みさの小劇場ウオッチ日記


公演期間 2013/03/29(金) ~ 2013/04/07(日)
会場 阿佐ヶ谷アルシェ
脚演出 滝一也
料金 2,500円 ~ 2,800円
サイト http://www.megaba.com/



人間と魔法使いが一緒に生活していた頃の物語。小さな島シュワロヴィッツの港町に流されて漂着した船から降りてきた三人の男。ここから物語は始まる。相変わらずの滝マジック。魔法使い4世代、計2000年にも及ぶファンタジーな世界。


船乗りと島民の交流が進むにつれて島民の謎が解かれていく流れが素晴らしい。最初から繰り返し強調された沢山のコウモリが島民の命の源という設定がお見事で、このコウモリが終盤になってどんな意味をもたらすかも一つのキーワードとして提示され、ますますワタクシ達観客はミステリアスな物語にどっぷりと迷い込むことになるのでした。


そして序盤に、ブラックジャックのような魔法使い・ウィズ(星祐樹)が登場しこの物語の牢屋に入れられた理由や島の特徴を説明するナビ役を担うのは物語をよりよく説明するのにひじょうに効果的だった。声優だけあって声が良い。また、もう一人の魔法使い役のロジータ(大里冬子)だが、島のリーダーらしく堂々とした立ち振る舞いと沈着冷静な様子、声のトーンをいつもより、2つほど下げて発声するなど、大里の役者としての魂を感じずにはいられなかった。もはや、カッコいいレベル。


そして9年前の病気から発生した出来事を、島のみんなの希望として一人に繋げる最後の託しは切ないほど、キュンとさせられ脚本の力を再確認した次第。演出では、相変わらず舞台装置が素晴らしかった。立体感のある舞台で、牢屋が出てきたのは凄かった!もっと頑丈なら更に凄かった!苦笑!


衣装では、田舎の島らしさと、漂流者の性格に合った衣装が物語と合っていたように思う。照明は朝晩の違いや地下と波止場の違いが良く出ていたが、ラスト近く、セス(前川史帆)にスポットが当たっていなかったのがちょっと残念。演技面では、ウィルの怪しげな様子が良かったし、解説も感情を表さない徹し方が素晴らしかった。ロイ、トト、ブーの3人はバランスが良く、ブーが拗ねたり、バルトの面倒を喜んでみる辺りに末っ子気質を感じた。


ファンタジーな設定で、凝った設定や背景があり、深い内容になっていたと思う。特に亡霊たちが昼間は居ないが夜には戻るという謎、コウモリの血、人間の血、色盲のわけ・・など謎解きが面白くとても楽しく拝見できた。そして何でも叶う魔法使いという概念から一転して、魔法使いの苦悩に着眼点を置いたのも面白いと思う。非現実的な世界の現実的な苦悩を持つ魔法使いのお話。摩訶不思議!








みさの小劇場ウオッチ日記



公演期間 2013/03/28(木) ~ 2013/03/31(日)
会場 王子小劇場
脚演出 西山雅之
料金 1,000円 ~ 2,500円
サイト http://www.gore-gore-girls.com


開演時間を1時間間違えて30分経過してから入ったワタクシ。先の老いぼれた審査員を悪く言えないほどボケまくってしまったのですが、まあ、寝ないできっちり観させて頂きました。

で主催の西山君には申し訳ないけれど、あまり面白くはなかった。苦笑!

