食虫植物自生地図鑑第3弾はPig Hill(Swine Hill)です。
食虫植物界隈としてはPig Hillという名の方が有名ではあるのですが、最近Swine Hill(Maragang Hill)なんて呼ばれることになったようです。
厳密にはSwine Hill(Maragang Hill)の登山ルートはそこそこ整備されており、獣道を潜っていった我々の行ったルートとはまた別なのですが、地域は基本的に同じ場所ですのでこの表記でいきます。
という訳でPig Hillですが、この丘はキナバル山のちょうど南東にあり、標高は2,000~2,300m程度です。
近くにあるKundasangという街から見れば北東、キナバル山の登山道でおなじみMesilauからは東にあります。
そもそもKundasangの街自体が1,900mぐらいの標高で、マレーシア国内で最も標高の高い場所に位置しています。
この標高の高さからか、この街では野菜が有名であり、トマトや白菜といったやや冷涼な環境を好む野菜を多く育てています。
Pig Hill自体も白菜畑に接しており、行くにはその畑(私有地)を横切る必要があります。
また、保護区であるため研究者等のガイドを付ける必要があるほか、キナバルパークの事務所にも予め入丘(?)申請が必要です。
全部やってもらっていたので私はよく知らない(爆)
ただこの丘は保護区でありながらも境界線等が明確ではなく、端から開墾と焼き畑農業で少しずつ農地化されており、徐々に面積が減っているのだとか。
Pig Hillの気温は23℃~15℃程度。
南西側のKundasang方面が大きく開けており、丘の日当たりは抜群です。(雲霧林と比べると)晴れることも多いようで、晴れるとやや気温が上がります。
地質は超区鉄質であり、植物の密度はやや疎です。とはいっても数mの樹木が生い茂っていることもあり日当たりはやや控えめ程度。
斜面であることからあちこちで水が染み出していて、地面はぬかるみ、ミズゴケの群落があちこちにあります。
標高は高いものの雲霧林が形成されるほどではないようで、着生している蘚苔類はそれほど多くはありません。
ここPig Hillで確認されている食虫植物はN. rajah、N. burbidgeae、N. tentaculata、N. zakriana、U. striatula、そして交雑種がいくつかです。
N. rajahはキナバル山の顔とも言える有名な種ですが、キナバル山自体ではかつての地震でN. rajahが多く見られるルートが閉鎖されてしまい、キナバル山の本体では見ることが一般的に出来なくなってしまいました。
ここPig Hillでは標高がやや高め、2,300m付近でそこそこの個体数のN. rajahを見ることができます。
N. rajahといえば巨大なロゼット型を思い浮かべますが、ここは日当たりがあまり良くないのでかなり徒長しており、数mもの縦に巨大な株となっています。
葉は40cmほど、ツルも親指よりも太く非常に巨大です。
私が訪れた際にはあまり綺麗で大きな袋がありませんでした。N. rajahは他のウツボカズラとは異なりたくさん袋をつけるタイプではないようです。
そのためN. rajahの生育はあまり袋に依存しておらず、根が大きな役割を果たしているともいえそうです。
生育環境としては前述の通りあまり日当たりは良くなかったということと、地面はべちゃべちゃ。
ミズゴケやぬかるみに生えており根の通気とはなんぞや?状態でした。
N. burbidgeaeはN. rajahと比べるとやや標高の低い2,000~2,200mぐらいに多く生育していました。
基本的には同じ場所なのでN. rajahと同じような環境なのですが、標高が低くなると周りの樹木の背がやや高くなりがちなようで、N. burbidgeaeの方がちょっと薄暗い林床に生えていたかな…という感じです。
株の大きさはリーフスパンがN. rajahと比べて少し小さく、ツルも細いものの、良く徒長している点では同じでした。
ただN. burbidgeaeの方が袋をよくつけていたかな?という感じです。
N. rajahとN. burbidgeaeの自然交雑であるN. × alisaputranaは限られた場所でしか見ることが出来ないレア交雑です。
そもそも自然交雑自体が低い確率でしか起こらず、前回Gunung SingsingのN. × trusmadiensisのようにポンポンできるものではないのですが…
この交雑個体はN. rajahとN. burbidgeaeの生育地の境界周辺、標高2,100m~2,200m付近で見られました。
株としてはポツポツと生えており、それぞれ親が異なる別株のはずですが、株ごとに大きな個体差は見られませんでした。
BEの作出した人工N. × alisaputranaも自然交雑N. × alisaputranaのように育つようですが、この2種の間の自然交雑では表現がばらけにくいのかもしれません。
N. tentaculataは別にどこも同じなので多くは語らず。
どこにでも生え、それぞれ個体差は大きいです。
なお、ここではN. tentaculataとN. burbidgeaeの交雑個体のような株を1株だけ見ました。
N. tentaculataはなかなか花を咲かせないので交雑の機会がそもそも少ないです。そのためN. tentaculataの交雑個体は非常に珍しいです。
N. zakrianaもありましたが、こちらはこの近辺ではここだけでしか見つかっておらず、話によると微妙に特徴も異なることから新種疑いもあるようです。
日当たりの悪い岩盤に生えており、袋もつけておらず大した写真はありません。
U. striatulaは私が見つけました(爆)
Pig Hillのちょうど保護区の見回りの為に作られた小道の脇、やや日当たりの良い湿った岩にのみ生えていました。
U. striatula自体はインド洋周辺から東南アジア、オセアニア、台湾にまで広い分布を持っており、1,000m前後の標高からポツポツ見られるようになってくる種です。
日当たりが良い、水が滴る崖地や斜面のやや日当たりが悪い所というなんとも矛盾した場所に生えていることが多く、他のウトリと違って強い光は苦手。遮光された光が長時間当たるのが好きなようです。いわばネペンと同じですね。
基本的にこの種の花色は青なのですが、ここで見た株は白で先に青みがかかった色でした。ボルネオの個体が全て青とか白とかいう訳ではなく、場所によっては様々であることから、何故地域で花色が異なるのかは不明です。
今回Pig Hillで見た種はこれだけなのですが、ここからジャングルの中でテント泊をしながら突き進むとN .edwardsiana等が生えている場所に行けるそうです(地名はMonggisだったかな?忘れた)。
Pig Hillへの行き方はKundasangからピックアップトラックの荷台で農道を突っ走り、そこから非常に急な白菜畑や獣道を登るのですが、距離は短いため総合的にはそれほどしんどくありません。
ただ保護区であり誰でも入ることが出来るわけではない為、よく詳しいガイドさんや研究者の方と行く必要があります。
一方最近出来たSwine Hillの方は山道が整備され、エコツアーなどもやっているそうです。正式に行くのであればそちらから申請した方が手続き等簡単なのかもしれません。






































































































































































































































































































































































































































