山田洋次×木村拓哉の今年度期待の「武士の一分」試写会で見てきました!新之丞と加世との絆を描いた作品です。(2006/11/13 有楽町・よみうりホール)
【あらすじ】
三村新之丞は、下級武士。藩主の毒見役をつとめて失明してしまう。妻の加世は、夫に生きる気力を与えようと、今の生活を保つために奔走するが、それが裏目に出てしまい、女として妻として屈辱的な目に遭ってしまう・・・。
「武士の一分」とは侍が命をかけて守らなければならない名誉や面目の意味。
そのここで山田洋次が描きたかったのは、“日常の幸福”でしょう。序盤の新之丞は、妻に「毒見役なんてつまらない」と愚痴を言いながら、朝食を食べ、白湯を貰い、文鳥を愛でている。
しかし、光を失った後の新之丞は、そんな日々とのギャップに苦しむ。ここからが見物だった。「人の手を借りて生きていかなければならないのか」と落胆しているところに、妻から告白をされる。そして離縁。この離縁をしてからの新之丞の行動が、実に武士らしい。庭先で竹刀を振る、うらさびれていく家、目は荒んで気迫が漂う。
この流れが実にテンポがいいといえば、誉め言葉だが、あまりに展開が早すぎたという見かたもある。緒方拳扮する剣の師匠との対峙も、あのワンシーンのみ。本当に、それで決闘が出来るんかい!ってつっこみたくなる程度の練習量(に見えた)本作の失点は、盛り込むところがありすぎたのか、120分に収まりきれていないところだったと思う。もっとしんみり、感動的になったはずだ。
新之丞に仕える徳平という役を笹野高史(山田映画にはよく起用されている)が演じているが、今回かなり重要な役だ。子供がいない夫婦だからこそ、仲介に入る人がいなくてはただのラブラブ映画になってしまうが、徳平がいることで均衡がとれていて、場が落ちついていた。
ヒロインを見事演じた壇れいさん。映画初出演とは思えないほど好演。気持ちを押し殺すというタイプではなく、宝塚っぽい情熱的な演技が垣間見えました。
■ところで、檀れいって誰?
1971年生まれ、京都出身。元宝塚歌劇団月組、星組娘役トップスターで、女優。現在は松竹エンタテインメント所属。
そして気になる木村拓哉の演技は、現代的なセリフ回しや、フッて笑うところを除けば、良かったと思う。やっぱり木村拓哉は存在感がある。最初は、顔がキレイなゆえ、随分と幼いお侍さんに見えたけど、目を失ってからの木村拓哉の演技は今まで見たことのない気迫が漂っていました。太刀回りは、もともと木村拓哉が剣道をしていたというから、様になっていたし。真田広之の太刀回りは、映画を観ていて、よけてしまうくらい怖かった。木村拓哉も歳をとって、演技もどんどん伸びていくんじゃないかな。可能性が広がる作品だった。
三部作であるがゆえに、前作と比べてしまうのが惜しいところだ。これが単体の映画だったなら、もっと評価が高くなるんじゃないだろうか。三部作の中では、2.5番目。やはり、あの『たそがれ清兵衛』に勝る映画は当分出てこなそうだ。
ただ、なによりハッピーエンドというのが嬉しい。この映画を見たあとは、きっと心があたたかくなるでしょう。隣りの伴侶を疑っていたことも、水に流してしまうでしょう。幸せはきっと身近にあるんですね。
■武士の一分(いちぶん)
http://www.ichibun.jp/
評価:★★★★☆
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この中の一編、「盲目剣谺(こだま)返し」が原作となっています。
50ページくらいなので、すぐ読めちゃいます。
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