みさの小劇場ウオッチ日記



公演期間 2013/04/03(水) ~ 2013/04/14(日)
会場 「劇」小劇場
脚演出 四大海
料金 3,500円 ~ 4,000円
サイト http://www.swat-net.com/sub1.html


かなりバカバカしい。都営地下鉄三田線車内でのマナー違反者(若者)を 巣鴨バスターズ(平均年齢75歳)という老人3人が正義の為に戦う物語。ちなみに巣鴨バスターズというネームはゲートボールのチーム名だそうだ。苦笑!


実際の車内でマナー違反をよく見かけるのが、降りる人を待てないで乗り込んでくる奴。シルバーシートに若者が座って老人に席を譲らない奴。なのに、意外にも老人は立って我慢をしてしまう。声をかけてどかせばいいのに・・。っていつも思う。たぶん、ワタクシが老人になったら、ちゃんと「お譲りください」って言うなぁ。それでも聞かない奴には、杖を若者のつま先に置いて全体重をかける。笑


若者のマナーが悪いのは老人が我慢しちゃうのも一因かと・・。

そんなもやもやを吹き飛ばすような今回の巣鴨バスターズはマナー違反の若者の頭を梅干しでグリグリするわ、大きなしゃもじで叩くわ、ハリセンで打つわ・・で、観ていてスカッと爽やかコカ・コーラの世界だった!


その若者と老人のバトルの情景にゲートボール仲間の孫探しも加味して、人情物語としても見せていた。これらのナビ役としてタウン誌の瀧下が担っていて、ひじょうに解りやすくしていた。しかし全体的にもうちょっとバトルが欲しかったところ。五代老人の孫探しとそのワケに物語が流れて肝心のコメディが終盤では薄くなっていたのが気になった。


また当日パンフに役柄の記載が欲しいところ。次回も巣鴨バスターズシリーズを公演するようだけれど、もうちょっと虚構的なバトルを観たいなぁ。幕開けの車内セットに驚く。すごくリアル。電車が発車した時の駅のホームに立っている人々の姿が流れる。よくよく見たらキャスターの付いた台をスタッフが引っ張っていたけれど、その様もコメディ!笑






みさの小劇場ウオッチ日記



会場 シアタートラム
脚演出 大浜直樹
料金 4,000円 ~ 4,300円
サイト http://www.lives.cc/news/35-newlive/200-201010liveaudition.html


「人を愛せ。人生を笑え。」をコンセプトに、優しくもクールに、温かくもたまにシュールに
人間喜劇を繰り広げる演劇集団LIVES(ライブズ)。1999年の立ち上げ以降、精力的に単独ライヴを開催、2002年には、全国から200団体以上が集まって行われた演劇コンテスト“第一回 E-1グランプリ”で優勝した実力派劇団。

主宰は、脚本・演出・作詞・作曲・振付、そして俳優とマルチに活躍中の大浜直樹。TBS系で4/7から放送されたドラマ「ムッシュ!」(EXILEのKEIJI主演)の脚本・演出も手がける。

映画の撮影現場を舞台にした俳優生活最後の撮影に臨もうとしている売れない俳優と、その周りに集まる、もっと売れない俳優たちの悲哀溢れるシチュエーションコメディ。 彼らの必死でもがく姿を温かい視線で描いた小さな希望の喜劇。(2011年の再演)

脚本は、6人の個性豊かなキノコ団を中心に、売れない大部屋役者や落ち目の大御所、奇抜なアイドルの話が展開していく、楽しい内容で、劇中劇の出演者の殆どが落ち目というネガティブ要素を、制作費不足や微妙な売れっ子アイドル抜擢で裏付けていた点に信憑性があって良かったと思う。

ライダーを倒す為に実験として作られた毒キノコの6人は、ただただこの映画をよりよくしようと考えた末に余計なアクションまでしてしまう。そして挙句の果てに卑猥と悲哀を聞き間違えた結果、イタイ演技も追加してしまう。余計なオプションだ。笑
そして監督の目からは演技の出来ない奴!とレッテルを貼られるも、彼らの戦闘員Aの最後の晴れ舞台を支える面々のドタバタぶりが面白くもあり、心を打つシーンでもある。


とにかく笑った!しかし観ていて心にグッと感じたことは演じている役者自身が自分と重ねて演じていたのではないか?ということ。とかく小劇場の役者の大多数がこの毒キノコのような存在で他人ごとではなかったに違いない。

