最近はフリーランスや個人事業主の方が増え、働き方も多様化をしているので、名刺を使う場面で「ここで名刺を使うなら会社の名刺じゃない方が良いのに…」というケースも多々見らえるのではないでしょうか?
私自身もそういう場面に時々出会うので、パーソナル名刺(個人用名刺)の需要は高いのではないかと考えています。そこで今回は「パーソナル名刺」をテーマに取り上げて、デザイン的な観点も入れながら述べていきたいと思います。
■プライベート用の名刺を作る理由
皆さんは会社から支給される名刺をどのように使用しているでしょうか?会社の名刺はあくまで会社の資産であって、個人が自由に使えるものではありません。会社とは関係のない場面で名刺を交換するとき、「会社名に囚われず自分の名前を前面に出したい!」という人もいるでしょう。
そんな時に役立つのがパーソナル名刺だと思います。パーソナル名刺が使用できるシーンとしては、会社の仕事とは関係ない個人的動機で参加(または開催)するセミナーや、会社名ではなく個人名を売りにして行うフリーランスや副業の仕事においてなどが考えられます。
■パーソナル名刺の役割やメリット・デメリット
パーソナル名刺のメリットは、個人の活動内容を素早く効果的に伝えられるところです。自分を印象づけ、どのような活動をしているか、どのようなサービスを提供できるか、どんな貢献ができるかを理解してもらうことに役立ちます。
ビジネスにつながる出会いや、相手が必要になったとき、個人的に連絡をもらうためのツールともなり得ます。
パーソナル名刺のデメリットは、作成に手間や費用がかかることです。情報を整理し、デザインやフォントを選ぶなどの一定の手順が必要なので、事前に手間と費用について決めておく必要があります。個人情報の公開によるリスクが生じることもデメリットです。連絡先を多くの人に公開する場合のリスクについても、事前に対策を立てる必要があります。
■名刺を作成する前に決めておきたい5つのこと
パーソナル名刺を作るときは、いかに個性が出せるかがポイントになります。それを前提にした上で、作成前に次の5つのことを決めておきましょう。
(1)どんなシーンで使う名刺かを決める
(2)名前の表記法を決める
(3)セキュリティ対策を考えて連絡先を決める
(4)記載項目を決める
(5)名刺の雰囲気を決める
この5つについて、順を追って説明します。
(1)どんなシーンで使う名刺かを決める
私が考えている主なプライベート名刺の種類は以下の3つです。①から③の名刺の名前の下にあるのは、具体的な例です。
①ビジネス系パーソナル名刺
・フリーランスで使用
・個人事業主で使用
・副業名刺で使用
・求職活動の中で使用
②パーソナリティ系パーソナル名刺
・セカンド名刺(セミナー・講座等で使用する名刺)として使用
・趣味やサークルで使用
③ラブリー系パーソナル名刺
・プライベート名刺(合コン・婚活・デート・親しい人との会合等で用いる名刺)として使用
・ママ名刺(ママ友の集まりや幼稚園・保育園・小学校等で用いる名刺)として使用
これら①から③のうち、自分はどの名刺を作ろうとしているのかを考えておきましょう。パーソナル名刺なら、①と②、①と③のように、複数の名刺を作ることもできますし、①と②を融合させたような名刺を1種類だけ作るということもできると思います。まずは、使用目的を明確にして、①から③のどの名刺にするかを決めましょう。
(2)名前の表記法を決める
パーソナル名刺では、個人名での自己紹介になります。名前の書き方にこだわりを持つのが良いと思います。
無難に漢字やローマ字にする人が多いと思いますが、フォントと文字の大きさをしっかりと決めておきましょう。フォントは、色々なものがありますので、よく見比べて、ご自身がアピールしたいイメージに近いフォントにしましょう。
もっと個性を出したければ、PCで名刺を作る際、名前だけ直筆したもの(手書きのもの)を画像にして貼り付けるというやり方もあります。あるいは、大胆に個性を出す場合は、サイン名刺にすると良いでしょう。サイン名刺とは、下のようなデザインの名刺になります。
(3)セキュリティ対策を考えて連絡先を決める
