「MDSの21%が誤診」という論文があり、見てみました。

BloodAdvancesという論文誌のデジタル版?ですかね。

結構有名な先生方の論文です。

 

概略は

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いろんなところ(Locally)で診断した骨髄系腫瘍性疾患918人を中央審査(central review)で再分類したところ、誤診率は全体で 15%、MDS では 21% となっています。 

 

診断に不一致がある症例の治療率は、誤診症例の7%で不適切な治療を受けていました。

 

形態の解釈や異形成の定量化における観察者間のばらつきにより、正確な病理学的診断には課題が生じます。

診断の不一致は頻繁にみられ、これは試験関連登録や国内登録の正確性に影響を及ぼし、不適切な治療につながっている可能性がある。

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Discordant Pathologic Diagnoses of Myelodysplastic Neoplasms and Their Implications for Registries and Therapies

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当然の結果ですね。これは既に私たちが幾度となく主張していることですが、公に指摘された意義は大きいと思います。

この論文では異形成の評価についてのみ触れられていますが、それ以前に①骨髄穿刺で細胞が取れていない問題や②染色の問題など、治療以前の問題が大きすぎます!!

 

いつ治療に入るべきか、どの治療を行うべきか、治療はどの程度効いているのか、今後の治療をどうすべきか、検査は診断時のみならず、治療していく中でも重要な位置を占めています。

 

 

 

どんな意図があるのか不明ですが、

MDSはMyelodysplastic Syndromesから

    Myelodysplastic neoplasms

名称が変更になりました。

 

略称はMDSのままです。

 

日本語訳は骨髄異形成腫瘍とか骨髄異形成新生物らしい。

 

低リスクMDSは不応性貧血、高リスクMDSはくすぶり型白血病なんて時代もありましたね。

 

 

 

……あるお手紙2の続きです。

 

多分、主治医の先生が提案どおりにやって下さったようで、血液検査の数値は以下のようになっています。

21年12月ヘモグロビン5.9血小板1.7万
(赤血球は毎週、血小板は月に2~3回)というような輸血依存状態
22年3月セカンドオピニオン
22年6月ヘモグロビン9.0、血小板5.1万
23年1月ヘモグロビン10.8、血小板10.3万

 

というわけで、すっかり元気になったので、嬉しくてお手紙下さったみたいです。

 

私もとっても嬉しいです!!

……あるお手紙1の続きです。

 

送っていただいた骨髄塗抹標本は血液で薄まっていて、細胞があまりなかったので、再度、骨髄の検査を実施しました。

 

「骨髄は高度の低形成で、巨核球は減少、赤芽球の一部に異形成を認めました。骨髄異形成症候群(MDS)と再生不良性貧血(AA)のoverlapした病態が疑われます。」

「1)MDSとAAの境界領域の様な状態です。」ということでした。

 

そこで、先生から(簡単に書くと)
*ネスプの皮下注射(週1回240ug)とシクロスポリン内服を試してみる価値はあると思います。
*血小板輸血については、化学療法後ではないMDSの場合、血小板数0.5万程度まで下がり、口腔内などに出血症状が明確であれば輸血をするのがよいでしょう。

というようなセカンドオピニオンをお返ししました。

                 ……あるお手紙3に続きます

 

以前セカンドオピニオンでいらした患者さんからお手紙をいただきました!

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ご無沙汰いたしております。

おかげさまでMDS発症後、二度目のお正月も無事に迎えることができました。

昨年11月には病院がサイバー攻撃で診療できない状態でしたが、緒方先生のおかげで輸血なしになっておりましたので、困りませんでした。……中略……。

先生も喜んでくれ、東京の先生に診てもらってよかったですね、と言ってくださいました。専門の詳しい先生がいないというようなことを言われていました。

また状態が変化したときには緒方先生のご指導をおねがいします。

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こんなお手紙でした。

よかったですね!……続く

 

骨髄異形成症候群のリスク分類(IPSS-R)に際して、骨髄芽球の割合と染色体異常(核型)は大きな要素になっています。

 

皆さん、骨髄の検査をしたら、先生に「骨髄の検査の報告書と染色体の報告書を下さい。」とお願いしてみて下さい。多分、カルテに入っているので、すぐにプリントして下さるはずです。

 

骨髄塗抹標本報告書とか骨髄像検査報告書など報告書の骨髄芽球(Myeloblast)のパーセンテージを見て下さい。これがいわゆる骨髄中の芽球の割合です。

 

 

 

 

 

豪徳寺でおみくじをいただきました。

御覧のとおり、大吉でしたよ~!!!

