もなのブログ

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生き物や自然のことを呟きます。
時々グルメや自然災害・防災のことも。

 食虫植物自生地図鑑第3弾はPig Hill(Swine Hill)です。

 

 

 食虫植物界隈としてはPig Hillという名の方が有名ではあるのですが、最近Swine Hill(Maragang Hill)なんて呼ばれることになったようです。

 厳密にはSwine Hill(Maragang Hill)の登山ルートはそこそこ整備されており、獣道を潜っていった我々の行ったルートとはまた別なのですが、地域は基本的に同じ場所ですのでこの表記でいきます。

 

 という訳でPig Hillですが、この丘はキナバル山のちょうど南東にあり、標高は2,000~2,300m程度です。

 

 

 近くにあるKundasangという街から見れば北東、キナバル山の登山道でおなじみMesilauからは東にあります。

 

 そもそもKundasangの街自体が1,900mぐらいの標高で、マレーシア国内で最も標高の高い場所に位置しています。

 この標高の高さからか、この街では野菜が有名であり、トマトや白菜といったやや冷涼な環境を好む野菜を多く育てています。

 

 

 Pig Hill自体も白菜畑に接しており、行くにはその畑(私有地)を横切る必要があります。

 また、保護区であるため研究者等のガイドを付ける必要があるほか、キナバルパークの事務所にも予め入丘(?)申請が必要です。

 全部やってもらっていたので私はよく知らない(爆)

 

 ただこの丘は保護区でありながらも境界線等が明確ではなく、端から開墾と焼き畑農業で少しずつ農地化されており、徐々に面積が減っているのだとか。

 

 

 Pig Hillの気温は23℃~15℃程度。

 南西側のKundasang方面が大きく開けており、丘の日当たりは抜群です。(雲霧林と比べると)晴れることも多いようで、晴れるとやや気温が上がります。

 地質は超区鉄質であり、植物の密度はやや疎です。とはいっても数mの樹木が生い茂っていることもあり日当たりはやや控えめ程度。

 斜面であることからあちこちで水が染み出していて、地面はぬかるみ、ミズゴケの群落があちこちにあります。

 標高は高いものの雲霧林が形成されるほどではないようで、着生している蘚苔類はそれほど多くはありません。

 

 ここPig Hillで確認されている食虫植物はN. rajahN. burbidgeaeN. tentaculataN. zakrianaU. striatula、そして交雑種がいくつかです。

 

 N. rajahはキナバル山の顔とも言える有名な種ですが、キナバル山自体ではかつての地震でN. rajahが多く見られるルートが閉鎖されてしまい、キナバル山の本体では見ることが一般的に出来なくなってしまいました。

 ここPig Hillでは標高がやや高め、2,300m付近でそこそこの個体数のN. rajahを見ることができます。

 

 

 N. rajahといえば巨大なロゼット型を思い浮かべますが、ここは日当たりがあまり良くないのでかなり徒長しており、数mもの縦に巨大な株となっています。

 

 

 

 

 

 葉は40cmほど、ツルも親指よりも太く非常に巨大です。

 私が訪れた際にはあまり綺麗で大きな袋がありませんでした。N. rajahは他のウツボカズラとは異なりたくさん袋をつけるタイプではないようです。

 そのためN. rajahの生育はあまり袋に依存しておらず、根が大きな役割を果たしているともいえそうです。

 生育環境としては前述の通りあまり日当たりは良くなかったということと、地面はべちゃべちゃ。

 

 

 

 ミズゴケやぬかるみに生えており根の通気とはなんぞや?状態でした。

 

 N. burbidgeaeN. rajahと比べるとやや標高の低い2,000~2,200mぐらいに多く生育していました。

 基本的には同じ場所なのでN. rajahと同じような環境なのですが、標高が低くなると周りの樹木の背がやや高くなりがちなようで、N. burbidgeaeの方がちょっと薄暗い林床に生えていたかな…という感じです。

 

 

 株の大きさはリーフスパンがN. rajahと比べて少し小さく、ツルも細いものの、良く徒長している点では同じでした。

 ただN. burbidgeaeの方が袋をよくつけていたかな?という感じです。

 

 

 

 

 

 N. rajahN. burbidgeaeの自然交雑であるN. × alisaputranaは限られた場所でしか見ることが出来ないレア交雑です。

 そもそも自然交雑自体が低い確率でしか起こらず、前回Gunung SingsingのN. × trusmadiensisのようにポンポンできるものではないのですが…

 

 この交雑個体はN. rajahN. burbidgeaeの生育地の境界周辺、標高2,100m~2,200m付近で見られました。

 

 

 

 

 

 株としてはポツポツと生えており、それぞれ親が異なる別株のはずですが、株ごとに大きな個体差は見られませんでした。

 BEの作出した人工N. × alisaputranaも自然交雑N. × alisaputranaのように育つようですが、この2種の間の自然交雑では表現がばらけにくいのかもしれません。

 

 N. tentaculataは別にどこも同じなので多くは語らず。

 どこにでも生え、それぞれ個体差は大きいです。

 

 

 

 

 

 なお、ここではN. tentaculataN. burbidgeaeの交雑個体のような株を1株だけ見ました。

 

 

 N. tentaculataはなかなか花を咲かせないので交雑の機会がそもそも少ないです。そのためN. tentaculataの交雑個体は非常に珍しいです。

 

 N. zakrianaもありましたが、こちらはこの近辺ではここだけでしか見つかっておらず、話によると微妙に特徴も異なることから新種疑いもあるようです。

 

 

 日当たりの悪い岩盤に生えており、袋もつけておらず大した写真はありません。

 

 U. striatulaは私が見つけました(爆)

 

 

 

 Pig Hillのちょうど保護区の見回りの為に作られた小道の脇、やや日当たりの良い湿った岩にのみ生えていました。

 U. striatula自体はインド洋周辺から東南アジア、オセアニア、台湾にまで広い分布を持っており、1,000m前後の標高からポツポツ見られるようになってくる種です。

 日当たりが良い、水が滴る崖地や斜面のやや日当たりが悪い所というなんとも矛盾した場所に生えていることが多く、他のウトリと違って強い光は苦手。遮光された光が長時間当たるのが好きなようです。いわばネペンと同じですね。

 基本的にこの種の花色は青なのですが、ここで見た株は白で先に青みがかかった色でした。ボルネオの個体が全て青とか白とかいう訳ではなく、場所によっては様々であることから、何故地域で花色が異なるのかは不明です。

 

 

 

 

 

 

 今回Pig Hillで見た種はこれだけなのですが、ここからジャングルの中でテント泊をしながら突き進むとN .edwardsiana等が生えている場所に行けるそうです(地名はMonggisだったかな?忘れた)。

 

 Pig Hillへの行き方はKundasangからピックアップトラックの荷台で農道を突っ走り、そこから非常に急な白菜畑や獣道を登るのですが、距離は短いため総合的にはそれほどしんどくありません。

 ただ保護区であり誰でも入ることが出来るわけではない為、よく詳しいガイドさんや研究者の方と行く必要があります。

 一方最近出来たSwine Hillの方は山道が整備され、エコツアーなどもやっているそうです。正式に行くのであればそちらから申請した方が手続き等簡単なのかもしれません。

 

 

 

 食虫植物自生地図鑑の第2弾はボルネオのマリアウベイスンです。

 

 マリアウベイスンはボルネオ島、サバ州中央やや南に位置する巨大なクレーター状の盆地です。

 この盆地の内側は開発を逃れた原生林が広がっており、各種メディアではボルネオのLost worldなんて言われていたりもします。

 そのため非常に自然豊かな場所であり、ボルネオゾウやオランウータン等貴重な野生動物も多く生息しているほか、植物などで新種が次々と見つかっている地域でもあります。

 

 

 この盆地は南東側がやや削られたカルデラのようにも見えますが、火山活動由来の地形ではなく地殻変動で台地状に隆起した後に、中心部が長い年月を経て侵食されて今のような形状となったようです。

 

 

 盆地の内部は標高1,000m前後、辺縁部は標高1,400m程度のやや標高の高い地域となっています。

 盆地であることからMaliau Basinに降った雨は中央の低い場所に集積して川となり、南東の低い場所から流れ出ます。

 この川は最終的にはキナバタンガン川としてボルネオ島の北東の太平洋へ注ぎ込みます。

 盆地の気温はおおよそ26℃~18℃ぐらい。辺縁部は非常に風通しが良いのですが、中心の盆地部は風が滞ります。

 

 

 上記の通り盆地内部には雨水とそれによって流されてくる有機物が集まることとなるのですが、集まった大量の水は分解者の活動を妨げることで有機物が分解されない、つまり有機物の堆積を促します。

 堆積した大量の有機物からは大量の有機酸(腐植)が溶けだします。こうして有機酸(腐植)を含んだ低pHのブラックウォーターは土壌中の鉄やアルミニウムを溶脱していきます。

 

 

 

 結果的に土壌中には低pHによって溶脱しない珪砂(白砂)が残されることで、珪砂を主体とした白砂林(ヒース林、ケランガスなんて言い方もします)が盆地内で発達することとなりました。

 

 

 白砂林の特徴としては貧栄養土壌であること、それによって樹木の高さが低いこと等が挙げられますが、加えて食虫植物の自生地であることが多いことも挙げられます。

 また、標高が1,000mを超えてくると湿度の高さから蘚苔類が増えてくるのですが、この程度の(中途半端な)標高だと湿度が足りずに雲霧林は成立しません。

 

 

 

 一方で低地よりは湿度が高いため、樹木の1m程ぐらいまでが蘚苔類に覆われるという半雲霧林(?)的な森林が発達します。また、水分量が多いことから地面にはミズゴケが蔓延っており、大雨時等は水が溜まって湿地環境となります。

 

 

 そんな貧栄養地帯に食虫植物、N. veichiiN. reinwardtianaN. tentaculataN. stenophyllaや自然交雑種が自生しております。特に木の幹を完全に抱え込んで登っていくMaliau Basinの木登りビーチは有名です。

