『そして僕は途方に暮れる』(2023)
原作は三浦大輔作・演出の戯曲。
監督・脚本 三浦大輔(『何者』『娼年』『ボーイズ・オン・ザ・ラン』他)
音楽 内橋和久
エンディング曲 大澤誉志幸「そして僕は途方に暮れる」
藤ヶ谷太輔、前田敦子、中尾明慶、毎熊克哉、野村周平、香里奈、原田美枝子、豊川悦司、他。
フリーター菅原裕一(藤ヶ谷太輔)は鈴木里美(前田敦子)と5年も同棲している。一度は母親に会わせたこともあるが、具体的な進展はないままほぼヒモ的な自堕落生活を送っていた。
初冬を迎えようとしているある日、裕一の浮気が発覚する。冷静に話し合おうとする里美に裕一は家を出るという行動に出る。逃げだ。とりあえず同郷のよしみ、親友の今井伸二(中尾明慶)のところに転がり込む。しかし裕一の暮らし方は里美と同棲してた時とひとつも変わらず、その怠惰さを責められ1週間で伸二のもとも去ることになる。次に大学時代に所属していた映画サークルの先輩でありバイト先の先輩でもある田村修(毎熊克哉)を頼る。今度は気を利かせて先回りをするような行動を取るが、逆に甘く見られ、やはり1週間でそこも去ることになる。その次はやはり映画サークルの後輩で今現場にも携わってる加藤勇(野村周平)と連絡を取る。けれど後輩のリスペクトの眼差しに、これまでの経緯を話すことはできても泊めてくれの一言がプライドが邪魔して言えない。事の行く末は必ず教えるとだけ約束して別れる。
里美にはもちろん、伸二にさえ再度連絡することをやめている裕一。移動のために使ってた自転車も盗まれた。スマホには多くの人の連絡先が連なっているが、本当に頼れる人は少ない。ついに身内、姉香(香里奈)を頼るも、金の無心を母親智子(原田美枝子)にしていたことがバレていて、それが自分のところへ飛び火していることをなじられる。たまりかねて勢い飛び出した裕一は、北海道で一人暮らしをする智子のいる実家に帰ることにした。
リウマチを患いながらも懸命に世話をやこうとする智子。近い将来実家をたたむことなども話す中、裕一は実家に帰ってくる意向を示す。すると智子が新興宗教まがいのセールスに首を突っ込んでいることが判明。恐ろしくなったのか、裕一は逃げ出すように実家を後にする。
さていよいよこの先どうしようか行くあてもなくバス停に座り込んでいると、浮気が原因で離婚になった父親浩二(豊川悦司)と再会する。拾われる形で裕一は浩二としばらく暮らすことになる。その暮らしの中で、浩二の生き方と自分の生き方の共通点に本気でこの後の生き方を変えなければならないと焦燥感を持つも、居心地は悪くなく、具体的に何かするわけでもなく過ごしていた。が、電源を切っていたスマホを立ち上げてみると、里美からの電話が4日前から立て続けに入っていた。留守電を聞いてみると、母親が倒れ入院したとのこと、慌てて向かうその途中で、里美と伸二と鉢合わせになる。幸い母親はすでに自宅に戻ってるという。
実家に行くと香もかけつけていて、しばらくして父親もやってくる。香、里美、伸二、父と母とで新年を迎える形になり、そこでこの一か月ちょっとの間逃避行していた裕一は初めて心の奥底を吐露する…。
さて、新しい気持ちで人生を生き直そうとする裕一は、里美とのやり直しから始めるつもりだった。けれど、里美に思わぬ事態を告白される…。
舞台演劇だったのがわかる。そしてやはり生舞台と映像は違うなと思った。生舞台で観たら面白かったろうなと思った。
母親とのくだりで、母としてはしっかり生きろとメッセージしたつもりなのだろうが、逃げ癖のついてる裕一にはうっすらわかってはいても素直に受け止められない。そこで、ああ本当に裕一はダメ人間、クズ人間なんだなと思った笑。さらに父親の生き方を見るに、遺伝子かと諦念した笑。
裕一はみんなの前で自分の至らなさ、情けなさ、そして改心を涙ながら語るのだが、おそらく、それは本気、本当に今そう思ってるしそうしたいと思ってきた人生だろう。でも、実行には移せず、これからもたいした変化もなく生きていくんだろうな。性質だから。
そんな裕一でも、誰かにとっては愛らしく守ってあげたくなる、そこに居るだけでいい存在になると思う。いろんな人間がいるから。
藤ヶ谷太輔はいいと思ったことはなかったけど、このキャラクターは良かった。
★★★(★)
配給 ハピネスファントム・スタジオ