終盤でみせる巻き戻しシーンの場面は観ていて圧巻!とにかくこの人数が一斉に巻き戻されるのである。舞台上で小さなゼンマイ仕掛けの人形が所狭しと半回転するようなもので、壮大でコミカルだった。そして2人のファンと売れない役者との会話の場面で泣ける。「ずっとファンでした。」この言葉にどれだけ役者は励まされることか。

役者を辞めたと聞いていた小澤真悟が今回、出演されていた。舞台が終わりに近づくと彼は泣いていたが、きっとこの舞台で色んなことを思ったに違いない。正直申し上げて、この6人の毒キノコ達は不器用な生き方しかできない役者だと思う。しかし彼らの舞台を観て「明日からも頑張ろう!」と支えられる観客は多いはずだ。このことを糧にして欲しいと思う。

それにしても舞台上の大浜は下唇の出た、ただのオッサンである。笑
しかし他の劇場で見かける素の大浜は実にカッコいい青年だ。オッサンになっても頑張って欲しいと心から。




みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2013/04/04(木) ~ 2013/04/10(水)
会場 吉祥寺シアター
脚演出 小林ともゆき
料金 2,000円 ~ 3,500円
サイト http://uchucan.web.fc2.com/


相変わらず、直球勝負のベタな舞台。だから万人ウケするお芝居だ。
とある繁華街の裏道にある喫茶店に集まる人々の物語。
今回、宇宙キャンパス得意の前説がなかった。すごく残念。しかしながら今回はX-QUESTの2人が出演するってんだから、ワタクシととしては彼らを見られるだけで、めっけもん的な公演なのだ。勿論、Aバージョンを観劇。この舞台は2人にとっては少々物足りない舞台だったのではないだろうか?暴れるシーンはあまりないから。笑


この喫茶店を癒しの場所として集まってきていたバケモノオカマを含むお客たちだったが、突然の喫茶店買収が持ち上がり、これに抵抗すべく、従業員と顧客達は全員で立ち上がる。しかし、相手はこの町でも名の通った暴力団だった。仕方ない・・と諦める店長を尻目に、なぜか燃え上がるバイト君。しかしながら相手が悪くもがいてもどーにもならない相手だった。


従業員も客もヤクザも巻き込み、買収劇に抵抗する頑張る人情劇だったが、終盤のどんでん返しがあまりにも都合の良い設定。苦笑! まあ、そうしないとこの物語に希望が得られないのだ。無理無理にどんでん返しをして、まあるく収めてしまった感はあるものの、喫茶店での人間関係で、面白おかしく魅せていた。あまり頭を使わずにゆるりと安心して観られる舞台だ。


X-QUESTの塩崎こうせいと谷口洋行の発声が非常にいい。これだけの人数の役者に混じっていると、つくづく感じる。やはり、日ごろの練習の賜物か?気になったのが谷口洋行のキャスト名の後に(X-QUEST)の文字がなかったこと。あれ?なんて不思議に思い、調べてみたらX-QUESTのメンバーではなかったんですね~。いつもX-QUESTの公演に登場してるから、劇団員かと思った。


ちなみに NHK『ストレッチマンV』 の出演が決まったそうで、素晴らしいですね。

谷口は映画『20世紀少年』(監督/堤幸彦) 、 映画『252生存者あり』(監督・脚本/水田伸生) 、仮面ライダーなどなど多数、出演されてて中々の人気者だ。そして資格・免許に「対有害科学物質防衛」って・・。元自衛隊でしょうか?






みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2013/04/04(木) ~ 2013/04/07(日)
会場 劇場MOMO
脚演出 村手龍太
料金 3,000円 ~ 3,500円
サイト http://dragon-gate.jp/next.html

2020年の近未来のお話。こう書くとファンタジーやバイオレンス的な舞台を想像しちゃうかもしれないけれど、そうじゃあない!笑
塚原刑事が無法化するこの時代に国民が安全に暮らせるようにと、独自の正義を掲げ、その為に多少の暴力でもって国民を制するようになる。しかし、これらの感情に加速した結果、国民を守るどころか、まるで暴力団のように暴力で国民を抑圧するようになってしまう。これに反感を覚えた同じく刑事である塚原の息子は父親と対立し逃走するも、逃げた先はエンジェルハウスというオカマショーバーだった。

物語の殆どはこのショーバーが舞台。ここでこのバーのオーナーの愛情や行動によって人間が、自分らしく生きるというテーマを表した物語だった。物語の軸はシリアスだが、ここにコメディ部分を無理に導入した結果、どっちつかずの中途半端な舞台となってしまった点が惜しい。この役者陣なら、充分、シリアスでイケル演技力だと思う。笑いの殆どをオカマネタで押し出そうとした結果、スベッテいた。また、バーの情景を物語の半分以上を費やした結果、主軸である警察官達の心の思いが希薄になり、なぜ、塚原が暴力的になってしまったかの経緯が説明不足だったのも惜しい。

