日曜の銀座シネパトス、その日は冷たい雨、冷たい風が吹き荒れているにも関わらず、席の半数は埋まっていた。さすが、静かな話題となっている映画だけある。昭和天皇ヒロヒトをひとりの人間として描いた映画『太陽』は、実に興味深い映画だったので、ここでちょっと紹介したいと思う。
私はヒロヒト天皇を知らない。
昔、チラッと写真やTVで見た事はあるけれど、口癖とか、独特な口元の動きとか、そういったヒロヒト天皇の日常を知る機会が無かった。ヒロヒト天皇は、教科書の中の人物という認識であって、一個人として見ていなかった。
しかし、こんなにひとりの人間の存在や一挙一動がユーモラスで悲哀に満ち、私たちを切なくさせるのは、かつての国民の太陽であったヒロヒト天皇だからに他ならない。
劇中で、ヒロヒト天皇が、研究用の蟹を天眼鏡でのぞき「素晴らしい!奇跡だ」と言うが、まさにこの映画こそがヒロヒト天皇を研究したソクーロフ監督とイッセー尾形に「素晴らしい!」という言葉を贈りたい。
イッセー尾形が演じた天皇像を見て、ヒロヒト天皇を身近に感じることができた。
「誰も愛してくれない」と嘆く天皇、マッカーサーと英語で会話をし、ハバナ葉巻を私も吸ってみたいと言う天皇、写真撮影で米兵から「チャーリー・チャップリンに似てる!」と言われて、チャーリー風におどけてみせる天皇。昭和天皇について何も知らないからこそ、素直に楽しめた。(途中からヒロヒト天皇の口元がナマズに見えてしまった。)
ユーモラスとシリアスが入り混じり、飽きることなく観ることが出来た。小津のようなカメラワークやアップ、色彩を押さえた映像、エンドロールに美を感じた。
■太陽
評価:★★★★☆
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映画『太陽』オフィシャルブック/アレクサンドル ソクーロフ
「父親たちの星条旗」を見てきました。
私からみれば、“父親たち”ではなく“祖父たち”にあたる年代になってしまうけど。
なんの予備知識がないまま、映画に挑んだので、誰がどんな役割なのか把握できず、物語はどんどん進み最初は戸惑いましたが、これは、ただの戦争映画ではありませんでした。“英雄”と賞された3人の兵士たちの、帰国後の苦悩がしっかり描かれていました。
ネイティブアメリカンのアイラ・ヘイズが一番心が純粋だったのだろう。その苦悩に耐えられず自滅していく様子が痛々しかった。同士のネイティブアメリカンからも、白い目で見られ、どこにも居場所がないように思えた。唯一の救いは、イベントに同行する海軍のPR担当者のキース・ビーチ(ジョン・ベンジャミン・ヒッキー)とアイラとは、毎晩お酒を酌み交わす仲だったようだ。(パンフレットに書いてあった)
戦争は終わっているのに、苦しみはまだ続く。硫黄島での戦いは36日間だったが、若い兵士たちはその後何十年も苦しみ続けるとはなんという皮肉でしょう。
その他、パイロット視点の映像が素晴らしかった(CGだと思うが)
その他、無名のキャスティングも、効果的。ざっと映画をみて、知っている俳優はほとんどいませんでした。(私が映画に無知なだけかもしれないけど) 後々知ったのは、ラルフ・“イギー”・イグトナースキー(ジェイミー・ベル)は、『リトル・ダンサー』(英)の主人公の子役だったことでしょうか。無名による役者の演技で、ドキュメンタリー性が増しています。
クリントイーストウッド、76歳とは思えない改心の出来の映画。この映画で、涙こそなかったものの、それ以上の強いメッセージを感じました。12月公開の『硫黄島からの手紙』(日本からの視点)も見なければ!
