マッチング(ネタバレ有り) | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『マッチング』(2024)


監督・原作・脚本 内田英治(『下衆の愛』『獣道』『ミッドナイトスワン』『タイトル、拒絶』『異動事例は音楽隊!』他)

共同脚本 宍戸秀紀

 

土屋太鳳、金子ノブアキ、佐久間大介、杉本哲太、斉藤由貴、片岡礼子、片山萌美、永瀬莉子、石田佳央、真飛聖、後藤剛範、円井わん、前原滉、大村彩子、寉岡瑞希(つるおかみずき)、名越志保、小林亜美、畦田ひとみ(うねだひとみ)、瀧川鯉斗(たきがわこいと)、八鍬亜里砂(やくわありさ)、藤本タケ、川田玲那、山口太幹(やまぐちたいき)、中澤功、他。

 

「ナガタウェディング」でウェディングプランナーとして働く唯島輪花(土屋太鳳/幼少期:川田玲那)は29歳になるが恋愛は苦手もあって消極的。受け持つ新郎新婦はマッチングアプリでの出会いが多く、担当した高校時代好意を寄せていた恩師片岡(瀧川鯉斗)までもがマッチングアプリでの出会いだった。ある日、同僚の伊藤尚美(片山萌美)にも推され、流れで一番人気のマッチングアプリ「will will」に登録する。するとすぐに25歳の青年トムこと永山吐夢(佐久間大介)とマッチする。そんな時に、「ナガタウエディング」と「will will」との合同企画が持ち上がり、チーフエンジニアの影山剛(金子ノブアキ)と知り合う。

けっこう積極的なトムに半ばうんざりしながらも、尚美のおせっかいもあり会うことになる。しかし待ち合わせの水族館に現れたのは黒いゴム長靴におよそ初めてのデートには似つかわしくない服装、話すこともどこか気持ち悪く、なんだか怖くなり輪花はその場を逃げ出すが、以降もトムは執拗に連絡をよこし、ストーカー化していく。輪花はトムのことも影山に相談するようになる。

一方、世間では猟奇殺人が連続して起こっていた。不思議なことに輪花が担当した新婚カップルばかりだった。そして片岡夫婦が殺されたことで刑事西山(真飛聖)が輪花を訪ねてきて、周辺が騒がしくなる。輪花が幼い頃母親が失踪して以来、男手一つで育ててくれた父親芳樹(杉本哲太/25年前:藤本タケ)に不倫の過去が浮かび上がる他、不幸や問題が続く。それにつけ親しくなった影山を頼るも、思いもよらない真実が明らかになっていく…。

 

サスペンスか。

 

キーアイテムの四葉のクローバーは、その花言葉に「幸福」の他、「私のものになって」と「復讐」があるという話から、終盤〜ラストの〆まで納得のいく展開だった。さらにかぶせた水族館のクラゲ、クリオネの使い方もきれいだった。


土屋太鳳が素晴らしくうまくなってて驚いた。初めて認識した『鈴木先生』で、メインキャラを当てられたので推されてるんだなと思ったけど、確かに印象に残る子ではあったけど、でもここまで良い女優になるとは。(『まれ』で大嫌いになったんだけど(^^;;あれは脚本が悪い)

父親役杉本哲太の若い頃が藤本タケで、そっくりだった。違和感がない。近年のこういうキャスティング神がかってる出来。

子役山口太幹もとても良くて、期待できる。

 

金子ノブアキが出てきた時点で、犯人は影山だな、と踏んだ。ところが一人ではなかったという面白い〆。トムが腹違いの弟であることは早々に勘づいたけど、どうつながるのかずっと考えながら見てた。他にも父親を殺したのは元不倫相手か影山か? と、どの殺人にしてもどっち、どっち!?と推理が楽しめた。……

 

★★★(★)

 

 

 

 

制作・配給 KADOKAWA

 

 

 


 


 

………そんなわけで以下ネタバレ↓


 

25年前、唯島芳樹はパソコンチャットで知り合った女節子(寉岡瑞希/斉藤由貴)と不倫関係になる。節子は芳樹の子をみごもっていたし、愛が昂じて輪花の前、妻の前にまで姿を現すようになる。別れたい芳樹と別れたくない節子。思い通りにならない節子は精神のバランスを崩していき(もともとサイコだった節はある)、ついには芳樹を刺して事件化する。

節子には前夫との子供(山口太幹)がいて、母親の狂っていくさまを直に見ていたことになる。その子が影山剛であり、みごもった子が永山吐夢。吐夢は節子に産み捨てられていた。つまりは兄弟による復讐劇なのだが、共謀ではなく、個別の理由のもと犯行に及んだと考えられる。影山は単純に壊れた母への思いからだろうが、吐夢は捨てられているからもっと根深い心理が働いている。

失踪したと思われていた輪花の母親美知子(大村彩子/片岡礼子)は実は節子に会いに行ったようで、そのままとらわれることになったようだ。以降ずっと節子と一緒に暮らし車椅子にくくりつけられ廃人化していった。節子の復讐…というより芳樹への愛が歪んだ形で美知子に向けられ続いている感じだ。

 

影山は捕まり、殺人は兄弟で二分したものと観てる側はわかるのだけど、劇中吐夢まではいきつかない。それに犯行の手段だけ取れば影山は模倣犯だ。猟奇的なものは吐夢のもので、殺害スタイルにこだわりが見える。捨てられた所以。

ラスト、輪花は吐夢に心を許すのだけど、輪花の心情描写が足りなくて安易さが気になった。万が一、二人が結ばれたら恐怖なのはわかるけど。それはないだろうな。