老いをテーマにした、ネガティブ派とポジティブ派の会話劇。
老いを語るにはどちらも20代後半という若い設定で実際の役者の年齢とそう変わらないと思う。またロックを題材に「もう若くはないからロックなんかやってられない。」とのセリフがあったが、イマドキは若い子よりも40~50代のおっさんがロックをやってる時代だと思う。つまりロックは若い世代では流行ってないから、当時の世代の生き残りがロックをやってる感覚だと思う。


ロックなんてカッコ悪いのだ。イマドキの若者から見ると。
そしてワタクシの目から見ても、ロック=オッサンなのだ。


また、どーみてもおっさんではない世代が、自分たちはおっさんだと自覚してしまうが、おっさんではない世代だからこそ、おっさん!おっさん!と連呼しても、なんら問題はないのだ。本当のおっさんに、おっさん!おっさん!と連呼はできない。


つまり本当の事を正直に言葉にして吐いても、良い事なんて一つもないのだ。だから本当のおっさんには、おっさん!と言わない。そこの不条理とか心理を突いてほしかったように思う。


前作の自虐ネタは面白かったが、今回は自虐ネタというほどでもなく、誰にでも平等に訪れる老いをテーマにした割にはパンチが弱かったと思う。次回に期待ですな。
なんだかんだいって、マスターが一番、おっさんに近かったように思う。笑


で?この物語とタイトルにどんな関連性があるのでしょうか?









グリーンフェスタ2013の各賞が発表されました。


 

★GREEN FESTA賞  WAKI-GUMI 「戦国シェイクスピア BASARA ~謀略の城~」


                 ↑

めでたく100万円ゲットした WAKI-GUMI しかしワタクシはこの劇団が好きではない。態度がすんごく偉そうで感じ悪い。作品と人間性は必ずしも一致しないということ。まあ、当たり前のことだけれど・・。





★BIG TREE THEATER賞  劇団空感エンジン 「ドゥーグヌァードカーン・ペ!」


                  ↑

この劇団は未見でした。未だに観てない劇団は数多いんですね。





★BOX in BOX THEATER賞 企画演劇集団ボクラ団義 「嘘ツキタチノ唄」


                  ↑

流石に企画演劇集団ボクラ団義ですね。ここの作品はあまりブレがなく安心して観られました。素晴らしい作品でした。





★BASE THEATER賞 ラビット番長 「ギンノキヲク2」
 

                 ↑

池袋演劇祭でも常に何かの賞にノミネートしているラビット番長

すでに不動の地位を獲得していますが、受賞の秘訣は、観客を笑わせ、泣かせる事。審査員も高齢化しておりますので、その年代に受けの良い作品が良いのかな・・と。




余談ですが、先に行われた「劇」小劇場の若手演出家コンクールでは高齢の審査員が公演中に寝てたり、また一人の審査員がガム噛んでたり・・と不謹慎な印象が強かったですが、現在行われている、杉並演劇祭の審査員が公演審査中に寝てたり、はたまた公演後1時間経過してから入場したりと、「をいをい!大丈夫なのか?!( ̄□ ̄;)」状態ですわ。

聞くと、公演時間を1時間、間違えてしまったらしく、物語を半分しか観てない審査員が3人中2人。


開いた口が塞がらなかった。((>д<))

審査員も70過ぎたらボケちゃって無理なんじゃ?





みさの小劇場ウオッチ日記



公演期間 2013/03/27(水) ~ 2013/03/31(日)
会場 新国立劇場 小劇場 THE PIT
脚演出 松枝佳紀
料金 3,150円 ~ 5,250円
サイト http://alotf.com


舞台を中央に設置した対面型観客席の素舞台。3時間10分の大作だったが、凄く短く感じた。それは、その世界にどっぷりとのめり込んで観たという証なわけだが、最澄を軸に舞台化した作品はあまり類をみない気がする。そういった意味ではやはり、作家・松枝の才気を感じた舞台だった。また作品を作るに当たって、松枝は相当な資料を読み漁り、これを噛み砕いて要らない部分をそぎ落とし脚本化したと思うのだが、自分の知識に驕ることなく、観客に解り易く説明しようという意識が感じられて好感の持てる舞台であった。


物語は最澄が仏道と出会ってから、生涯を捧げるまでを時代背景とともに描く内容で、歴史的事件の動機や理由が分かりやすく、また、それぞれの側近達の悪意や善意で国家が揺さぶられる状況の映しも見事だった。ただ、薬子を始め、歴史で学んだ人物像と異なる印象の人物もおり、かなり脚色されている印象だったけれど、舞台は虚構なので、舞台全体の物語に違和感がなければ舞台としては優秀な作品だったと思う。