■父親たちの星条旗
http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
評価: ★★★★★
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父親たちの星条旗/
ジェームズ・ブラッドレー
価格:1,356円(税込み)
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「父親たちの星条旗」オリジナル・サウンドトラック/
サントラ
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静かな旋律が感動を再び呼び起こします。。
いい音楽です。でも悲しくさせます。
山田洋次×木村拓哉の今年度期待の「武士の一分」試写会で見てきました!新之丞と加世との絆を描いた作品です。(2006/11/13 有楽町・よみうりホール)
【あらすじ】
三村新之丞は、下級武士。藩主の毒見役をつとめて失明してしまう。妻の加世は、夫に生きる気力を与えようと、今の生活を保つために奔走するが、それが裏目に出てしまい、女として妻として屈辱的な目に遭ってしまう・・・。
「武士の一分」とは侍が命をかけて守らなければならない名誉や面目の意味。
そのここで山田洋次が描きたかったのは、“日常の幸福”でしょう。序盤の新之丞は、妻に「毒見役なんてつまらない」と愚痴を言いながら、朝食を食べ、白湯を貰い、文鳥を愛でている。
しかし、光を失った後の新之丞は、そんな日々とのギャップに苦しむ。ここからが見物だった。「人の手を借りて生きていかなければならないのか」と落胆しているところに、妻から告白をされる。そして離縁。この離縁をしてからの新之丞の行動が、実に武士らしい。庭先で竹刀を振る、うらさびれていく家、目は荒んで気迫が漂う。
この流れが実にテンポがいいといえば、誉め言葉だが、あまりに展開が早すぎたという見かたもある。緒方拳扮する剣の師匠との対峙も、あのワンシーンのみ。本当に、それで決闘が出来るんかい!ってつっこみたくなる程度の練習量(に見えた)本作の失点は、盛り込むところがありすぎたのか、120分に収まりきれていないところだったと思う。もっとしんみり、感動的になったはずだ。
新之丞に仕える徳平という役を笹野高史(山田映画にはよく起用されている)が演じているが、今回かなり重要な役だ。子供がいない夫婦だからこそ、仲介に入る人がいなくてはただのラブラブ映画になってしまうが、徳平がいることで均衡がとれていて、場が落ちついていた。
ヒロインを見事演じた壇れいさん。映画初出演とは思えないほど好演。気持ちを押し殺すというタイプではなく、宝塚っぽい情熱的な演技が垣間見えました。
■ところで、檀れいって誰?
1971年生まれ、京都出身。元宝塚歌劇団月組、星組娘役トップスターで、女優。現在は松竹エンタテインメント所属。
そして気になる木村拓哉の演技は、現代的なセリフ回しや、フッて笑うところを除けば、良かったと思う。やっぱり木村拓哉は存在感がある。最初は、顔がキレイなゆえ、随分と幼いお侍さんに見えたけど、目を失ってからの木村拓哉の演技は今まで見たことのない気迫が漂っていました。太刀回りは、もともと木村拓哉が剣道をしていたというから、様になっていたし。真田広之の太刀回りは、映画を観ていて、よけてしまうくらい怖かった。木村拓哉も歳をとって、演技もどんどん伸びていくんじゃないかな。可能性が広がる作品だった。
三部作であるがゆえに、前作と比べてしまうのが惜しいところだ。これが単体の映画だったなら、もっと評価が高くなるんじゃないだろうか。三部作の中では、2.5番目。やはり、あの『たそがれ清兵衛』に勝る映画は当分出てこなそうだ。
ただ、なによりハッピーエンドというのが嬉しい。この映画を見たあとは、きっと心があたたかくなるでしょう。隣りの伴侶を疑っていたことも、水に流してしまうでしょう。幸せはきっと身近にあるんですね。
■武士の一分(いちぶん)
http://www.ichibun.jp/
評価:★★★★☆
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この中の一編、「盲目剣谺(こだま)返し」が原作となっています。
50ページくらいなので、すぐ読めちゃいます。
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- 伊良部という精神科の医者を扮する松尾スズキの絶妙なセリフ廻し。たたみかけるようなセリフなど、テンポのよい展開、ストーリーにどんどんのめりこませてくれる。どうやら三木聡という監督。細かいところまで演出しているらしい。
市川美和子演じるのは、強迫観念神経症。これは私にもよく分かる。家から出たとたん、鍵しめたっけ?火は止めたっけ?と気になる。何度も何度も確認をするのだが、エアコンの電源を切れ忘れている。最終的には、家が家事で燃えてしまうという脅迫に苛まれている。
オダギリジョー演じるのは、継続性勃起症。つまりナニがずっとボッキしちゃってる病気。どうやら原因は別れた妻にあるようだ。
もう一人の患者は田辺誠一。本作のタイトルにもなっているプール依存症候群。もうプールに入って泳いでいたくてしょうがないという病気。
そんな変わった患者と松尾スズキのコメディタッチあふれるゆかいな映画。原作も見ているだけに、映画とのギャップも楽しめた。
ぜひお試しあれ!
ぽすれんで『イン・ザ・プール』レンタルする?
■関連情報
原作も読みました。
オモシロイのですぐ読めちゃいます。
本でも笑える。
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