私は、4~5年前になりますが、
乳癌の中でも少数派の、タチの悪い
HER2タイプ
(ホルモン陰性~私は非反応~、HER2陽性)
初診で局所進行のステージ3C
の乳癌を、
標準治療の集学的治療
(術前抗がん剤 アンスラ→タキサン+ハーセプチン
→手術 全摘+レベル2までの腋窩リンパ節郭清
→放射線照射 胸骨傍を含む胸壁+鎖骨上
→術後ハーセプチン、術前と合わせて1年)
で治療し、
私の乳癌に対してできる、
当時の最大限、最良と考えられていた治療
(その後も医学、医療、治療は進歩しています)
の恩恵にあずかったと感謝している
一乳癌罹患者として、
ピンクリボン月間にちなんで、
ブログを書いています。
※加えて言えば、術前のハーセプチンも含む抗がん剤
治療でpCRしなかったのに、術後のハーセプチンには
足せる抗がん剤もなかった。その時点では
それ以上の標準治療、保険診療はなかった。
ハーセプチンのADCC活性 (自分の免疫、リンパ球の
うちの、無差別に癌をやっつけるNK細胞を活性化
する作用があると推測されている)に期待しつつも、
自力のリンパ球は三大治療の負の側面で弱っている
状態でもあり心もとなかった。だから、自由診療の
活性化自己リンパ球療法も、効果は藁と分かった上で
併用した経験者でもあります… 。 肝心のNK細胞が
どれだけ活性化して増えていたかは微妙ですが^^;
~増えたのはT細胞がほとんど。NK細胞を増やして
活性化させるのは難しいと言われています。~
出来るだけのことはしないと気が済まない
私の性分で、納得性、精神安定には寄与した、
寄与している(治療してなければ、しておけばよかった
かな、と後悔する性分なので)…
前置きが長くなりましたが、以下が本題。
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先のいくつかの記事で、乳癌治療の歴史
▼ハルステッド理論→フィッシャー理論
↑こちらの記事もよろしければご覧ください。
(リンク貼っておきました)
手術でどんなに広く乳房領域を
切り取っても、再発転移率をそれほど
減らせなかったことから、
乳管(に出来るのが90%、他に小葉など)
から浸潤して、比較的早い、小さなうち
から、リンパ管や静脈に流れ(微小転移)
それが遠隔臓器で成長して遠隔転移
となる乳癌があることが分かってきて
手術は縮小し、微小転移撲滅目的の
放射線や全身療法である薬物療法を
組み合わせた集学的治療が行われる
現在の治療に変わってきたこと
▼ホルモン受容体とHER2タンパクの
発現有無で分類した
サブタイプ別の治療へ
↑こちらの記事もよろしければご覧ください。
(リンク貼っておきました)
転移しやすいタチの悪い乳癌かどうかは
癌の顔つき(グレードで表す)で予測でき
顔つきの悪い乳癌は
ホルモン陰性、HER2陽性の
可能性が高い。
以前は、
癌がどれだけ成長しているか(T)、
リンパ節にどれだけ転移しているか(N)
遠隔臓器に転移しているか(M)
といった、癌の進行度合い
すなわち、ステージだけで
必要な治療、特に抗がん剤治療の要否
を判断していたようですが、
タチの悪さ、すなわち、転移するリスク
(転移する可能性)の高さを判断する指標
として、
また、治療が効く可能性を判断する
指標として、
ホルモン受容体とHER2タンパクの
発現有無という、
乳癌の生物学的特性を診て、
組み合わせで大きく4つのグループに
分けられますよね、
(それをサブタイプと呼んで)、
そのサブタイプとステージによって
どこまで治療をしなければならないかや
微小転移撲滅のために、どの薬物療法を
するか、を判断する
現在の治療に変わったこと
を書いてきました。
▼HER2陽性の治療の進歩
タチの悪いHER2陽性乳癌の
予後を大きく改善してくれた、ハーセプチン
(一般名はトラスツズマブ)
の後にも、
抗HER2薬が次々に開発されてきており
先の記事
↑こちらの記事もよろしければご覧ください。
(リンク貼っておきました)
でご紹介した、
メリーさんの癌が画像上から消えた
ハーセプチン+パージェタ(+タキサン)
が、今のところ、
術前後の再発転移予防(微小転移撲滅)
でも、
転移性(ステージ4)の1stラインでも
ゴールドスタンダード
となっています。
↑こちらの記事もよろしければご覧ください。
(リンク貼っておきました)
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続いて、
ハーセプチンに殺細胞性抗がん剤を
くっつけた抗体薬物複合体(ADC)
のカドサイラが開発され、
転移性(ステージ4)の2ndライン
として使われています。
※臨床試験で
カドサイラ+パージェタは、残念ながら、
ハーセプチン+パージェタ+タキサンに
優位性を示せなかったので
カドサイラ+パージェタが1stラインには
なりませんでした。