今回、特に秀逸な演技力を魅せて観客を感動させたのが、最澄役の遠藤雄弥。序盤の広野役と後の最澄としての表情に相反するものがあり、後半の苦悩に満ちた表情は実に素晴らしい演技力だった。そして、最澄とともに腐敗した時代を変えようとした朝鮮の血をひくヤマベ(後の桓武天皇)役の河合龍之介。河合は有名な役者なので、今更、褒める必要はないのだが、年間を通して河合の出演する作品を、そこそこ観ているワタクシは河合の実力を知っているので安心して観られた。とにかく、この二人のタッグが素晴らしい。


ここでの空海は完璧、脇役なのだが、茶髪にちゃらんぽらんな雰囲気の空海を観てるとあまりに史実と違いすぎて違和感がありまくり、個人的には坊主になって欲しかったのだが、松枝の演出は、表面に拘らなかったらしい。しかしながら、古風なワタクシとしては、「いや、やっぱり、坊主でしょ。」と言いたい。苦笑!


そして陽射を演じた本仮屋リイナが素晴らしい。顔だけでない実力満点の女優魂だった。実はこの陽射が発するセリフで何度、泣かされたことか・・。また、アテルイを演じた反原発アイドル藤波心も、良い演技をしていた。族長としての凜とした態度にも泣かされた。一方で歴史アイドルの小日向えりは物語のナビ役として、重要なポジションだったが、滑舌が悪く、嚙みも目立ち物語に観客が酔っている途中で現実に引き戻す役割を担ってしまったのが残念だった。この部分は、ナレーターでも良かったような気がする。


まあ、劇団としてはこれらのアイドルを起用することで、集客するという側面もあるのだとは思うけれど・・。また、行表役の荒戸源次郎はただのおっさんオーラが出まくり、芋を頬張るシーンも、セリフを放つ場面でも大そうな僧には見えず、やはり、ただのトボケタおっさんだった。(^^;)これはある意味、「事件」です。
 
演出面では、全員の衣装を白で統一し、観客席通路も存分に使いながら、物語の壮大さを演出し舞台全体を大きく見せていたところは素晴らしかったと思う。またこれだけのキャスト数でいかにも大人数を投影させたような仕掛けは見ていて圧巻だった。またコメディ的な要素も取り入れていたが、これは必要なく、むしろシリアス路線一編で仕上げた方がインパクトが強かったように思う。


それにしても、号泣した舞台だった。全体的な構成力といい、脚本といい、頑張った松枝の才気と根性にj感服させられた舞台だった。勿論、帰りは幸せに満たされて帰ったわさ!









みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2013/03/29(金) ~ 2013/03/31(日)
会場 ウッディシアター中目黒
脚演出 知幸、PADMA
料金 3,800円 ~ 4,200円
サイト http://ameblo.jp/padma2011/


物語がないようであるのが、PADMAの特徴なのだが、今回の筋は殿が目をつけた村一番の美人?おあき(神戸アキコ)は無理やりに殿の手下に連れ去られる。これをきっかけにして、村は荒廃していった。そんな中、松千代は小さな扉を発見する。その扉を潜り抜けると、そこは雪国だった・・。・・とまあ、小説のようにはならず、慶応の時代から平成25年に繋がる抜け道だったのだ。


そこでの松千代には家族がいてサラリーマンとして生きていた。現代と慶応を行き来しながらあっちの世界でのパフォーマンス、こっちの世界でのチャンバラと、アクロバット、マウンテンバイク、ダブルダッチの熱いパフォーマンスを繰り広げながら、熱いアクションを魅せていた。


