忘れないようにメモメモ(日本の歴史、近代史) -222ページ目

麻生さんがいいなあ

ーー
 麻生太郎です。
 三番目になったんで大体似たような話するだろうと思って、疲れるよね、これだけ立ってると 上に立ってる我々も疲れますから、たぶん同じように疲れてると思う。

 まず秋葉原駅前の皆さん、そして自称秋葉原のオタクの皆さん、 そしてこの後ろに居られる東京都看護婦連盟の皆さん、 お力添えいただきましてありがとうございます。心から感謝を申し上げます。
もし気分が悪くなったら、看護連盟あそこに居ますんで、ぜひ頭に入れといてください。

 さて皆さん、若い人も多い、いや若くない人もいらっしゃいますが若い人、キャプテン翼知ってる人?(手を上げる仕草) ありがとうございます。
これ、中近東に行ったらキャプテンマージドって言うんです。
今年あったワールドカップの世界大会。フランスのジダン、イタリヤのトルッティが、トッティがあなたは何でサッカー始めたんです?って聞いたら、みんなキャプテンマージドのおかげだって
これ、日本人が書いて、漫画、少年チャンピオンに連載しているかな今。
この漫画を読んであの世界一のサッカーのキャプテンになったんですよ。
我々はこの事実を知っていましたから。
ジダンと言う人はアルジェリア出身です。
中近東では翼の事はマージドという名前がついています。
このキャプテン翼のロゴを大きくのばして日本がイラクのサマワに送った給水車のタンクにこのキャプテンマージドのロゴマークを貼って自衛隊は全部あの地域で襲われる事はありませんでした。
国旗よりよほどこのキャプテンマージドを生んだ国だと言う所が値打ちがある。大事なとこですよ。

 3Jってのがある。今アジアで3つのJがアジアを席捲しつつある。
これは今から4年前にタイムマガジンと言う真面目なアメリカの雑誌の表紙に椎名林檎が載りました。
椎名林檎知ってるよね。椎名林檎が載った。
この椎名林檎を珍しいと思って何が書いてあるのかと思って読んだら、我々は日本と言う国を、ハードの強い国と思っているが実はソフトが強い。
今アジアの文化は間違いなくこの3つのJによって今席捲されつつある。
ちなみにアニメーションを見てくれ、コミックを見てくれと。
ドナルドダック、ミッキーマウスは完全にドラえもん、そしてポケットモンスターにとって食われた。
こちらが完全なアジアに置いてのコミックのスターなんです。
テレビゲームも先に攻略本を勉強しようと思ったら、日本の本を買って日本語を読んで憶えなければ先に憶える事は出来ない。だから日本語って今ものすごい熱ですよ。
学校で教えてんじゃない、子供が自分で攻略本を人より先に読みたいがために日本語を憶える。
結果としてこの10年間、経済が調子悪かった中にあって日本語を勉強したいと言う人の数はちょうど二倍に増えてます。これが日本のもっている力です

 またJポップ。二つ目のJです。Jポップと言うのが出てきました。
ものすごい勢いで日本のジャパニーズポップミュージックと言う物が広がっています。
その代表として椎名林檎の名前が挙がりました。
我々も昔、我々の世代ではエルビス・プレスリー、ジーン・ビンセントなんてのがえらく受けた時代でした。
まだエルビス・プレスリーにまだこってる人も日本の総理大臣に一人いらっしゃいますが、この中に限らず我々の世代はエルビス・プレスリーってのは絶対でした。
そしてその後の世代はたぶんビートルズ。世代によって音楽は違うがみんな英語だった。
だからこれらの歌を覚えたいと思うんだったら英語で歌わないとかっこ悪かったから
読めないけどカタカナをふってでも英語で歌った格好をして覚えたのと同じように。
今アジアの国々行ってカラオケに行ってもどこに行っても全部Jポップは日本語で歌う。
若いティーンエイジャーが。したがって日本語って通じるんですよ。
今明らかに日本語というものはものすごい勢いでアジアの中で普及しています。

 そして3番目にJファッション。
これはこないだアジアで一番古い大学があります。
タイバンコクにチュラロンコン大学って言う大学があります。
(看護婦連盟の方を向いて)壇上ですいません、お尻ばっかり見せまして。
このチュラロンコン大学の女子大生100人に聞きました。
貴女はもし次に生まれ変わるとしたら何人の何、男か女、に生まれたいですかという質問に対して、実に32人が日本人の女と答えています。
次にアメリカ人の女が12%。あとはホント二桁以下なんですが。
そういう中にあって日本人の女に生まれ変わりたいが32%。
なぜなら、一番かっこよく、一番金払いが良く、そして一番颯爽とバンコクの町を歩いているからと答えています。ちなみに日本人の男と答えた人はゼロでした。
これが今アジアの人達が見てる日本人に対する目ですよ。
Jファッションそれが今言われている物です。