 

 N. reinwardtianaN. tentaculataN. stenophyllaの3種は完全な地生種ですが、やや地面が見える場所に生えるN. reinwardtianaN. stenophyllaと、苔から生えているN. tentaculataというように棲み分けているようです。

 

 N. reinwardtianaは林床環境では日当たりが悪く、開けた自生地と比べるとあまり大株にはなりません。

 

 

 

 

 

 

 開花はせずに脇芽からの栄養繁殖をする場合が多いようです。

 緑系も赤系も見られますが、斑点系の袋は見られません。

 可能性としては斑点系は昔他の種が混ざった系統であると考えられるため、開花をあまりしない環境だと交雑の機会が少ないため斑点系があまり存在しない…というのが私の妄想です。

 

 N. tentaculataはGunung Singsing、Kaingaranの記事でも書いたように株ごとの個体差は大きいですが、他の自生地と比較してもそれといった差はありません。

 

 

 

 

 強いて言うのであれば標高が低い自生地の場合、小型の株が多く、苔に埋まったような形で生えていることが多い気がします。

 

 マリアウベイスンのN. stenophyllaはほとんどがN. veichiiと交雑したものです。交雑をするとやや日陰に強くなるようで勢力的には原種が押され気味です。

 

 

 

 

 

 林床では日当たりも悪いので、原種の立派な株はあまり見られませんでした。

 

 

 

 N. veichiiは株によって異なり、地面に生えるものや着生しているものと様々ですが、他のウツボカズラと比べるとやや日陰を好みます(N. tentaculataほどではない)。生える場所も地面の露出部分や苔の上、湿っている場所乾いている場所と様々で、あまりえり好みをしません。

 

 木に登る着生タイプ、いわゆる木登りビーチは葉の出方が独特で、シダの葉のように葉の面が同じ方向を向き続けるよう出ます。これが着生する際には幹を抱え込むように育つのですが、基本的に葉の向きは一緒です。

 抱え込む幹は様々ですが、おおよそ直径が15cm~40cmぐらいのものを好むようで、それ以上でも以下でも綺麗に木登りはできないようです。

 

 

 

 

 

 地生種はとりあえず地面を這いながら葉をいろいろな方向に出し、葉の面が一定ということはありません。着生もしないわけでもないですが、偶然木の上の苔から生えたという感じで大きくなるとうまく木登りできずに株の形が崩れてしまうようです。

 

 

 

 

 

 

 

 もう一種、マリアウベイスンではN. hirustaを見ることができましたが、N. hirustaは内部の白砂林ではなく外縁部付近の登山道の脇で多く見られれます。

 

 

 

 

 

 

 

 基本的には樹林内の日当たりが良くない林床に生育しており、さらっと乾いている場所が好きなようです。

 ロゼット状態のまま這いまわる株が大半ですが、一部の株は徒長し樹冠まで伸びて(多分)開花しているようです。

 

 

 マリアウベイスンへの行き方等ですが、マリアウベイスンは比較的有名なエコツアーもあり、目的に応じた様々なツアーが開設されています。

 我々が行った際には2泊3日のツアーでした。

 

 まずはコタキナバルから6時間ほどかけてマリアウベイスンの入り口(Maliau Basin Reception and Information Building)まで向かって申請等を行います。

 

 

 その後、1時間ほどかけて車で事務所(Maliau Basin Studies Centre)に向かいます。

 事務所ではコテージ等宿泊施設が整っており、スマホやカメラの充電も可能です。

 

 

 ここで1泊したのち、次の日から登山となります。

 

 事務所から車で30分ほど移動したのち、登山をするのですが我々が止まったNepenthes Campという小屋まではおおよそ6kmで700mほど登山することになります。

 

 

 ただし、盆地の辺縁部にまで登ってしまえば後は下りと平坦部となっており、それほど難所もないため比較的初心者でも行きやすい道となっております。

 

 

 Nepenthes Campは二段ベッドやトイレ&シャワー等が備え付けられております。

 ただシャワーは雨水由来ですし、トイレは正直綺麗ではありません。

 また、小屋の周りにはヒルが多く生息しており、十分気を付ける必要があります。

 

 3日目はNepenthes Campから自生地に出発後、再度Nepenthes Campに戻ってきて、そのまま下山しました。

 

 上記の通り難所もなくそれほどきつい登りもないため初心者向けの自生地となっています。

 11月16日(土)、17日(日)の2日間にかけて食虫植物の聖地、兵庫県立フラワーセンターで食虫植物祭があります。

 X(旧Twitter)やインスタ等では盛んに宣伝されておりますが、さらなる宣伝を!!ということで勝手にアメブロの方でも宣伝しようかなと。

 

 詳細は以下のサイトの方に飛んで頂ければそれだけで済みますが、それでは少し味気ないのでちょっと宣伝文句も書かせていただきます。

 

 

規模の大きい食虫植物オンリーイベント 

 今でこそ各地で規模の大きな植物の販売イベントが開催されるようになりましたが、基本的には総合イベントです。

 また、夏に各地で食虫植物の販売会も開催されますが、これは一部の愛好会や業者のみの参加であり、規模というとそれほど大きくはありません。

 

 しかし食虫植物祭はまさかの食虫植物オンリーという激マニアック路線かつ、全国区レベルの出店者を集めたイベントです。

 全国の食虫植物の愛好団体、業者、趣味家が一堂に会する機会は基本ありません。

 なので”祭”なんですかね?由来はちょっとわからないですが、全国区レベルの”祭”に相応しい規模となっております。

 

とんでもない出店者数 

 上記の通り日本全国から食虫植物の業者、愛好会、趣味家が集まり食虫植物を販売します。

 

 この食虫植物祭の販売において最大のポイントは出店者がプロ(業者)だけでないということです。サイトには出店者として12名(団体)が挙げられておりますが、愛好会は趣味家の集合体なので、実態としては出店者の集合体となります。

 加えて委託販売されている方もいますし、普段あまり販売等されていない方も参加されます。

 つまり、この祭では記載されている12名(団体)以上の出店者より、文字通り日本全国の食虫植物や商品が集まってきて販売されるということです。

 

 並ぶ食虫植物も、集まる面子的に想像しますと…

 ウツボカズラの高山種・低地種、ハエトリソウの様々な選別・変異株、ムシトリスミレの温帯種・北米種・南米種、ミミカキグサの熱帯種・高山種・タヌキモ系の水草タイプ、モウセンゴケの温帯種・熱帯種・球根ドロセラ・ピグミードロセラ、サラセニアの原種や交配種にセファロタスにロリヅラ、ヘリアンフォラ各種、ブロッキニアにムジナモ、ダーリングトニア、その他変わり種の植物、食虫植物に関わる本や制作物などなど…

 

 という訳で、ホームセンターで並ばないどころか通販やネットオークション、各地で開催されている食虫植物の集会や販売イベントでも入手できないものがズラリと並ぶかと思います。

 

 日本国内の食虫植物の販売イベントでこれ以上の規模(面子)を望むのはちょっと難しいでしょう。

 第二回でこの規模であれば第三回はどうなるんでしょうね、海外からも呼ぶのでしょうか(笑)

 

趣味家の集まりと交流 

 このイベントは買うだけのイベントではありません。

 

 出店者だけでなく、趣味家も関西だけでなく全国津々浦々から集結しますが、一部の方は食虫植物を買っても帰りません。

 1日だけどころか宿泊までして2日間連続で参加し、2日間ずっとお喋りしまくる人もいるでしょう(笑)

 

 このイベントが他の植物販売イベントと決定的に異なるところは、このように販売だけではなく“交流”が主な趣旨というところだと個人的に思います。(サイトにも「愛好家同士の交流の架け橋となり~」と書いてありますし)

 

 勿論人付き合いが苦手で買うだけ~という方も、存分に楽しめるイベントであることは間違いありません。

 一瞬の立ち寄りでも、10分ぐらい回ってみて買ってさっさと帰るのもアリ!

 

 しかし、願わくば初心者からベテラン、業者まで交流してくれれば嬉しい。

 そのようなイベントとなっております。

 

食虫植物の聖地での開催 

 日本全国色々植物園はありますが、食虫植物はここ、兵庫県立フラワーセンターがNo.1と断言できます(世界的にも多分そう)。

 購入とお喋りに疲れたら少し園内をぶらついて、その日本一の食虫植物の展示品を気軽に見て、その場で盛り上がれるのもこのイベントだけです。

 2日目には土居氏の講演会もありますし、(講演会は事前予約必須ですが)お暇なときにはぶらっと会場に来て話す機会もあるかと思います。

 一般的な展示会や講演会と比べて素晴らしい展示品や講師の距離が近いのも魅力かなと思います。

 

 

 

 

 

 という訳で私の個人的な宣伝をさせていただきました。

 

 ただひとつ、懸念があるとすれば、兵庫県立フラワーセンターのアクセスの悪さ!

 電車とバスでも行けないわけでもないですが、お勧めはしません…

 ただ前回(2022年)の反省から臨時バス等も走りますので、その辺は公式サイトで十分確認して(申請がいるならさっさと申請して)、足をしっかり確保して来られてください。

 

 

 

 では、11/16(土)、17日(日)に兵庫県立フラワーセンターでお待ちしております!!

