先週の土曜日ですが、VOGA観てきました。

2年前の「Ato-Saki」もそうでしたが、完全ノックアウトと言いますか、圧倒されました。
正直、消化しきれていません。本当にすごいお芝居でした。

情報量が多すぎて、たぶん3回くらい観ないと消化しきれないのでしょう。

演技とコンテンポラリーダンスと舞踏に、吉田神社の境内にそのまま投影する照明と映像と、自然界の音に溶け込む音響がしっかり調和して醸し出す荘厳な雰囲気のその中に太宰治の「葉桜と魔笛」のせつないストーリーがのっかっていって、荘厳さの中でより儚さが際立つ感じがしました。

さらに、VOGA独特の4拍子、5拍子、7拍子というリズムの中でシンクロする役者さんの動きと台詞が心地よく響き渡り、とにかく始終「わあ~っ」って感じです。

あらすじをなぞっても、感想を書いても何を書いてもとても陳腐なものになってしまう気がして、正直、何を書こうかずっと悩んでおりましたが、結局うまく書けておりません。

本当に残念なのですが、とにかくVOGAの分厚い作品をうまく表現する言葉がありません。
ただただ、3時間弱の時間、吉田神社の境内で圧倒され、のまれ続けました。
でもその3時間はあっという間で、時間の長さを全く感じませんでしたが。

そして、この作品を作り上げるために必要だった膨大な時間と、この作品をイメージできる近藤さん、その近藤さんに応えられる役者陣、スタッフ陣の凄さにただただ敬意を表さずにはいられません。

できればもう一回観たいです。

それと、吉田神社でのVOGAのお芝居も初体験だったのですが、噂に聞いておりました飲み物や食べ物の屋台も出て、昔のテント芝居の雰囲気もあり、懐かしく楽しませて頂きました。

写真は、「公演終了後まで非公開」との約束で撮らせていただいた舞台の写真です。
ちょっとぐらい伝わるでしょうか。

しかし、最後までちゃんとした感想が書けていませんね。すいません。

齋藤秀雄です。再び京都へ戻ってきました。-VOGA  DIGITALIS
このお芝居、おもに16世紀ヨーロッパで行われていた「動物裁判」をモチーフにした作品なんそうです。
いやぁぁ、面白かった!!!

「動物を告訴して裁判にかける」という原告、原告をサポートし動物を弾劾する検察と、動物を弁護する弁護士の戦いという主題。そして、「ダメダメ父ちゃんと3人の家族の話」「軽くいじめられている男の子を含む小学校の6人の班の話」の2つのサイドストーリーは無関係なようで関係してくる様子が実に絶妙でした。

私道かぴさんこと市道さん、なんとこの作品を高校生以来ずっと温めてきて、今回3回目にしてようやくの初上演。なんとその出来は「しばらく西一風の定番」にしてもいいくらいの素晴らしい出来でした。

これが実質の3回生引退公演、市道さん、なんと3回生なんです。
もっと早くこの作品を観たかった・・・なんて思って観ていたのですが、おそらくはこのタイミングだったからこそ、12名の役者を使えたからこそ、この仕上がりになったのかもしれません。

特に今回、12名という人数の多さが十分活きていました。

それを可能にしたのは、いろいろと要因があるのだと思いますが、一番は12名の役者がちゃんと自分のキャラクターを理解して、キャラを立てることができたことだと思います。

2回前の公演「モモ」ではなんだかぼんやりとしていた1.2回生のキャラクターがしっかり見えてきました。

なまじ人数が多いと、主体性がぼんやりした集団になってしまうというのはよくあることですが、今回はしっかり出来ていました。

あーうれしい、あーうれしい、あーうれしいー!

全く非の打ちどころがないわけではありませんが、ほんと素晴らしい出来だったと思います。
シンプルな舞台も映像も音効も照明もしっかり脚本にマッチしていましたしね。

後日あった田中次郎君が「次に書く人が出るかどうか・・・」と心配していましたが、私はそれは心配しなくてもよいと思います。
会心の公演は、次に書く人を呼び覚まします。
そういう効果があるのです。

それにしても、3回生諸君、お疲れ様でした。
この時期に引退とはちょっとかわいそうな気がしますが、仕方ないですね。

でも、就職活動とか落ち着いたら、また芝居してほしいですね。
私道かぴさん、峰守亜弥さん、お疲れ様でしたー!

