『25時、赤坂で Season2』(2025)テレビ東京系列1002〜全10話
原作は夏野寛子の漫画。
監督 安川有果(『ジャックフロスト』『山田くんとLvl999の恋をする』他)、船曳真珠、芳賀俊
脚本 青塚美穂、阿相クミコ(『カカフカカ』『早子先生、結婚するって本当ですか?』他)
音楽 坂本修一(『レオン』『青くて痛くて脆い』他)
インティマシーコーディネーター 西山ももこ
LGBTQ+インクルーシブディレクター ミヤタ廉
オープニング曲 SIRUP「KIRA KIRA」
エンディング曲 Glen Check「After Hours (At 25:00, in Akasaka Season2 OST)」
駒木根葵汰、新原泰祐、宇佐卓真、南雲奨馬、中村まこと、石田佳央(いしだよしひさ)、篠原悠伸、町田マリー、今川宇宙、福津健創、雛形あきこ、夏生大湖、橋本淳、片山萌美、他。
大学の映研時代からの知り合いで、俳優を目指す羽山麻水(駒木根葵汰)と白崎由岐(新原泰祐)は、ドラマ「昼のゆめ」が縁で再会し互いの想いを成就させた。麻水はすでに売れていたが、白崎もマネージャー篠田(橋本淳)にセキュリティのしっかりした所へ引っ越すことを勧められるくらいには名前が知れるようになった。今、二人は半同棲の形で付き合っている。もちろん秘密だ。
「昼のゆめ」の評判が良く続編を作ることになり、久しぶりの面々佐久間はじめ(宇佐卓真)、山瀬一馬(南雲奨馬)とも再会し、交流を深める。
順調に愛を育んでいたが、麻水のマネージャー明野(片山萌美)に関係がバレてしまい、別れることを突きつけられる。けれど「昼のゆめ」の撮影をする中で何が大切かを考え、また結果も残して麻水は白崎と正式に共同生活をすることを決め、明野を説き伏せる。
そうして幸せな生活が始まり、仕事面では麻水が好きな小説「雨と懺悔」が舞台化することが発表される。監督は白崎が好きな青山慶一郎(中村まこと)だった。二人はオーディションを受けるライバルになる。早く麻水に追いつき対等になりたい白崎と、生活と仕事は別物と考える麻水に微妙にすれ違いが生じる。モヤモヤするけれど、白崎の言う「勝ちたい相手」と「負けたくない相手」の違いを知り、麻水は白崎の意思を尊重する。
二人とも最終審査まで残るものの、麻水に主演映画「ラストノート」の話が舞い込む。監督の藤岡(石田佳央)に懇願され麻水は「雨と懺悔」のオーディションを途中退場する。そして、黒木蛍太(夏生大湖)という強力なライバルもいたが、みごと白崎が主役を勝ち取る。
「ラストノート」に出ることになった麻水は、その内容からも、今さら会いたいと連絡をしてきた実母はるか(雛形あきこ)にも、苦しい過去を想起せざるを得ず表現することに足止めを食らっていた。そこへ自分らを捨てた小説家の父親から自伝となる新作が送られてくる。映画化が決まり、主役をオファーされ、父親の気持ちにまで寄り添うことになる。白崎は主役争いで一時期は挑発的だった共演の黒木との時間を優先するようになり、役者として変化、成長していく。そんな白崎を見ながら、麻水も不安定ながらも、それこそ周りの者たちの言葉や行動から自己解決していく。
白崎の舞台の幕が開き、白崎のその成長ぶりに麻水もまた、父親からのオファーなど、自分の道を極めることを心新たにしていく…。
もちろん、二人の関係は継続される。
麻水、メンタル強い。しかも我慢してため込むタイプではないか? 爆発に至らないのが不思議だ。所詮この世は無常と思ってるんじゃないか? 達観してる節がある。一方、白崎は自然体で熱い。
劇中劇となる「昼のゆめ」が二人の実生活とリンクしていくのは前回同様でとても良かったし、今回も舞台「罪と懺悔」と映画「ラストノート」で現実とリンクしていく。また、オーディションなどが、お互いの生き方、仕事への向き合い方を決める導となるのも良いし、何より、互いに切磋琢磨しつつも愛を育んでいる様、危うさをかもしながらも根底でしっかり結ばれてる様がいい。そしてその内心を表現する駒木根葵汰の表現力が素晴らしい。新原泰祐の甘さも魅力。
麻水の過去も描かれ、麻水の包み込むようなそれでいて相手を尊重する遠慮がちな愛がどうして生まれたのか、その性格もわかった。前述した強さも納得がいく。なかなか深く愛おしい。
劇中劇でいろんな脚本家、監督が見られる。それによって役者の心持ちが変わっていくのが見られる。
面白かった。
それにしても美しい。ためもちょうどよく、全ての画角、角度が完璧。
★★★★★
スピンオフ「昼のゆめ another side」
ドラマ「昼のゆめ」のスピンオフといった形で、佐久間(宇佐卓真)演じる哲平の職場に、山瀬(南雲奨馬)演じるデリバリー配達員の大和との恋の成就が描かれる。徐々に大和に惹かれていく哲平と、フランクに想いを募らせる大和。そこにはすでに恋人同士となった麻水演じる涼ニ、白崎演じる拓海も登場し、哲平は大和が拓海を好きだったことを思い出し引き気味に…なんてエピソードも入る。
それは現実にもつながり、鈍感な佐久間は山瀬が白崎を意識していたことも知らなければ、麻水と白崎がいい仲だということにも気づかない。そんな佐久間を可愛く想う山瀬にも気づいてない、というほんわか設定はとても良かった。
あと、本編(麻水×白崎)よりこのスピンオフ(山瀬×佐久間)の絡みの方が濃厚だった。のはなぜ!?
★★★
すでに役者「駒木根葵汰」「新原泰祐」という名を演じているのに、ドラマの中で何某であろうとし、さらにその役がまた何某になろうとする。面白いけど、役者という職業の難しさたるや。




