ひょんなことで知り合った作・演のイトウモこと伊藤さん。
「今度は観に行きますね」と言いつつ、予定が重なったりしてなかなか行けず、ようやく今回初「象牙の空港」でした。

さて、イトウモさんのお芝居は、どちらかというと抽象劇。
テクストと言われる台詞は、会話劇の場合、役柄のものになりますが、抽象劇の場合、役柄のものではなく、テクストを共有したり、2人以上で一人を演じたり、一続きのテクストを複数で演じたりします。

冒頭の情景描写はさすがでした。
本当によく「街」と「人」を観察しているんだなあとひたすら感心。
詩的な感じがとてもよかったです。

ところが、その後の展開となるとちょっと不満の残る内容でした。
一通り展開し、今度は主たる役者さんが変わり、ターンしてもう一回展開するのですが、抽象劇だけに同じテクストを使うため、完全に展開が読めてしまい、しつこいだけになってしまっておりました。
もちろん、そこはそれなりに差はつけられていたのですが、そこが微妙すぎて正直飽きてします。

役者さんの動きも例えば、
「女性を皆で押さえつける」とか
「足で(砂をかけるように)前方に振り上げる」とか
「休む」とか
の動きを繰り返すのですが、この動きに変化が余りみられないこともあり、退屈なだけになってしまいます。

2時間のお芝居ですが、正直「長い」と感じました。

おそらくは、一通り演技しターンした後の展開をもう少し掘り下げてみる。
「顔面売買」という中々面白いタイトルだけに、ここをもっと掘り下げてみる。
とかしていれば、さらに面白かったと思いますし、退屈しなかったのではないかと思います。

「意外性は不要なのだ」という人もいるかもしれません。
でもそれは「飽きのこない工夫」の上にあって初めて活きる手法なのではないかと私は思うのです。

後は、退屈な主婦の一日を描くくだりに共感を持てなかったこともあるかと思います。
主婦って案外いろいろと生活に変化があるものです。
さらに言えば、下級公務員の子供がいない夫婦で専業主婦というのは、一般的にはとても考えにくい設定です。
つまりは私にとってはリアリティに欠けたというところも、私がちょっと退屈してしまった原因なのかなと思います。

ちょっと厳しめに書きました。
まだまだ若いだけにいろいろとトライしてほしいと思います。