みさの小劇場ウオッチ日記



会場 シアタートラム
脚演出 大浜直樹
料金 4,000円 ~ 4,300円
サイト http://www.lives.cc/news/35-newlive/200-201010liveaudition.html


「人を愛せ。人生を笑え。」をコンセプトに、優しくもクールに、温かくもたまにシュールに
人間喜劇を繰り広げる演劇集団LIVES(ライブズ)。1999年の立ち上げ以降、精力的に単独ライヴを開催、2002年には、全国から200団体以上が集まって行われた演劇コンテスト“第一回 E-1グランプリ”で優勝した実力派劇団。

主宰は、脚本・演出・作詞・作曲・振付、そして俳優とマルチに活躍中の大浜直樹。TBS系で4/7から放送されたドラマ「ムッシュ!」(EXILEのKEIJI主演)の脚本・演出も手がける。

映画の撮影現場を舞台にした俳優生活最後の撮影に臨もうとしている売れない俳優と、その周りに集まる、もっと売れない俳優たちの悲哀溢れるシチュエーションコメディ。 彼らの必死でもがく姿を温かい視線で描いた小さな希望の喜劇。(2011年の再演)

脚本は、6人の個性豊かなキノコ団を中心に、売れない大部屋役者や落ち目の大御所、奇抜なアイドルの話が展開していく、楽しい内容で、劇中劇の出演者の殆どが落ち目というネガティブ要素を、制作費不足や微妙な売れっ子アイドル抜擢で裏付けていた点に信憑性があって良かったと思う。

ライダーを倒す為に実験として作られた毒キノコの6人は、ただただこの映画をよりよくしようと考えた末に余計なアクションまでしてしまう。そして挙句の果てに卑猥と悲哀を聞き間違えた結果、イタイ演技も追加してしまう。余計なオプションだ。笑
そして監督の目からは演技の出来ない奴!とレッテルを貼られるも、彼らの戦闘員Aの最後の晴れ舞台を支える面々のドタバタぶりが面白くもあり、心を打つシーンでもある。


とにかく笑った!しかし観ていて心にグッと感じたことは演じている役者自身が自分と重ねて演じていたのではないか?ということ。とかく小劇場の役者の大多数がこの毒キノコのような存在で他人ごとではなかったに違いない。

終盤でみせる巻き戻しシーンの場面は観ていて圧巻!とにかくこの人数が一斉に巻き戻されるのである。舞台上で小さなゼンマイ仕掛けの人形が所狭しと半回転するようなもので、壮大でコミカルだった。そして2人のファンと売れない役者との会話の場面で泣ける。「ずっとファンでした。」この言葉にどれだけ役者は励まされることか。

役者を辞めたと聞いていた小澤真悟が今回、出演されていた。舞台が終わりに近づくと彼は泣いていたが、きっとこの舞台で色んなことを思ったに違いない。正直申し上げて、この6人の毒キノコ達は不器用な生き方しかできない役者だと思う。しかし彼らの舞台を観て「明日からも頑張ろう!」と支えられる観客は多いはずだ。このことを糧にして欲しいと思う。

それにしても舞台上の大浜は下唇の出た、ただのオッサンである。笑
しかし他の劇場で見かける素の大浜は実にカッコいい青年だ。オッサンになっても頑張って欲しいと心から。