「シンフォニア農法」で伝えている、小さな面積でも多様な種を蒔いて、自給自足を目指すこと
地球の摂理に沿いながら、現代のどんな暮らしをしている人でも、全くの未経験者でも
土に触れ、植物や生き物を育む経験を、手軽に始められる提案をしています
それは、現代人と土や自然との距離が、余りにも離れてしまったからです
3次元の地球で「生きる」こととは、本来
肉体の「安息」を確保し、「食べ」つなぎ、子孫を育むこと
「衣・食・住」という言葉があるように
良い点数や地位を得たり、懸命に何かを売る必要など、無かった筈なのに
種を蒔き、土と生き物を育み始めると、「生きる」ことの歪みが、是正されて行きます
今日は、古民家の敷地や山の整備につながる考えや作業について、お伝えします
「自給自足」や「暮らし」の素は、水や衣食住の全てを生み出す「山」にあるからです
表面を全て植物で覆いたがっている地球ですが、その植物は草ではなく、本来「木」です
現代の家や畑のほとんどは、中高木が極めて少ない不自然な状態なので
循環力の乏しい開拓跡を放置すると、一旦は藪に向かってしまいます
地球の本来の地形は、山から海岸線まで曲線や起伏が大部分で
直線と水平が多い人工地形は、水や空気の停滞を生み、こちらも藪に向かいやすいです
1辺が10メートルを超えるような敷地を、快適に暮らす環境に維持する為には
敷地上下の傾斜、敷地部分の台地化、要所の縁切りなどで、水や空気が滞らないようにし
周辺に10メートル以上になる広葉樹の高木を植え、藪に向かわないようにします
敷地部分の各所には中低木を植え、足元には生えて嬉しい草花などを育てます
敷石、庭石や灯篭のような大きな天然石の設置も、微生物の活動や水や空気の循環を助けます
古い寺院の日本庭園などを見れば、イメージしやすいです
広葉樹の高木は、10年かけて、高さ10メートル、太さ10センチになるので、放置しなければ整備は容易ですし
落ち葉や枯れ枝は土や微生物を養い、切り枝や実は、暮らしの支えになります
現代の人工建造物を風景から除いた時に、最低でも30メートル毎くらいに広葉樹の高木が無ければ
その不自然な場所は次第に、循環が乏しくなり、水溜まりや過乾燥で土は痩せ、快適さが失われて行きます
古木が切られるばかりで、広葉樹の木々が無い、宅地や畑など新しい造成地も
少しの手入れと、植物と微生物や野生の生き物たち自然界の力で、改善させることが出来ます
どんな場所でも、植える木がわからなければ、まずはドングリです
落葉のドングリは土を豊かにする最優秀、常緑のカシは荒れ地に強く焚き木や材に優秀、シイはわたしたちヒトの食用に
ドングリは本来、どんどん自生するものですが、木も実も見つからない地域には、大分の選りすぐりのドングリを送ります
カシの他に、荒れ地や痩せ地に強く、浄化力もあり、こぼれの実や挿し木・刺し根で増やすのも容易でお薦めなのが
椿(ツバキ)、榊(サカキ)、紅葉(モミジ)、ネムノキ、柳(ヤナギ)
その他の木々も含め、入手が困難な場合は、たくさんの苗を扱っている
さんを見ると良いです
中高木の果物類も、好きなものを色々植えると良いですが、お薦めは
枇杷(ビワ)を筆頭に、柿(特に渋柿)、梅、イチジク、ミカン類、桑(マルベリー)、ブラックベリー
果物類も、種から容易に発芽したり、挿し木で増やせるものが多いです
低木ですが、ラスベリーやクランベリーは、ミョウガやフキと同様に、地下茎でどんどん広がり、日陰にも強いです
レモンバーム、マロウ、セイジ、ブルーキャットニップミント、ラベンダーなど、宿根や多年のハーブ
ペニーロイヤルミント、ローマンカモミール、クローバーなど、地上を広がるタイプのハーブや花