 自生地食虫植物図鑑の第一弾はGunung SingsingとGunung Kaingaranです。

 

 この2つの山はトラスマディ森林保護区内の山であり、トラスマディ山からSingsingは約9㎞、kaingaranは約13㎞程北東の位置にあります。

 そこそこの距離がありますが後述の通り1つのルートとしてこの2つの山に登るため、今回一緒に紹介させていただきます。

 

 

 かつてマレーシア国内の標高が高い山は、キナバル山(4,095m)、トラスマディ山(2,642m)、タンブユコン山(2,579m)、ムルド山(2,424m)、ムル山(2,376m)の順番でした。

 しかし2018年にGunung Singsingがマレーシア国内で3番目の標高なのではないかと話題となったことがあるそうで、2023年に測量が行われ、正式に標高が確認されました。

 結果、3番目と5番目にSingsing(2,603m)、Kaingaran(2,468m)が新たに入ることになりました。

 

 そしてどのタイミングかは分かりませんが、この2つの山でN. macrophyllaの自生が確認されていたことから、食虫植物界隈でもN. macrophyllaの新しい自生地(New Location)として話題となったようです。

 ただ、新しい山だったので登山のためのルートや手続き、施設等が当初整っておらず、その後のコロナの影響もあって外国人の登山の機会がしばらくありませんでした。

 我々はコロナ対策の緩和が進む中で申請や準備を進め、コロナ明け早々にボルネオに行って山を登ったのですが、タイミングにも恵まれて我々日本人3名が外国人として初めての登山者パーティとなったようです。

 

 山としてはSingsingもKaingaranも標高が2,400mを超えており、気温は一年中20℃~10℃を下回ります。

 こう書くと毎日規則正しく気温が上下するようにも感じられますが、我々が行ったときは常時16℃ぐらい。

 日が照ると赤外線で少し暖かいなとか、風が吹くと寒いなと思う程度で、百葉箱感覚だと気温の上下はそれ程しないものと考えられます。

 

 一日中からっと晴れることは珍しく、晴れたとしても基本午前中、あるいは夜間だけです。昼前ぐらいから霧や雲が発達し始め、完全に覆われると薄暗い雲霧林となります。

 標高が高すぎるためあまり雨は降りません。しかし100%近い湿度+雲や霧のお陰で大量の水が結露します。

 

 地質的にはトラスマディ山と同じく堆積岩系の山であると考えられ、2,400m~2,600mの稜線は削られて非常に鋭く、切り立っており険しいです。

 稜線の幅は20m前後しかなく、背の低い高山特有の木々が岩盤にへばりつくように生えており、水が溜まるような平場には落ち葉や朽木等(リター:litter)が分解されずに溜まってドロドロの湿地となっています。

 

 

 ここではN. lowiiN. macrophyllaN. tentaculataと自然交雑であるN. × trusmadiensisを見ることが出来ます。

 トラスマディ山と見ることができる種類や環境自体は変わりませんが、違いを述べるのであればN. × trusmadiensisの多様性でしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本家本元のトラスマディ山ではN. lowiiN. macrophyllaはゆるやかに棲み分けておりあまり混生していません。そのため交雑の機会が少なくN. × trusmadiensisの数もそう多くはありません。

 しかしここではN. lowiiN. macrophyllaが混生しているために交雑の機会が多く、N. × trusmadiensisの数も多く見られます。

 

 

 

 勿論全て遺伝子的にバラバラなのでN. × trusmadiensisの姿もバラエティ豊かで、様々な個体を見ることが出来ます。

 

 

 

 N. lowiiやN. macrophyllaN. tentaculataといった種はトラスマディ山と大きな違いはありません。

 

 N. macrophyllaはトラスマディ山固有の種とは言われておりましたが、そんなことはありませんでした。

 この種は種内でも多様性が見られ、色も様々、形も口が広いタイプやティアドロップ型等色々見られます。方々で言われているように昔にN. lowiiが混じったりしているのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 N. lowiiは尾根に、N. macrophyllaはやや谷に生えておりN. lowiiの方が日当たりや通気が好き…なんて言われたりもしますが、自生地ではそんなことはありません。

 N. macrophyllaの方がより低温を好むため、標高が低いとやや日当たりが悪くて涼しい所を選好するというだけで、標高が高ければ普通に日当たりの良い所に生えています。

 

 

 

 

 着生種というより苔生種であり、地面でも樹皮でも苔が生えている所に埋まって生えています。大きくなるにつれてビカクシダのように自らの古い葉やリターが集まって一種の空中土壌(?)を作り、脇芽やらなんやらを伸ばして巨大化していくようです。

 種小名”大きな葉”の名の通り、成株の葉は40㎝以上、枝の太さも親指程となります。袋も1Lペットボトルに前後のサイズまで作るようです。

 

 

 餌として何を食べているかですが、登山中にツパイの姿は見ており、またN. macrophyllaの袋内の水が糞で汚れていたことから教科書通り糞食いなのだと思われます。

 

 

 また、大量のボウフラが袋内で繁殖しており、そういった死骸・食べ残し・老廃物も栄養として利用しているのだと考えられます。

 

 

 トラスマディ山系列のN. lowiiは袋の襟にストライプが残りやすく、やや小型です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 N. macrophyllaと異なりN. lowiiは上記の差異以外はほぼ同じです。

 山が遠く離れたキナバル山やムルド山等でも大きな変化は見られず、カリマンタンまで行ってやっとN. ephippiataぐらい差が出てくるということについて、非常に興味がそそられますが、栽培家としてはう~む…という感じです(笑)

 生育環境としてはN. macrophyllaと比較してこちらの方がやや高温が好き。恐らく2,600mぐらいがこの種の生える限界なんだと思われます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 生える場所は苔でも土でもわりかしえり好みしない印象で、どこにでも生えています。ただ日当たりが悪い&通気が良くない場所については一目で弱弱しくなる or 生えないような感じでした。

 

 

 

 

 餌について、ツパイの糞をよく捕食して汚れている印象を受けました。あと、袋の中に糞やらリターやら色々溜まって詰まってしまっているのもありました。

 

 

 N. tentaculataについては、個体差は多様なものの山ごとの特徴というものはあまりありません。

 

 

 

 

 

 

 自然下ではあまり開花せず、脇芽から栄養繁殖ばかりしているようで、そのコロニー(?)毎に異なるという感じです。

 それで何故個体差が多様なのかは謎。

 生育範囲は広く、1,000mを超えたぐらいから2,600mの稜線上にまでどこでも生えています。ただ、日当たりが良すぎたりやや乾燥する所は避けるようです。

 

 

 

 

 この山の登山行程はスタート地点からベースキャンプであるErick Base Campで一泊、ベースキャンプからSingsingを通過し奥のKaingaranで引き返してきて2泊、最後に下山で3泊が一般的であり、距離としては往復26kmあります。

 

 スタートからベースキャンプまでは7㎞ほど。最初~中盤は緩やかな山道で最後2㎞が急な山道となります。これで計600m程登ります。

 ベースキャンプは標高2,300mぐらいにあり、夜間は10℃程まで下がります。そのため防寒着は必須です。

 掘っ立て小屋とハンモックがあるためテントは必要ありませんが、シャワーはありません。水浴びをする場合、トイレを流す沢水を浴びることになりますが、気温10℃で10℃以下の沢水を浴びることは現実的に不可能でしたので、シャワーはなしと考えてください。

 

 ベースキャンプからSingsingの頂上までは距離1㎞で標高差300m程度です。そこからKaingaranまでは5kmあるので、ベースキャンプとKaingaranの往復で計12㎞、アップダウンが計14回で標高差2,100m分とかなり過酷な山行となります。

 

 

 

 

 食虫植物の自生地としてはベースキャンプから一旦稜線上まで登った所からSingsingの頂上までが最も密度が高く、その後は散発的という感じでしょうか。

 我々が行った際にはガイドも登ったことがなく、情報が全くなかったため一般的な2泊3日の超辛いツアーとなりました。

 ただ今回我々が登ったお陰でウツボカズラを見るだけであればSingsingの頂上までで十分ということが分かったので、1日目で登山、2日目でSingsingまで行って引き返し下山する1泊2日の短縮ツアーが出来たようです。

 

 Kaingaranからまだ奥の道が存在し、N. chanianaN. zakriana等が見られるほか、トラスマディ山へ続くロングルート等もあるそうですが、それらは登山ガチ勢にお任せしましょう。

 食虫植物の育て方はX(旧Twitter)やラインのオープンチャットで聞いたり、本を読んだり、各地で実施されている食虫植物の集会やイベントで聞けば良いのですが、国内外の自生地の情報は正直少ない…

 で、私の昔の自生地記事は正直読みにくい。

 

 ということで自生地に特化した食虫植物自生地図鑑をまとめようかと思います。

 細かい情報はともかく、自生地の雰囲気が分かるような写真メインの記事にしたいな~なんて。

 今後も少しずつ記事を更新して、リンクを貼っていきたいと思います。

 

 

日本 

高山(1,000m~)

 ・北アルプス

 ・南アルプス

 ・日光火山群

 ・鈴鹿山脈

 

低地(0m~1,000m)

 ・関東平野

 ・九十九里平野

 ・房総丘陵

 ・伊豆諸島

 ・東海丘陵湧水湿地群

 ・奥琵琶湖

 ・古琵琶湖層群

 ・湖南アルプス

 ・京都盆地

 ・奈良盆地

 ・生駒山地

 ・瀬戸内ため池群

 ・瀬戸内島嶼群

 ・南紀海食崖

 ・やんばる

 

シンガポール 

Lowland(0m~)

 ・自然保護区

 

マレーシア 

 サバ州

Highland(1,500m~)

 ・Gunung Minod Tuhan

 ・Pig Hill(Swine Hill)

 

 ・Gunung Singsing、Gunung Kaingaran

 

 ・Gunung Alab

 ・Gunung Trusmadi

 

Intermedia(1,000m~1,500m)

 ・Maliau Basin

 

 ・Gunung Mantapok

 ・Mamut Mine

Lowland(0m~1,000m)

 ・Ranau

 ・Beaufort

 

 サラワク州

Highland(1,500m~)

 ・Gunung Murud

 

Intermedia(1,000m~1,500m)

 ・Bakelalan

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2023年のボルネオ遠征も沖縄も2024年の遠征もなんも記事進んでいないけど、とりあえず枠だけ作っておきま~す。

 

8日目

 

  Mount Sinsing

 正直私はこの日を一生忘れないでしょう。

 

 日の出前、気温が10℃の中起きて身支度と朝食。

 

10℃!寒い!!

