Q&A3910 42歳、AMH 0.53、移植4回中3回着床 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2023.10.24「Q&A3824 最適な移植方法について迷っています」、2023.11.5「Q&A3836 3824の続き」でご相談させて頂いたものです。42歳、AMH 0.53。


松林先生からアドバイス頂き12月にレトロゾール周期で移植しBT7でhCG 0.6と着床の傾向はあったものの陰性でした。
現在凍結胚盤胞は5日目4CCのみ、次回からは自費になるため4CCを移植後上手くいかなった場合、すぐに採卵を再開したいため、どのような方法がいいか悩んでいます。

①胚盤胞移植4回中3回は、稽留流産含め着床しhCGがでているため、染色体異常の可能性が高いと思いますが、今後はPGTを実施しA判定をみつけ移植したほうが効率がいいでしょうか。ただ年齢的にも何回やって正常がでるか不安です。
②まだやっていないこととして、初期胚移植、2個移植、2段階移植などがあります。特に2個移植にチャレンジしてみたいのですが、現在の病院ではできず転院も考えています。2個移植の場合妊娠率が上がることか多いと思いますが、メリットは何でしょうか。また2個とも染色体異常などがあれば2個移植したところで妊娠には至らないですよね。でしたらやはりPGTでの移植可能胚を探したほうがいいのでしょうか。リプロで治療して頂く場合、私のような患者にはどのような治療方法の提案があるのでしょうか。リプロへの転院も考えております。

 

A 

①2016.8.9「☆女性の年齢別染色体異常頻度 その2」でご紹介しているように、採卵時年齢が42歳での正常胚率は25%です。PGTで正常胚をみつけてから移植したほうが効率が良いと思います。
②2個移植の場合は、ふたつの胚が助け合うため、非良好胚も着床するようになります(非良好胚とはあくまでも見た目であり、必ずしも異常胚ではありません)。なお、染色体異常胚は、着床しない、化学流産になる、流産になる、の3パターンがあります。過去に上手く行った方法があればそれを踏襲し、上手く行った方法がなければ新しい方法にチャレンジするのが良いです。したがって、2023.10.24「Q&A3824 最適な移植方法について迷っています」の記事のB病院の方法が今の所適切だと思います。

 

下記の記事を参照してください。

2023.1.5「☆良好胚1個移植 vs. 良好胚1個+非良好胚1個移植:メタアナリシス

2020.8.28「☆良い胚と悪い胚を移植した場合は?

2018.10.9「単一胚盤胞移植と2個胚盤胞移植の比較

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。