タイム、ローズマリーなど、木化して挿し木も容易なハーブ
クチナシ、ジンチョウゲなど、香りの良い低木
などなど、生えて嬉しい植物でボサボサになるように、組み合わせることが出来ます
畑や荒れ地など、面積が広く、木々が育つまでの間は、緑肥と呼ばれる草花の種を蒔くと良いです
ヒマワリ、コスモス、マリーゴールドなどが代表ですが、これらは種を増やすのが容易なので
まずは少量の種を蒔き、しっかりと種を土に落として、蒔く箇所を増やせるように持ち帰ると良いです
種を蒔く場合は、野菜の時と同様に、秋~早春の雑草の勢いが無い時が最適で
9月~5月頃まで蒔くことが出来、緑肥で1番お薦めなのが、マメ科の「ヘアリーベッチ」です
この時期は、基本、アブラナ科・春菊・ニンジン・おかのりなどを混ぜて蒔くと良いですが
緑肥を増やしたい場合は、マメ科の「クリムゾンクローバー」や「蓮華」があります
4月~6月頃に蒔き、夏~秋に茂って欲しい場合は、暑さが好きな緑肥で
マメ科の「えびす草」、ムラサキ科の「ハゼリソウ」、マメ科の「クロタラリア」、などです
この時期は、ヒマワリ・コスモス・マリーゴールド・百日草なども、一緒に蒔くと良いです
50年もすれば、日本のほとんどの場所は、草だけでなく木々に覆われますが
それだけで改善が望ましくない場合は、土砂崩れ・河川氾濫・噴火・地殻変動などにより、好転して行きます
その50年を10年に縮めたい場合、ドングリや果実など木々の種を蒔いたり、枝や根を運んだりします
10年を更に数年に縮めたい場合、草で多様になるように種を蒔きます
数年を更に数ヶ月に縮めたい場合、穴を掘って土中に大量の落ち葉を混ぜてから種を蒔きます
緑肥とは、その地に無い多様な草の種を蒔き、微生物を育み虫たちを集めながら、土の栄養価を上げて行く狙いで
落ち葉や枯れ枝ほどではないですが、その地を早送りで豊かにすることが出来ます
緑肥の多くはイネ科の草ですが、キビ・ヒエ・猫じゃらしなどイネ科はたくさん自生するので、敢えて種蒔きするメリットは薄く
土中に窒素を戻しやすいと言われるマメ科の草や、イネ科以外の草なら、少なからず改善に作用しやすいです
土の養分を吸収しながら育った草を、その地で枯らせて土に還すことは必須で
翌シーズンからの種蒔きが不要になるように、何割かで良いので、しっかり花を咲かせて種を落とし
植生を多様にしながら、微生物や虫たちをどんどん増やして、その地のタンパク質循環を濃くして行きます
続いて、作業の仕方や時期について
どのような作業をすべきか、どのような植生の方向性を目指すべきかは、藪の性質で分かれます
細い竹や笹、イネ科で地下茎持ちのチガヤが群生している地は
野菜や花などの「草」では労力に見合う改善が難しいので、果物やドングリなどの「木」に頼るべきです
セイタカアワダチソウ、ドクダミ、スギナ、ヨモギなどの群生の藪であれば、畑にすることも可能です
どちらの状態だとしても、循環が詰まったその地に、深さ15cm程度と小さくても良いので
谷(溝や穴)と山(起伏や畝)を作り、種蒔きや苗(挿し木など含む)植えを行うことが、改善の第一歩です
作業は、藪性質のものを含めたほとんどの植物の勢いが弱まる、晩秋~初春に行うと効率が良く
それ以外の季節でも、面を対象とした作業ではなく、点々とや流線形の曲線によって
小さな労力で、自然の後押しを多く受けられ、その地の改善に向けたリズム作りを意識して行います
除草剤を撒かれた地は、土や大気の改善に、微生物の多大な働きが必要ですが、その手助けはわかりやすいです
実は、近年ビーバーの愛称のある刈払機の作業は、藪を人為的にどんどん強靭にして行く悪質な方法で