 

 

 

 一緒に来ていた地元民のパーティは我々より早くに身支度をして出発していきました。

 我々の目的は植物を見ることですので、暗いと何も分かりません。そのためやや明るくなるまで出発を待ちます。

 

 またガイドからの注意点。

 「朝6:00前に出発をするが、帰路のことも考慮して昼12:00にはどこにいても引き返すこと。」

 

 本日はピストン縦走です。

 普通の登山と異なり登って降りる、行って泊って次の日に帰るということをしません。

 同じ道を往復するので帰り道にも同じ時間と労力がかかります。

 それどころか帰りは疲れているのでさらに時間がかかる可能性もあります。

 そのため最長でも行きに6時間、帰りに6時間で合計12時間。これが限界。

 そうでないと日没までに間に合いません。

 

 まぁ12時間もかからんやろ(笑)

 

 

 ベースキャンプからMt Sinsingまでの頂上までは約2.0㎞、標高400mほど登ります。

 ヘッドライトを頭につけ、日の出前の真っ暗闇の中ひたすら登り続けると、大体1km進んでいつの間にか稜線上に出ました。

 そしてそこはN. lowiiN. macrophyllaの大群生地帯でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一般的に(というよりトラスマディ山では)N. lowiiは風通りと日当たりが良い場所に、N. macrophyllaはやや谷っぽい、奥まった場所に生えているというのが通説です。

 しかしここでは全く同じ、山の稜線上で背の低い木々に絡んで生えています。

 というより稜線上であるため全体的に樹木の背が低く、N. lowiiN. macrophyllaも同じような場所に生えてしまっていると言う方が正しいのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 確かにやや日当たりの悪い所にN. macrophyllaが生えている傾向はあるのですが(というより奥まった場所にはN. lowiiが生えていない)、明確に住み分けている!!と言えるほどではなかったように思えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この場所は稜線上なので風を遮るものは何もなく、気温はかなり低いです。

 

 

 

 

 20℃-8℃とかなんじゃないでしょうか。

 先日のG Minodtuhanと異なり地面は水たまりだらけ泥だらけのびしょびしょのぐしょぐしょですが、苔は比較的乾いています。地面がより砂っぽいというか泥っぽいというか…水はけが悪い感じです。

 ここまで登ってくる際にも標高が2,000m近くになってもあまり雲霧林っぽくありませんでしたので、比較的(雨が降らず)乾燥しているのかもしれません。

 用土はこちらも大量の有機物の中…という感じでしょうか。

 ただしこちらは実生株の数も多く、そういったチビ苗はザ・自生地!!という感じの苔の上などに生えておりました。

 

 

 

 

 

 N. macrophyllaN. lowiiも稜線上のあちこちに生えており、両種のトンネルなんてものも。

 

 

 

 

 

 これはすごい!!

 

 またN. ×trusmadiensisの数もめちゃくちゃ多い!

 

 

 

 

 

 

 両種が同じ場所に生えているからでしょうが、そもそもN. macrophyllaN. ×trusmadiensisも、本来はトラスマディ山の固有(雑)種と言われておりました。

 実際は(種子が空を飛んで広がるので)そんなことはなく、周辺の山にも生えてはいると報告はあるのですが、それにしてもN. ×trusmadiensisここまで多いのは驚愕です。

 自然交雑種であるN. ×trusmadiensisは本家トラスマディ山でもあまり多くはないという話でしたのに…

 

 そしてN. ×trusmadiensisは自然交雑種ですのでバラエティも非常に豊か。

 

 

 

 

 

 

 

 N. lowiiっぽいものもあれば真っ赤なもの、ストライプが入っているもの、逆にN. macrophyllaっぽいものなどなど。

 こんなN. ×trusmadiensis見たことないで…と言わんばかりに生えております。

 

 こんな環境がSinsingの頂上まで1kmほど続きます。

 私は夢中でぱしゃぱしゃやって時間も疲れも忘れておりました。

 ここはすごい所や!!

 

  Mount Kaingaranまでの縦走

 写真を撮りながらゆっくり平らな稜線上を歩いていき、稜線の終了である2㎞地点がMt Sinsingの頂上です。

 

 

 そこからは急激な下り。

 嫌な感じしかしません。

 

 Mt Kaingaranまで残り4㎞ちょっと。

 急激に数百m下って稜線上まで急激に登ってを何度も繰り返します。

 Mt. Sinsingを過ぎてもベースキャンプから3㎞地点ぐらいまで(Mt. Sinsing頂上から1km)はやや鬱蒼とした雲霧林でN. macrophyllaが生えているのですが、そこから先は稜線上でもN. lowiiN. tentaculataぐらいしか生えておりません。

 疲れすぎて記憶もおぼろげですが、7回ぐらい谷と山を上り下りしたんじゃないでしょうか。

 

 何度も繰り返される同じようなくっそきつい上り下り。

 

 

 

頂上へ上ると次登る山頂が見え、頂上へ上ると次登る山頂が見え、頂上へ上ると次登る山頂が見え…

 

 

 基本生えているのはN. lowiiN. tentaculataばかり。

 

 

 

 

テンタの開花株は自生地下では初めて見ました

 

 この時点でもう私の心は折れかけておりました。

 

 そして必死に這って歩いて10:30頃の1.5km地点で、既にゴールまで行って戻ってきたガイドさんと遭遇。

 Mt  Kaingaran直前にめちゃくちゃでかいネペンがあったけど他にめぼしいものはなかったこと。

 折り返し地点のKaingaranの頂上は木に覆われており別に景色も良いわけではなかったこと。

 12:00には引き返すようにと言われてもう本当にやる気はなくなっておりました。

 が、でかいネペンは見たいと。それだけが先に進むモチベーションでした。

 

 そして11:45頃300m地点。

 ガイドさんの言っていたでかいネペンと遭遇。

 

 

 

 3㎞地点から一切出現しなくなった巨大なN. macrophyllaが一本生えていました。ややN. ×trusmadiensisの気を感じますが一応牙も立派です。

 何故ここにだけ残っているのか不思議です。

 そうして(写真を撮りまくっていたため遅い)同行者と一緒に写真をパシャパシャ撮っていたのですが…

 

 その瞬間ぶわぁ~っと目の前の霧が晴れて、最後のMt Kaingaranまで至る最後の谷と山があらわに…

 

あれが最後の山、Mt Kaingaran。

私の絶望した光景(笑)

 

 最後300mでまだ下って登るんかい!

 もう無理や!!!(´;ω;`)

 

 という訳で私の心は完全に折れてしまい、同行者は最後まで進むものの、私は300m地点で昼食をとって引き返すことにしました。

 

 といっても既に5.7kmの縦走を6時間ほど行って体力は空っぽ。

 しかもメンタルブレイクもして歩くモチベーションも出ない。

 あまりにも疲れて歩けないからかMt Kaingaranの最後まで登った同行者二人にも帰路中に追い抜かれました。

 疲れと精神崩壊しすぎて稜線上から飛び降りたら気持ち良いやろなぁ~とか考えたり、急に叫んでみたりと頭がバグりながらも何とか這いながら進みます。

 そして残り一本の登山ストックを同じように体勢を崩してポキリ。

 ストックを2つとも失いました(´;ω;`)

 

 這う這うの体でやっと3㎞地点、N. macrophyllaが出現するエリアに。

 

 なんかもうN. macrophyllaが現れ始めるとゴールが近いと思っていたのですが、まだ3㎞もあります。

 しかもアップダウンはまだまだ続き、最後の最後でボルネオ3番目の山、Mt Sinsingの頂上までまた登らなければいけません。

 

 ……なんとかSinsingの頂上まで登ってきたとき時刻は16:52。

 

 

 朝通ったときは7:24だったので7.4kmの縦走を9時間30分ほどかけたことになります…。

 稜線上に出てしまえばあとはネペンだらけの1㎞ぐらいの稜線と下るだけの道。

 しかし体力の限界も限界だった私はネペンの写真も撮らずにそこからも這うように歩き続け…

 

 日没直後。真っ暗な山道を下って人の声とベースキャンプが見えた時は思わず涙が出そうでした。

 

 出発時:5:45頃。

 帰還時:18:30頃。

 総歩行時間:12時間45分。

 総歩行距離:11.4km。

 アップダウン:(後日判明したところによると)2,100m

 

 MantapokとかMinodtuhanとかがかすむぐらいのしんどさでした。

 筋肉痛とか疲れすぎて逆に吹っ飛びました。

 そもそも平地でも11kmはなかなか歩かない距離ですが、加えて何百mのアップダウンは想定しておりませんでした。

 正直片道で1登山ぐらいの体力を使いまして、良く帰ってこれたと思います。

 

 疲れすぎてもう何もできません。

 

 

 飯食って早々に就寝。

 

 9日目につづく。

 

7日目

 

  ERICK BASE CAMPまでの登山

 本日からが本番。

 

 

朝飯はしっかり食う

 

 という訳で今から登るMt Sinsingの説明をば。

 

 Mount Sinsingはトラスマディ系列の標高が2,603mある山であり、マレーシアにおいて3番目の高さを誇る山です。

 なお、以前まではキナバル山系列のMt Tambuyukonが3番目(2,579m)でした。

 マレーシアNo.2のトラスマディ山の北東にある山ですが、標高自体は数十mほどしか変わりません。

 Mt Sinsingの名が出てくるのは2019年の記事からで、それ以前のマレーシアの標高が高い山ランキング等では名前が出てきません。

 そのため再度の測量等によって順位が入れ替わった等ではなく新しく発見された山ではなかろうかと。

 よくこんな山未発見やったな。

 また、登山ルートとしてはこの山一つだけ登るのではなく、ランキング5番目の標高2,468mのMt kaingaranへ縦走していくコースが一般的となっております。

 

 