前作でも感じたことだが、映像と音響が抜群。またオープニングで魅せるパフォーマンスの絵図が美しい。正面から見ると絵画のようである。そして衣装は和もの、音楽も和もので、殺陣で放つ効果音もばっちりだ。ボクシングの場面では、パンチの効果音がリアルで素晴らしいな、と感心してたらキャストが自分の胸を叩いて効果音を発していた。笑


コント的なパフォーマンスの数々はバカバカしくてオモチロイ。今回は箱が小さかった為に、キャストらの動きが制限されてしまったのが惜しいが、その分、カツゼツの悪い男が役者になりたい、というコメディ部分が一番、面白かった。


毎回思うことだが、脂肪のまったくない筋肉質の体躯。それが舞台上に揃っただけで、一つの芸術作品であった。美しいことこの上ない。役者の出演履歴を見たら、スタントマンも居たりして、なるほど!鍛えてるんですな。


次回はもうちょっと広い箱で役者がのびのびと動ける場所で観たいなぁ。







みさの小劇場ウオッチ日記

公演 期間 2013/03/20(水) ~ 2013/03/24(日)
会場 「劇」小劇場
脚本 マーティン・マクドナー
演出 小川絵梨子
料金 2,500円 ~ 4,500円
サイト http://www.nato.jp/profile/2013/image/pillowman1303.pdf


むかしあるところにピローマンという男がいました。身長が3メートルくらいで、全身がたくさんのふわふわしたピンクの枕でできていました。腕も足も胴も指も枕でできていて、頭はひとつの円形の枕でした。そこにはボタンの目が二つと、いつも笑っている口が一つ。
笑っている口から覗いている歯は小さな白い枕でした。
ピローマンは優しく無害に見えなければなりませんでした。というのはピローマンの仕事はとても悲しく大変なものだったのです。
誰かがひどく辛い思いばかりしていて、その人生を終らせたくなってしまった時、ピローマンがやってきて、その人の横に座り、やさしく抱きしめて「ちょっと待っててね」と言うのです。するとあら不思議、その人はまだ人生の苦しみや悲しみを知る前、少年少女の頃に戻っていくのです。ピローマンの仕事は、彼らがその後に味わう長年の苦しみを避ける為に、少年や少女のうちに自殺させてあげることでした・・・・


マーティン・マクドナーの代表作であるピローマン。不気味な戦慄感が伝わってくる寓話だ。

ただでさえ可哀想な子どもが、さらに可哀想なことになってしまう童話ばかりを書いている作家カトゥリアンの身辺で、童話を模倣した殺人事件が次々に起きる。作家はものすごく胡散臭い二人の刑事、トゥポルスキとアリエルの取り調べを受けるが、その過程は殆ど漫画である。トゥポルスキは、すぐに拳銃をぶっ放すし、アリエルのほうは徹底して道化ぶりを示す。


この時、作家の過去ばかりか、二人の刑事の素顔、そして知的障害のカトゥリアンの兄ミハイルをめぐる驚愕の秘密が明らかになっていく。2人の刑事の滑稽さに比べ、 クールで批評精神に富んだ、過激なまでのブラック・コメディとして描かれているが、残酷と捉える観客も少なくないかもしれない。しかし現実問題として世界各地で無残なことが起きている以上、案外、この物語は虚構とばかり言っていられない気もする。


真摯な文学者なのか、ただのいっちゃってるやつなのかよくわからない作家カトゥリアン。脳に障害を持ち、天真爛漫なのか邪悪なのかよくわからない兄ミハイル。この二人を取り調べる漫画ちっくな2人の刑事。超過激問題作「ピローマン」。不穏当すぎて笑わずにはいられない現在を映す鏡のような舞台だった。


これほどの重いテーマをアニメチックに仕上げ軽快なパフォーマンスに仕上げたのは良かったと思う。ただ作家カトゥリアン役の役者が花粉症なのか、鼻水を垂らしながらよく噛んでいた。苦笑! そのたびに、ワタクシはその世界と現実を行ったり来たりしなくちゃならなかった。演出面では不気味な電気音や叫び声、カーテンの向こう側の世界、吊り下げられた人形など、見せ方や観客の想像力をかきたてる演出は見事だったと思う。


