高リスクMDSーもう治療ができないと言われたら、というタイトルで緒方先生にお話ししていただくことにしました。

 

もう治療ができないと言われて、東京血液疾患診療所にいらっしゃる方は多いです。

昨日ブログに書いた方もそうですが、緩和ケアや在宅医療での看取りや、輸血などの支持療法のみを勧められて、ご家族やご本人が必死で検索してお電話いただく方は本当に多いです。

東京血液疾患診療所の患者さんのほとんどがそうやっていらした方です。

(MDSと診断されたから本当にMDSなのかどうか診断してほしいといらっしゃる方も多いですが。違うこともありますからね~。)

 

それで、VeryHighRiskの患者さんがMDアンダーソン(一応世界1の癌センターと言われています)よりも多いのです。さらにVeryHighRiskの中でもより予後の悪い複雑核型やモノソーマル核型、TP53-などのVeryVeryHighRisk(?)のような方々も多くいらっしゃいます。

 

でも、そこからが治療の始まりです。

 

ですから今回の12月20日のフォーラムではそこからの治療を緒方先生にお話ししていただきます。

 

皆さん、一緒に頑張りましょう。

Development of Machine‐Assisted, Human‐Centred Bone Marrow Cell Classification: Feasibility Analysis in Patients With Myelodysplastic Syndromes

コンピュータ解析を用いた新たな骨髄細胞検査:MDS患者への応用
(フランス・オランダ・スエーデン・日本の共同研究)

というような論文が今月中にはeJHaemという英国血液学会のオープンアクセス血液学ジャーナルに掲載されます。

 

CellaVisionという会社が開発した顕微鏡とコンピュータを組み合わせたCellaVisionDM96が2003年に開発され、2014年にはCellaVision® DM9600が発表されました。これらの機械は自動血液像分類装置で、

300以上の特徴を細胞 から抽出解析することで、従来のパターン分類技術ではなしえなかった芽球や幼若細胞 を含めた12種類の白血球細胞と6種類の非白血球細胞に分類します。分類された細胞 は細胞グループ毎に比較確認ができることが、従来の顕微鏡にない大きな特長です。

 

緒方先生の工夫により、この血液像の読み込み分類用のCellaVision® DM9600を使用して、世界で初めて骨髄像を読み込み比較確認できるようにできたのです。

 

従来は、医師が骨髄穿刺して採取した骨髄液で、臨床検査技師が塗抹標本を作製し染色した後に、医師が顕微鏡で細胞の形態を観察(形態検査)し、その後医師の所見をもとに技師が報告書を作成します。

(順番は施設によって違いますし、最近は検査会社に標本作成や形態検査を依頼するところもあるようです。)

 

今回の論文は、このCellaVision® DM9600を利用して取り込んだ骨髄像の目視の結果と通常通りの顕微鏡による目視の結果を比較することによって、顕微鏡による目視の結果と変わらない精度が期待できることを証明するためのものでした。

 

セラビジョンの分葉核好中球    

セラビジョンの分葉核好中球  顕微鏡の分葉核好中球

    

セラビジョンの芽球    顕微鏡の芽球

 

結果、同等の精度を期待できるという結果が得られました。

この結果をもとに、CellaVisionを利用して骨髄像の分類を行えば、別の人がその結果を確認でき、評価することができますし、さらにネットワーク連結した端末からも一枚の骨髄塗抹標本を同時にレビューする ことができます。難しい細胞の判定を遠隔地にいる熟練検査技師や血液専門医に仰ぐこ とが可能です。

実際に、フランス2施設、オランダ1施設、スェーデン1施設、日本2施設で8名の医師、技師の方々にリモートで分類して頂きました。

 

と、書いてしまうと、なんのこっちゃ??と思われるかもしれませんが、実用化されればとっても画期的なのです!!!

長くなったので、また改めて‥‥。

2022年11月濾胞性リンパ腫と診断されて経過観察中、2024年中に血球減少が進行、7月の骨髄検査では診断つかず、その後末梢血に芽球出現、11月MDS EB-1と診断された患者さん。

染色体異常ー7(20細胞中全てに異常あり)(3点)骨髄中の芽球7.6(2点)ヘモグロビン6.6(1.5点)血小板4.4(1点)、好中球496(0.5点)、合計8.0点ということでIPSS-R VeryHighRiskで生存中央値は0.8年です。

 

セカンドオピニオンにいらした経緯は年齢80歳なので、その病院では骨髄移植は困難(あたりまえですよね)、治癒の望めないビダーザなどの治療は本人・家族が希望しないので、東京血液疾患診療所で骨髄移植を検討していただけないか(????)という話でした。