 この山は2019年の夏ごろ、つまりコロナ騒動の前年にNo.3として知名度が上がった山ですが、トラスマディ森林保護区内ということで海外から行くには色々手続きが必要。

 しかし許可が下りるにも半年弱待たないと行けない状態。

 しかも冬は雨期なので登山なんてできる状況でもなく。

 2020年の適期に…だったところでコロナ禍になってしまい…

 

 ということでこの山はあまり外国人旅行(登山)客が登れる状況ではありませんでした。

 ガイドさんも外国人の対応をしたのは今回が初めてだということです。

 

 普通に登っていた地元民もいたようなので情報自体はあるのですが、彼らは別にウツボカズラを見に行っている訳ではありません。

 そりゃあ写真は少し撮るでしょうけど。

 

 という訳で登るまでに分かっていたのが、”大体どんな標高でどんなルートなのか”、”スタートから帰ってくるまで3日間かかる”、”山のどこかにトラスマディ山以外でN. macrophyllaが生えているらしい”、"N. lowiiも生えているらしい" 程度の情報しかありませんでした。

 きついか楽かも分からんかった(笑)

 

 う~ん、なんも分からん(笑)

 一応ガイドさんからGPSデータも送られてきており、初日にスタート地点から6.0km、標高差800mほど登って標高2,200m近くにあるベースキャンプで一泊。

 次の日にベースキャンプから2km先のMt. Sinsingの頂上を経由し、さらに奥のMt. Kaingaranまで4㎞縦走。

 その日のうちに再度6㎞縦走してベースキャンプまで戻ってくる。

 明後日はベースキャンプからスタート地点まで下山。

 

 …という感じ。

 

 

 まぁ、Minodtuhanよりは登らんし、一日に12kmも歩くということは(きついと帰ってこれないので)楽でしょう!!

 な~んて甘く考えていたのですが、後々後悔することに…

 

 

 という訳で登山を開始!!

 

 

 

 

 

 

 最初の1㎞ちょっとは緩い山道です。

 ただし地面がかなりぬかるんでおり少し心配に。

 Minodtuhanでも”地面のぬかるみ”はなかった。

 

 ただ身体の不調はともかく、体力という意味では慣れたのかすいすいと進みます。

 たくさん写真を撮る余裕もあったり。

 

葉が細いLiparisの仲間?

 

Eriaにも見えるけど…分からん

 

スギゴケのでかいやつ

 

ベゴニア

 

ヒカゲノカズラ系のシダ

 

赤いセラギネラ

 

Dawsonia longifolia

結構どこにも生えてるんやね

 

 その先は急に拓けて、トラックも走れそうな切り開かれた道を3.5㎞進みます。

 

 

 

ベゴニアも面白いんやろけどなぁ…

 

 既に4.5㎞進んでおりますがそんな標高を登っておりません。

 

 …やばくね?

 

 と思ったらやはりそこから急に傾斜がきつくなりました。

 

どこをどう登ればええねん(爆)

 

 ただ、2回目の登山ということで身体も慣れ始めており、塩分補給も積極的に行っていたためG Minodtuhanよりは楽勝です。

 結構平らな場所も多かったですし。

 

 あまり雲霧林が発達していないのか、標高が上がってもジャングル内の景色はあまり変わりません。

 

比較的サンヨウベニホタルを多く見ました

 

 

Kuhlhasseltia javanica

可愛い、蘭展とかで見つけたら買ってみようかな

 

ジュエルオーキッド…に入るんかな?

葉の形はホテイランとかトケンランっぽいですね。

 

 

 

コケシノブの仲間…なんかな?

すごい繊細で綺麗

しかも草体はかなりでかくなる

 

Dawsonia longifolia

標高が高い方が密集してる気がする

 

なんかおもろそうなもんないか探したけどなかった

 

Liparis系の黄色い花

 

もう何もわからん

 

 標高2,000m付近までようやく登っておなじみN. tentaculataが出現するように。

 

 

 

 

 

少し丸系

 

 

テンタはここでもたくさんある

 

 その先にはN. lowiiも二株だけありました。

 

あんまし良い状態ではない

 

 N. lowiiポイントを過ぎてやや平らな場所を歩いていると、ポーターさんよりこの辺はコリバスポイントだよと教えてもらいました。

 狭い範囲に10株ほど。数株は咲いておりました。

 

 

 

 

コリバスも見た目が似ていて何か分からんね

 

 あるだろうなと思いつつ、見つけられないと思っておりましたが、花まで見ることが出来てご満悦です。

 

 その後もするすると楽に登って2,200m地点のベースキャンプに到着することができました。

 

 

 

 

 

 コリバスポイントからポーターさんを置き去りにしており、また汗で凍えながら暖かいサバティーをすすります。

 

 写真を撮りまくっていて遅れた同行者とポーターさんも到着し、着替え。

 

 このベースキャンプ、斜面に建てられておりますが屋根はきちんとあり、一人一人の寝るスペースとしてハンモックのようなものがあります。

 ただ我々のパーティと3人の地元民パーティしか今回登っておりませんでしたので、隣のハンモックを物置代わりにして自分の寝床を確保しました。

 

 さて、明日が本当の本当の本番です。

 

 

 という訳でさっさと飯食って就寝。

 

 …ハンモックの微妙な角度のせいでひざに負担がかかりなかなか眠れませんでした(´;ω;`)

 

 8日目につづく。

 

6日目

 

 後半戦です!!

 

  6日目のルート

 

 

  焼き畑とPig Hill

 早々に寝たので体力もかなり回復しておりました。

 窓の外を見ると一瞬キナバル山が。

 

 

 本日は良い日になりそうです。

 が、登山靴はまだ乾いておらず…

 

 濡れたままだと足の皮のめくれが心配です。

 もし真皮までべりっとめくれてしまえば体調が良かろうがもう登山どころではありません。

 どうするかと考えていたところ、朝食時に同行者がドライヤーをフロントに返しておりました。

 どうもドライヤーを借りて二刀流で靴を乾燥させていたようです。

 

 朝食後出発までの30分、私も真似したところ靴は一瞬で乾きました。

 すげーわ。

 一部の半乾きの服も乾燥させて準備満タンです。

 

 という訳で今回の目的地はPig Hill。

 ここの地名も時折聞きますが自生地の情報はあまりありません。

 場所はMamut鉱山跡地と同じくキナバル山の東南東方角。

 しかしPig Hillはより近く、こちらはほぼキナバル山の麓となります。

 標高は2,000mほどの丘で、山と言えるレベルのものではありません。

 南側は焼き畑等で完全に拓かれており、標高の高さを利用してハクサイやトマト等の高山の野菜を栽培しています。

 

 ここに行くために先ずは麓のKundasangという街でPig Hillの保護官に許可を取りに行きます。

 

 

 かなり著名な方でネペンランドさんは10年前にも案内して頂いたそうです。

 ガイドさんと合流し、車を乗り換えるというので別のピックアップトラックに乗り換え。

 我々は3名なので車内に乗りましたがもう一方はガイドさんやら人が多いので荷台に乗っています。

 

 

 日本では基本的に許されない荷台乗りですがマレーシアでは普通で、荷台に座席まで固定してあったりします。

 

 そのままガタゴトと山岳部へ。

 といっても一面畑の中の農道を一気に車で登っていきます。

 この時点で標高はおおよそ1,800mぐらい。

 

皆さんお仕事中

 

 

 

 

一面ハクサイ畑

 

 どんでもない凸凹の農道を登っていきます。

 荷台乗りの方々は大変そうですね(笑)

 

 30分ほどごとごと走って畑の端へ。

 

 ここからは徒歩で登ります。

 畑と言っても区画整備等されておらず、開拓した斜面に野菜を並べているような感じ。そんな中野菜を踏まないように畑を登っていきます。

 勿論車や農作業車が入れるような道はなく、全て手作業です。

 周りの仕事をしている農家さんはたくさんのハクサイを背負って上り下りしているのですが、我々はもうしんどい。

 あれを毎日繰り返していれば兼業でポーターをやるのもうなずけます。

 正直籠いっぱいに積んだハクサイの方が重そう。

 

 そうしてお仕事中の農家を尻目に畑と森の境界へ。

 一応ここから保護区であることが分かるようロープが張ってあり、標識もついています。

 道は獣道のようなものが1つ。ここを更に登っていきます。

 

 

感じがMaliau Basinに似ている

 

ミズゴケ

 

 森に入ると先ほどまで汗ばんでいた空気が一瞬で冷えました。

 地面はぐしょぐしょ、踏み込むたびに水が染み出す感じ。

 ミズゴケがあちこち生えているぐらいです。

 雲霧林…というよりはやや高地の熱帯ヒース林という感じでしょうか。

 全体的に樹木の背が低く、せいぜい2~3mぐらいです。

 

 

kinabaluenseかな

 

謎の蘭

 

Liparis属の何か

蘭に詳しい人に聞くと(貴重なので)アンタッチャブルな種らしい

 

 

 

 

N. tentaculataもあります。

 

 マリアウベイスンに雰囲気が(標高はこちらの方が高いですが)似ているという感じ。

 そんな背の低い斜面に広がる藪を200mほど登ると…

 

 N. rajah!!!

 

 

 

まぁ、N. rajahもアンタッチャブルな種か…

 

 こんな藪の中に生えているんですね。

 

 徒長しまくって森の中に3mも4mも伸びまくっております。

 

これでもMAXサイズではない

 

 

 N. rajahは小さいおうちで育てているサイズから両手を広げて届かないレベルの大物まで群生しています。

 

 

 しかしどの株も袋はついておりません。

 

枯れてた

 

 自生地のラジャも袋を付けないようで安心(笑)

 

 そうこうしているうちにN. burbidgeaeも見つけました。

 

 

 

 Mamut鉱山跡地で見つけた株は袋が開いていなかったのですが、こちらではアッパーピッチャーが綺麗についております。

 

 

 

