みさの小劇場ウオッチ日記


公演期間 2013/03/29(金) ~ 2013/04/07(日)
会場 阿佐ヶ谷アルシェ
脚演出 滝一也
料金 2,500円 ~ 2,800円
サイト http://www.megaba.com/



人間と魔法使いが一緒に生活していた頃の物語。小さな島シュワロヴィッツの港町に流されて漂着した船から降りてきた三人の男。ここから物語は始まる。相変わらずの滝マジック。魔法使い4世代、計2000年にも及ぶファンタジーな世界。


船乗りと島民の交流が進むにつれて島民の謎が解かれていく流れが素晴らしい。最初から繰り返し強調された沢山のコウモリが島民の命の源という設定がお見事で、このコウモリが終盤になってどんな意味をもたらすかも一つのキーワードとして提示され、ますますワタクシ達観客はミステリアスな物語にどっぷりと迷い込むことになるのでした。


そして序盤に、ブラックジャックのような魔法使い・ウィズ(星祐樹)が登場しこの物語の牢屋に入れられた理由や島の特徴を説明するナビ役を担うのは物語をよりよく説明するのにひじょうに効果的だった。声優だけあって声が良い。また、もう一人の魔法使い役のロジータ(大里冬子)だが、島のリーダーらしく堂々とした立ち振る舞いと沈着冷静な様子、声のトーンをいつもより、2つほど下げて発声するなど、大里の役者としての魂を感じずにはいられなかった。もはや、カッコいいレベル。


そして9年前の病気から発生した出来事を、島のみんなの希望として一人に繋げる最後の託しは切ないほど、キュンとさせられ脚本の力を再確認した次第。演出では、相変わらず舞台装置が素晴らしかった。立体感のある舞台で、牢屋が出てきたのは凄かった!もっと頑丈なら更に凄かった!苦笑!


衣装では、田舎の島らしさと、漂流者の性格に合った衣装が物語と合っていたように思う。照明は朝晩の違いや地下と波止場の違いが良く出ていたが、ラスト近く、セス(前川史帆)にスポットが当たっていなかったのがちょっと残念。演技面では、ウィルの怪しげな様子が良かったし、解説も感情を表さない徹し方が素晴らしかった。ロイ、トト、ブーの3人はバランスが良く、ブーが拗ねたり、バルトの面倒を喜んでみる辺りに末っ子気質を感じた。


ファンタジーな設定で、凝った設定や背景があり、深い内容になっていたと思う。特に亡霊たちが昼間は居ないが夜には戻るという謎、コウモリの血、人間の血、色盲のわけ・・など謎解きが面白くとても楽しく拝見できた。そして何でも叶う魔法使いという概念から一転して、魔法使いの苦悩に着眼点を置いたのも面白いと思う。非現実的な世界の現実的な苦悩を持つ魔法使いのお話。摩訶不思議!