監督:大根仁

主演:綾野剛、豊川悦司、北村一輝、小池栄子、ピエール滝、染谷将太、松岡依都美、マキタスポーツ、山本耕史、池田エライザ、リリー・フランキー

 

実在の事件に着想を得て、不動産売買を餌に巨額の金を騙し取る詐欺師集団・地面師たちを描いた新庄耕によるクライムノベル「地面師たち」を、映像ディレクターの大根仁が映像化。(映画.com)

 

原題:地面師たち
製作国:日本

 

 

 

本当にあった怖い話 

 

これはエグイ話だったわぁ

そして、一度入ったら抜け出せない。

 

全部で7エピソードあるんだけど、

1日で5話まで見て、残り2話をつい先ほど見ました。

 

これ、実際にあった話で、

それも2017年っていうんだからものすごいタイムリーな内容。

 

もうね、グイグイ飲み込まれてしまいました

こういう劇薬みたいな作品は久しぶりだったなぁ。

 

 

  グッときた点

 

①地面師の仕事ぶり

 

土地所有者になりすまし大金を強奪する。

これが地面師のやり方。

 

だが、そこには緻密な作戦が張り巡らされている。

 

図面師、法律屋、手配師、ニンベン師、交渉役、リーダー

 

それぞれが役割を全うし、

巨額の金を奪い取る。

 

この豪快で鮮やかな手口に、

「地面師=悪」とは知りながらも脱帽させられた。

 

 

②ハラハラがドッキドキ

 

ただでさえ危ない橋を渡っているので、

いつ何が起こるか全く先が見えず、

次々とエピソードを進めてしまった。

 

全てはハリソン山中(豊川悦司)の手のひらで事が動いていて、

嘘みたいにどんどん人が死んでいく。

 

ハリソンの真摯な口ぶりとは裏腹に、

誰彼構わず、用済みの人間を消し去る非情さも相当だった。

 

ダイ・ハードの落下シーンを持ち出して、

刑事の辰さん(リリー・フランキー)を葬り去るシーンはゾッとした。

 

地面師の仕事ぶりについても、

いつばれるかのハラハラ感もあり、

その後の仲間内での裏切りもどうなるかわからない。

 

常に何かが起こりそうで、

そして何かが起こる

 

これは一気に見ちゃうよな。

 

 

③配役のすごいクセ

 

曲者しか出ていない。

 

そして、全員はまっている。

 

ピエール、リリーが出ている時点で、

麻雀でいう所の満貫確定なのだが、

ここにマキタスポーツが入って倍満

 

あとは好きに転がすだけ。

どんなに転んでもつまらない事にはならない布陣が出来上がっている

 

クセしかない役者の暴れっぷりが気持ちよすぎた。

 

アントニーだけ、ちょっと浮いてたかな。

 

 

④Music / Takkyu Ishino

 

音楽最高すぎるわ。

さすが世界の卓球さん。

 

メインテーマの不穏っぷりったらないし、

全曲がバキバキに映画にはまっている。

 

ビートが強く鳴るシーンと画面の画が共鳴し、

ものすごいエネルギーを生んで襲い掛かって来る。

 

今後も卓球さんの映画音楽が増えそう。

 

 

  惜しい点

 

①ハリソンを逃がしたこと

 

ここはハリソンに鉄槌を下して欲しかった

 

散々っぱらにやり散らかして、

仲間をほぼ全員殺して、

結局自分は雲隠れってのは、

ちょっと悔しいわぁ。

 

せめて、ダイ・ハード返しして欲しかった。

 

 

②濡れ場シーンの弱さ

 

シャブとか殺しはしっかり見せているのに、

SEXシーンについては、

結構オブラートに包んでいる。

 

何かしら着衣をして、

裸をさらさないでのプレイばっかり。

 

後半、青柳(山本耕史)のホテルでのシーンでは、

青柳は完全にパンツを履いて腰を動かしている。

 

どういうこっちゃ?

パンツからモノだけ出してるって事?

 

別に裸を見たいというわけではないが、

他の要素のテンションがめちゃめちゃ高いだけに、

ここだけ何故か攻め切らない感じにちょっと中途半端さを感じた。

 

 

  感想

 

地面師の恐ろしさをまざまざと見せつけられた。

目的の為なら手段を選ばずに作戦を完遂させる狂気。

 

それほどまでして金が欲しいのか、

それとも快感を得たいのか。

 

地面師には知識と知恵と機転の良さ、

そして、運と度胸と覚悟が無ければなれない。

 

これだけの要素を持っていたのだったら、

善の道に使えばよいのに、

せっかくの能力がもったいないと思ったが、

そう簡単な話じゃないよな。

 

 

しっかし、パワーのある作品だった。

 

今も卓球さんの作ったサントラを聞きながらこのレビューを書いているが、

テンションが上がってしまってしょうがない。

 

伊丹十三監督作品のような中毒性の高い内容に、

久しぶりに痺れさせていただきました。

 

 

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