公共事業による草刈り作業や、機械や燃料の販売という、経済活動を活性化する為の優秀な手段です
除草剤の方が良いとは言いにくいですが、ビーバーの方が悪い要素があるのも事実です
どんなに悪い藪でも、地球は改善の方向に進め、必ず木々の芽が出て来るのですが
ビーバーは、その発芽した新しい芽を摘んでしまい、改善の可能性を減らして行ってしまいます
機械作業は、その時は簡単に思えますが、数十年先を見た時に、どんどん労力が増して行ってしまいます
最低限の応急処置をしながらも、少しずつで良いので、地を育む作業が子孫世代に向けて不可欠です
手作業の手入れの質は、機械作業よりも桁違いに良く、労力が大変だと思いがちですが
その多くの作業は、子供や女性でも、仕事というより遊びに近い感覚で行うことが出来ます
現在の日本の地の状態では、ある特定の土地を何とかして良くしたいという煩悩を働かせるのではなく
今までもこれからも、その地を良い状態に保ちたいのに、高齢化などでそれが叶わなくなってきた地に
その想いと労力を代行出来る者たちが足を運び、良い地域として子孫世代へ残す為に、労を費やしましょう
そんな想いに溢れている地は、残念ながらそれほど多くはないので
家系の所有地、出身地や思い出、人気やブランドなど、重い足かせとなっている現代の誤った常識を手放すと
現代に残る貴重な良い地に、地球で自然と共に生きようという同志たちが集い
縄文のような豊かなコミュニティが、自ずと形成されて行く筈です
自給自足や暮らしの観点で見ても、藪化している地を、原生の山に戻して行くことが、求められています
宅地、田畑、人工林など、かつて人間が、煩悩によって原生を切り拓き開拓してしまった地は
わたしたちヒトの手で、原生に還りやすいきっかけの作業をしなければ、回復に50年~200年以上かかります
田畑や人工林は、経済や統率の仕組みを潤しますが、原生の山に戻すことは、食や暮らしを潤します
田は不要で、畑は住まい周辺に庭程度の広さで十分で
道路など、その他必要最低限以外の地は、多様な木々が茂る山であった方が、わたしたちの暮らしは豊かになります
「水田と米」という、戦後生まれた仕組みの劣悪さは、下のブログや、インスタの動画で伝えていますが
これら、人間がわずか数十年で積み重ねた地球上の汚物も
イノシシ先生など野生動物たちと、地球の生態系の土台である微生物や植物が力を合わせれば
早ければ一晩で無害化することすら可能です
それをさせないのは、人間だけの都合を地球に押し付け続ける地域性です
「先祖代々の土地」や「各個人の責任」という概念は、人々を孤立させ、コミュニティを作らせない為の策略なので
地球軸の暮らしに向かう同志たちが、その暮らしを求める地域に集い、自然と共にしっかりと歩めば
ヒトも自然の生き物たちも、地球本来の豊かな暮らしへ、地球軸の瞬足のスピードで、戻って行きます
豊かな「暮らし」は、権力者や社会システムによってもたらされるものではなく
自分たちで手足を動かすヒトたちのコミュニティが、地球の全ての生き物と共に、築き続けて行くものです
求められている地に、同志が集い、小さな穴を掘り、多様な種を蒔き、落ち葉や枝を運ぶ
まずはこれだけで、良いです
~自然と生き物のシンフォニア~
多様性×循環 「めぐり郷」大分県豊後大野市
「水」と「土」と「火」のある暮らし
豊かなヒトの暮らしは、豊かな自然と共にある
開拓跡を原生に還す
失われかけている日本の古き良きを体現し後世に伝え残す
365日の自給自足を軸に健康と豊かさを手軽に
(地球と共に生き物を育む「シンフォニア農法」考案者、かじか)