 N. rajahN. burbidgeae環境は上記の通りびしょびしょ。

 歩くと地面の腐植から水が染み出しますが、土壌全体がずるずるなのではなく、上に載っている有機物層がスポンジのような役割を果たしている感じ。

 用土の乾湿のメリハリ?なんやそれ状態でした。

 気温は24℃-15℃ぐらいでしょうか。夜間は背が低いながらも鬱蒼とした森であまり気温は下がらなさそうです。

 日照はあまり良くありません。背の高い木々が少ないとはいえ森の中です。

 標高がやや低め(2,000mちょっと)なので気温が上がりにくい藪や森の中に生えていると考えられるかもしれません。

 これがもう少し標高の高いキナバル山とかだともっと日当たりのよい所に生えているんでしょう。

 

 N. rajahはあちこち踏まないように気を付けないと歩けないほどたくさんあるけど、大きな袋がないなぁと皆で手分けして藪漕ぎをしながら探していると…

 

 ガイドさんがあった!あった!と叫びました。

 

 

カエルの卵

陸産貝類かもしらん

 

 人の顔よりはやや小さいものの立派な袋です。

 皆かわりばんこで自撮り写真や写真を撮ります。

 

 時期的なものなのか非常に立派すぎる株はたくさんありましたが、あんまり袋はありませんでした。

 こればかりは仕方がないですね。

 

 

 ひとしきり騒いだ後でさぁどうする。

 …N. ×alisaputranaを見に行くかと。

 ここから少し離れたところ、この丘の反対側あたりにN. ×alisaputranaがたくさん生えているらしい…ということで少し来た道を戻ったのち、違う方向へ向かいます。

 

 列を作って藪漕ぎをして(蘭を見ながら)進む一行。

 

花が小さすぎる…

 

Coelogyne radioferensかね

 

 

パフィオ

残念ながら花はない

 

 そんな中私はきょろきょろ。

 日当たり良し、水豊富、植生貧弱…

 こういう所にはアレがある…

 見つけた!

 

 

 

 U. striatulaです!!

 

 

 ガイドさんも含めて皆ネペンテス(か蘭)ばかり見ていてウトリは眼中になかった模様。

 私も今まで怪しい所をずっと探していたのですが、今回はこの山のこの石にしかついていませんでした。

 

 

 

 

 

 珍しい種類でもないのですが、あんまり生えていないのですね。

 

 途中にも色々ネペンテスを見ながらさらに藪漕ぎ。

 

 

 

 N. tentaculata

 ここでもたくさん生えております。

 気持ちG minodtuhanより色が好き。

 

 

 N. tentaculataの交雑種。

 N. burbidgeaeとかかっているのでしょうか。

 N. macrovulgarisN. hirsutaっぽくもないので不明です。

 そういや今回N. hirsuta見んかったな…

 

 

 新種の可能性がある株。

 残念ながら袋はありませんでしたが、N. zakrianaの交雑種、あるいは新種の可能性があるという株です。

 N. zakriana自体はこの辺に生えておらず、ここに数株だけ生えているという謎多き株でした。

 確かにN. zakrianaとは葉の感じがちょっと違うんかなぁという感じ。

 知らんけど。

 

 そして…ありました!

 

 

 

 

 

 

 

 N. ×alisaputranaです!!

 本来自然交雑種というものは珍しく自生地でも滅多に見ることが出来ないのですが、この地域では非常にたくさんのN. ×alisaputranaを見ることが出来ました。

 あっちにも!こっちにも!

 先ほど生えていたN. rajahよりやや標高が低い所に集中しております。

 さらにやや標高が下がったせいか周囲の樹木の高さも先ほどより高くなっており、こちらは5mほどの高さがありました。

 長さも3mも4mも伸びており、N. rajahより長いです。

 

 N. burbidgeaeもたくさん生えています。

 こちらの方がロアーピッチャーが多い?

 

 

 

 

 

 そんなこんなでスゲースゲーと言いつつ写真を撮って下山。

 

 Pig Hill。

 車でちょろっと来て少し藪漕ぎするだけでこれだけ見ることが出来るのはすごい場所です。

 しかし焼き畑の範囲がどんどん広がっており、帰り道でもチェンソーで木が切り倒されておりました。

 別にマレーシアでも日本でも環境破壊は変わりませんが、もう少しどうにかならんのかなぁ…というのが本音です(-_-;)

 

 帰り道は若者も荷台に乗ってみろとばかり荷台に乗せられましたが、風が爆速で吹き始め雨も降ってきたので酷い目にあいました(´;ω;`)

 

爆風ᕦ(ò_óˇ) 

 
 

雨も降ってきた…

 
 

 クンダサンに帰ったらガイドさんと別れて麓でのランチ。

 

 

 

人がいる所犬あり

 

 子供が遊びまわっていましたが、これもマレーシアと日本、変わりませんね。

 …いや、日本ではこれだけ大声で遊びまわったら苦情が来るでしょうか…

 世知辛いものです(´;ω;`)

 

 そしてここで一人の同行者とお別れ。

 彼はこのままコタキナバルに帰り、明日少し低地性のウツボカズラを見た後帰国だそうです。

 また次回のボルネオ遠征で!(@^^)/~~~

 

  タンブナンヘ

 Pig Hillの後はタンブナンヘ。

 そして次はついにラストの登山、Mount Sinsingです。

 ラナウを通って南下、途中同行者がドリアンが食べたいと言い出したので道端の市場でドリアンを爆買い。

 

道端の広場には大抵市場がある

 

私は手前のリュウガンを買いました

 

皆でドリアンの試食

 

 

人がいる所ネコあり

 

 その後一気にトラスマディ森林公園の麓にあるキャンプ場へ。

 

 キャンプ場と言っても川沿いに小屋があり寝袋だけで寝られるようになっています。

 

 

 ただ虫が多いのでテントを蚊帳代わりに使うことに。

 

 

 また、ここでアウラパパさんとネペンランドさんも一時離脱です。

 次の山はガイドさんも登っていないほぼ未知の山で、道中がきついかどうかも分かりません。

 楽であれば問題ないですが、万が一きつかったとしても途中離脱はできません。

 そのため足を痛めて、体力に不安のあるお二人は勇気ある撤退をするわけです。

 

 という訳で今回Mount Sinsingに登る日本人チームは3名。

 日本の超有名(食虫)植物進化学の大研究者。

 登山が趣味の新進気鋭のゲノム系研究者。

 …私。

 

 (´;ω;`)

 

 他はガイドさんらと別パーティの地元民3人。

 

 

 夜は英気を養うために酒盛り。

 そして道中購入したドリアンや熱帯フルーツ祭り。

 

 

 

 しかし、静かにしろと言われたので就寝。

 

 ガイドさんらは深夜すぎても騒いでいるようでしたけどね…(-_-;)

 

 7日目につづく。

 

5日目

 

 

  5日目のルート

 

 

  土砂降りの影響

 前日に8時間以上山を登って降りて、5時間以上全身ずぶ濡れだったせいで体調は最悪。

 疲れは取れず、太ももの付け根は筋肉痛で激しく痛み、足の裏は表皮が浮いているような激痛。

 その上身体が冷えたせいで風邪をひきました。

 

 

食欲がなくても食べないと身体がもたない

 

 とはいえ今日は登山なし日、行程は楽です。

 今夜はやっとホテルのベッドで寝られます。

 

 服や靴下については替えがあるのですが、上着や靴がびしょびしょ。

 こんなもん着れない履けないので、半袖、靴下&サンダルスタイルです。

 そもそも足裏をきちんと乾かさないと本当に足裏全体の皮が剥がれそうなので気を付けます。

 

 最後にガイドさんやポーターさんと記念写真と撮り、ついに帰路へ…とはならず。

 

 …昨日の大雨によって土砂崩れが発生し道路が寸断され、管理支所が孤立しておりました。

 

完全に道路が寸断されています

 

 我々が乗ってきたピックアップトラックは登山中には麓に帰っていたので車ごと閉じ込められたわけではなかったのですが…

 

 被災場所は完全に道沿いの崖の上から崖の下まで土砂に埋まっており、車の通行は不可能です。土砂もドロドロで容易に30㎝ほど沈みます。道路脇の電柱も傾いてはいましたが不幸中の幸いで停電にはなりませんでした。

 

上から

 

崖下まで

 

 管理支所の人がチェンソーなどで邪魔な木を切り払ってくれましたがどうやって渡るのか思案していたところ…

 ポーターさんがうまく倒れた木を足場にして向こう側に渡っていきました。

 それを真似してなんとか土砂崩れを超え、車に乗り込みます。

 

管理支所のガイドさんらも手伝ってくれています

彼らもここが通れないと困るので…

 

 やっと一息付けました。

 

  Mamut鉱山跡地

 どうやら本日はキナバル自然公園管理所に用があるとのことでキナバル山の麓へ。

 マレーシアの登山といえばキナバル山なのですが、キナバル山自体には登ったことがないというのは少し不思議です。

 

 

 流石に麓の管理所でも標高が高いのかかなり寒いです。

 

 

ヒラタツユムシの仲間

 

 昨日の豪雨で風邪気味なので勘弁してほしい…(´;ω;`)

 キナバルパークの管理事務所で入山届を記入した後ランチ。

 

 ランチは管理所すぐ横のレストランで食べました。

 ここの麵料理はカレーラーメンみたいで美味しかったです。

 

 

 

 

 そこから南東の方のMamut鉱山跡地へ。

 

 

 キナバル山からちょうど東南東の方角にある中高山ネペンテスの自生地として有名な場所です。ここ由来の株はよく出回っていますね。

 かつては銅が産出する鉱山として有名だったそうですが1999年ごろに閉山。

 閉山後はサバ州管理だったのが今ではキナバルパークの管轄となり、現在では奥の湖までのハイキングルートとして使われているのだとか。

 全体的な標高は1,500mぐらい。

 散歩感覚で行けるウツボカズラの自生地です。

 

