『ひとつぼっち』(2022)
脚本におこした波流じゅんの体験をもとにしたもの。とのこと。
監督 副島新五
原案・脚本 波流じゅん
広山詞葉(ひろやまことは)、美村多栄、池之上頼嗣(いけのうえよりつぐ)、木下菜穂子、篠原真衣、岡本志乃、海老瀬はな、犬塚あさな、新美啓之(にいみひろゆき)、安藤香都里、他。
母親(木下菜穂子)から虐待を受け続けた上に捨てられた木村波子(広岡詞葉/少女期:岡本志乃)は介護士として施設で働いている。丁寧で優しい仕事ぶりに評判は上々で、同僚の大隅(池之上頼嗣)には好意を持たれていて波子もまんざらではない。
ある日、施設にまだ50代という若さだが認知症を患った女性が入居してくる。波子の実の母親高畑華絵(美村多栄)だった。担当を言い渡され、昔を思い出して波子は尋常でいられなくなり、つい手を上げてしまう。それは虐待と取られ、施設長(海老瀬はな)に担当を外してもらえたが、華絵は波子を「おかあさん」と慕っており、他の介護士では食事もとらない。その上、義理の娘だという聡子(篠原真衣)が無理矢理離婚届を書かせようと、華絵に虐待まがいの行為をするのを目撃し、思わずかばう。そこで聡子もあしげにされてきたことを知る。また、華絵もその母親からの虐待を受けてきたことも知る。そんな時、華絵が行方不明になる。複雑な思いにとらわれる波子だったが、幼少期母との唯一の温かい思い出が収められた1枚の写真を見て、華絵を探しに思い出の海岸へと向かう。
波子は華絵のことを許し、一緒に住もうかと思い始めるが、ふと記憶を戻した華絵は波子に昔のような悪態をつき、ついに波子は華絵の首に手を伸ばす…。
虐待の連鎖だった。
せっかく良い題材で話の展開もいいのに、役者の芝居がつまらない。主人公の波子役は良いだけに、まわりが残念でならない。特に、子供時代の波子役は台詞らしい台詞がなく、表情が勝負になる、それが完璧だった。素晴らしい。波子役しかハマってないのだ。あと、台詞が一言多い。そうではない表現があるだろうにとがっかりするところが3〜4シーンあった。でも、良い台詞もあって、それが以下。
大隅「忘れてほしくない、波子さんの生きた証だろ」波子「忘れることはできないけど、ゆるすことはできる」
大隅の台詞(意訳)「僕たちの仕事って生きることのお手伝いと思うんです。だから華絵さんがどうとか関係なくて、年取るとできないことが多くなるじゃないですか、それをほんの少しお手伝いするってだけで」
というわけで、ネタバレすれば、事なきを得て、波子は母親をそれなりに受け止めて、大隈との未来もあるわけだけど、ハードな問題だけに、もっともっと芝居を、台詞を練って欲しかったな。と贅沢なことを思った。
とにかく惜しくてもったいなくて。
★★★★






