子宮膣フローラ:システマティックレビュー | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、子宮膣フローラと体外受精に関するシステマティックレビューを行ったものです。

 

Am J Reprod Immunol 2018; 80: e13037(英国)doi: 10.1111/aji.13037

要約:子宮膣フローラと体外受精に関してこれまでに発表された26論文システマティックレビューを行いました(膣フローラ19論文、子宮フローラ7論文)。膣フローラのうち培養による研究では、体外受精の成績との関連は認めませんでしたが、膣フローラの遺伝子診断による研究では、体外受精の成績にマイナスの作用を示しました。一方、子宮フローラの研究では、培養を用いた場合も遺伝子診断の場合も、体外受精の成績にマイナスとなりました。しかし、そのメカニズムを示した研究は皆無であり、子宮膣フローラと妊孕性の関係については不明です。

 

解説:最近、フローラブームが到来しています。本論文は、子宮膣フローラと体外受精に関するシステマティックレビューを行ったものであり、子宮フローラは体外受精の成績にマイナスとなるようですが、どのような機序なのか不明であり、現状では何とも言えない状況です。この分野はまだ研究が始まったばかりですので、どの菌がどう働くのかについては不明瞭です。分析方法も含め再検討の余地があります。今後の研究に期待したいと思います。

 

マイクロバイオーム(フローラ)については下記の記事を参照してください。

2018.8.26「異常妊娠における膣内フローラ、腸内フローラ

2018.8.23「子宮内および膣内フローラ

2018.7.14「無精子症の精巣組織のマイクロバイオーム

2018.4.10「☆子宮内フローラ検査について

2015.12.19「マイクロバイオーム