本論文は、膣内フローラと妊娠成績を前方視的に検討したものです。
Hum Reprod 2019; 34: 1042(オランダ)doi: 10.1093/humrep/dez065
要約:2015〜2016年にオランダで体外受精を実施した303名の女性(20〜42歳)の膣内サンプルを刺激開始前に採取し、膣内フローラをIS-pro法にて分析し、新鮮胚移植の成績を前方視的に検討しました。ここから解析されたモデルを用いて、2018年にドイツで体外受精を行った方50名に本法を適応しました。解析できた192名のサンプルで検討したところ、膣内のラクトバシルス(L.)の含有量が低いほど、妊娠率が低下しました。一方、その成分が重要で、L. crispatus<60%の場合に妊娠率が最大になりました。
解説:フローラ流行りの昨今ですが、本論文は膣内フローラと妊娠成績を前方視的に検討したものであり、膣内のラクトバシルスが多いほど妊娠成績が良好であることを示していますが、同時にその内容も重要でありL. crispatusが多いと帰って妊娠成績が低下することを示しています。この領域の研究はまだ始まったばかりですので、今後の研究の発展に期待したいと思います。
マイクロバイオーム(フローラ)については下記の記事を参照してください。
2018.11.13「子宮膣フローラ:システマティックレビュー」
2018.8.26「異常妊娠における膣内フローラ、腸内フローラ」
2018.8.23「子宮内および膣内フローラ」
2018.7.14「無精子症の精巣組織のマイクロバイオーム」
2018.4.10「☆子宮内フローラ検査について」
2015.12.19「マイクロバイオーム」