みなさま こんにちは。
彫刻工房くさか 日下育子です。
今日は素敵な作家をご紹介いたします。
彫刻家の小淵俊夫さんです。
小淵俊夫さん
前回登場の安藤英次さんからのリレーでご登場頂きます。
彫刻家 安藤英次さん 第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
小渕俊夫さん 第1回
に 引き続き、
第2回目の今日は、制作テーマについてお聴かせ頂きました。
お楽しみ頂ければ幸いです。
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幼星のゆりかご 1998年
宇宙夢 1996年
siricon life'09
川蟲i
カンブリア紀の生物を想像した作品
カンブリア紀の生物を想像した作品
日下
制作テーマについてですが、
「以前は風や波をモチーフにすることが多かった。
最近では『進化』に重点を置いている。」 ということですが、
『進化』というテーマではもう長く制作していらっしゃるのでしょうか。
小淵俊夫さん
昔は、石彫というのはモニュメント、
モニュメンタルなものを彫らなければならないと想っていたんですね。
バブルに直面していたので、しかも大きなものを作ると・・・。
そういうものが石の作品であるべきだと思っていました。
特に石彫に関しては千年後、二千年後にも残るので、
遠い未来の人たちがその作品を見て、この我々の時代を分析出来るわけですよ。
現在我々もエジプト時代や石器時代にはこういう生活していたとか
石の情報からでしか得られないので。
そういう意味では石彫は非常にパブリックな仕事なんだと考えていました。
私は昔、考古学の発掘も経験したので、
余計に古代文明とか、未来の人達に対する責任みたいなものを
意識して、心がけて、若い頃は石を彫っていました。
日下
そうでいらしたんですか~。(感動!)
小淵俊夫さん
そういうことで
僕も意識してモニュメンタルな作品を考えてはいたんですけどね。
その後仕事が無くなって、作品も売れませんから
最近では全くそういうことも考えずに開き直って、好きなものを彫ってやろうと。
そう思っていたら、ある時ふっと
小さい頃から化石が好きだったということを思い出したんですね。
特に三葉虫とか。
でも良く調べたら買うにはとても高価なものでした。
だから「自分で作っちゃおう!」という安直な考えから
『Silicon Life』(シリコン ライフ)という「石の命、石の生命」シリーズといって
自分の趣味のオタクな世界に走って行きました。
日下
『Silicon Life』という言葉自体が「石の生命」という意味なのですね。
小淵俊夫さん
そうです。シリコンというのは石の主成分の硅素の事なんですね。
「ケイ素生命」ということで、石にも命があるという・・・。
我々「炭素生命」に対しての「ケイ素生命」という意味合いもあります。
日下
あぁ~、そうですか。(感動!)
小淵俊夫さん
そういう化石っぽい、古生物っぽい
見地を織り交ぜて、
それで「ケイ素生命」というテーマで今は彫っています。
日下
かたちは実際にいる古生物を参考にして作られるのでしょうか。
小淵俊夫さん
いやいや、実際にいるものはないですね。
勝手に自分がいろいろなところからヒントを得て創造して、作り出すという。
まあ、団子虫とか三葉虫とか、そういうモノですね。
あとは深海の生物とか、写真集とか見るのが好きで、
そういったところからヒントを得て。
日下
それはもう、無限にイメージが湧いてくるという感じなのでしょうか。
小淵俊夫さん
湧いてきますね!
まあ、ほんのちょっとパターンを変えるだけでもいろんな形態が
可能ですし、だから面白いですよね。
日下
それでは、楽しいですよね。
普通は何かテーマを持って作ろうとすると
少し苦しくなっちゃうこともあるかと想うのですが。
小淵俊夫さん
そうですね。
ずっとどういう展開をしていこうかと迷っていた時期もありましたから。
まぁ、もちろん今だって、もうちょっと違うパターンを作りたいなということも
あるにはあるのですが。
例えば、今作っているものに脚をつけたらどうなるだろうとか
横になっているのを立てていったらどうなんだとか、
どんどん展開していって、いろんな作品制作をしています。
進化、化石の本、文献もまあかなりの数を読んでいるんですけどね。
そういう中で自分の作品もどう進化していくのか
計画的ではないけど、どう変化していくのか自分の中では楽しんでいるという・・・。
進化の種から始まって
芽が生えてきたような所なので
自分でもどう進化してくのかわからないですけどね。
日下
その、無限にアイデアが出てくるというのが
これからも楽しみですね。
小淵俊夫さん
はい、本物の生物には負けるんです。
本当に飛んでもないかたちの生き物っていますからね。
日下
とっても楽しい作品なので、
ご覧になって喜ばれる方が多いのではないでしょうか。
小淵俊夫さん
そうですね。子どもが大変喜びます。
ダンゴムシとか、「風の谷のナウシカ」にでてくるオウムだとか言って
とても喜びます。
私はどんどん触って欲しいと思っているんですが。
展覧会だとなかなか触っちゃいけないというのが悩みどころですが。
日下
私は「幼星のゆりかご」という作品を拝見した時に
本当にとっても素晴らしいな、楽しいな、ワクワクという感じがしました。
小淵俊夫さん
あれでもまだ大きい方なので、
モニュメンタルな考え方から段々、自分の趣味とか自分の好きなものへの
移行期だったんですね。
球体がくっついていて、ユーモラスな感じで。
だからしっかりがっちりしたものじゃなくて
人間が軽いので、段々ライトな感じが出てきた方が面白くなってきたのかな。
日下
そうですか。
小淵さんの作品群をどこかでみられる所というのはありますでしょうか。
小淵俊夫さん
今現在、『Silicon Life』シリーズが置いてある所は無いですね。
小さいものなので展覧会なんか出しても
「これ気をつけないと持っていかれちゃうぞ」なんて仲間から言われています。
今のところはうちのアトリエしかないかな。
日下
でも、こういう作品だと一般のお宅でも楽しめると思いますけどね。
小淵俊夫さん
そうだと思いますけどね。
玄関にポット置いて欲しいなとか.
