本論文は、良好胚1個移植 vs. 良好胚1個+非良好胚1個移植に関するメタアナリシスです。
Fertil Steril 2022; 118: 1066(中国)doi: 10.1016/j.fertnstert.2022.08.848
要約:2021年12月までに発表された良好胚1個移植 vs. 良好胚1個+非良好胚1個移植に関する17論文、17,612周期のメタアナリシスを行いました。結果は下記の通り(有意差の見られた項目を赤字表示)。
臨床妊娠率 リスク比(信頼区間)=良好胚1個移植/良好胚1個+非良好胚1個移植
全症例 1.02(0.91〜1.14)
新鮮初期胚移植 1.02(0.71〜1.45)
新鮮胚盤胞移植 1.05(0.97〜1.14)
凍結胚盤胞移植 0.97(0.83〜1.15)
3BB以上と未満 1.03(0.86〜1.23)
出産率 0.96(0.87〜1.07)
多胎妊娠率 0.14(0.09〜0.20)
多胎出産率 0.08(0.06〜0.12)
解説:受精卵と子宮内膜のクロストーク(情報交換)が行われていると考えられています。良い胚と悪い胚を移植した場合、良い方に引っ張られるのか、悪い方に引っ張られるのか、心配される方が少なくありません。つまり、良い胚からは良いシグナルが出ており、悪い胚からは悪いシグナルが出ているのではないかという懸念です。本論文は、良好胚1個移植 vs. 良好胚1個+非良好胚1個移植に関するメタアナリシスであり、悪い方に引っ張られることはないことを示しています。つまり、悪い胚からは悪いシグナルは出ていないものと推察されます。逆にむしろ非良好胚も着床することで多胎妊娠が増加していますので、非良好胚と言われる胚でも着床し赤ちゃんなれる胚が含まれていることを示しています。
下記の記事を参照してください。
2020.8.28「☆良い胚と悪い胚を移植した場合は?」