 Jファッション、Jポップ、そしてジャパニメーションという3J。
これらは明らかに日本が作り出したブランドですよ。
(聴衆に対して)日本と言うイメージは歌舞伎とか能とか思ってるんじゃない?
大体自分でもあんまりわからないんだから人様がそんなに簡単にわかるはずが無い。
サブカルチャーと言われたこういった世界の方がよっぽど日本のイメージとして広くアジアの世界に伸びていると言う事実を我々自身が知っておかねばならん。

 なんとなく中国って言うと反日感情煽ってけしからんと言う人もいっぱい居る。
教育問題には確かに問題がある。しかし良く見てみると、日本に行ってみて明らかにわかった事が一つある。
中国に居る時は日本は軍国化主義化している、軍国主義教育だとずっと言われてきた。
しかし日本に旅して三ヶ月間、東京にほとんど居たが日本の東京で軍服を着た軍人にあったことは一回も無い。
そんな国が軍国主義なわけが無い。これが普通の人の感覚って言うもんです。
私らはこういう感覚を大切にせにゃいかん。
 4年前重慶のサッカー場で反日的な暴動みたいな騒ぎにえらくなりました。
わんわん騒ぎになったが、ほぼ同じ時期に、同じ時期に、場所は違うが、谷村新司。
これも歌手だけど知っていると思う。この谷村新司がコンサートを開いた。野外コンサート。
そこのプロダクションに言わせると10万人をこえる観衆だったそうですが最後に谷村新司は昴を歌ったんですって。
その昴を歌ったら9割の中国人が立ち上がってスタンディングオベーションで応えて全員日本語で昴を歌った。
あれは感動する場面だったとそのプロダクションの人が言っていました。
私どもは知らない間に、そういう普段はあんまり気がついていないけど、普段はあんまり評価していらっしゃらない大人もいらっしゃるだろうが、ぜひそういうサブカルチャーと言われる世界において、我々の気がつかない間に、我々が意識しない間に、我々の持っている文化と言う物は間違いなくアジアの中に広く行き渡りつつある。
それが今現実なんだ、と言う事をぜひ頭に刻みこんでおいて我々はその対応をせねばならん。

 なんとなく日本が孤立しているかのごとき話があります。
しかしBBC放送、イギリス国営放送がやった調査で、世界33ヶ国、4万人を対称にやったアンケート調査の中で、貴方は世界の中で最も貢献している国はどこだと思いますか、という国に対して、その中の答えとして出たのは、日本が最も貢献している国の一番にあがっているんですよ。
これが世界の国々が見ている日本に対する目です。孤立なんがしているわけが無いでしょうが。
それが現実として、我々がやった調査じゃない、イギリス国営放送がやった調査ですよ。
それを見てもわかるように我々は丁寧にきっちり対応してきた。
 イラクのバクダッドという所にもこないだC130等等に乗って行きました。
イラクの人々も皆、日本の自衛隊員の士気の高さ、きわめて高い評価をしています。
無銭飲食ゼロ、脱走兵ゼロ、婦女暴行ゼロ。こんな規律正しい軍隊を見た事が無い。
そしてイラクの人達に対して道路工事の仕方を教え、電気が停電した時の直し方を教え、水をきれいに浄化する、そういった設備を置き、そのメンテナンスの技術も全部教えて我々の自衛隊員は胸を張って帰ってきた。
5500名の自衛隊員が行ってですね、間違いなく彼らは我々イラク人のために応援をしてくれているのだと言う事を確信させた唯一の国が日本だと。
これが今自衛隊サマワに送られた人達の評価です。
 我々はこの人達のおかげで日本の地位があがり日本のブランド力があがっている。
ぜひその点を評価してもらわないと公平さを欠くと、私はそう思います。
ドンパチ撃つだけが自衛隊の話ではないのです。
こういう一人一人の自衛隊員の努力によって、我々の国の評価が上がり、それが結果として日本の地位を高め、外交につながり、日本の国益につながっていると言う点をぜひ頭に入れてください。