リリアンこと、おっさんオカマを演じたのが村手龍太。汚いオカマは小劇場で充分、見慣れてるはずだが、稀に見る汚さ。苦笑!  一方で、キャサリンこと西村元貴が美しかった。キャラクター的にも、演技力面でも秀逸だったのが、サラリーマン今田&大西の長原翔と秋山慎冶のコンビだ。完璧、脇役なのだが、その抜群の存在感が素晴らしかった。

片桐役の杉浦雄介は無頼組合で良く観る役者だが、今回も良い演技をしていたと思う。また塚原親子(中村公隆、谷碧仁)も終盤で泣かせた。全体を通して中村がいい。
オカマショーも決して悪くはないが、シリアス路線でも充分イケル役者陣なのだ。だから、安全路線もいいがシリアスで勝負かけてもいいような気がする。笑いって難しいよね。観客の感性が違うだけに・・。

「知恵と希望と極悪キノコ」 LIVES



「太陽よ、汝は動かず」 異魂




「つきあたりを見上げれば…」 劇団宇宙キャンパス




「巣鴨バスターズ」 劇団S.W.A.T!




「Re-Birth」 劇団龍門




「大人の絵本『カラフル』」あぁルナティックシアター 





LIVESの舞台を観るのはなんと1年ぶりくらいだろうか?

久しぶりに劇団員たちの顔をみられるのは嬉しい限りです。

劇団宇宙キャンパス に関しては、この劇団の前説が好きなので期待大。

劇団S.W.A.T!も1年ぶりかなぁ。

なんだかんだいいながら、今回も下北沢エリアをうろうろします。


駅の構内が綺麗になってgood!






みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2013/03/28(木) ~ 2013/03/31(日)
会場 シアター711
料金 2,000円 ~ 2,500円
サイト http://nibirecipe.web.fc2.com


童話の中の登場人物と現実を、夢見るようなタッチで描いた作品。どちらかというと現実の世界も真綿でくるめて主役を保護するような感覚の舞台だった。だから正直申し上げてテーマが曖昧で、何を伝えたかったのかが、イマイチ解らない舞台。


童話の中では「トラックに乗ってカーニバルがやってくる」とか、その風景を想像して楽しくなった場面もあったけれど、一方で栗の木にあった死体・・・など、脚本は万人受けするものではなく、物語を観客に伝達する言葉が欠けていたように思う。だから、観終わった後に、すっきりしない曇った空気がワタクシを纏ってしまうのだ。


舞台は全体的に哲学的な側面を含んだファンタジーのようでもあったが、やっぱ、よく解らなかった。作家はこの物語を丁寧に数か月かけて作り出していくのだろうけれど、観客はたった90分でこの内容を把握しなければならない。そこに物語を理解する時間の熟成度が違っていたように思う。





シアターグリーン参加作品。


池田屋事件を題材にした花火師の物語でしたが、池田屋事件を扱う劇団が多い為、物語に斬新さはなく、返って荒が見えてしまうという課題が残りました。物語も雑でしたが、キャストが若かった為、重厚性に欠け、その時代の真剣さや、自らの命を懸けても日本の夜明けを夢見る獅子の震えが感じられませんでした。

また無理に笑いを誘おうとした為か、池田屋事件が薄っぺらに感じてしまったのも難点でした。そうはいっても、阿部首相の被り物には笑いましたし、所作も面白かったです。この舞台でディスコルームにする必要性も感じられず、むしろ、シリアスな展開を狙ってストレートな舞台にした方が真っ直ぐに観客の心に響いたかもしれません。

終盤でみせたアサヒが、もうこの世の人ではないという設定でありながら、カンダがアサヒに代わって花火を打ち上げたシーンは、アサヒの執念を彷彿させる場面で素敵でした。
一方で人切りモガミを演じた田中しげ美の演技力が群を抜いて素晴らしかったです。また殺陣シーンでも他を圧倒させる雰囲気があり、独特のオーラを醸し出していました。役者の中には殺陣シーンで、いかにもヘタそうな刀使いだった為に、一気に現実世界に戻された事もありました。

こういった時代劇、特に新撰組が絡む芝居はやはり、もっと殺陣を練習して欲しいと思います。キャストでは田中しげ美は勿論ですが、アサヒを演じた板倉光隆が役のキャラクターを身にまとい、きっちりと演じていました。

