Q&A2498 イントラリピッドは? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q PGT-A正常胚2回移植

 

移植時に毎回、イントラリピッドを日をあけてを5回程注入してもらいました。聞くところによると豆乳と卵白でできていると言われましたが、イントラリピッドについてどう思われますか。PGT-A正常胚の初回移植は失敗し、2回目移植で妊娠しましたが、結局は凍結胚の生命力なのでしょうか。

 

A 日本で使用可能な薬剤は「イントラリポス輸液10%」であり、静注用脂肪乳剤に分類されます。内容は、精製大豆油25g+精製卵黄レシチン3g+濃グリセリン5.5g+水酸化ナトリウム(pH調整剤)からなっています。イントラリピッドはNK活性を低下させることが経験的に知られていますが、そのメカニズムについては明らかにされていません。したがって、効果がない方も時におられます。イントラリピッドの使用法についてのコンセンサスは未だにありませんので、投与対象の選定、投与方法、投与回数、投与時期について定まったものはありません。

 

なお、PGT-A正常胚の出産率は50%前後です。この低下分は細胞を取るダメージによるものと考えられています。胚の生命力という言い方もできるかも知れません。

 

下記の記事を参照してください。

2017.7.4「免疫学的不妊治療

2017.6.13「Q&A1486 NK活性が高いです

2017.5.25「Q&A1467 イントラリピッドについて教えてください

2014.7.8「Q&A392 ☆NK活性が高い場合

2015.9.27「Q&A832 流産2回、第12因子36%

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしています。