本もあります)

 

こういった経験・体験を通じて、未来の「科学者」の卵への一助となれることを願っています。