新撰組の要であるオキツの剣が弱々しかったのがひじょうに残念でした。また、あそこまで太刀廻りの素晴らしいモガミが、あっけなく切られるのが、なんとも納得出来ず、もやもやしたものが残りました。
照明、音響、美術、衣装等は良かったと思います。接客スタッフも気持ちの良い対応でしたが、終演後、狭いロビーで役者さんたちと知り合いの観客がおしゃべりに昂じて他の観客が通れない情景は頂けませんでした。劇場内でやって欲しかったです。制作さんが配慮がなかったように感じました。






シアターグリーンフェス参加作品。


レイ・クーニーの作品を手掛けるのが多い ファルスシアターですが、今回はラリー・シューの作品を演出するというので、楽しみにしていました。これが結果的に楽しい公演となりました。レイ・クーニーの作品はベタな笑いを誘う代表格のような物語が多く、あまり好みではありませんでしたが、ラリー・シューの作品はナンセンスコメディと冒険活劇を足したような物語で観ていて実にワクワクしました。

私はハートを観劇。心根がやさしく極度の人見知りで人とうまく話す事ができないチャーリー(澤口渉)は親友のフロギー(種澤孝行)にすすめられ、故郷ロンドンを離れ、気分転換にアメリカ南部のとあるロッジへとやってきた。 おしゃべりな女主人や他の客達と口を聞かないようにするため、言葉の通じない「外国人のふり」をする事になったのだが、そのせいで宿を巡る様々な秘密や陰謀を耳にしてしまう。この陰謀に加担していたのがデビッド牧師(坂口邦弘)とオーエン(栗林賢司)だった。デビッドはクー・クラックス・クランに金を貢ぐため、資産家のキャサリン(船越ミユキ)を騙して婚約し、ついでにベティ婆ちゃん(仙石智彬)が経営するロッジを奪い取ろうと企んでいたのだった。

序盤、ベティ婆ちゃんが登場する場面で度肝を抜かれました。なんと、仙石智彬がベティを演じるという実にコミカルな設定。そしてチャーリーこと澤口渉の草食男子を遙かに進化させた若芽男子のようなキャラクター。この2人のキャラ設定だけで、これから始まる公演の面白味が確実にポイント高いと想定させられました。

また舞台上に登場する、1800年年代後半のアメリカで白人の人種差別主義者たちによって作られた秘密結社であるクー・クラックス・クランがロッジを襲撃した際の衣装がお見事でした。そして彼らに立ち向かい、大芝居を打つチャーリーとエラード(ししどともこ)とベティの3人の結束もコミカルで愉快でした。特にチャーリーが訳の分からない予言を言ってオーエンを驚かせ脅す場面は爽快でもあり爆笑した場面です。

栗林賢司の滑舌の悪さというか、鼻に詰まったような声が気になりましたが、あれは演出だったのでしょうか?役者では澤口渉が頑張っていました。特におとぎ話の語り部のシーンでは、言葉は解らなくてもその情景が目に見えるようで素晴らしい瞬間でした。

舞台装置がロッジの風景をそのままリアルに表現していて素敵でした。

脚本のそぎ落としと演出がお見事でした。特にチャリ-が話す外国人の言葉の演出が光っていたと思います。悪だくみを聞いてしまったチャーリーが何とかして、これを暴こうとする姿勢が観ていて気持ちの良い舞台でした。キャスト全体の演技力ですが、殆どの役者に演技力の差はなく、全体的に個々のキャラクターをきっちりと表現していたと思います。照明、音響、美術、衣装等も抜群でした。接客スタッフも実に気持ちの良い対応で、始終、一貫して楽しめました。

次回公演も観たい劇団です。





グリーンフェス参加作品。


初見の劇団でした。タイトルから戦隊ヒーローものだと想像はしていましたが、、活気に溢れ、可笑しみのある作品でした。テーマを戦隊の戦いのみで明け暮れる設定ではなく、ヒーロー達をサポートする部署に据えた着眼点にも感服しました。

舞台装置は大げさではなく簡素ながら箱を動かしたり、あるいは、シアターグリーンのパンフレットスタンドを利用したりしながらアイデアで勝負しており、それでいて、ヒーロー窓口の設定によく合っていました。

また登場するキャラクターの立ち上がりも見事で、イケメンにめっちゃ弱いシアワ戦隊メオトレンジャーや、イケメンで悪の怪人・ノロイの登場で客席を沸かしていました。ヒーローの最高齢キクヒメは戦おうとした瞬間にギックリ腰になり、その滑稽な痛々しさで多くの笑いを獲得していました。こうして、前半は勢いが漲り、絶好調でしたが、後半になって、やや勢いは下がり中だるみ的な空気感に覆われました。ですから前半より後半のほうが笑いは少なかったように感じました。前半のまま、疾走してくれた方がコミカルで楽しかったのですが・・。

