この公演は、ちょうど10年前の2003年10月18日に無くなった遠藤寿美子さんを追悼する意味もあったそうです。

遠藤さんは現アトリエ劇研の前身でもあるアートスペース無門館のオーナーであり、80年代から90年代にかけて、京都の若手劇団の育成に尽力した方でもあります。
前にも書きましたが、アートスペース無門館の設立は1984年。
西一風の旗揚げが1985年。
そして、遊劇体さんはその2年前の1983年に結成され、1984年に旗揚げ。
ちょうどその頃はは京都で新しい演劇の風が吹き始めた時期でもありました。
ついでと言ってはなんですが、MOPの旗揚げも84年。同志社三劇では吉良さんが活躍し、京大では劇団その1が結成された時期でもあります。

無門館に西一風の旗揚げ公演のチラシを挟み込みさせてもらいに行ったとき、立命館大学で新しい劇団を立ち上げたということを随分褒めて頂き、「がんばんなさいよー」とエールを頂いたことを今も鮮明に覚えています。(ちなみに立ち上げたのは稲本さん、宇野さん、高橋さんで、私は立ち上げ2か月後の入団です)
居間兼事務所だったお部屋で、ちょうどいっしょになった京産大の劇団ACTの人と二人にお茶をいれて頂き、しばらくお話させて頂いたことはとても良い思い出です。

さて、今回の「往生安楽園」。
まさに、「死者の声を聴く」「死者に思いを馳せる」お芝居でした。
舞台はとある泉南の山頂の展望台、それはまるで能舞台のように荘厳でした。

とてもシンプルな舞台で繰り広げられるシンプルなお芝居。
照明も音響も舞台も素晴らしいのだけれど、これは遊劇体さんのお芝居を観た時、いつも書いていることですが、何よりも役者さんの演技がすばらしいのです。

演劇は確かに総合芸術です。
脚本、演出、衣装、照明、音響、舞台等々の融合で出来上がっています。
でも、私は何よりも大事なのは役者であると信じております。
後はすべて役者の演技を引き立てるもので、それ以上ではいけないと思っております。

遊劇体さんのお芝居は、その役者の演技がちゃんと真ん中にあるから、素晴らしいのだと思います。
さりげない中での巧みな演技。
ようく観ると、細かい心理変化をしっかり演じられているところがいつもすごいなぁと思ってしまうところです。
あ、もちろん、ようく観ないでもすごいのですが。

アフタートークは元猫魔団の竹田真二さんと遊劇体のキタモトさんでした。
二人とも私の大先輩。
いやぁ、懐かしいやらうれしいやら・・ニコニコしてお話に聞き入ってしまいました。
猫魔団は無門館でよく公演を打っていた人気劇団だったんですよ。

さて、そのアフタートークで、猫魔団のお芝居にキタモトさんが客演した話がありまして、キタモトさんが「頭から金魚をかぶった」お芝居の話になり、「あ、その芝居観たことある!」と帰宅して昔のチケットをゴソゴソ。
実は結婚前は観たお芝居のチラシも全部残していたのですが、チケットだけにして後は捨ててしまいました。ま、一部満開座さんとか時空劇場とかのチラシはあるのですが。

で、ありました「時の扉」。
みたら、「いまひとつよくなかった」というメモが・・・・・
アララ・・なんちゅうひどく思い上がった若者だったのか私は・・・・

齋藤秀雄です。再び京都へ戻ってきました。-猫魔団チケット

で、さらにびっくりしたのは、93年の遊劇体さんの「蜉蝣」のチケットが・・・
実は88年に東京に転勤して以降、再び京都に戻った2009年まで遊劇体さんを観ていないと思っていたのですが、93年に京都に来て西部講堂で観ていたのでした・・・アララ

齋藤秀雄です。再び京都へ戻ってきました。-遊劇体チケット

ちなみに左は満開座さんの「縄文人にあいういう」。
これも初演を観ていないと思い込んでおりましたが、東京・森下のベニサン・ピットで観ておりました・・・・
ということで、ちょうど20年ぶりにキタモトさんの作品を観たという、これもまたキリの良い話でした。