 高齢者の方もいらっしゃいます。
日本と言う国は、ぜひ知っといてもらいたいのは、高齢者と言う方は暗く貧しく弱々しいかと。
とんでもありません高齢者の方の85%はおじいさん見る間でもなく元気。
これだけ一時間半立ちっぱなしでいられるほどの元気な高齢者がいっぱいいらっしゃいます。
ありがたいと思っています。
そういった方々、年金の話をすると一所懸命、高齢者の方々ほど年金の話を真面目に聞かれますが年金が明日にも無くなるかのごとき話で、今払ったって先が無いんだなんて話をわんわん煽る話に乗っかっているのは間違っています。
年金の積立金は198兆円あるんですよ、簿価で。時価で199兆円あります。
そんな今日明日無くなる話じゃないんだから。
今から俺たちがしてる話は30年先くらいの話をしています。
したがって今払ってらっしゃる方、そのころはほとんどいらっしゃらん訳だから。
その方たちはあまり気にしなくてええのです、我々今がちょうどその境目、我々より若い人達は、お宅らは払うだけ払っても貰えないかと思って心配するのは正しい。
しかし80歳とかの人が真剣に聞かれると、ちょっとかなり、貴方そんなに長くお生きになるつもりですかと言いたくなるんですが、ぜひ我々はそんないい加減な話をしているのではないのであって、ぜひ国と言う物はきちんと真面目に取り組んでいます

 自由民主党は開かれた国民政党として、日本の30年先、その先を考えて如何に経営をしようかと、そういうのが自由民主党なんであって。 目先の選挙をどうするとか、目先の政権をとりさえすればどうのとそういった政党とは違うのです。
ぜひ来る通常選挙、参議院の通常選挙、その前の統一地方選挙、その前の補欠選挙、ぜひ自由民主党は全力あげて戦います。
誰が総裁になっても戦います。そしてこの国の責任ある政権与党としての勤めを果たします。
ぜひ力を貸してください。

ありがとうございました。

ーー



麻生さんに総理大臣になってほしいなあ。NHKで総理候補が三人出ていました。ずいぶん長いこと歴史認識のことをやっていました。もういいってその話は。田原のやつも見ましたが、NHKのときは安倍さん落ち着きがあってよかったんですが、田原に煽られてちょっと浮き足立ってしまったようでした。麻生さんは常に平静。谷垣さんはどうでもいいです。田原は自分が欲しい答えを言うまでバカみたいに質問を繰り返して異様。谷垣さんがNHKで「中国に侵略したのは事実ですから云々」と言っていましたが、そんなことは政治家が言うことではない。なぜわざわざ解決している問題に遠慮してこちらが譲歩し続けなければならないのかが理解できない。ボランティア活動じゃないんだからさあ。

いや譲歩するなって言っているわけでわなくて、媚び諂うのはやめてくれと。おかしいことはおかしいとガンガン言わないとつけこまれるだけなんだよ、特に中韓朝は。

麻生さんぐらいの倣岸な顔立ちのほうがいいよきっとw

「ちなみに日本人の男と答えた人はゼロでした」でちょっと悲しくなった。


「靖国神社の英霊は寂しかった」

引用ーー

 わたしの銀行時代の先輩で、靖国神社の経理をやっていた人がいる。その人は戦争中、中国大陸を1000kmも歩いて桂林まで行って、戦いに負けて負けて負けて、また1000km歩いて帰ってきたという経験がある。

 彼は銀行に勤めて、定年退職のころ、靖国神社から経理課長か経理部長をやってくれという話があった。

 「給料は証券会社へ天下った場合の3分の1くらいしか出ないけれど、受けるか」と聞かれ、彼は受けたそうだ。

 「自分は危うく靖国神社に祭られるところだったんだ。自分の知っている人が何十人もあそこにいるんだ。そういう場所のお世話をして残る一生を暮らせるのは幸せだから、給料が安くてもやる」と、彼は靖国神社で働くことにした。

 ずっとあとでわたしは靖国神社に行って、その人と話すことがあった。彼は「靖国神社は今や寂れきっていて、誰も来てくれない。来てくれるのは、夜暗くなってから、隅っこの暗いところでいちゃいちゃしているカップルくらいだ。そういう連中に対して『神域を汚すものだから、パトロールして取り締まろう』という意見が出るが、わたしは断じて反対している」と言った。

 「わたしは、死んだ人たちの気持ちを知っている。誰かに来てほしいんだ。寂しいんだ。誰でもいいから靖国神社へ来てくれて、にぎやかにしてくれればうれしいんだ。それが死んだ英霊たちの気持ちだ。危うく英霊になりそうだったわたしがそう思うんだから、取り締まるなんてとんでもない」と。

