2023年ボルネオ自生地探索 6日目:Pig Hill探索 | もなのブログ

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生き物や自然のことを呟きます。
時々グルメや自然災害・防災のことも。

 

6日目

 

 後半戦です!!

 

  6日目のルート

 

 

  焼き畑とPig Hill

 早々に寝たので体力もかなり回復しておりました。

 窓の外を見ると一瞬キナバル山が。

 

 

 本日は良い日になりそうです。

 が、登山靴はまだ乾いておらず…

 

 濡れたままだと足の皮のめくれが心配です。

 もし真皮までべりっとめくれてしまえば体調が良かろうがもう登山どころではありません。

 どうするかと考えていたところ、朝食時に同行者がドライヤーをフロントに返しておりました。

 どうもドライヤーを借りて二刀流で靴を乾燥させていたようです。

 

 朝食後出発までの30分、私も真似したところ靴は一瞬で乾きました。

 すげーわ。

 一部の半乾きの服も乾燥させて準備満タンです。

 

 という訳で今回の目的地はPig Hill。

 ここの地名も時折聞きますが自生地の情報はあまりありません。

 場所はMamut鉱山跡地と同じくキナバル山の東南東方角。

 しかしPig Hillはより近く、こちらはほぼキナバル山の麓となります。

 標高は2,000mほどの丘で、山と言えるレベルのものではありません。

 南側は焼き畑等で完全に拓かれており、標高の高さを利用してハクサイやトマト等の高山の野菜を栽培しています。

 

 ここに行くために先ずは麓のKundasangという街でPig Hillの保護官に許可を取りに行きます。

 

 

 かなり著名な方でネペンランドさんは10年前にも案内して頂いたそうです。

 ガイドさんと合流し、車を乗り換えるというので別のピックアップトラックに乗り換え。

 我々は3名なので車内に乗りましたがもう一方はガイドさんやら人が多いので荷台に乗っています。

 

 

 日本では基本的に許されない荷台乗りですがマレーシアでは普通で、荷台に座席まで固定してあったりします。

 

 そのままガタゴトと山岳部へ。

 といっても一面畑の中の農道を一気に車で登っていきます。

 この時点で標高はおおよそ1,800mぐらい。

 

皆さんお仕事中

 

 

 

 

一面ハクサイ畑

 

 どんでもない凸凹の農道を登っていきます。

 荷台乗りの方々は大変そうですね(笑)

 

 30分ほどごとごと走って畑の端へ。

 

 ここからは徒歩で登ります。

 畑と言っても区画整備等されておらず、開拓した斜面に野菜を並べているような感じ。そんな中野菜を踏まないように畑を登っていきます。

 勿論車や農作業車が入れるような道はなく、全て手作業です。

 周りの仕事をしている農家さんはたくさんのハクサイを背負って上り下りしているのですが、我々はもうしんどい。

 あれを毎日繰り返していれば兼業でポーターをやるのもうなずけます。

 正直籠いっぱいに積んだハクサイの方が重そう。

 

 そうしてお仕事中の農家を尻目に畑と森の境界へ。

 一応ここから保護区であることが分かるようロープが張ってあり、標識もついています。

 道は獣道のようなものが1つ。ここを更に登っていきます。

 

 

感じがMaliau Basinに似ている

 

ミズゴケ

 

 森に入ると先ほどまで汗ばんでいた空気が一瞬で冷えました。

 地面はぐしょぐしょ、踏み込むたびに水が染み出す感じ。

 ミズゴケがあちこち生えているぐらいです。

 雲霧林…というよりはやや高地の熱帯ヒース林という感じでしょうか。

 全体的に樹木の背が低く、せいぜい2~3mぐらいです。

 

 

kinabaluenseかな

 

謎の蘭

 

Liparis属の何か

蘭に詳しい人に聞くと(貴重なので)アンタッチャブルな種らしい

 

 

 

 

N. tentaculataもあります。

 

