異常妊娠における膣内フローラ、腸内フローラ | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、妊娠中の膣内フローラ、腸内フローラに関するレヴューです。

 

Am J Reprod Immunol 2018; 80: e12993(ブラジル)

要約:妊娠中の膣内フローラ、腸内フローラを検査したところ、腸内のフィルミクテスとプロテオバクテリアの増加ビフィドバクテリウム、フェカリバクテリウム、アケルマンシアの減少、および膣内のラクトバシルスの減少と異常妊娠との関連を認めました。

 

解説:今、マイクロバイオームがブームです。本論文は、妊娠中の膣内フローラ、腸内フローラが異常妊娠と関連することを示しています。歯周病と早産の関連は古くから知られていますが、フローラの研究から、口腔内フローラ、腸内フローラ、子宮内フローラ、膣内フローラはお互いにリンクしているということが示されています。そのような考え方からすれば、本論文のデータは納得できます。しかし、この分野はまだ研究が始まったばかりですので、どの菌がどう働くのかについては不明瞭です。今後の研究に期待したいと思います。

 

マイクロバイオーム(フローラ)については下記の記事を参照してください。

2018.8.23「子宮内および膣内フローラ

2018.7.14「無精子症の精巣組織のマイクロバイオーム

2018.4.10「☆子宮内フローラ検査について

2015.12.19「マイクロバイオーム