サイパン島で死んだ人たちは
カップルの来島を喜んでいるかも


 その話に関連して、近年、サイパン島へのツアーなどに苦言を呈する向きがあった。

 「たくさんの日本人が死んだサイパンへカップルが旅行に行って、昔の戦車とか大砲とかを遊び場にして、いちゃいちゃやっているのは嘆かわしい」と新聞は書いた。

 わたしはそれを読んで、靖国神社の先輩の話を思い出し、「死んだ人は、喜んでいるかもしれない」と思った。

 自分たちが命を捨てて戦って、それで米国は日本を尊敬するようになったから、戦後、若い日本人は経済だけでやっていくことができた。そのおかげで豊かになって、こうやって自分の子供や孫が遊びに来てくれている。サイパン島で死んだ人は、カップルがたくさん来て喜んでいるんじゃないか。

 死んだ人は、誰かが来てくれればうれしい。若い人が来て、遊んでいてくれて、それで結構だ。そういうことがあるとわたしは思っている。

 そして、こうしたことは今のうちに伝えておかないと、だんだん代が替わっていくにつれて分からなくなっていってしまうだろう。

ーー(「心情」から語る靖国論(1)~英霊の気持ち~)

日本人が望んだ天皇の世襲制

徹底討論・女帝は是か非か 皇室典範の改正に向けて
長谷川三千子(はせがわ みちこ)・(埼玉大学教授)
八木秀次(やぎ ひでつぐ)・(高崎経済大学助教授)
高森明勅(たかもり あきのり)・(拓殖大学客員教授)
一部抜粋
引用ーー 
日本人が望んだ天皇の世襲制
長谷川 ここで、ひとつ、たいへん素朴な疑問を投げ掛けてみたいのですが、もしも「なぜ血筋がつながっていなくてはならないんだろう」「天皇陛下になる人を、なぜ選挙で選んではいけないんだろう」と問い掛ける人がいたとしたら、われわれはどう答えたらいいのか。
 八木 それは非常に難しい問題です。もちろんいろんな説明が可能だと思います。「王様の政治学」という君主制の機能的な説明も可能です。しかし、日本の国の始まりから「続いてきたから」という事実の重みを強調することが、いちばん適切であるように思います。天皇が天皇であられる理由ですが、やはり「血筋である」といわざるをえない。
 私は能力や人格という問題は、付随的なものだと思います。神武天皇に発する男系の御血筋を今日において継承しておられる方、その方が皇位に就かれる人物です。歴代百二十五代、皇太子殿下も入れると百二十六代が、神武天皇以来の男系の血筋でつながっておられる。皇室は世界最古の王朝ですが、このようなことは世界中どこを探してもありません。その事実の重みを、そのまま受け止めるべきではないかと思います。
 長谷川 たしかに、考えてみると人間の血筋というのは、一人ひとりの人間を超えたところがあります。遠い昔から続いてきたものが、今度は未来の時間へ伸びていく。その流れをかたちづくっているのが、血筋なわけですね。そう考えると、血筋という事柄自体が、時間の神秘そのものといえる。それが日本の国柄の真ん中にずっと通ってきた。その事実だけで、本当にすごいことといえますね。さらにいえば、日本の皇室における道徳性というのも、つねにその血筋を軸として、「皇祖皇宗の遺訓」として伝わってきたわけで、「力」ではなく「徳」が大切だという伝統は、この「血筋」ということと切り離しがたく結びついているような気がします。
 高森 先ほどの質問の、「なぜ天皇になる人を選挙で選んではいけないか」についてですが、およそ独立国家たるもの、国家の中心となる存在、現在でいう国家元首が不可欠である。対外的に、その国を代表して、その国の統合の要になる存在が必要であることは、誰しも認めるところでしょう。
 その国家元首の存在様式には、大枠で二つのタイプがあります。一つは選挙による大統領など。もう一つは世襲による君主です。選挙によって選ばれる元首には、プラス面とマイナス面があります。プラス面は能力のある人、あるいは人望のある人が選ばれるケースが多いことです。能力と人望が正比例するものでないといった問題もありますが、いちおうはプラスの面といえる。また有力な政党をバックにしているため、政策を実行に移しやすいことも挙げられます。