個人情報を保護したいとは言っても、名前だけの名刺では味も素っ気もありません。せめて、最低限、メールアドレスだけは書きたいものです。初めて会う人に電話番号を教えるのは躊躇うことも多いので、電話番号は無くてもいいかも知れません。その辺りのことをどうするかを決めておきましょう。
後考えられる連絡先としては、LINEやTwitter、InstagramなどのSNSアカウントや、Facebookや個人的なホームページのQRコードを記載しておくのもいいでしょう。
目的に応じて、連絡先を記載する範囲を決めておくことが大事です。
(4)記載項目を決める
パーソナル名刺に掲載する情報は多過ぎるのはマイナスです。名刺を受け取った人がザッとしか読まなかったり、名刺の印象が薄れたりします。掲載する情報は優先順位を決め、まず、下の①から⑦のうち3つくらいに絞りましょう。それを名刺の表に記載するとして、他に載せたい項目があれば、それらは裏面に持ってきます。裏面だけでも収まりそうになければ、名刺を2つ折りにすることも考えましょう。
①氏名
・漢字
・ローマ字
・手書き
・サイン
・読み仮名をどうするか
・(フリーランスや個人事情における)肩書をどうするか
②連絡先1(必須)
・メールアドレス
・電話番号
③連絡先2(任意)
・住所
・SNSアカウント
・HPのURL
・QRコード
④商品やサービス
・営業時間
・地図
・事務所等、仕事の連絡先
⑤活動内容の特徴
⑥仕事実績
⑦自己PR
・顔写真
・本業で勤めている会社名
・勤めている会社での仕事
・勤めている会社での役職
・自分の強み
・モットー
・キャッチコピー
・プロフィール
・出身地
・趣味や特技
**※**フリーランスや個人事情における肩書について、法人登記をしていない場合は、法的に使えない肩書があります。個人事業主の場合に、主に使える肩書は以下ですので、注意しておいてください。
・代表
・最高経営責任者(CEO)
・店長
・デザイナー・コンサルタント・エンジニア・スタイリストなど職種を表すもの
(5)パーソナル名刺の雰囲気を決める
パーソナル名刺において個性は非常に重要で、名刺の雰囲気がその個性をつくることになります。どのような雰囲気の名刺にするのかは、事前に決めておくようにしましょう。シンプルな名刺にするのか、カラフルな名刺にするのか、シックな名刺にするのか、ゴージャスな名刺にするのかなど、あらかじめ名刺の雰囲気感をイメージしておくといいでしょう。
■パーソナル名刺で注意すべきセキュリティ対策
名刺は、不特定多数の人に渡すことを前提としたコミュニケーションツールです。個人の住所や電話番号を公開する場合は、悪用されるリスクについても配慮して自身の安全性を高める必要があります。パーソナル名刺には、会社の名刺とは違うリスクが伴うことを自覚し、リスク対策を立てておくことが大切です。
一番良い方法は、携帯電話番号やメールアドレス、SNSなど個人につながる情報は、名刺に記載しないことですが、それでは名刺の役割が半減してしまいますので、最低、自宅の住所や電話番号は記載しない、初対面ではメールアドレスの開示だけにするなど、個人情報を保護することが大切です。メールアドレスの掲載も用心したい方は、「お問い合わせはSNSのメッセンジャーにて」などと、何かしらの連絡手段は明記しておくと良いでしょう。フリーアドレスなどの利用も有効です。
電話番号については、仕事用の電話番号を手に入れるサービスなどもありますが、ほとんど有料ですので、お金をかけずに何とか自衛策をとって電話番号が相手に伝わるようにしたいものです。要は、名刺を渡した相手が信頼するに値する人なら、電話番号や住所を開示しても良いはずです。したがって、相手が信頼するに値する人かどうかを見極めるために、住所や電話番号を記載した名刺と記載しない名刺の2パターンを作成し、初対面の時は「記載されていない名刺」を使い、信頼関係が構築できた時点で、「記載された名刺」を渡すなどして、人間関係に応じた使い方をするのがベターでしょう。
例えば、記載項目を次のように違えることができます。
【最小限の情報掲載タイプ】
・職種
・氏名
・顔写真
・メールアドレス
・ウェブサイトURL
・プロフィール(名刺裏面)
【すべての情報記載タイプ】
・職種
・氏名
・顔写真
・住所
・携帯電話番号
・メールアドレス
・ウェブサイトURL
・SNSアカウント
・プロフィール(名刺裏面)
【参考サイト】