そして座席だが、入口の反対側2列目の指定席だった。前列との段差がまったくなくて、やたら座高の高い大男が前に座ったものだから見辛いのなんのって。もうちょっと段差をつけて設置して欲しい。次回の課題ですな。





公演期間 2013/03/23(土) ~ 2013/03/31(日)
会場 吉祥寺シアター
脚本 合馬百香
演出 与儀英一
料金 5,000円 ~ 5,000円
サイト
http://www.yogipro.co.jp/


自衛官物語をやるっつーから、「おお~、め組なら魅せてくれるんじゃね?!」なんつっていそいそと出かけたわけよ。そりゃあ、ワタクシの頭の中では戦闘能力の高い、いわば、ドラゴンボールのサイヤ人とかゴクウとか・・、はたまた人間でいうなら、スタローン、シュワちゃん、セガール、チャック・ノリス、ドルフ・ラングレン、ジャン=クロード・ヴァン・ダムとか、日本人でいうなら、マサトとかマーク武蔵とか・・、


http://www.youtube.com/watch?v=nnYhpJn7MlI


でもって小劇場のアクション俳優がわんさか居る劇団はなんつったってエクスクエストだろう。

もう、ワタクシの頭の中にはマニアックにも筋肉モリモリのキャスト陣を想像していたわけよね。
ところがさ、ところがよ?


世界最高の特殊部隊(SAS)とか、SATとか、元空挺レンジャーを引き合いに出し、黒尽くめのファッションで登場した男達の立ち姿が弱腰。姿勢が悪いし緊張感が足りない。これじゃあ、敵に襲われたら一発で死ぬんじゃね?くらいのパワー。


でもって、日々有事に備え、厳しい訓練に励み続けているにしては、動きに機敏さが足りない。筋肉もない。また、元傭兵の主催するサバイバルスクールに参加するも、そのスクールでは中学生の部活動でやるような腕立て伏せとかうさぎ跳びとか。


あれれ~、コメディなのか?そうなのか?


また、登場人物の全員が緩~い雰囲気を身にまとい、どうみたって、興味本位の一般人等が集っているような風景。でもって極めつけはサバイバルというほどの過酷な描写は一切なく、過酷な状況を口で説明するのみ。


だから、サバイバルスクールで巻き起こるアクションや、命を引き換えにするようなミッションもなく、ましてや、肉食系男達の姿はなかった。しかも彼らの中には時代劇風なアクセントでしゃべる輩もいたりして、とことん時代劇が体に染みついているようであった。


だからワタクシの目には茶髪のにーちゃんたちが、そこいらの森林公園でサバイバルゲームで遊んでいる様にしか見えなかった。ガクトのように。笑


まったく自衛官らしくない人たちを見ました。もしかしたら空挺レンジャーではなく、戦隊ファイブレンジャーの間違いなんじゃないか?って叫びたかった。


やれやれ・・。


次にアクションものをやるなら、身体作りから始めてね。








「国家~偽伝、桓武と最澄とその時代~」 アロッタファジャイナ



「永遠の果て果て」 にびいろレシピ



「俺がヤギでもその手紙だけは食えない」 GORE GORE GIRLS

                     

   観た後に川口の寿司屋に行くよエヘヘッ 安くて激ウマ!)



