AGEsとは? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近外来でAGEsと妊活の関連について質問がありましたので調べてみました。

 

Advanced Glycation End Product(AGEs、終末糖化産物)は、タンパク質の糖化反応(メイラード反応)によって作られる生成物の総称であり、身体の老化に関与する物質です。

 

現在までのところ、AGEsとして、Nε-カルボキシメチルリシン(CML)、Nε-カルボキシエチルリシン(CEL)、アルグピリミジン、ペントシジン、ピラリン、クロスリン、GA-ピリジン、Nω-カルボキシメチルアルギニン(CMA)、フロイルフラニルイミダゾール、グルコスパンなど多数の化合物が特定されています。AGEsは、活性酸素産生を引き起こす他、受容体であるRAGEに結合します。適度なAGEs量であれば問題ありませんが、過剰なAGEsにより、肌の張りと弾力の低下、骨密度低下、白内障、動脈硬化、心血管疾患、アルツハイマー病、慢性腎不全、神経変性疾患、糖尿病、肥満、メタボリック症候群などが生じることが指摘されています。

 

AGEsは「タンパク質と糖が加熱されてできた物質」であり、加熱してこんがり焼けたキツネ色の部分に発生しますので、焼いたもの全般が高AGEs食品です。一方、生野菜や刺身など生の食品はAGEsの少ない食品です。また、生体内でのAGEsの発生には高血糖が関与しますので、血糖値を上げない食品(低GI食)と食べ方(野菜・海藻→肉・魚→炭水化物→甘味)が重要です。

 

さて、AGEsと妊活との関連はどうでしょう。論文を調べてみたところ30数編がヒットしました。AGEsの蓄積は、男性不妊、子宮内膜症、顆粒膜細胞のホルモン産生能、卵巣反応性、PCOS、胚発生、子宮内膜着床能に悪影響を及ぼす可能性が示唆されています。

 

妊活への影響はまだよくわかりませんが、少なくとも健康のためにはAGEsを溜めない食生活が望ましいでしょう。基本は糖質制限だと思います。