海外在住17年、私のアイデンティティ 後編
初めまして。3男児ママで出産&産後ドゥーラ、自然豊かなイギリス・ウェールズでいのちの循環を大切にした暮らしをしているホロウェイ朋子です。ホロウェイ朋子ってどんな人?がわかる《ブログシリーズ》→私のこれまでのストーリーこんにちは。イギリスその他を転々として日本人どころかアジア人すら会うのが稀なイギリスのウェールズ中西部に辿り着き自分のアイデンティティにも辿り着いた前編はこちらから。後半は、イギリスの中の異国であるウェールズだからこそ複雑な部分について。ウェールズってどんなところ?ウェールズは英国・イギリス本土の西端にあります。写真はhttps://www.freeworldmaps.net/europe/united-kingdom/wales/よりイギリス内にあるわけですが独自の文化や言語があります。訛りじゃなくて、由来の違う言語です。そして私の今住んでいる中西部はそんなウェールズの文化や言語が特に色濃いところ。学校は英語とウェールズ語のバイリンガルかウェールズ語メインのところばかり。次男と三男の行っている小学校は後者。日常の中でウェールズ語もよく聞きます。ウェールズの首都カーディフやウェールズ南部ではウェールズ語はなかなか聞かないそうですが。独自の文化や言語を持っているのですが、過去を振り返ると虐げられてきた歴史があります。独自のものがあったのにイギリス化(イングランド化)されてきたという歴史。日本の沖縄や北海道のアイヌも同じような歴史がありますよね。大学の卒論研究との接点実は大学生の時、卒論でハワイ先住民の文化復興運動について調査して、実際に目で見て肌で感じたい私は実際にハワイの先住民の多く住むエリアに行きそこで活動している人たちにインタビューもして先生方にも好評価をいただいた卒論を書いていました。で、リサーチでいろんな文献を読んでいる中でちらっとウェールズの言語復興のことも目にしていたのを覚えています。そして今その場で生活しているなんてこれまたおもしろい人生だなと思います。その時はハワイの状況を学んで外から侵略するかのように入ってきたアメリカ本土の人たちがいてもともと住んでいた人たちが虐げられ現代でもその尾をひいたように社会的経済的に影響を受けている部分があるなんて不平等!と感じていたのが正直なところ。でも実際にそんな環境の中に身を置いて日常生活をしてみると当時は気づかなかったことに気づかされています。実際に住んで知ったこと・感じていることそれは、文化・言語復興運動は人種差別と紙一重でとても繊細なところにあるということ。虐げられてきた歴史がある中でまた自分も外からやって来た者として生活をしていると自分の立ち位置に難しさを感じることも多々あります。私も外からやって来た者だから快くは受け入れられない存在なのか・・・と感じたり、ここ出身の人と外から来た人という境界線がいつまでも消えないことを感じています。実際イングランドに比べてこの辺りは土地・家が安いので、ここでいつも生活をするわけではなくホリデー中のセカンドホームにとかホリデーに来る人に貸し出す家として買う人がいてそういう人たちが地元の土地・家の値段を上げていて、ローカルの人たちがその値段では家を買うのが難しいということも起こっています。(そして実際、私たちも土地の大きさを求めてここに外から来たのも事実。)そんな現状もあって道路に「セカンドホームを買う人は出ていけ!」というようなことを書く人もいるし、また過去にイギリス政府により強制的に貯水池として埋まってしまった村がありこの辺りではところどころに「Cofiwch Dryweryn」と書かれた岩や壁があったりします。(この埋まってしまった村を思い出せという意味でウェールズのナショナリズムのスローガンとなっているそう。)写真はhttps://th.tripadvisor.com/Attraction_Review-g3448035-d16566798-Reviews-Cofiwch_Dryweryn_Wall-Llanrhystud_Ceredigion_Wales.htmlよりその怒りや自分たちのアイデンティティを大切にする気持ちもわかりますが、これを見ると、外から来た私たちはなんとなく感じる罪悪感があるのも確か。またここでは雇用条件にウェールズ語のレベルが関わっていることもありウェールズ語をメインに話す人たちをインクルーシブにするためのものであることも理解しつつも外から来た人たちを排除する面もあるのではと感じているのも正直なところ。これまで住んで来たところはここよりもずっと多様性が見られるところで、そういうところと比べると多様性を認めようとする世界の流れとは少し異なる流れを感じています。このエリアはイングランドと比べると色々なことが40年遅れているというのはよく聞くこと。それは実際に私も外から来て感じ葛藤していることでもあり、それと同時にイングランドを基準として「遅れている」と考えることも違うのではとも思います。ここを出身とする人と外から来た人の間に簡単には越えられない壁があることを感じています。複雑です。白黒はっきりするものでもありません。ウェールズ出身の友人の視点そんなここの状況の中でこれまで聞いた価値観で私の心に響いたものをシェアしますね。このエリア出身で仲良い友人が一人います。ウェールズ語ももちろんペラペラのバイリンガルの彼女なんですが、彼女自身の子供はウェールズ語がメインの学校でなくこの辺りでは珍しい多様性を大切にした英語メインの学校に行かせているそうなんです。ウェールズ出身なのになんで?と始めは思ったのですが、彼女いはく「多様性の中でウェールズらしさを捉えることが大切だから」選んだそう。ウェールズか英語・イングランドかと二極の中で見られがちな中で、本当の意味でウェールズらしさを大切にしたければ、もっと広い世界や多様性の中でその中の一つとしてウェールズを理解するのが大切とのこと。もう一つの視点アジアで生まれ若い時からイングランドで生活しその後ウェールズにやってきたパーマカルチャー仲間のおじさんは、この類の話になった時、「でもこの大地は太古の昔から変わっていないでしょ。」と言っていました。人類の歴史よりずっと長い歴史を持つ地球という視点から見たら人間が生活している時間なんてほんの小さな一部。国という区分は実はとても狭い視点であり、地球の視点から見たら移り変わる中で私たちはただこの大地の上に住んでいる人間であるということ。今の私が思うこと今の私が思うのは、結局はコミュニケーション、お互いに話す聞くことが足りていないのではないかと思っています。足りていないからこう考えているであろうと決めつけてしまうこともある。〇〇出身の人というカテゴリーにいれて決めつけてしまうこともある。難しいトピックだからこそ色々な人とこういう会話をすることが大切だと感じています。そして結局はやっぱり個人対個人。個人として見て、その一人一人ユニークなバックグラウンドを尊重すること。決めつけをしないこと。イングランドとウェールズばかり対比されがちな中で私のようなバックグラウンドを持つ人もここにいるということをもっと認められたい知ってほしいという気持ちも確かにあります。でもきっとこれってどこ出身かに限らず誰しもが抱えている思いでもあるのかなと最近は思います。私は私らしさを大切にすることはとても大事ですが、ここの歴史や文化・言語に敬意を払いそれを知ろう、理解しようとする姿勢も等しく欠かせないものだと思っています。そんなんでちゃんと学び始めて2年目のウェールズ語学習これからも続けていきます。子供たち程はまだ話せないけれどやっぱり新しい言語を学ぶっていうのはおもしろい。ここで実際に生きている言語だから。ここならではの難しさもあるけれど、イギリスの中の「異国」でなければ私たちにとってはつまらな過ぎてここに辿り着いたのかもしれません。ここでの生活が長くなるにつれてまたここから私の考えや価値観も変わっていくと思います。悩んだり葛藤しながらも今ここに生きていることにやっぱり感謝です♡最後まで読んでいただきありがとうございました♡今日という日が一つでも多くの笑顔に溢れる日でありますように。