歌を担当したのが、元劇団四季の俳優、柳瀬大輔さんでしたが、「美女と野獣」「ジーザス・クライスト=スーパースター」や最近では「オリビアを聴きながら」「ファンファーレ」などを思いだし懐かしく聞き入りましたが、直近の「ファンファーレ」で観客を魅了した幅のある声ではなかったのが残念でした。たぶん、カラオケの様な歌でしたので、選曲ミスだったように思います。

一方で異常に記憶に残ったのがコミカルレディ・キャサリン役のらじさんでした。めちゃくちゃな日本語英語を吐いてキャサリンキャラクターを不動のものにしていました。

終盤にかけて、ヒーロー窓口職員とヒーロー達のやりとりで終結しますが、ここらへんのパンチの弱さが気になりました。ヒーロー達の登録、申請、お悩み相談を業務にしたヒーロー窓口ですが、もうちょっと普通でないバージョンが観たかったと感じました。それでも全体的に物語は、コミカルに描写され、ヒーローにはヒーローの悩みがあり、それでも正義の為に戦わなければならない相反する想いのバランスが絶妙でした。

衣装、演出はお見事。特に演出では序盤のダンスシーンが見事な楽しいエンタメステージでした。照明、音響は抜群でした。またスタッフの接客も良く気持ち良かったのですが、自由席なのに後方の関係者席に誘導されたのは残念でした。臨場感台無し。またヒーロー相関図ですが、ごちゃごちゃしていて見辛いです。




グリーンフェスが終了したので制限されてUP出来なかった公演をUPします。

前評判に劣らず、活気に溢れ、スピード感のある作品でした。テーマをマラソンに絞り、走ることを中心に話が展開するので、ブレがなく、筋が通っていると思いました。また、箱根駅伝を思い出して、爽やかな空気を感じました。

舞台装置が幻想的で、死後の世界や病院という設定によく合っていました。段差を降りるときに足音がしないようにしているのが良かったです。また登場するキャラクターの立ち上がりも見事で、疾走する太郎役に、昨年末にイケメン俳優ユニット・ネイキッドボーイズを卒業したばかりの与那嶺圭太を起用したのは見応えがあったと感じました。特にイケメンというのは、それだけで爽やかな風が吹いているように感じました。

また、死神や悪魔、閻魔様や神様、巫女ちゃんなどの登場により、あの世の世界の賑やかさも、この世と変わらず、親近感を感じました。特にくまちゃん(悪魔こと鈴木眞実)の髪形には笑えました。鈴木眞実のメリハリのある演技力も秀逸でした。物語の構成も輪廻レースで命の取引をする場面は、まさに死神と取引する人間の描写で解りやすく、かつ、結果も想定内でしたが、そこまで行く道のりに、転生や、輪廻の輪っかなどを盛り込み、加味したのは楽しかったです。

終盤にかけて、くまちゃんが太郎とめがねくんを乗せたバイクでぶっちぎる様子は爽快でなんとも楽しい時間でした。このハイテンションな場面と反転して、太郎が愛する花子のアリアの説明(愛しい人よ信じてください。私は貴方なしでは生きられません)では落涙し、更に、花子の儚げな余韻に酔いしれました。なんとも言えない切ない苦しさや胸を衝く想いで、太郎は花子に自分の命を譲り、残りの人生をも差し出すことを決意する場面では、真実の愛に触れたような気がして、今まで以上に感動しました。

一方で心臓の弱い花子が「太郎の走っている姿を見ているのが幸せだ、自分も走っているような気持ちになれる。」と言うのを聞いた太郎は生き返って現世に戻りランナーとして走り続ける事にした展開は、生死と向き合う人間賛歌のような場面で、死という重いテーマに対して暗くならず生きることを目的にした意欲作だと感じました。

人生と言う名のレース、そのゴールを迎えた後もなお走ることを選んだ男の物語は、ちょっとコミカルに描写され、そして悲しい場面も存分にみせ、相反する想いのバランスが絶妙でした。

脚本と演出はお見事。特に演出ではダンス&アクションシーンがてんこ盛りで泣き笑いの多い楽しいエンタメステージでした。一方で、演技力ですが、上手い役者と硬い表情の役者の差が目立ちました。照明、音響、美術、衣装等は抜群でした。しかしながら、接客スタッフの一部に横柄な方がいらして、それが残念でした。