☆男性のアルコール摂取は妊孕性とは無関係? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、男性のアルコール摂取は妊孕性とは無関係であることを示しています。

 

Hum Reprod 2020; 35: 816(デンマーク)doi: 10.1093/humrep/dez294

要約:米国とカナダ2013〜2019年に登録された21〜45歳のこれから妊娠を目指す女性のパートナー2017名PRESTOスタディ)、デンマーク2011〜2019年に登録された18〜49歳のこれから妊娠を目指す女性のパートナー662名SFスタディ)を対象に、2ヶ月に一度アンケート調査を行い、最大1年間あるいは妊娠判明まで前方視的に追跡調査を行いました。アルコール摂取量は、週あたりの杯数で集計しました(1杯=ビール330mL、ワイン120mL、デザートワイン50mL、スピリッツ20mLとする)。なお、妊娠を目指して半年以内とし、妊娠治療を実施しない方のみを対象としました。妊孕性の結果は下記の通り(有意差が認められた項目を赤字表示)。

 

アルコール量    PRESTO   SF   PRESTO+SF

0杯/週        〜     〜      〜

1〜5杯/週      1.02    0.97    1.02

6〜13杯/週     1.20    0.81    1.10

14〜杯/週      1.03    0.82    0.98

 

解説:男性における生活習慣に関する研究では、喫煙、肥満、甘味飲料摂取と男性不妊に有意な関連を認めていますが、アルコール摂取に関しては賛否両論があります。本論文は、男性のアルコール摂取は妊孕性に関する初めての国家規模の検討であり、男性のアルコール摂取は妊孕性との関連がないことを示しています。この結果が日本人にも当てはまるかどうかは不明ですが、お酒好きの男性にとっては朗報と言えるでしょう。

 

PRESTOスタディーについては、下記の記事を参照してください。

2020.5.14「☆秋から冬が最も妊娠しやすい!?

2019.11.28「☆通院前の妊活に有効な排卵日推定法は?

2019.6.25「不眠と不妊:女性の睡眠障害は良くない

2018.4.12「男性は毎日8時間睡眠がお勧め

2017.1.12「☆妊娠前の鎮痛剤使用と妊娠成立の関係