話はよく分からなかったですが、セカンドオピニオンをお受けしました。

 

セカンドオピニオン後、2025年明けに入院して治療(抗がん剤です)することになり、4月に一旦退院するも肺炎で1週間後に再入院、結局5月30日に本格的に退院となりました。それからはほぼ落ち着いて、1ケ月に1週間入院して治療して帰り、翌月また入院して治療してと繰り返して今にいたります。

ゴルフは打ちっぱなしから頑張って、10月にはコースに出て、ついに11月末には大会参加となったらしいです。

表題のような嬉しいメールをもらいました。

 

1年たった現在、染色体異常-7(20細胞中1細胞に異常あり・3点)、骨髄中の芽球1.6%(0点)ヘモグロビン12.1(0点)血小板18.4(0点)、好中球2572(0点)、合計3.0点とすっかり安定して普通の生活が送れています。

 

治療が良く効くと、状況は変わりますね。

 

 

 

 

 

 

 

「白血化MDS」とはMDSの方で芽球が20%を超えた場合を言います。

 

de novo AML(MDSの先行のない急性発症の白血病)の中にも様々な病型があり、治癒しやすいものから治癒困難なものまで様々ですが、総じて「白血化MDS」より良い予後をしめします。

 

そのような治療困難な「白血化MDS」に対して緒方先生はビダーザを柱に様々な工夫をして治療して、生活の質を保ちながら長く生きることを可能にしてきました。しかしそれでも予後の悪い方はいらっしゃいます。その方々に昨年日本でも販売が開始されたビキセオス(ダウノルビシンとシタラビンの合剤)を使用した治療でさらに大きく患者さんの生存中央値の伸長が可能になりました。

 ただ、ビキセオスはビダーザ以上に使い方が難しい薬のようです。今回のフォーラムでは緒方先生に、今までのビキセオスによる治療例を踏まえて、白血化MDSの治療についてお話いただこうと思っています。

是非、いらして下さいね。

 

 

2025年Europian Leukemia Net Flow Working Groupです。

今年はオランダ第二の都市ロッテルダムでした。

 

写真はディナーの時です。

(オランダなのに、結構美味しかったそうです。)

 

みんな盛り上がって、Kiyoyukiの開発したOgata Scoreのお陰で何人も出世できたと喜んでいたそうです。結構みんな教授になっていますね。ヨーロッパではMDSの診断にOgataScoreは標準的な診断として用いられています。やっぱり精度が高く費用がお安いというのはメリットですよね。

最近は日本でも少しづつ広がっているようで、某大学病院からいらしたセカンドオピニオンの診療情報提供書にOgataScoreがついてきたこともありました。

 

今でも低リスクMDSと診断された中にはMDSではない方もかなりの数、いらっしゃいますからね。診断は難しいのです!!

 

日本人の目はやはりアメリカに向いていますし、緒方先生もアメリカの先生とも知り合いは多いですが、ヨーロッパの先生方も頑張っていますよ。国を跨いだ移動も多いですし、大学の授業もEU圏内で単位共通とか英語で授業するとか大学の統廃合とか病院の統廃合とか、多くの変化の中で、みんな頑張っています。

しかしながら医療費の圧縮はどこも一緒、ドクターの過酷な勤務も一緒ですね。

 

どの国も厳しい環境にありますが、みんなでさらに進化しましょうね、どんどん出世して下さい。

 

あの人のGoogle口コミに「宗教みたいな病院だと感じました。」と書かれていますが、神社参拝することや近所の豪徳寺に参詣することは、そんな書き方をされなきゃならないのでしょうかね?
他人に変な先入観を与えるいやらしい書き方ですね。

 

私たちは骨髄異形成症候群と戦うために出来得る限りの人事を尽くしています。そしてさらに神仏のご加護を願うことに何の問題があるのでしょうか。

参拝、参詣する際には、常に自分を振り返り、今後何をしなければならないかを吟味し、ご加護を願います。その度毎に初心に立ち返り、今後の進歩を願うのです。骨髄異形成症候群と戦い続けるために。

 

キリスト教系の病院は多数ありますし、仏教系、神道系の病院も数は少ないけれどあるようです。天理教なども病院を持っています。イスラム教系の病院は日本にはないですが、世界的には多数あるようです。

 

患者さんたちも宗教をお持ちの方もいらっしゃいます。勧誘行為などなければ、それは自由です。

 

 

いい話はたくさんあります。

ウチの患者さんは良い方ばかりですから!!
勿論、ご家族も!!