あ、最後に、パンフのスペシャルサンクスに私の名前が載っておりました。
「ありがとう」を言うのは僕の方ですよ。後輩諸君。

写真は最後に挨拶する後輩達です。


齋藤秀雄です。再び京都へ戻ってきました。-西一風「被告G」
ひょんなことで知り合った作・演のイトウモこと伊藤さん。
「今度は観に行きますね」と言いつつ、予定が重なったりしてなかなか行けず、ようやく今回初「象牙の空港」でした。

さて、イトウモさんのお芝居は、どちらかというと抽象劇。
テクストと言われる台詞は、会話劇の場合、役柄のものになりますが、抽象劇の場合、役柄のものではなく、テクストを共有したり、2人以上で一人を演じたり、一続きのテクストを複数で演じたりします。

冒頭の情景描写はさすがでした。
本当によく「街」と「人」を観察しているんだなあとひたすら感心。
詩的な感じがとてもよかったです。

ところが、その後の展開となるとちょっと不満の残る内容でした。
一通り展開し、今度は主たる役者さんが変わり、ターンしてもう一回展開するのですが、抽象劇だけに同じテクストを使うため、完全に展開が読めてしまい、しつこいだけになってしまっておりました。
もちろん、そこはそれなりに差はつけられていたのですが、そこが微妙すぎて正直飽きてします。

役者さんの動きも例えば、
「女性を皆で押さえつける」とか
「足で(砂をかけるように)前方に振り上げる」とか
「休む」とか
の動きを繰り返すのですが、この動きに変化が余りみられないこともあり、退屈なだけになってしまいます。

2時間のお芝居ですが、正直「長い」と感じました。

おそらくは、一通り演技しターンした後の展開をもう少し掘り下げてみる。
「顔面売買」という中々面白いタイトルだけに、ここをもっと掘り下げてみる。
とかしていれば、さらに面白かったと思いますし、退屈しなかったのではないかと思います。

「意外性は不要なのだ」という人もいるかもしれません。
でもそれは「飽きのこない工夫」の上にあって初めて活きる手法なのではないかと私は思うのです。

後は、退屈な主婦の一日を描くくだりに共感を持てなかったこともあるかと思います。
主婦って案外いろいろと生活に変化があるものです。
さらに言えば、下級公務員の子供がいない夫婦で専業主婦というのは、一般的にはとても考えにくい設定です。
つまりは私にとってはリアリティに欠けたというところも、私がちょっと退屈してしまった原因なのかなと思います。

ちょっと厳しめに書きました。
まだまだ若いだけにいろいろとトライしてほしいと思います。
この公演は、ちょうど10年前の2003年10月18日に無くなった遠藤寿美子さんを追悼する意味もあったそうです。

遠藤さんは現アトリエ劇研の前身でもあるアートスペース無門館のオーナーであり、80年代から90年代にかけて、京都の若手劇団の育成に尽力した方でもあります。
前にも書きましたが、アートスペース無門館の設立は1984年。
西一風の旗揚げが1985年。
そして、遊劇体さんはその2年前の1983年に結成され、1984年に旗揚げ。
ちょうどその頃はは京都で新しい演劇の風が吹き始めた時期でもありました。
ついでと言ってはなんですが、MOPの旗揚げも84年。同志社三劇では吉良さんが活躍し、京大では劇団その1が結成された時期でもあります。

無門館に西一風の旗揚げ公演のチラシを挟み込みさせてもらいに行ったとき、立命館大学で新しい劇団を立ち上げたということを随分褒めて頂き、「がんばんなさいよー」とエールを頂いたことを今も鮮明に覚えています。(ちなみに立ち上げたのは稲本さん、宇野さん、高橋さんで、私は立ち上げ2か月後の入団です)
居間兼事務所だったお部屋で、ちょうどいっしょになった京産大の劇団ACTの人と二人にお茶をいれて頂き、しばらくお話させて頂いたことはとても良い思い出です。