 一方のマイナス面は、ポピュリズムに走って、国家の長期的な路線を誤りがちであることです。また、どんなに国民に人気の高いリーダーであっても半分は政敵で、いつ足をすくわれ、政治が混乱するかわからない。また、ある時期を境にみるみる国民の支持が凋落し、「レームダック」状態になって政策運営に支障を来すこともある。場合によっては、独裁者への道を歩むかもしれない。さらに致命的なのは、その国家における歴史的な連続性というものを体現できない。国家元首に求められる尊厳や威厳、あるいは高貴な品格などが、選挙期間におけるスキャンダル合戦などで大いに損なわれることもあります。また選挙の在り方によっては、この前の台湾総統選挙やアメリカ大統領選挙のように、選挙の正当性そのものに疑義が挟まれることもある。
 では世襲制の場合はどうかというと、ちょうどその逆です。能力や人望が優れている保証はない。「暗愚の君主」が現れてしまう可能性があるわけです。しかしこれについては、立憲君主制の場合、「輔弼(ほひつ)制」という政策運営上のサポートシステムがきちんと整っていれば、さほど懸念すべきマイナス面ではない。政敵にしても、日本の場合、戦後のような左翼の影響力が強い時世の下でも、一貫して国民の八割以上が天皇という存在を支持しつづけています。そしてプラス面としては、歴史の連続性を体現し、尊厳を表現するのに、伝統ある君主ほどふさわしい存在はいません。
 そう考えたとき、世界の君主のなかで日本の天皇ほど、世襲制のもつマイナス面が希薄で、主にプラス面を集約的に身に帯びておられる方はいらっしゃらない気がします。現存する世界最古の王朝であり、しかも独裁や専制とは懸け離れ、公益、民意を尊重される。絶えず自らを省みて、国家社会全体の利益を最優先するという精神の伝統を受け継いでこられている。日本の国民は、意識するとしないとにかかわらず、漠然とそれを感得していたのだと思います。
 それが、「なぜ天皇の血筋がつながってきたのか」という問いに対する答えに結びつきます。一言でいって、結局は国民の側がそれを望んだからです。先月号にも書きましたように、「道鏡事件」のような、天皇自ら皇統に属さない人間を即位させようとしたときですら、国民はこれを望まなかった。すなわち皇室が「自分たちの血筋で君主の地位を独占する」という原理を押しつけてきたのではなく、国民の側で他の血筋に変わったり、他のシステムに変わることを望まなかったのです。そこには日本国家の統合のかたちが壊れてしまうことや、いびつなかたちでの統制国家を避けようとする、日本人の賢明な選択が働いていたといえるでしょう。
 長谷川 いやァ、そうしてみると、いわゆる「世襲」という言葉が、現代では安易に使われすぎていますね。お父さんが国会議員だったから息子も地盤を引き継いで国会議員になった、なんていうのを「世襲議員」と呼んだりしますが、本来はこんなものを「世襲」といってはいけませんね。長い血筋を経てこそ、世襲の本当のよいところが出てくるわけなのですから。
 高森 まさに長い歳月のなかで精神が磨かれ、鍛えられていくのです。「世襲議員」の場合は地盤や特権を受け継いでいるようですが、皇室における「世襲」では、責務、あるいは祈り、あるいは精神を受け継いでいるのです。先ほど八木さんが、「とにかく血筋である」といわれましたが、あえて異論を申し上げるなら、私は「血筋、プラス祈りの継承である」と考えます。まさに皇祖以来の祈りを受け継いでこられたことと血統が一体になっているんです。この両者相まって、皇統の尊厳というものが成立しています。ここでは立ち入りませんが、践祚(せんそ)の儀、即位式、大嘗祭(だいじょうさい)などの皇位継承に伴う儀礼は、そのことを確認し更新する意味をもつものでしょう。
 いまわが国には、グローバル化の波が押し寄せています。そのなかで日本人のアイデンティティを支えうる最後の砦とは何かというと、やはり神話に由来し、古くからの血脈と祈りを受け継ぐ世襲の天皇という存在以外ありえない。これもまた、忘れてならない天皇の存在意義だと思います。
ーー

「世界の君主のなかで日本の天皇ほど、世襲制のもつマイナス面が希薄で、主にプラス面を集約的に身に帯びておられる方はいらっしゃらない気がします」「世襲議員」の場合は地盤や特権を受け継いでいるようですが、皇室における「世襲」では、責務、あるいは祈り、あるいは精神を受け継いでいるのです」というのはなんとなくわかります。まあ八木さんも似たようなことは思っているでしょう。ただその、ありがたみというか、尊崇の念みたいなもののなかには「神武天皇から連綿と続いている」血統ということが結構な重みだと思う。ので八木さんにもっと頑張って欲しい。