 Mamut鉱山の最奥には湖があるそうですが、そこまで行っても何もないということで我々は手前の3㎞ほどまで。

 歩きやすい道(オフロード:石礫)なので着替えず、濡れた登山靴も履かずに観光客スタイルで行きました。

 

 元鉱山ということで山肌は荒れており、銅の影響か閉山して20年以上経っていても植生が貧弱です。

 だからかもしれないですが非常に多くの数のウツボカズラが生育していました。

 

 最もたくさん生えているのはN. reinwardtiana

 

 

 

 袋が緑色の株が最も数が多かったですが、赤色、斑点模様も生えております。

 

 

 

 

虫が落ちそうで落ちなかった

 

 

 

 ピッチャーも30㎝ほどあって非常に立派です。

 

 

 

 

 何でこんなでかくなんねん。

 

 

 

 

 

 

 本当に鉱山のどこにでも生えておりましたが、どちらかというと地面が露出していて乾燥気味であり、非常に日当たりが良い場所に特に多いように思えました。

 

 次に多いのがN. zakriana。元々N. fuscaって呼ばれていたやつです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 N. maxima complexの中の一種であり、栽培下では用土はやや乾燥気味…なんて言われていたり。

 私もそんなイメージがあったのですが…

 

 

水路のやや上に多い

 

 

実生株がたくさん

 

 Mamut鉱山跡地では水路の側面や、木陰のやや湿っぽい法面に多く生育しており、どこでも生えているレインと比較して明確に湿った場所を好むように生えていました。

 

 レアだったのはN. macrovulgarisN. burbidgeae

 

上位袋

 

下位袋

 

 

開いていませんでした

 

 今回は道端で簡単に見られるものとして1株ずつしか見られませんでしたが、鉱山のどこかにはまだ生えているそう。

 この2種は他の種とは異なり、完全にアカマツとイネ科の藪の中に生えておりました。N. macrovulgarisの方がより暗い場所に生えていたでしょうか。

 N. burbidgeaeには数年前(2018年)には立派に育ってアッパーピッチャーがついていたそうですが、今回その主茎は枯れてしまっておりました。残念。

 因みにここ由来のN. burbidgeaeの袋が特別でかくなる…ということはないそうです。

 

 N. stenophyllaは最初の方は見る影もなかったですが、最後の台地にはそれこそ地面を覆いつくすレベルで大群落を形成しておりました。

 

すごい!!

 

大群落

 

 

 

 環境としては日当たりは抜群。ただし生えている台地はやや水はけが悪く所々水溜まりがあるような感じ…

 

 

この株はなんか混じってそう

 

 

 

 

 

 

 水際にも生えていはいましたが半分根腐れしたような株が多く、そこから少し上がった所で大繁茂、という感じでした。

 

 ここで見られた種の日照条件、水分条件を並べてみると以下のような感じ。

 

 水好き具合

 N. zakriana>N. stenophylla>N. macrovulgaris≒N. burbidgeae>N. reinwardtiana

 

 日照好き具合

 N. reinwardtiana≒N. stenophylla>N. zakriana>N. burbidgeae>N. macrovulgaris

 

 うま~いことそれぞれ環境条件が異なっており、住み分けているような感じがしますね。

 

 気温に関しては25℃-18℃ぐらいでしょうか。

 植生が貧弱で遮るものがないので、晴れると猛烈な直射日光で暑くなると思われます。

 ただし標高もそこそこ高く、周囲も(キナバル山)以外ないため下界から一気に空気が登ってくるポイントになっており、霧に覆われて視界が一切なくなることもありました。

 

 

 

 

 

 多分一日中ガンガン直射を浴びる…なんてことはなく、日が出たり霧に覆われたり雨が降ったり天気はコロコロ変化し、そんな不安定な環境で彼らは生きているのだと考えられます。

 

 また、土壌が特殊ということで地生蘭も多くみられました。

 

 

 

Platathera属の何か…

 

ナリヤラン系

 

ナリヤランの白花

 

 日当たりも良くD. ultramaficaU. striatulaが生えていそうな環境でしたが見つけられませんでした。

 途中見つけた池等にも水生昆虫や水草が見られませんでしたので、普段はもっと乾燥しているのかもしれません。

 

  くたくたのホテル

 Mamut鉱山跡地では行き帰り6㎞歩いたとはいえ傾斜はほぼないに等しく、散歩レベルの楽さでした…

 が、最後の最後に霧雨なような雨を浴びて、そもそも満身創痍で風邪気味だったのでもうくたくた。

 

 とはいえホテルではやるべきことがあります。

 洗濯と乾燥です、

 

 既に着たものは洗濯サービスに回し、使っていないのにずぶ濡れになったもの&洗わないものは全力で乾燥!

 しかしこのホテルエアコンがついておらず、天井に大きなファンのみ。

 なのでこの大きなファンをぐらぐらするまで高速回転させ続けると、テントや雨具等乾きやすいものは一瞬で乾いてくれました。

 他の上着なども一日置けば乾燥してくれるでしょう。

 

 

 問題は靴。

 

 最初ドライヤーで乾かそうとするも付けた瞬間一瞬でぷすんと動かなくなりました。

 

 故障です。

 

 まじかよ。

 

 仕方がないので中敷きを外して中にティッシュなどをつめこみ天井のファンの真下に置いて乾かすことに。

 

 体調が悪いのでホテルの立派な料理もあまり食べられず。

 

 

 色々乾いてくれていることを願って早々に就寝。

 

 6日目につづく

 

4日目

 

 

  4日目のルート

 

 

  Gunung Minodtuhan登頂

 前日に辛い思いをしてほとんど登り切っているため頂上まではすぐそこです。

 日の出前からご飯を食べて出発準備。

 今日の行程としては頂上まで登ってウツボカズラを見た後下山をして、管理支所まで帰ります。

 

朝準備しているとやってきたコガネムシ

 

アシナガバエの仲間

 

 という訳で出発!

 

 ベースキャンプ周辺はまだ熱帯ジャングル感がありましたが、少し登ると一気に周囲の景色が雲霧林に変わりました。

 

周囲の雰囲気が雲霧林に

 

上から下まで蘚苔類だらけ

 

 こうしてあっという間に頂上へ。

 

頂上、マレーシア国内8番目の山です

 

 やったぁ!と皆で写真を撮ります。

 

 しかし、我々の目的は山に登ることではありません。

 ネペンテスを見ることです!!

 まだN. tentaculataしか見ておりません!

 

 ハイランドネペンテスの自生地は頂上よりもう少し奥だということであと少しだけ歩きます。 

 

 

"A Guide to Orchids of Kinabalu"の図鑑の表紙の蘭かな?

 

小さい花が集まっていると全部オサランに見える

 

着生Cym. 格好良い!!

 

 

 

 

 

N. tentaculataの数は多い

 

 そして前を行く人達から歓声。

 

必死になって写真を撮る人

 

あまり見ないタイプの袋

 

 N. edwardsianaや!!!

 

 野生下で見るのはもちろん初めてです。

 でかい!牙がすごい!本当に着生してる!でかい!

 

 

 

 

 

感動(´;ω;`)

 

 皆テンションが上がりまくって写真を撮ります。

 このために苦しい苦しい登山を頑張ったのですから!

 

 さらに奥に進むとN. lowiiも!

 

 

 

逆光が酷い(-_-;)

 

 

 

 

N. lowiiもめちゃくちゃでかい!

 

 キナバル山の系統ということで袋がめちゃくちゃでかい!

 以前見たMantapokとはサイズ感がちゃうなぁ~。

 

 この自生地は本当に谷を挟んでキナバル山のお隣で、2,300m付近の非常に涼しい環境でした。

 温度計を全員忘れたので正確な数値は分かりませんが、昼夜で23℃-10℃ぐらいじゃないでしょうか。

 空気は非常にmoisture。

 お肌がしっとりプルプルになるようなひんやりとした空気がゆったり流れており、あまり風は強くありません。

 

 生育環境的にはN. edwardsianaがやや木が茂っている少し日陰に、N. lowiiは木の密度が低かったり、木の上の方の風通しと日が強い場所にという感じで生え分けているようでした。

 どちらの種も地面からは生えておらず、地面にあるのはN. tentaculataのみという感じ。

 N. edwardsianaN. lowiiも雲霧林の苔に着生…というよりは積もりに積もった落ち葉や枯れた草木等の腐葉土から飛び出しているような感じです。

 

 両種の交雑種は見つからず。

 そもそもこれらの種間の自然交雑種の存在は聞いたこともないんですけど。

 雄花雌花の花殻は両種ともありましたので同じようなタイミングで花を咲かせていると思うのですが、交雑しないもんなんですかね。

 花殻の腐り具合的に2~3か月前ぐらいかと思うのですが…

 

 ツルの長さはどちらも数mほどですが、N. edwardsianaの方が節間も最大長が長め。N. lowiiはそれと比べるとコンパクトにまとまっています。

 親指ほどの太さの主茎をぐんぐん上に伸ばしていたかと思えば主茎を枯らして脇芽を出したり、その脇芽も数m伸ばしたりとカオスです。

 想像以上になんか汚い生え方していました(笑)

 

 生えている用土は雨の影響もあるのかもしれませんがびしょびしょです。

 そして冷たい。用土が乾燥気味?そんなもん知らんわ的な感じです。

 乾燥する暇なんてあるのでしょうか。

 

 

世界最大の立ち上がり苔

Dawsonia longifolia

 

 そうして皆でパシャパシャ写真を撮っていると、ガイドさんより先に行く気はあるかと聞かれました。

 ここから更に2時間行ったところにもっとN. edwardsianaが生えており、そこにはN. ×harryanaもあるぞと。

 

 ここから2時間…。

 行き帰りで3時間ちょい。

 距離にして片道2~3㎞ぐらいでしょうか。

 工程的には今日中にこの山から下りてまた管理支所で泊ることになるので、今日一日で約8時間、距離にして12㎞弱歩くことになります。

 正直体力的にはかなり厳しい…

 

 ですが行くしかないっしょ!!