「シュワロヴィッツの魔法使い」 メガバックスコレクション



「PADMA vol.4「禅 -ZEN-」」 PADMA パフォーマンスチーム




そして今週はシアターグリーンフェスの授賞式があります。

勿論、出席します。

桜の下で宴会も執り行われます。好


桜桜が残っていればいいなぁ。 まるちゃん風
花よりだんごのくちだけど・・
にへv









みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2013/03/23(土) ~ 2013/03/31(日)

脚本 古川健
演出 日澤雄介
料金 500円 ~ 3,300円
サイト http://www.geki-choco.com/


昨年10月にギャラリー・ルデコで上演された『熱狂』『あの記憶の記録』の再演。そして3月31日(日)15:00から若手演出家コンクール上演作品『親愛なる我が総統』も再演。こちらは500円という破格。この3本は密接に繋がっており、3本で一つの作品といっても過言ではない。

で、ワタクシは『あの記憶の記録』だけを観てなかったので、これを観劇。


相変わらず観劇資料集が配布されている。劇団チョコレートケーキの舞台を観る時は30分前に入らないと予習が出来ない態だ。

イスラエルのゴールドバーク家での会話劇。今回の作品はイツハクがアウシュビッツ収容所での記憶を語ることに半分以上が費やされたもので、タイトルどおり、男の記憶を記録として作り上げたもの。


子供たちの成長を見守りながら、平凡に穏やかに暮らす一つの家族。しかし、父には秘密があった。戦争を生き抜いた男に刻み込まれている、あの記憶1970年、アウシュビッツ収容所でドイツ人の手先となって働いていた特殊任務の数々と地獄のような体験をした父親が家族にも明かさなかった秘密を、家族と、子供たちの女教師・ペレス先生とに、ユダヤ人迫害の体験を語る物語だ。

父親・イツハク役の岡本篤の苦悩に満ちた表情があまりにもお見事!毎回のごとく、劇団チョコレートケーキの役者陣の演技力には目を見張る。脚本と演出力の秀逸に加味して、この役者陣たち。鬼に金棒である。


教師の人命に懸けてもイスラエル国を守るという理想に対して、イツハクの体験談が説得力を増す。国を守るために人が犠牲になるという矛盾。一方で長男ヤコブの「命に賭けても国の為に戦う」と誓う若い正義感や徴兵制の意義。教師側から見るヤコブ、肉親から見るヤコブの命の尊さ、正義とは何か、戦争とは・・、など多くの問題が語られる。


そして父・イツハクの想像を絶するほどの酷い体験は「国家よりお前の命の方が尊い」とヤコブの青い正義感を制するも、これを聞き入れないヤコブ。ここでいかに教師という立場や教えが柔軟な頭の子供たちを洗脳してしまうかを思い知らされ恐怖にも似た感覚になる。かつて日本もそうであったのだ。


一方で25年間、SS(ナチス親衛隊)ビルクナーの亡霊がイツハクにつきまとう。収容所の囚人をかばってきたビルクナーをイツハクは終戦の混乱に乗じて殺してしまう。そしてこの罪の意識からか、ビルクナーを残虐で冷淡なSSだという記憶の書き換えをしていて、彼を憎悪の対象として増幅した側面も描かれる。


「憎しみは何ものをも生まない」というセリフでヤコブや教師にイツハクが詰め寄る場面は見応えがあった。演出としては四方の通路から役者が出入りすることによって、居間という設定の空間を上手く見せていて良かった。


終盤でみせるイツハクやアロンにとっていかに「家族」は大切な存在であるか、あるいは自分のような人間でも命さえあれば「家族」を持って幸せに暮らすことが出来る、といったラストのメッセージが凄く素敵だった。更に妻・デボラに「助けて欲しい」と言うイツハク。これに答えるデボラの微笑みが美しく女神のように思えた。家族っていいなぁ。あんな妻が欲しい・・。笑


この舞台を観て何度も号泣した。しかし、涙もろいワタクシ以上に泣いてるメガネのおっさんが居た。いいなぁ。恥じらいもなく頬に涙を滝のように流して号泣する人。感受性豊かで素敵だと素直に思う。


正義とは人を悲しませない事。しごく解りやすい論理だ。

いちいち、素晴らしい!





みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2013/03/23(土) ~ 2013/03/27(水)
会場 座・高円寺1
脚本 黒川陽子
演出 丸尾聡
料金 1,000円 ~ 3,500円
サイト http://promstage.com


2007年度の日本劇作家協会新人戯曲賞を史上初の審査員満場一致でグランプリ受賞した黒川陽子の戯曲「ハルメリ」。楽しさと不気味、愉快といら立ち。情報の時代をビビッドに捉えた戯曲のその完成度の高さとは裏腹に、作品化は困難な戯曲といわれてきたけれど・・、今回、丸尾聡主宰の「世の中と演劇するオフィスプロジェクトM」が、改稿を加えた決定版として、多数の客演陣を迎え総勢32名にて「ハルメリ2013」として上演したもの。


ある日、急に増殖をはじめた「ハルメリ」。それはファッションなのか、流行なのか、思想なのか、挨拶なのか・・。いつしか「ハルメリ」という言葉が流行りだし、それは次第に広まり、人々は「ハルメリ?」「ハルメリ」と言葉を交わし合う。そして、「ハルメリ」は、決して突出しない、自分の考えを述べない、そして突出したものに対しては容赦せずに非難が浴びせられる。こうした風潮そのものになっていく。


いかにも日本的な思想というか、出る杭は打たれるから、なるべく目立たず、競争をやめてお互い優しくしあおう!みたいなぬるま湯的なものがハルメリ。ハルメリはハルメリというクラブのカードを持った老若男女をハルメリと言う。


正直申し上げて、ワタクシは戯曲を読んだことがない。戯曲を読まずに舞台だけ観て、感想もあったものじゃないが、第13回劇作家協会新人戯曲賞を受賞したのだから、戯曲は素晴らしいのだと思う。


ハルメリをマスコミが取り上げたことで日本中の視点がハルメリに集中する。雑誌、ラジオ、TV・・。そんな状況の中、ハルメリミューズを選ぶ企画をTVが取り上げる。一方、そんなハルメリ効果をこれぞとばかりにしたたかに便乗してスポットを浴びるスーパー店長の妻・順子。うだつの上がらない夫と引きこもりの息子を家族に持つ身だ。そんな順子がTVに出演して注目を浴びる。憂鬱な家庭から飛び出した順子はこれを生甲斐にするのに数分とかからない。


「自分はハルメリ大好きです!」なんて宣言したかと思うと、時と場合によって風見鶏のように振るまい、自分の立ち居地を確保していく。まるで昨今の政治家のように。苦笑!
TVという媒体に要領よくしがみつく順子役の西山水木のなりふり構わずさの演技力が抜群。そしてTV出演を重ねるごとにデヴィ夫人のように派手になっていく順子。笑


ハルメリにのめり込む輩の共通しているものは、疲れだ。競争する事の疲れ。そして振り落とされる事への疲れ。しがみつく事への疲れ。そして他者と同じラインにいる事への安堵感。ハルメリの本質は自己否定することらしいが、世の中がハルメリで盛り上がれば盛り上がる程、雑誌で民衆をあおった側の記者・のし子は理性的な考えが働き、世評を増長させてしまった自分を後悔する。しかし、これを矯正し元に戻そうとするのし子はクビになる。いつだって世の中は競争の上に成り立っているのだ。


競争を嫌うハルメリが競争社会と比例するように競って、ハルメリミューズを選抜し、これによってハルメリ会員は暴走し、そこに乗っかる利害者も暴走し、コメンティーターとなった順子は家庭を顧みずTVに出まくる。


まるで社会を風刺したような作品だった。演出は一筋縄ではいかない。素晴らしいのか、そうでないのかも、ワタクシにはピンとこない。しかしアイドルりん子の暴走は観ていて、理解出来る描写だった。アイドルの暴走は流されるままに好に転じたり、悪に転じたりする。これに対しマネージャーは責任をとらずに、りん子を見はなすという大人の強かさが垣間見えた箇所だ。


アイドル・りん子役の横澤有紀がきゃわいらしい。ハルメリーー!!!