太陽風 2000年
siricon life'09
siricon life'09
日下
今は個展などを中心に発表されているのでしょうか。
小淵俊夫さん
個展は何回かさせて頂いたのですが、ここ1,2年は無いです。
なかなか自力では経済的に出来ないので。
作っているだけの方が楽しいですが、そういうわけにはいかないから
企画をしてくれる所があれば出来るという感じです。
もう、彫刻を生業とするというのは諦めたというか。
みんな銀座で個展をやって、評論家が見に来てくれて、
どこかに取り上げてくれてというのがあるみたいですが、
私はそういうことを目的としていないから、なるべくマイナーなところでやるとか。
展覧会自体、やるのがとても面倒臭いので、
あんまりやりたくは無いんですけどね。
日下
確かに首都圏のギャラリーはとても高額ですし、
自己負担の個展というのは、とっても大変なことですね。
小淵俊夫さん
昔は、石彫というのはモニュメント、
モニュメンタルなものを彫らなければならないと想っていたんですね。
特に石彫に関しては千年後、二千年後にも残るので、
遠い未来の人たちがその作品を見て
この我々の時代を分析出来るわけですよ。
現在我々もエジプト時代や石器時代にはこういう生活していたとか
石の情報からでしか得られないので。
そういう意味では、石彫は非常にパブリックな仕事なんだということで
未来の人達に対する責任みたいなものを意識して、
僕もモニュメンタルな作品を考えてはいました。
最近では全くそういうことも考えずに
とにかく作れるもの、作りたいものを作るということしか考え無くなりましたね。
ただ、何て言うのかな、
結構大人とか、美術の世界で認められるんじゃなくて
子どもとか、美術なんか関係無い人がいいな、面白いなと
思ってくれるような作品を作りたいとは思っていますね。
日下
そうですか。美術好きな人に限らず、
誰もが「おっ!?」と思えるようなものを
彫れるというのはすごいことだと思います。
私もそうありたいと想うのですが・・・。
小淵俊夫さん
小さいものだとモニュメンタルということが全然関係なくて
「ああ可愛いからこれ欲しい」とか、
そう思ってもらえる作品を作るというのが良いなとは想います。
なかなか売れないですけど・・・。
日下
モニュメンタルといえば、小渕さんは彫刻シンポジウムなどで
大作を公開制作、設置された経験ががおありだと思います。
小淵さんは彫刻シンポジウムへの参加を通して
彫刻の在り方や、普及の仕方など、何か一般の方々に伝えたいと
想われることはありましたでしょうか?
(※シンポジウムで制作された作品については
第2回
中段でご紹介しています。)
小淵俊夫さん
ものが作り上がって行く現場ですね。
ちょくちょく見に来る人は、何も無いところから作品が出来上がっていく
現場を目の当たりにできますからね。
しかも削岩機をガンガン回したりとか
粉塵が大量に飛び散りながら制作しているというのは
みなさん知らないから、それは面白いだろうと思いましたね。
ああいう、人に制作現場を見せる面白い機会が
景気が良ければまたあちこちで出来れば
もう少し彫刻を身近に感じてもらえるのではないかと想いますけどね。
あのまま、あっちこっちでシンポジウムが根付いてくれれば
自分の所で出来た作品という風に、逆に地域の人々も
思い入れができると思うんですけど。
日下
そうですね。何かちょっと、寂しくなったような気もします。
小淵俊夫さん
ある日、公共の駅前に突然女の裸の像なんか立てて
「芸術だ」なんて言っている馬鹿な連中もたくさんますので。(笑)
公共の場に裸の像が立っているというのは、やっぱりおかしいですし、
その辺の感覚を変えたいというのはありますね。
そんなのが芸術だとか彫刻だと思われているのが悔しいです。
日下
そうですね~。(同感)
視点を変えると今、小淵さんが制作されている
指輪の作品などは身につけて楽しむ彫刻とも言えますよね。
そういった小作品での、一般の方への彫刻の浸透ということでは
何か想うことはおありでしょうか。
小淵俊夫さん
とにかく自分が作れるものを作るという感じですね。
多分、自分が楽しく作ったものであれば
見る人も楽しいんだろうなと想って作っています。今は。
作品が売れないんだ、と想ったら気が楽になりました。(笑)
どうせ売れないなら好きなものを作ればいいと思って。
そう想った時に、本当に自分のものが作れるのかなと想います。
だから昔は、気張っていて「彫刻家として・・・!」
なんて想っていた時期もありましたけど、
年取るとしんどくなってくるし、自分ができるもの、
自分が面白いと想っているものを作るということですね。
日下
そうですか~。ありがとうございます。
カンブリアンボール
辰(タツノオトシゴ リング)
ハリネズミ リング
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日下
次回のリレー作家をご紹介いただけますでしょうか。
小淵俊夫さん
彫刻家の原 透さんを紹介します。
プランクストーン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日下
では、最後に「あなたにとってアートとは?」にお答えいただけますでしょうか?