私は初期治療の術前化学療法
(含:ハーセプチン)でpCRしなかったのに、
術後補助療法のハーセプチンに
抗がん剤を足せないし、
既にステージ4では使えたカドサイラに
変えられなくて悔しい思いをしたのですが、
昨年、臨床試験KATHERINEの中間解析結果
が出て、
ザンクトガレン2019でも、
pCRしなかった場合の
術後カドサイラの追加が推奨され
日本でも、最近、術後にカドサイラが
使えるよう、中外さんから
認可申請されています。
↑こちらの記事もよろしければご覧ください。
(リンク貼っておきました)
以前から書いているように、
これから治療される後輩患者さんのために
そして医療の進歩を、
私は、とても嬉しく思っています。
ーーー
他にも、
●抗HER2薬 タイケルブ
+ 殺細胞性抗がん剤ゼローダ
(ともに経口薬)
(一般名はラパチニブ、カペシタビン)
※タイケルブはHER2だけじゃなくHER1も
阻害する
がステージ4では、確か、カドサイラ
より先に認可されて使われています。
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新薬も次々に開発されてきており
●日本では認可されていないけれど
米国では、
術前療法ハーセプチン+パージェタ
→non-pCRの場合 カドサイラ
→ネラチニブ
と使われているネラチニブ
※HER2、HER1だけじゃなく
HER4も阻害する
(不可逆性なのが正常細胞の副作用の方で
気にはなるけど…)
↑こちらの記事もよろしければご覧ください。
(リンク貼っておきました)
●カドサイラと同類の、
ハーセプチン(のバイオシミラー)に
殺細胞性抗がん剤をくっつけた
抗体薬物複合体(ADC)のDS-8201
※HER2低発現でも効く可能性が高い
という臨床試験結果が出ている
↑こちらの記事もよろしければご覧ください。
(リンク貼っておきました)
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では、
実臨床で、3rdライン以降の
治療選択と治療成績(効果)は
どうなんだろう?
という臨床研究もされています、
ということを発見しました。
私は4年前に日本乳癌学会に質問を
させていただいた際に、要望として、
後ろ向き(結果の集計、という意味)
でもよいので、
患者自身の治療選択の判断に当たっても、
そういう統計が欲しい、
ということも
書き添えさせていただきました。
だんだん、そういう研究も進んでいる
ようで、嬉しく感じています。
素人患者が考え感じるようなことは、
当然、考えて下さっている専門家
(臨床研究医)の先生方もいらっしゃり、
それを、近年、見える化、
すなわち公開して下さる情報が増えた
ということなのかもしれません。
いずれにしても、
私は、とても喜ばしく感じています。
以下をご紹介します。
今月までの登録で、来年1月までが
研究期間のようです。
WJOG12519B
転移性 HER2 陽性乳癌に対する
T-DM1 後の次治療の 臨床効果に関する
多施設共同コホート研究
The Real-World Clinical Benefits
of Following Therapy after TDM1
for HER2-positive Metastatic Breast Cancer
: A Multicentral Cohort Study
【研究代表者】 虎の門病院 高野利実先生
●対象
2014 年 1 月 1 日~ 2018 年 12 月 31 日
の間に、StageIV または再発後の治療として
初回 T-DM1 治療終了後に、少なくとも
1ラインの次治療が開始されている患者
●予定登録数: 300 例
●研究期間:
2019 年 7 月 1 日~2020 年 1 月 31 日
・予定登録期間:
~2019 年 10 月 31 日
・予定解析期間:
2019 年 11 月 1 日~2020 年 1 月 31 日
因みに、資金提供は第一三共さん。
薬事承認のためには、日本における、
既存の3rdラインとDS-8201の効果の比較
が必要で、
既存の3rdラインの選択状況および
それらの既存薬の効果の状況は
必要ですものね…。
誤解を招くといけないので
念のため書いておきますと、
治療前の3+→術前療法のハーセプチン
→術後2+ と、
HER2発現率は落ちた癌が残った
(その原発巣は手術で取り除けましたけど
微小転移を撲滅できているかは微妙であり、
転移リスクは引き続き高かったから
転移後の治療の動向をウォッチし続けており…)
私としては、
低発現でも効く臨床試験結果の出ている
DS-8201には強い関心と期待があり、
第一三共さんも応援しています❗️
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