カイジの地獄チンチロに関する経済的考察 1
カイジの地獄チンチロに関する経済的考察 2
カイジの地獄チンチロに関する経済的考察 3
カイジの地獄チンチロに関する経済的考察 4
カイジの地獄チンチロに関する経済的考察 5
カイジの地獄チンチロに関する経済的考察 6
建築エコノミストTwitter mori_arch_econo
カイジの地獄チンチロ編というのは、福本漫画の中でも人間の心の奥底をついた、
すごい作品であることは既にみなさんご承知であったと思います。
当初は、カイジ好きな私が、単にペリカ通貨に興味をもって、なにげなく始めた考察だったのですが、
経済的な視点で眺めていくと、ものすごくスケールの大きな話に発展してしまいました。
自分でもびっくりしています。
カイジ対班長という個人的恨みの戦いであると思っていたものが、
ある種の限定経済戦争のモデルでもあったというわけです。
それが45組というヘッジファンドとチンチロという地下帝国金融の戦いなのですが、
普通考えれば、巨大な金融機関や国家の方が圧倒的に強いはずなんです。
イギリスのポンド危機によるイングランド銀行大炎上以外にも、
そのような強いはずの国家や通貨が、瞬く間にやられてしまった例が他にもあります。
それは、まだみなさんの記憶にも新しいと思うのですが、
今から10年前のアジア通貨危機です。
これは、当時成長著しいアジアの新興諸国の経済を壊滅させた事件です。
タイバーツ、フィリピンペソ、コリアウォン、マレーシアリンギット、インドネシアルピア、などなどの通貨が次々に下落し、政権まで倒されてしまいました。
日本や台湾、香港なども大きな経済的打撃を受けました。
これはどういうわけかというと、前記事6で書いた投資信託などの金融商品はじめ多くのオフィシャル、メジャーな金融組織は基本的に上昇を前提に商品組み立てや投資をおこなっているのです。
経済的に発展の可能性を探る、信じる、それを勝ちと見る相場観なんです。
つまり公募型の投資では「上げ」しか使えない。
下げる、縮退する、下落して勝ちを拾う、そんな投資行動を取ることができるのは、個人投資家かゲリラ部隊であるヘッジファンドだけといってもいいでしょう。
そういった意味ではヘッジファンドのみが「下げ」を使える、
「売り」で攻めることができる組織、そこに集まった巨大資本。
ある国家やある国民の生活や産業が破壊されることよりも、
自分の個人的資産の極大化のみを考えることができる、
社会的意義とか世界的な意義とか大志、大きな視野をもつのではなく、
自分の持ち金を大きくすることのみという小さく狭い集中した非情の視点。
だから気付く、高止まりしているアジア通貨の弱点に。
そんな人間でなければ成し得ない行為。
それを実行できたのが、ジョージ・ソロスなんですね。
カイジの場合はどうなのか、、、
大槻班長がまったくの公平性で、いじましく、国民の娯楽を供与するのみとうそぶいていた裏にある真のたくらみ。
456賽というイカサマによる勝ちまくり、地下帝国維持のための金融という銀行機能を無視した大槻頭取のチンチロシステムの私物化、自身にのみ富の集中、結果大量のペリカ保有。そして、日本への渡航後の豪遊夢想。
456賽による政策金利の維持、それだけではない、もっと高い確率で登場する456の倍付けの役。
これを倒す。
そんな策があるのか、そのためにはまず456賽の登場を完璧に読む必要がある。
なぜなら常勝の勝ち目をもたらす456賽の買い目にぶつけなければ大きな値動きが期待できない。
45組の一ヶ月の賃金5人分という小さな元手で、大きな値動きをもたらす仕掛け。
いうなれば、これはデリバティブの組成。
デリバティブによるレバレッジ効果を生み出さなければダメ。
小勝ちではダメ。
456の大きな買いをもたらすためにカイジが取った流れはこうです。
班長に個人的恨み、個人的な自己顕示欲、個人的にカイジを徹底支配、屈服させたいという思いをもたらす。
だからカイジは自ら即死の可能性のある値幅制限の解除を申し込みます。
いったん値幅制限の解除を獲得すると、すんなり小幅な値動きでロスカット退場します。
そしてギャラリーにも値幅制限解除の許可を印象づけておいて、ヘッジファンドの資金を全部投入。
そのうえで、大きく張る。
大槻班長がむきになって絶対的な勝利を収めたくなるくらいに、、
そこで登場するはずの456賽、そのチンチロ派生商品、デリバティブ取引のカラクリを白日の元にさらす。
地下住民たちからの圧倒的非難、投資というよりは絶対的な投機商品であったチンチロ金融の実態。
相場の大荒れ、取り付け騒ぎ、その日の取引きの中断も辞さない展開。
しかし、そこでカイジ大槻運営のチンチロ金融に救いの手、456賽の投入を認める裁定。
