2016/1/26 日本乳癌学会/乳癌診療ガイドライン委員会からの回答 | HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

HER2タイプ乳癌のこと、治療のことなどを書き残しておこうと思います。温かい目で見守っていただければ、幸いです。アメンバー申請、コメント、メッセージ、リブログについては、「はじめに(私のスタンス)」テーマ内の記事をご一読下さい。

FEC6回が、相変わらず診療ガイドライン
に記載されていることへの疑問と、
私の三大治療の経験から、
乳癌標準治療(抗がん剤治療)に思うところ、
課題感を感じていましたので、
最大の治療を望んだ患者の声として、
日本乳癌学会のサイトから、
質問、意見を述べさせていただいたことは、
既に書きました。
※その内容は、直前の記事をご参照下さい。

日本乳癌学会から、
以下の回答をいただきました。
ご参考まで。

ーーーーー
2016年1月26日(火)16:57

日本乳癌学会事務局でございます。
このたびは乳癌診療ガイドラインについての
お問い合わせをいただき、
ありがとうございました。
当学会のガイドライン委員会の先生より
以下の回答が参りましたので
ご参照ください。
また、回答までに時間がかかりましたことを
深くお詫び申し上げます。

ーーー

ご意見をお寄せ頂き、
ありがとうございました。

「付1.初期治療における主な併用化学療法」
には代表的な原法を記載しておりますので、
間違いではありません。
しかし、時代とともに治療は変遷して
おります。

ご指摘のFEC療法については
アンスラサイクリンのみを使用する場合は
6サイクルが標準的ですが、

タキサンを順次行う場合は
FEC4サイクルまたは3サイクル
行うことが一般的です。

この点については
次回改定時に検討させていただきます。

なお、
パージェタ(ペルツズマブ)については
米国では術前治療としては承認されていますが、術後補助療法(アジュバント)としては
認可されていません。

また、乳癌治療研究へのご期待をいただき
ありがとうございます。

より良い治療を
早く患者様のもとに届けられるように
今後も乳癌学会は努力て参ります。

ガイドライン委員会では
そのエビデンスを吟味して
確実な情報を皆様に届けるように
努めています。

最後に、貴方様の治療がうまく行き、
健康が回復されることを祈念しております。

日本乳癌学会
乳癌診療ガイドライン委員会

ーーーーー

FECの回数についてはスッキリしました。
ドセタキセル(タキサン)の効かない
あるいは使えない人に
6回投与の可能性も残し、

普通はアンスラサイクリンにタキサンを
順次投与しますから、
その場合は4回または3回が「一般的」
(「標準的」と「一般的」を使い分けているのが
  少々気になりましたが、
 4回なのか3回なのかが議論が分かれるから
  でしょうか?
  私として特に突っ込みたいところでは
  ありませんでしたので、
  特に追及していません)

私としては納得のいく回答でした。

パージェタについては、
術前化学療法で使えなかったことが残念で、
米国とのラグは、だいぶ縮まったとはいえ、
まだあるのだな、と感じましたが、

確か当時日本でも、術前療法にパージェタを
追加する治験をしていたと思いますので、

治療開始時にはパージェタの存在すら
知らなかった、それ以前に乳癌について
何も知らず放置してしまい切迫していた(^^;
治験のできる病院を選ぶところまで
思い至らなかった
(そもそも、手術で取り除いてもらうこと
しか考えていなかった(^^;

自分の責任ではあります。

あの切迫していたところから、
急いで治療が開始でき、
主治医一任で手術もしていただけて、
仕事も1ヶ月休職しただけで、
会社を休まず放射線治療やハーセプチン治療
もこなせたのは、
 M病院を選んだからこそ出来たことだとも
思いますし、

T先生と巡り会えたのも大きい

「転移リンパ節行方不明事件」のスッキリ
しなさについて思うところが残っている
ものの、

乳癌で関わっていただいた個々の医師
(研修医以外)、看護師さん、技士さん、
事務員さん、
皆様、信頼できる仕事をされている、
温かさ、優しさを感じる、
総じて、
よい病院に導かれたと思っていますので、

残念ではありますが、パージェタの治験は、
ご縁がなかったのでしょう。

治験に参加してでも、
よいと思われる薬剤を使ってみたい
気質の方は、
病院選びを考慮することや
(どこの病院でも参加できるわけじゃない)
や、がんセンターのセカンドオピニオンを
お勧めします。

なお、国立がんセンター中央病院では、
2015年8月にカドサイラ+パージェタの
術前化学療法の治験が開始
(今は登録は終わってるかな)
されていたようです。

※自分には、もはや関係なかったので、
  最近の動向を調べようと確認して
  初めて気づきました。
 
乳癌学会や、乳癌治療の進歩をリードする
病院や先生方、頑張っていただいている
のだなぁ、と感じます。

そういう病院、先生方のセカンドオピニオン
を受けて直接お話を伺うことができ、

先生方が副作用の怖さを力説して下さった、
(アンスラサイクリンを追加したいっていう、
 変わった患者だったから、逆に聞けたこと
 なのだと思います)
患者集団として一定のリスクがあることを
力説して下さった、

乳癌学会は、信頼できる機関なのだと、
私は感じます。
(HARUさん、HANS症候群を最近知り、
 関連学会の見解なども読みかじり、
 ふと、思いました)

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この記事だけお読みになる方が
誤解をするといけないので
念のため補記します。

術前化学療法のパージェタは
   欧米から約5年の
  ドラッグラグを経て、
   術後補助化学療法
     (こちらはドラッグラグは約1年、
       劇的に短縮した)
   とともに
   昨年、2018年10月10日に認可されました。