 マリアウベイスンに雰囲気が(標高はこちらの方が高いですが)似ているという感じ。

 そんな背の低い斜面に広がる藪を200mほど登ると…

 

 N. rajah!!!

 

 

 

まぁ、N. rajahもアンタッチャブルな種か…

 

 こんな藪の中に生えているんですね。

 

 徒長しまくって森の中に3mも4mも伸びまくっております。

 

これでもMAXサイズではない

 

 

 N. rajahは小さいおうちで育てているサイズから両手を広げて届かないレベルの大物まで群生しています。

 

 

 しかしどの株も袋はついておりません。

 

枯れてた

 

 自生地のラジャも袋を付けないようで安心(笑)

 

 そうこうしているうちにN. burbidgeaeも見つけました。

 

 

 

 Mamut鉱山跡地で見つけた株は袋が開いていなかったのですが、こちらではアッパーピッチャーが綺麗についております。

 

 

 

 N. rajahN. burbidgeae環境は上記の通りびしょびしょ。

 歩くと地面の腐植から水が染み出しますが、土壌全体がずるずるなのではなく、上に載っている有機物層がスポンジのような役割を果たしている感じ。

 用土の乾湿のメリハリ?なんやそれ状態でした。

 気温は24℃-15℃ぐらいでしょうか。夜間は背が低いながらも鬱蒼とした森であまり気温は下がらなさそうです。

 日照はあまり良くありません。背の高い木々が少ないとはいえ森の中です。

 標高がやや低め(2,000mちょっと)なので気温が上がりにくい藪や森の中に生えていると考えられるかもしれません。

 これがもう少し標高の高いキナバル山とかだともっと日当たりのよい所に生えているんでしょう。

 

 N. rajahはあちこち踏まないように気を付けないと歩けないほどたくさんあるけど、大きな袋がないなぁと皆で手分けして藪漕ぎをしながら探していると…

 

 ガイドさんがあった!あった!と叫びました。

 

 

カエルの卵

陸産貝類かもしらん

 

 人の顔よりはやや小さいものの立派な袋です。

 皆かわりばんこで自撮り写真や写真を撮ります。

 

 時期的なものなのか非常に立派すぎる株はたくさんありましたが、あんまり袋はありませんでした。

 こればかりは仕方がないですね。

 

 

 ひとしきり騒いだ後でさぁどうする。

 …N. ×alisaputranaを見に行くかと。

 ここから少し離れたところ、この丘の反対側あたりにN. ×alisaputranaがたくさん生えているらしい…ということで少し来た道を戻ったのち、違う方向へ向かいます。

 

 列を作って藪漕ぎをして(蘭を見ながら)進む一行。

 

花が小さすぎる…

 

Coelogyne radioferensかね

 

 

パフィオ

残念ながら花はない

 

 そんな中私はきょろきょろ。

 日当たり良し、水豊富、植生貧弱…

 こういう所にはアレがある…

 見つけた!

 

 

 

 U. striatulaです!!

 

 

 ガイドさんも含めて皆ネペンテス(か蘭)ばかり見ていてウトリは眼中になかった模様。

 私も今まで怪しい所をずっと探していたのですが、今回はこの山のこの石にしかついていませんでした。

 

 

 

 

 

 珍しい種類でもないのですが、あんまり生えていないのですね。

 

 途中にも色々ネペンテスを見ながらさらに藪漕ぎ。

 

 

 

 N. tentaculata

 ここでもたくさん生えております。

 気持ちG minodtuhanより色が好き。

 

 

 N. tentaculataの交雑種。

 N. burbidgeaeとかかっているのでしょうか。

 N. macrovulgarisN. hirsutaっぽくもないので不明です。

 そういや今回N. hirsuta見んかったな…

 

 

 新種の可能性がある株。

 残念ながら袋はありませんでしたが、N. zakrianaの交雑種、あるいは新種の可能性があるという株です。

 N. zakriana自体はこの辺に生えておらず、ここに数株だけ生えているという謎多き株でした。

 確かにN. zakrianaとは葉の感じがちょっと違うんかなぁという感じ。

 知らんけど。

 

 そして…ありました!