むしろ、値幅制限解除の状態でのデリバティブ運用投機をあっさり飲む。
結果としてイカ賽というデリバティブ取引をも認めさせる。
ここで大槻班長は引っ掛かった。
このイカ賽合戦はいうなればアービトラージ。
いわゆる裁定取引。
456賽の相互使用によるカイジたちがノーリスクで利益を確定する程度という班長の読み。
ここがこの「地獄チンチロ」の最大の見せ場です。
私もそう思いました。
やったなカイジたち45組、456賽で班長たちと五分の対決なんだと、
しかし違った。
福本の圧倒的仕掛け、カイジは456賽を使わない、あくまで456賽の勝ち確定に対抗する秘技。
それが、ピンゾロ賽。
カイジファンド必殺のデリバティブ、チンチロ派生商品中最強の取引。
456賽の効力が完全に消えうせるまでの売り浴びせ。
なぜなら、111は最強の目、五倍付け、500%のリターン。
両面とも456の456賽では絶対出せない役。
いうなれば、456賽の無効化。
班長親の前場の取引で6連続111ピンゾロ確定、ヘッジファンドの投入資金50万7千ペリカが253万5千に膨らむ。
カイジ渾身のスペキュレーション取引。
班長必死の千両箱からの支払いによる買い支え。
ところが、取引は後場を終えないと班長は親を降りられない。
そこで地下帝国におけるIMFである黒崎の介入。
ついに、班長は本来なら必勝の、しかしこの下げ相場では必敗の456賽を捨て、
普通賽で奇跡の111を出すしかない状況に追い込まれる。
結果、完敗。
チンチロ金融破たん。
後場においても6連続111ピンゾロ、304万2千ペリカが1825万2千ペリカに!
結果として元手の50万7千ペリカを1825万2千ペリカにした、これは3600%のリターン。
こんな数字、可能なのか、って思うでしょう?
ところが現実にそういう数字が存在するんです。
ジョージ・ソロスがつくったクォンタム・ファンドは10年間で3365%リターンをたたき出したといわれています。
とするなら、カイジの地獄チンチロでの奇跡の勝ちはジョージ・ソロス並みということになる。
地下帝国におけるジョージ・ソロス、それがカイジ。
で、あるならチンチロの出る目を記録し、
カイジに市場分析のデータを提供し、
再度のチンチロ参加を促した、
あの人のいい三好とは、
実は、ジム・ロジャースであったということになるわけです。
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カイジの地獄チンチロ編というのは、福本漫画の中でも人間の心の奥底をついた、
すごい作品であることは既にみなさんご承知であったと思います。
当初は、カイジ好きな私が、単にペリカ通貨に興味をもって、なにげなく始めた考察だったのですが、
経済的な視点で眺めていくと、ものすごくスケールの大きな話に発展してしまいました。
自分でもびっくりしています。
カイジ対班長という個人的恨みの戦いであると思っていたものが、
ある種の限定経済戦争のモデルでもあったというわけです。
それが45組というヘッジファンドとチンチロという地下帝国金融の戦いなのですが、
普通考えれば、巨大な金融機関や国家の方が圧倒的に強いはずなんです。
イギリスのポンド危機によるイングランド銀行大炎上以外にも、
そのような強いはずの国家や通貨が、瞬く間にやられてしまった例が他にもあります。
それは、まだみなさんの記憶にも新しいと思うのですが、
今から10年前のアジア通貨危機です。
これは、当時成長著しいアジアの新興諸国の経済を壊滅させた事件です。
タイバーツ、フィリピンペソ、コリアウォン、マレーシアリンギット、インドネシアルピア、などなどの通貨が次々に下落し、政権まで倒されてしまいました。
日本や台湾、香港なども大きな経済的打撃を受けました。
これはどういうわけかというと、前記事6で書いた投資信託などの金融商品はじめ多くのオフィシャル、メジャーな金融組織は基本的に上昇を前提に商品組み立てや投資をおこなっているのです。
経済的に発展の可能性を探る、信じる、それを勝ちと見る相場観なんです。
つまり公募型の投資では「上げ」しか使えない。
下げる、縮退する、下落して勝ちを拾う、そんな投資行動を取ることができるのは、個人投資家かゲリラ部隊であるヘッジファンドだけといってもいいでしょう。
そういった意味ではヘッジファンドのみが「下げ」を使える、
「売り」で攻めることができる組織、そこに集まった巨大資本。
ある国家やある国民の生活や産業が破壊されることよりも、
自分の個人的資産の極大化のみを考えることができる、
社会的意義とか世界的な意義とか大志、大きな視野をもつのではなく、