▼ トリネガへの
  免疫チェックポイント阻害薬
  アテゾリズマブ (テセントリク)
  の適応拡大では、
  手術不能な局所進行
  (ステージ3B、3C)も含んで
 認可されました。


  私の5年前の
  残念だった思いは昇華
  しました。

  (私がパージェタやテセントリクを
   今から再発転移リスク軽減のために
   使えるわけじゃないですが、
   ~私が次に乳癌治療するのは、
       転移後の治療になるわけで、
       この問題は私自身の問題ではないので。
   それであっても、
   同病、同ステージの後輩患者さんたちの
   ために、そして医療の進歩そのものが、
   タチの悪いHER2タイプ乳癌の一罹患者
   として、喜ばし嬉しく感じています。)

ーーー

▼pCRしたら予後がよいかどうかは
   やはりサブタイプによって異なり
   HER2陽性やトリネガでは
  pCRすれば予後がよい、
   とのメタ解析結果が、
   2018年12月のサンアントニオで発表されて
   います。

    (私はサブタイプ別に臨床試験結果や
     論文を見ていたから、
     やっぱり、そっちの方が当たっていた)


▼そして、2014年当時、
  日本は臨床試験に参加しておらず、
  私が悔しい思いをした、
  KATHERINE(術前化学療法でpCRしなかった
  患者の術後療法にカドサイラを追加する)
  の臨床試験中間解析結果が出て、
  2018年12月のサンアントニオで発表され


▼2019年3月のザンクトガレンで
 HER2、トリネガは
 術前化学療法がより推奨され
 pCRしなかった場合、
 HER2陽性の場合は
    カドサイラ、
トリネガの場合は
    ゼローダ
 の追加が
    (患者集団では)予後を改善する
    臨床試験結果に基づき、
 推奨される流れになっています。


▼日本でも、8/30に中外さんが
    薬事承認の申請をして下さっています。


ーーー

因みに

▼私が初期治療(術前化学療法)をした
   2014年当時でも、
   転移性乳癌(ステージ4)には
   パージェタは認可されていました。

▼ステージ4でも寛解(根治かもしれない)例
   が出始めていることは、
   その後発信した記事で、
   折に触れて挟んできました。

▼2019/9月のESMOでは、国内での
   同様試験COMACHでも有効性が再確認
   されたことが発表されました。


ーーー

CLEOPATRA、COMACH、APHINITY、
そして、MARIANNE、ALTTOなどの
臨床試験結果から

▼HER2陽性では、

ステージ3(まで)
・術前化学療法
    アンスラサイクリンおよび
    ドセタキセル+ハーセプチン+パージェタ
    ⇒術後補助療法
        ハーセプチン+パージェタ

ステージ4
・1stライン
    ドセタキセル(6回まで)
     +ハーセプチン+パージェタ

が現在のゴールドスタンダード
となっており、

ステージ4
・2ndライン カドサイラ

がスタンダードとなっています。

さらに、上述の流れで、
ステージ3(まで)の
術前化学療法でpCRしなかった患者は
術後補助療法にカドサイラを追加する
方向に大きく動いており、

私の5年前の残念だった思いは
昇華しつつあります。

 (私が今から再発転移リスク軽減のために
  使えるわけじゃないですが、
   ~私が次に乳癌治療するのは、
       転移後の治療になるわけで、
       この問題は私自身の問題ではないので。
   それであっても、
   同病、同ステージの後輩患者さんたちの
   ために、そして医療の進歩そのものが、
   タチの悪いHER2タイプ乳癌の一罹患者
   として、喜ばし嬉しく感じています。)

ーーー

そして、現在進行中で

▼HER陽性3rdラインの治療選択と効果の
   臨床研究が進められています。


▼私は術前化学療法のハーセプチン+ドセで
   腫瘍はほとんど縮小せず、pCRしなかった
   けれど、
   HER2発現は強陽性3+→陽性2+(FISH陽性)
   になっていました。
   ハーセプチンは役目を果たしてくれた
   可能性が高いのだと思います。
   でもHER2発現していない癌が残った、、
   だから、HER2低発現でも効果が出ている
   1相、2相の臨床試験結果が出ていた
   DS-8201(カドサイラと同様、ハーセプチン
   のバイオシミラーに殺細胞性抗がん剤を
   くっつけた抗体薬物複合体ADC)が
   私の遺残癌 (手術で取り除きましたが、
   全身に流れていた微小転移が撲滅できて
   いない可能性は高く、ホルモン受容体ゼロ
   の私のHER2発現していない癌細胞は
   トリネガだったので…)のような癌細胞を
   抱えた、より多くのHER2発現患者に
   効く可能性を秘めている、
   と期待しています。
   HER2陽性(今までの基準と同一)患者には、
   先日、薬事申請がされています。


   HER低発現患者の第3相臨床試験も
   今年(2019年)1月から始まっています。



全員(ないし、ほとんどの)乳癌患者を
治せる治療は、
残念ながら、まだありません。
だから、医学界、医薬界が研究を進めて
下さっていて、
臨床試験の結果が出ると、
それを反映して
標準ガイドラインも進化するし、
新薬は保険診療として認可されていきます。

※私は中外製薬の回し者ではありませんが
   HER2タイプ
   (トリネガ再発転移の可能性あり)
   乳癌罹患者としてハーセプチンの
   恩恵にあずかり、
   パージェタ、アテゾリズマブを
   次々開発し、治療を受けられるよう
   認可申請、認可にこぎつけて下さった
   ロシュ/中外製薬さんに感謝し、
   今後の研究開発にも期待しています。

   DS-8201の第一三共さんにも
   期待しています。
   
(2019/11/3 紫字追記)