小淵俊夫さん
私の制作しているものがアートと言えるのかどうかわからないですが
私にとっては、いわゆる創作する、創造するという事以上に
自分本位の楽しみですね。
古いものをですが、見るのも大好きですし。
日下
見る方で古いものがお好きというのは、
小淵さんが彫刻を始めた頃からお好きでいらした仏像のことでしょうか。
小淵俊夫さん
ええ。こっちにで住んでいますと博物館や、美術館で展覧会も観られますし
最近特に、五輪塔とか田舎に帰ると朽ち果てた墓石か何かの石の肌の面白さ
とかそういうものにも興味がありますけどね。
日下
「アートとは?」を「作ることとは?とか表現することとは?」という風に
置き換えるといかがでしょうか?
小淵俊夫さん
作ることとは、と置き換えると、「私自身」ですよね。
他に何も出来ないというのもありますが
ものを作るというのが楽しくてたまらないんです。
まぁ、しんどいこともありますけど。まぁ、とにかく楽しい!
自分にとっての最大の楽しみであると。
そこが一番精神的にも落ち着くし、
ものを作れない時間とかあると不安定になりますね。
日下
素晴らしいですね。
本当に楽しんでやれるということは大事だと思います。
お仕事以外の時はアトリエにいらっしゃるということでしょうか。
小淵俊夫さん
そうですね。
学校の無い日は、全てアトリエに行くという感じです。
なのでもう、何十年も休みは無いですね。
肉体的にはキツイですけどね。
アトリエに来て作業着に着替えると、一番落ち着きますね。
日下
あぁ~。良いですね。
今も以前からのアトリエ(※)
で制作していらっしゃるのでしょうか。
小淵俊夫さん
そうですね。仲間と一緒に共同アトリエを構えて
台風やら、いろいろな事で屋根が飛んでしまったり、大変な状況ですけど
そこの隅っこで細々とやっています。
日下
共同アトリエというのは、仲間の方もいらしていいのでしょうね。
小淵俊夫さん
いや、出来れば一人の方が、自由にレイアウトも出来ていいでしょうけど。
あとは、土地を借りたりとかそういうこともあって、
どうしても共同アトリエになっちゃいますけどね。
本当は田舎に帰れば、知人の畑で、遊んでいる土地がいっぱいあるから
そこでアトリエを構えられれば良いんでしょうけど。
今度は食うための仕事が無いのでね・・・。
帰るきっかけが無いという感じですね。
日下
そうですか。群馬県が出身地でいらっしゃいますものね。
小淵俊夫さん
そうなんです。東京にも二時間ぐらいで来られますから近いんですけどね。
何かきっかけがあれば帰りたいなとは想ってはいますけども。
日下
そうですか。
今回は、とても素晴らしいお話をたくさん、ありがとうございました。
夢夜の旅 1995年
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今回、安藤英次さんのご紹介で
初めて、小淵俊夫さんとお話をさせて頂きました。
私が二十代の頃に購入した石の季刊雑誌「ストーンテリア」に
私の記憶に残るとても素晴らしいモニュメント作品がありました。
その作者である小淵俊夫さんにお話をお聴かせ頂く機会に恵まれました。
小淵俊夫さんをリレー紹介して下さった前回の安藤英次さんは
多摩美術大学で同じ石彫専攻でご一緒に制作されていたのだそうです。
また前々回登場の織本 亘さんは塑造専攻で
2~3年後輩の同窓生でいらっしゃるのだそうです。
小淵俊夫さんは中学・高校で、美術の非常勤講師をしておられます。
その現場では「作る、表現するということはとっても面白いことなんだよ。」と
少しでも子どもたちに感じてもらいたい、伝えたいと想っていらっしゃるそうです。
そんな小淵さんは、ご自身でも本当に楽しんで制作していらして
作り手の「ワクワク感」がとても伝わってくる
素晴らしい作品制作をされていると感じました。
みなさまもぜひ小淵俊夫さんの作品を
ご覧になって見てはいかがでしょうか。
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◆ 小淵俊夫さんのホームぺ―ジ
アート・アクセサリー「O(オー)の動物園」
◆ 小淵俊夫さんの作品が掲載されたWEBページ
◇那須野が原国際彫刻シンポジウムin大田原1998
上から四つ目の作品
カオスの始まり/小淵 俊夫 /ふれあいの丘シャトーエスポワール
◇町田市ゆかりの美術家たち
◇ゆう桜ヶ丘コミュ二ティセンターホームページ
◆ 小淵俊夫さんの他インタビュー記事
若手石彫家のアトリエ拝見
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