自分の持ち金を大きくすることのみという小さく狭い集中した非情の視点。
だから気付く、高止まりしているアジア通貨の弱点に。
そんな人間でなければ成し得ない行為。
それを実行できたのが、ジョージ・ソロスなんですね。
カイジの場合はどうなのか、、、
大槻班長がまったくの公平性で、いじましく、国民の娯楽を供与するのみとうそぶいていた裏にある真のたくらみ。
456賽というイカサマによる勝ちまくり、地下帝国維持のための金融という銀行機能を無視した大槻頭取のチンチロシステムの私物化、自身にのみ富の集中、結果大量のペリカ保有。そして、日本への渡航後の豪遊夢想。
456賽による政策金利の維持、それだけではない、もっと高い確率で登場する456の倍付けの役。
これを倒す。
そんな策があるのか、そのためにはまず456賽の登場を完璧に読む必要がある。
なぜなら常勝の勝ち目をもたらす456賽の買い目にぶつけなければ大きな値動きが期待できない。
45組の一ヶ月の賃金5人分という小さな元手で、大きな値動きをもたらす仕掛け。
いうなれば、これはデリバティブの組成。
デリバティブによるレバレッジ効果を生み出さなければダメ。
小勝ちではダメ。
456の大きな買いをもたらすためにカイジが取った流れはこうです。
班長に個人的恨み、個人的な自己顕示欲、個人的にカイジを徹底支配、屈服させたいという思いをもたらす。
だからカイジは自ら即死の可能性のある値幅制限の解除を申し込みます。
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そしてギャラリーにも値幅制限解除の許可を印象づけておいて、ヘッジファンドの資金を全部投入。
そのうえで、大きく張る。
大槻班長がむきになって絶対的な勝利を収めたくなるくらいに、、
そこで登場するはずの456賽、そのチンチロ派生商品、デリバティブ取引のカラクリを白日の元にさらす。
地下住民たちからの圧倒的非難、投資というよりは絶対的な投機商品であったチンチロ金融の実態。
相場の大荒れ、取り付け騒ぎ、その日の取引きの中断も辞さない展開。
しかし、そこでカイジ大槻運営のチンチロ金融に救いの手、456賽の投入を認める裁定。
むしろ、値幅制限解除の状態でのデリバティブ運用投機をあっさり飲む。
結果としてイカ賽というデリバティブ取引をも認めさせる。
ここで大槻班長は引っ掛かった。
このイカ賽合戦はいうなればアービトラージ。
いわゆる裁定取引。
456賽の相互使用によるカイジたちがノーリスクで利益を確定する程度という班長の読み。
ここがこの「地獄チンチロ」の最大の見せ場です。
私もそう思いました。
やったなカイジたち45組、456賽で班長たちと五分の対決なんだと、
しかし違った。
福本の圧倒的仕掛け、カイジは456賽を使わない、あくまで456賽の勝ち確定に対抗する秘技。
それが、ピンゾロ賽。
カイジファンド必殺のデリバティブ、チンチロ派生商品中最強の取引。
456賽の効力が完全に消えうせるまでの売り浴びせ。
なぜなら、111は最強の目、五倍付け、500%のリターン。
両面とも456の456賽では絶対出せない役。
いうなれば、456賽の無効化。
班長親の前場の取引で6連続111ピンゾロ確定、ヘッジファンドの投入資金50万7千ペリカが253万5千に膨らむ。
カイジ渾身のスペキュレーション取引。
班長必死の千両箱からの支払いによる買い支え。
ところが、取引は後場を終えないと班長は親を降りられない。
そこで地下帝国におけるIMFである黒崎の介入。
ついに、班長は本来なら必勝の、しかしこの下げ相場では必敗の456賽を捨て、
普通賽で奇跡の111を出すしかない状況に追い込まれる。
結果、完敗。
チンチロ金融破たん。
後場においても6連続111ピンゾロ、304万2千ペリカが1825万2千ペリカに!
結果として元手の50万7千ペリカを1825万2千ペリカにした、これは3600%のリターン。
こんな数字、可能なのか、って思うでしょう?
ところが現実にそういう数字が存在するんです。
ジョージ・ソロスがつくったクォンタム・ファンドは10年間で3365%リターンをたたき出したといわれています。
とするなら、カイジの地獄チンチロでの奇跡の勝ちはジョージ・ソロス並みということになる。
地下帝国におけるジョージ・ソロス、それがカイジ。
で、あるならチンチロの出る目を記録し、
カイジに市場分析のデータを提供し、
再度のチンチロ参加を促した、
あの人のいい三好とは、
実は、ジム・ロジャースであったということになるわけです。
カイジの地獄チンチロに関する経済的考察 1
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