アメリカのヴァージニア大学で世界で唯一の前世の記憶や臨死体験など人間の魂の行方に関することを研究しているセンターがある。Division of Perceptual Studies(DOPS)という。そこを率いた博士が、Ian Stevenson 博士[2018-2006]だった。大変な読書癖(voracious reading)があったという。
科学の還元主義的な手法による生化学やフロイト的な精神分析に限界を感じ、精神療法の分野に研究を進めた。その中で、前世の記憶をもつ子供たちの事例をインドや世界各地で蒐集するようになった。ゼロックスが研究資金を出して、大学行政的なことはせず、世界各地へ調査旅行に出られるようになったという。
子供の体に前世の傷痕のマーク(birth marks, birth defects)がある200人の事例研究(2巻、2268頁)が最大の業績だという。
弟子のエミリー・ウィリアムズ・ケリーによる以下の追悼録が博士の業績を回顧している。
とはいえ、子供の前世記憶の研究事例は2500ケースを超えて、その研究が日本でも有名です。
1986年に最初に『前世を記憶する子供たち』が刊行され、2016年に改訂版([Children Who Remember Previous Lives: A Question of Reincarnation, rev. ed.])が発行された。角川文庫でその改訂版の翻訳『前世を記憶する子供たち』が2021年に出ている。
前世の存在、死後における魂の残存という非物質的だが、人間の根幹に関わる事柄について、東洋人は一般に自然と受容している。
しかし、科学が発達して、キリスト教の思想影響が高いアメリカでは、生まれ変わり(reincarnation)については、懐疑的な人が多いそうだ。そうした外部環境の中で、博士が世間の冷たい視線を超えて研究された姿勢には頭が下がる。亡くなる前に、自分を生んでくれる、 次の親はどこにいるのだろうかと語ったそうだ。多くの弟子を育てたが、血縁の子供には恵まれなかった。
科学的に集積された、前世を記憶する子供のデータから、魂の永遠性の真偽が確証されたわけではない。ただ魂の永遠性以外の説明が困難であり、魂の永遠性の立場から説明したほうが妥当性がより高い、有効性が高い、腑に落ちる説明原理となっていることだけは、アメリカの科学誌で評価されているそうだ[竹倉史人(2015)p.164-167]。 またより重要なことは、アメリカ精神医学会の手引きにも前世に関する文化的資源がレジリエンスに有効であることが、最近の研究でもあきらかにされつつあるそうだ[同,p.168-170]。
さて、教祖(おやさま)は、肉体かしものかりもので、心ひとつが我がの理であること、魂は永遠であることに関連して、生まれ変わりに関する話を良くされた。信じるが信じないかは、その人次第だが、現世の陽気暮らしを教える天理教の教えにおいて、生まれ変わりの意義とは何か、それを考えることは重要な課題だと思います。
生と死は裏腹にあり、東大でも「死生学・応用倫理研究センター」がCOEの研究を継承している。死の見取り、臨床的ケアの分野も射程にあるそうだが、ぜひ、生まれ変わりに関する研究も入れて欲しい。
さて、普通は前世の記憶は誰にもないが、博士の研究によれば、
2,3才からはじまり、7,8歳まで前世の記憶がよみがえる事例が多いとされています。
アメリカのTV「死者の記憶をもつ子供たち」(Prime Video)の事例では、以下の3事例がありました。どれも親が驚き、子供が何度も前世の辛い記憶を思い出して苦しむことで、大変な育児の苦労をしました。
1.第二次世界大戦で硫黄島で撃墜されて亡くなったパイロットJames Houston Jr.の記憶をもったJames君。
ジェームズ・レイニガー君の事例は、以下のサイトの5番目でも紹介されていました。
2.オクラホマ州の連邦ビル爆発事件の犠牲となった保育士の女性で、今はCarsonという名の女の子。
3.NY貿易センタービルの崩壊で死亡した記憶を鮮明にもった男の子Cade。
1のJames君は両親が硫黄島に連れて行ってくれて、そこで過去の思い出から断ち切ることができるようになったそうです。それでも、大きくなったら、米国空軍のパイロットにまたなりたいと言っています。前世に積み重ねた能力や志向性が今世にも大きく影響することがわかります。
若い両親は、子供しか知らない前世の記憶を語り始めたら、しっかり聞き取ってあげて欲しいと思います。
それは子供の魂の軌跡を理解し、今後のあるべき人生の方向を支援するために是非必要です。
前世の記憶が残存している場合、それは乗り越えねばならない大きな精神的トラウマとなります。
人間がさらに生きていくためには乗り越えねばならない人生の宿題が一人一人違うのです。
前世にやり残したことが、今世で引き継がれるのです。そこに魂の物語があり、世界の救済の物語も始まるのです。