お陰でいつも楽しく働いています。

 

本当に稀にあんな嫌なことがあっても、いい患者さん達の言葉に癒されるわたしなのです。

 

先日もあのGoogleの口コミの話を患者さんにしたら、

「そんなこと、書く人があるなんて信じられない。緒方先生のお陰で長い間こうやって生きていられて、本当にすごいね~って、みんなで言っているの。」

「事務長さんもいつも元気印で、顔を見るだけで、元気をもらえる。」とか言ってくれるのです。

この患者さんはHighRiskで診断されてから10年、VeryHighRiskになってから9年目ですよ!

 

緒方先生は本当にすごいです。

いつも患者さんのことばかり考えています。

 


 

さっきの話の続きです。

 

元患者さんの次男の妻なのですが、曰く自分は3年目の看護師で、以前勤めていた病院で先輩が全部辞めちゃって自分が一番上で、その上夜勤の際の受け持ち患者が20人もいて、大変だったから辞めた。これから美容皮膚科に勤めるという。血液内科にも3ケ月いたが、抗がん剤をやっていた患者さんは全員モニターを付けていたけど、ここでもモニターをつけているのかとか、19人の入院患者を一人の看護師が担当するのは大丈夫なのかとか本題と関係のない話をしていました。

 

この時私があきれ果てて、「ウチの看護師は優秀ですから。」と言ったのが許せなかったのでしょうね。

 

でも、ウチの看護師が優秀なのは本当ですから。

 

あなたは医者じゃないのに何でICをするのとか、ICを医者がしないなんて信じられないとか。

 

「これは入院の説明でICじゃない。」「骨髄の検査をまだしていないので月曜日に骨髄穿刺して、火曜日に説明する。」とか言っても全く後に引く様子もない。

 

あれほど、説明は火曜日だと伝えても、ご家族がいらっしゃれる場合(特別の場合を除き)は病状説明および面会はご本人の配偶者及び親子に制限している旨伝えても、理解するつもりもなく、月曜日の午前中にも押しかけて、残念ながらご本人及びご家族には彼女を制御することはできないようでした。

 

ご本人は泣きながら「先生の信頼を取り戻すことはできない、これ以上ここに迷惑はかけられない。」と結局火曜日に転院されました。

 

私たちも、当該患者さんもお互いに仕方ないと思います。

3週間ほど前にGoogleの口コミに元患者さんの次男の妻が★1つつけて、悪意ある書き込みをしています。

 

1,この人は元患者さんの次男の妻です。母じゃなくて義母ですね。

2,この人がインフォームドコンセントと記載しているものは、入院説明と手続きのことでこれは誤解ですね。

 

事実関係は次のとおりです。

この元患者さんは骨髄異形成症候群の低リスクで2017年から外来にて経過観察を行っており、2023年年末から少しずつ悪化しており、2024年3月芽球増加、入院して治療しましょうということになりました。

 

金曜日の外来の血液検査で悪化が確認され、翌週の月曜午前中に検査を行うために日曜日に入院してもらうことになりました。月曜日に骨髄の検査を行い、火曜日にご家族を呼んで治療の説明(インフォームドコンセント)をするという予定で、ご本人には伝えていました。

当診療所は日曜日は休みですが、入院説明と手続きのために私が出勤しました。それを誤解されていたのでしょう。

 

日曜日、ご本人・夫・長男・長女は時間通り見えました。そして、入院に関する説明を行っていた時にかなり遅刻して次男夫婦はみえました。本当にICだと思っていたのでしたら、本当に大事な母親だったら、本当にちゃんとした方なら、遅れてなどきませんよね。

 

日曜日、入院手続きを終えてご本人は入院し、ご家族及びこの次男の妻にもなんとか帰っていただきましたが、翌月曜日、当該患者さんの骨髄検査をやっているときにアポイントもないのに押しかけて、騒いで、他の患者さんや従業員に迷惑をかけ大変でした。

事態をご本人にお伝えしたところ、ご本人は大変恐縮され、「こうなった以上、先生の信頼を取り戻すことはできないと思いますので、私、転院します。」とおっしゃって転院されました。簡単に言うと。

 

と温和に書いてみましたが‥‥。続く

みんな元気でした。そして若い人たちも参加してくれて、嬉しいかぎりです。日本でも興味を持ってくれる人が増えるといいのですが。

ヨーロッパでは血液や病理は女性が多いので、日本でも増えていくといいですね。

下はブリストルの風景のようですが、主催したUlrikaが送ってくれたものなので、場所などは不明です。

2024年前半に行ったセラビジョンと顕微鏡の比較の共同研究のまとめについて、さらに4月のBritish Journal of Hematologyに掲載した骨髄検査に関する論文についての話などをしました。