 

 

 

 

 

 

 

 N. ×alisaputranaです!!

 本来自然交雑種というものは珍しく自生地でも滅多に見ることが出来ないのですが、この地域では非常にたくさんのN. ×alisaputranaを見ることが出来ました。

 あっちにも!こっちにも!

 先ほど生えていたN. rajahよりやや標高が低い所に集中しております。

 さらにやや標高が下がったせいか周囲の樹木の高さも先ほどより高くなっており、こちらは5mほどの高さがありました。

 長さも3mも4mも伸びており、N. rajahより長いです。

 

 N. burbidgeaeもたくさん生えています。

 こちらの方がロアーピッチャーが多い?

 

 

 

 

 

 そんなこんなでスゲースゲーと言いつつ写真を撮って下山。

 

 Pig Hill。

 車でちょろっと来て少し藪漕ぎするだけでこれだけ見ることが出来るのはすごい場所です。

 しかし焼き畑の範囲がどんどん広がっており、帰り道でもチェンソーで木が切り倒されておりました。

 別にマレーシアでも日本でも環境破壊は変わりませんが、もう少しどうにかならんのかなぁ…というのが本音です(-_-;)

 

 帰り道は若者も荷台に乗ってみろとばかり荷台に乗せられましたが、風が爆速で吹き始め雨も降ってきたので酷い目にあいました(´;ω;`)

 

爆風ᕦ(ò_óˇ) 

 
 

雨も降ってきた…

 
 

 クンダサンに帰ったらガイドさんと別れて麓でのランチ。

 

 

 

人がいる所犬あり

 

 子供が遊びまわっていましたが、これもマレーシアと日本、変わりませんね。

 …いや、日本ではこれだけ大声で遊びまわったら苦情が来るでしょうか…

 世知辛いものです(´;ω;`)

 

 そしてここで一人の同行者とお別れ。

 彼はこのままコタキナバルに帰り、明日少し低地性のウツボカズラを見た後帰国だそうです。

 また次回のボルネオ遠征で!(@^^)/~~~

 

  タンブナンヘ

 Pig Hillの後はタンブナンヘ。

 そして次はついにラストの登山、Mount Sinsingです。

 ラナウを通って南下、途中同行者がドリアンが食べたいと言い出したので道端の市場でドリアンを爆買い。

 

道端の広場には大抵市場がある

 

私は手前のリュウガンを買いました

 

皆でドリアンの試食

 

 

人がいる所ネコあり

 

 その後一気にトラスマディ森林公園の麓にあるキャンプ場へ。

 

 キャンプ場と言っても川沿いに小屋があり寝袋だけで寝られるようになっています。

 

 

 ただ虫が多いのでテントを蚊帳代わりに使うことに。

 

 

 また、ここでアウラパパさんとネペンランドさんも一時離脱です。

 次の山はガイドさんも登っていないほぼ未知の山で、道中がきついかどうかも分かりません。

 楽であれば問題ないですが、万が一きつかったとしても途中離脱はできません。

 そのため足を痛めて、体力に不安のあるお二人は勇気ある撤退をするわけです。

 

 という訳で今回Mount Sinsingに登る日本人チームは3名。

 日本の超有名(食虫)植物進化学の大研究者。

 登山が趣味の新進気鋭のゲノム系研究者。

 …私。

 

 (´;ω;`)

 

 他はガイドさんらと別パーティの地元民3人。

 

 

 夜は英気を養うために酒盛り。

 そして道中購入したドリアンや熱帯フルーツ祭り。

 

 

 

 しかし、静かにしろと言われたので就寝。

 

 ガイドさんらは深夜すぎても騒いでいるようでしたけどね…(-_-;)

 

 7日目につづく。