仲間とか何人かはそうやって飾ってくれている人もいますけどね。
南風の標石 1987年
沖縄県 日航オクマリゾート 設置
かざだま 1992年
長野県臼田町南佐久地域振興センター内
高さ 4m 大理石
カオスの始まり 1998年
那須野が原国際彫刻シンポジウムin大田原1998
ふれあいの丘シャトーエスポワール 設置
日下
小淵さんはシンポジウム経験もおありで、
「群馬、山梨、福島、沖縄等、各地に作品設置されているそうですね。
これまでシンポジウムなど実務で制作、設置してこられた作品などについても
お聴かせいただけますでしょうか?
以前は風や波をモチーフにすることが多かったとのことですが、
「かざだま」とか「南風の標石」とか・・・。
小淵俊夫さん
「南風の標石」というのは沖縄ですね。
あれは学生時代の作品で、あれはバブルの頃の
向こうのリゾート開発の会社が何か置きたいということで。
学生の作品だったので安く・・・。
「南風の標石」の制作コンセプトは
石が風を孕んだら・・・・、というイメージです。
沖縄に設置ということで「南」をつけ、
太陽光を受け止めるという意味も込めて凹部を鏡面に磨き上げました。
日下
そうですか。
それでは学生さんの頃から活躍されて。
小淵俊夫さん
学生の頃だけ活躍していました。(笑)
日下
いえいえ。
「かざだま」の作品は石の雑誌の
「ストーンテリア」で拝見していて、すごい作品だなぁと
感動して拝見していました!(感動)
小淵俊夫さん
はい。あれはバブルの末期に長野県のシンポジウムで制作した
大理石の作品で高さ4メートルほどある巨大な作品です。
「かざだま」の制作コンセプトは
遥か天空よりのメッセージが、
風に乗り地上へと舞い降りてきて、波動となって伝わって行く、
というようなイメージで制作しました。
日下
素晴らしいお話をありがとうございます。
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今回、安藤英次さんのご紹介で
初めて、小淵俊夫さんとお話をさせて頂きました。
私が二十代の頃に購入した石の季刊雑誌「ストーンテリア」に
私の記憶に残るとても素晴らしいモニュメント作品がありました。
その作者である小淵俊夫さんにお話をお聴かせ頂く機会に恵まれました。
小淵俊夫さんをリレー紹介して下さった前回の安藤英次さんは
多摩美術大学で同じ石彫専攻でご一緒に制作されていたのだそうです。
また前々回登場の織本 亘さんは塑造専攻で
2~3年後輩の同窓生でいらっしゃるのだそうです。
小淵俊夫さんは中学・高校で、美術の非常勤講師をしておられます。
その現場では「作る、表現するということはとっても面白いことなんだよ。」と
少しでも子どもたちに感じてもらいたい、伝えたいと想っていらっしゃるそうです。
そんな小淵さんは、ご自身でも本当に楽しんで制作していらして
作り手の「ワクワク感」がとても伝わってくる
素晴らしい作品制作をされていると感じました。
みなさまもぜひ小淵俊夫さんの作品を
ご覧になって見てはいかがでしょうか。
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◆ 小淵俊夫さんのホームぺ―ジ
アート・アクセサリー「O(オー)の動物園」
◆ 小淵俊夫さんの作品が掲載されたWEBページ
◇那須野が原国際彫刻シンポジウムin大田原1998
上から四つ目の作品
カオスの始まり/小淵 俊夫 /ふれあいの丘シャトーエスポワール
◇町田市ゆかりの美術家たち
◇ゆう桜ヶ丘コミュ二ティセンターホームページ
◆ 小淵俊夫さんの他インタビュー記事
若手石彫家のアトリエ拝見
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