 ハリアナやでハリアナ!!

 という訳で行くと返答。

 

 体力に不安のあるアウラパパさんとネペンランドさんはここまでとし、他の4人で往復3時間ほどさらに山に潜ることになりました。

 

  名もなき自生地

 ぶっちゃけ言ってこの行き帰り3時間は地獄でした。

 

 通常このG Minodtuhanの登山というのは頂上までが正式なルート。

 先ほどの自生地は頂上からすぐ奥にあるため、まだ人が来るかなぁ程度。

 

 さらにその先は誰も人が来ず、ほぼ道がありません。

 行く奴は同類だけでしょうが、正直数えるほどしか行っていないでしょう。

 少なくとも検索では引っ掛からなかった。

 

 道中も道がきちんとないのでガイドさんが道を間違えるわ、鉈で道を切り開くわ。

 崖をカニ歩きしていると道がなくなり、ここを登ると。

 

急な崖を進んでいたら行き止まり

 

と思ったら上へ登る

 

 崖下は何mあるか分かりません。とりあえず下界が見える。

 

落ちたら数百m落ちる

 

 崖もいわゆるポルダリング等でよく見る岩場やガレ場ではなくぬるぬる滑る泥の崖。

 滑って落ちたら一気に下界です。

 

 ガイドさんはするすると命綱なしで崖を登って細い木にロープを巻き付け、足元が崩れるドロドロぐしゃぐしゃの崖を登ることになりました。

 高所恐怖症でもない私が流石に足がすくんで動けなくなりました(´;ω;`)

 

 さっきが頂上という割にはどんどんきついアップが続くわ、ダウンも続くわでガチのマジできつかったです。

 

 たった2時間、されど2時間。

 疲労困憊になりながらも道を進んだ先にあったのは大量のウツボカズラでした。

 

 

 

 

N. tentaculataはたくさん生えている

 

 

 

N. edwardsianaの色が先ほどと変わった

 

 先ほどの場所より標高が高いのか、日当たりは良いもののN. lowiiは一切生えておりません。

 先ほどのN. lowiiと入れ替わるように樹上にもN. edwardsianaが生えています。

 

 

 

 

後ろがキナバル山

 

 

 

 

 

 

 

 

カエルの卵が産みつけられていた袋も

 

 サイズも大きく色のバリエーションも非常に多く、真っ黄色の美しいエドも生えておりました。

 

 そしてメインのN. ×harryana!!

 

赤系

 

 これを探しに来たんや!

 これは1株(塊)だけ、ということでしたが、奥でうろちょろしているともう1株(塊)あるのを見つけました。

 

黄色系

 

襟が少し歪んでいるが立派な袋

 

 この山にはN. villosaはないということなので、N. ×harryanaは真横に聳え立つキナバル山から種子が飛んできたのでしょう。

 以前のMantapokの記事でも実演しましたが、特にハイランドネペンテスの種子は両脇の紐(?)部分で風に乗り、空を飛びます。

 そうして山の頂上から頂上に渡って生育範囲を広げているのだと考えられます。

 

 ガイドさんが下界のジャングルを挟んで向こうにある山の頂上にもN. villosa等が生えていると教えてくれました。

 

あの小高い所に生えているそうな

 

 そこは本当に道もルートもなく、レンジャーがジャングルの中を4晩突き進んで登って発見した場所だそうです。

 ここも同じように見つかった場所らしいですが、おそらくこの周辺には他にも未踏の場所が多くあり、そこにも色々ネペンが生えているのでしょう。

 

 いや、素晴らしい。

 めちゃくちゃ苦労してここまで来たかいがあった。

 

  土砂降りの中の下山

 N. edwardsianaN. lowiiをたくさん見れて、N. ×harryanaまで見れてもう満足…

 これでこの山の探検は終了!!

 

 という訳にはいきません。

 今日中に麓の管理支所まで下る必要があります。

 

 先ほど通った難所を戻ること1時間半ほど。

 なんとかお昼ごろにベースキャンプ場に帰ってきました。

 崖では皆が一気に登ったせいで足場が崩れ去っており、下は見れずガチで足が浮き落ちかけました。もうあそこ誰も登れないのでは…?

 

 既に3時間ほどアップダウンを繰り返し、精神的にも体力的にもかなり疲労がたまっています。

 しかしここからさらに5時間ほどかけての下山です。

 

 足は既にヘロヘロ、太ももの付け根あたりの筋肉痛も激しく、下りと言えど全く楽ではありません。

 そんな中ひぃひぃ言いながら必死になって下っていると、14:00を過ぎたころから猛烈なスコールが降り始めました。

 

ジャングル内で独りぼっち

 

 流石にロープを使うような傾斜が急な場所は過ぎていたので滑落の心配はなかったのですが、あと4㎞ほど道は残っております。

 

 私は既にひどく疲れていたのと筋肉痛でゆっくりとしか歩けず、皆に置いて行かれており(ただし、皆がさらに奥に行っている間にN. edwardsianaの撮影中、滑落しかけて負傷したアウラパパさんと連れのポーターさんは更に後ろにいた)、周囲に誰もいない中ジャングルに一人になってしまいました。

 

 雨具も着ていましたが完全防水ではなかったようで、長時間しかも熱帯雨林の豪雨に対処できるものではありません。

 本来は雨宿り・避難するまでの緊急用。

 そのせいで上から下まで全身びしょ濡れ。

 靴の中まで水がたまって足が常時水に浸かり、靴下と足の裏がこすれることで非常に痛み始めました(足の裏全体がふやけてしわくちゃになり、全体が水膨れしたみたいな状態)。

 

 しかし歩かないと帰れませんので一人半泣きになりながら豪雨の中3時間ほど歩いていると、ようやく尾根ルートを突破。

 ここからは傾斜もそれほど酷くなく、帰り道はあと少しです。

 

 と逸る心を抑えて一人下山していると。

 

 麓に近づいて傾斜が緩やかになったせいか、林床全体が周囲から流れ込んできた雨水で完全に水没して川になっていました。

 踏み固められた跡程度の登山道もあちこちから溢れる水のせいで完全水没し判別できません。

 

 体力はほぼ限界。

 即席の大量の川のせいで足首まで水に浸っており、靴はびしょびしょどころか水の中状態。

 帰り道は分からず。

 

 正直こうやって人は遭難するんだなと思いました…(´;ω;`)

 

 日没も近づき、後ろの方にいるはずの足を痛めたアウラパパさんとポーターさんもどれだけ離れているか分かりません。

 

 後ろを待つか先に進むか。

 

 悩んだのですが、林床の植物が山道脇とその辺に生えているタイプで異なることに気が付き、水没していてもなんとか山道が見分けられることが分かりました。

 その植物に沿って進むときちんと距離標が存在し、何とか遭難することなく帰路に就くことができました。

 とはいえ標識の間隔が長かったのでびくびくしながら歩きました。

 後方のアウラパパさんは何度も道を間違え、ガイドさんに指摘されていたそうです。

 一人だった私が本当に遭難しなくて良かったです。

 

 最初に渡河した川も増水していたものの、既に濡れているのでバシャバシャ膝まで水に浸かりながら渡り、あと少しでゴール。

 

 …という直前に、即席のターフが山道に。

 ガイドさんや先に行っていた同行者が雨宿りをしておりました。

 内心一人じゃなくなってホッとしましたが、何故今更雨宿り?もう全員びしょびしょやし、あと少しでゴールやろ。

 なんて思っていると。

 

 どうやら最初に渡河した河川は実はまだ超えておらず(あちこち川だらけなので誤認した)、本物の最初の川は豪雨により大増水しており渡れなくなっていたため、水位が下がらないと帰れない状態になっていました。

 

最初の川が大増水して渡れない

 

 水が跳ね時折ゴロゴロと巨大な岩が流される音が豪雨の中響きます。

 

 これは待つしかないと待つこと30分。

 豪雨(と雷)はいつになっても止まず。

 標高が低いといっても1,000mは優に超え、全身びしょ濡れでありじっとしていると身体が冷えます。

 ヒルもたくさん寄ってきますが、もう皆ヒルを気にする体力も気力も残っておりません。

 

 さらに待っても雨は止まず。

 遅れていたアウラパパさんも合流しましたが、まだ川は渡れません。

 この川も普段は規模が小さく集水域も狭いため、雨が弱まりさえすればすぐに水位も下がると思うのですが、そもそも全く雨が止みません。

 

 これは夜まで待機コースかなと半分観念しておりました。

 

 が、比較的少し雨が弱まった瞬間、ガイドさんらが周りに生えていた細い竹を編んで即席のロープを作成し、無理やり川を渡ってロープの支えを作成しました。

 

 渡るなら今です!

 

 という訳で腰まで激流に浸しながらの渡河。

 仕事柄趣味柄それなりの流れの川は渡ることが多いのですが、完全着衣で10㎏以上の荷物を背負っての激流の渡河は初めてです。

 

 川を渡れば管理支所まではすぐです。

 痛む足裏と筋肉を庇いながらやっとゴール!!!

 

 の前にキャンプ場内を流れる川がまたもや大増水して溢れていました(-_-;)

 

 

 そこも渡って正真正銘のゴール!!

 

 私の荷物を運んでいたポーターさんは雨が強まって川が増水する前に帰って来ていたらしく、管理支所でタバコを吸ってダラダラしておりました。

 どれだけ下山早かったんや…。昼出発で頂上から3時間切らんと無理やぞ(-_-;)

 

 屋根のある場所で寝ようと思うともう一度キャンプ場中央の川を渡る必要があるのですが、そんな気力も起きず。

 豪雨の中テントを張ってお着換え。

 やっとずぶぬれネズミから解放されました。

 

 

 夕食はあまりの疲れと足の裏の痛みからほとんど食べずさっさと就寝…

 

 

 5日目につづく