       

緒方先生と共に、今年も必死で骨髄異形成症候群を治すべく、研究と工夫を積み重ねていきたいと思っています。

でも、本当に治ったかのような方も、VeryHighRiskでAza開始後10年たっても農作業をしている方も、他にも色々な方々がいらっしゃるのです。なるべく多くの方々がこのようになれるように、今年も頑張りま~す!

一緒に頑張りましょうね!

 

 

皆様、明けましておめでとうございます。

 

今年は招き猫で有名な豪徳寺に参詣しました。

豪徳寺タマさん達です。ちょっといたずらしましたけど。

 

勿論、病気平癒を祈願してきました。

 

心より、今年を迎えられたことに感謝し、
今年も頑張って、少しでも治療を進歩させたいと願っています。

一緒に頑張りましょう!!!

 

12月17日は89回目でした。来年は90回から始まります。

2013年9月に第1回を開催して9年になりました。

来年は9月に満10年を迎え、そして11月には第100回!!

なんとこんなに時間が過ぎたのですね。

第1回からのお付き合いの方もいらっしゃいます。

でもまだまだ頑張りますから。

 

多くの方々が、フォーラムが有意義だったを言って下さいます。

 

骨髄異形成症候群は残念ならが付き合わないといけない病気です。
少しでも長く付き合うためには、患者さん自身も家族も、知識を持つことが重要になります。

 

私自身もこの病気について常に学んでいます。多くの患者さんたちと緒方先生が私の先生です。そして少しでも多くの知識と情報をみなさんと共有したいと思っています。

 

今年はOgataScoreの動画つくりに時間を取られてできませんでしたが、来年こそは、緒方先生の動画もまた作りたいですね。

ですが、YouTubeなどで公開する内容には限界があります。

 

ですから、是非、フォーラムにも参加して下さいね。
1回の参加でなかなか理解することは難しい病気で、毎回参加されている方もいらっしゃいます。何回参加しても無料ですよ~!!

 


 

 

 

 

 

 

つくづく痛感するのが、診断と治療の難しさです。
 

もう9年も前もフォーラムにいらした方で、今も通院中の40台の男性はMDSと診断され、移植したほうがいいと言われていました。

当時は確かに体調が悪く、血液検査の結果もかなり悪かったのです(特に血小板は1万を切り、ヘモグロビンも7程度でした)。それに前の病院で行った再生不良性貧血の治療は不応だったので、MDSだろうということで移植を勧められたのです。

 

緒方先生の見立てもどちらかというと再生不良性貧血よりで、しかしながらMDSの傾向もあるということでした。緒方先生が特許をとってる低リスクMDSの方向けの治療を行い、血球減少はほぼ解消されて、現在は再生不良性貧血っぽい治療を行って、3ケ月に1回程度の通院ですんでいます。

 

こんな風に、病名も治療も簡単に割り切れるものでもないんですね。

近くで見ていて、本当に難しいな~と思います。
 

診断をきちんとできなければ(こんな風にうやむやな場合も含めて)、治療をしていくにも、その治療の評価もできません。

 

残念ながら、MDSは決まった治療法というものがほとんど通用しない病気です。患者さんそれぞれに合わせて、適切な治療をしなければなりません。

さらには、同じ患者さんでも治療していくうちに変わっていきます。

本当に診断も難しいし、治療も難しい。
低リスクでも高リスクでも難しい病気なんですね。