さて、今回の「往生安楽園」。
まさに、「死者の声を聴く」「死者に思いを馳せる」お芝居でした。
舞台はとある泉南の山頂の展望台、それはまるで能舞台のように荘厳でした。

とてもシンプルな舞台で繰り広げられるシンプルなお芝居。
照明も音響も舞台も素晴らしいのだけれど、これは遊劇体さんのお芝居を観た時、いつも書いていることですが、何よりも役者さんの演技がすばらしいのです。

演劇は確かに総合芸術です。
脚本、演出、衣装、照明、音響、舞台等々の融合で出来上がっています。
でも、私は何よりも大事なのは役者であると信じております。
後はすべて役者の演技を引き立てるもので、それ以上ではいけないと思っております。

遊劇体さんのお芝居は、その役者の演技がちゃんと真ん中にあるから、素晴らしいのだと思います。
さりげない中での巧みな演技。
ようく観ると、細かい心理変化をしっかり演じられているところがいつもすごいなぁと思ってしまうところです。
あ、もちろん、ようく観ないでもすごいのですが。

アフタートークは元猫魔団の竹田真二さんと遊劇体のキタモトさんでした。
二人とも私の大先輩。
いやぁ、懐かしいやらうれしいやら・・ニコニコしてお話に聞き入ってしまいました。
猫魔団は無門館でよく公演を打っていた人気劇団だったんですよ。

さて、そのアフタートークで、猫魔団のお芝居にキタモトさんが客演した話がありまして、キタモトさんが「頭から金魚をかぶった」お芝居の話になり、「あ、その芝居観たことある!」と帰宅して昔のチケットをゴソゴソ。
実は結婚前は観たお芝居のチラシも全部残していたのですが、チケットだけにして後は捨ててしまいました。ま、一部満開座さんとか時空劇場とかのチラシはあるのですが。

で、ありました「時の扉」。
みたら、「いまひとつよくなかった」というメモが・・・・・
アララ・・なんちゅうひどく思い上がった若者だったのか私は・・・・

齋藤秀雄です。再び京都へ戻ってきました。-猫魔団チケット

で、さらにびっくりしたのは、93年の遊劇体さんの「蜉蝣」のチケットが・・・
実は88年に東京に転勤して以降、再び京都に戻った2009年まで遊劇体さんを観ていないと思っていたのですが、93年に京都に来て西部講堂で観ていたのでした・・・アララ

齋藤秀雄です。再び京都へ戻ってきました。-遊劇体チケット

ちなみに左は満開座さんの「縄文人にあいういう」。
これも初演を観ていないと思い込んでおりましたが、東京・森下のベニサン・ピットで観ておりました・・・・
ということで、ちょうど20年ぶりにキタモトさんの作品を観たという、これもまたキリの良い話でした。
今年で2回目。
下の娘年長組での待賢幼稚園の運動会は先週土曜日でした。


齋藤秀雄です。再び京都へ戻ってきました。-待賢幼稚園運動会1

台風が近づいていたので、開催が危ぶまれていたのですが、無事に開催。
園児たちは皆楽しみにしてたみたいなのでほっと一安心でした。

齋藤秀雄です。再び京都へ戻ってきました。-待賢幼稚園運動会2


決して足が速くない下の娘。
「絶対観ててね」といっていた「帽子取り」。
最後は帽子を取られてしまいましたが、結構頑張っていました。

こうやって見ていると一年で随分成長したな~と思います。

最後の表彰式。
園児全員が金メダル。
園児全員が園長先生からメダルを首にかけてもらいます。
人数が少ない幼稚園だからできる素敵なセレモニー。
皆、ちょっと誇らしげに退場します。

齋藤秀雄です。再び京都へ戻ってきました。-表彰式

「やっぱりこの幼稚園でよかったね」
そう心から思います。

齋藤秀雄です。再び京都へ戻ってきました。-茂っています

園児たちが作っている野菜たちも立派に茂っています。
後、半年残る幼稚園生活を楽しんでほしいと思います。