Q&A2090 MM双胎のリスク因子は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 41歳、妊娠8週


A病院で採卵→胚盤胞凍結(5日目)、B病院に胚盤胞移送→PGSを施行後再凍結。後日B病院で移植という経緯で妊娠に至っております。子宮内膜症・子宮腺筋症があり、移植のカテーテルが入りにくいといつも言われています。B病院での移植の際も、鉗子で引っ張ったりして、30分以上かかってやっと移植できました。リプロでは不育の治療をして頂いております。
6週の時点では、胎嚢は1つだったのですが、7週で胎児心拍が2か所に確認されました。8週の時点で隔壁が見えなさそうなので、MM双胎の可能性大と言われています。
やっと妊娠できた喜びはさることながら、高齢妊娠、子宮腺筋症、不育症(抗カルジオリピンIgM抗体)に加え、リスクの非常に高いといわれるMM双胎でありそうなことに、ショックを受けています。

①PGSが双胎のリスクを上昇させるかもしれない、という話をどこかで読んだこともあるのですが、非常に珍しいとされるMM双胎(MDではなく)であったことにも何か関係があるのでしょうか。
②せっかく授かった命ですので、何とか出産まで至れればと願っておりますが、経過中、特に気を付けるべきことなどありますでしょうか。
 
A   
①卵子に操作を加えると双胎のリスクが高くなるとされていますが、PGSによるリスク増加の報告はありません。
2018.11.18「☆体外受精における一卵性双胎のリスク因子は?」でご紹介した論文(日本)では、体外受精における一卵性双胎のリスク因子として、凍結融解胚移植(オッズ比1.34倍)、胚盤胞移植(オッズ比1.79倍)、補助孵化療法(オッズ比1.21倍)の3つを挙げています。
2018.7.25「MD双胎は長期培養がリスクとなる」でご紹介した論文では、MD双胎は透明帯操作や凍結融解処置ではなく長期培養がリスク因子となることを示しています。
2016.11.9「1絨毛膜性双胎のリスク因子は?」でご紹介した論文では、1絨毛膜性双胎のリスク因子として、胚盤胞移植(初期胚盤胞2.70倍、後期胚盤胞2.05倍)を挙げています。
②双胎妊娠の場合は早産になりやすいので、妊娠中期以降は安静第一と思います。おそらく産科の医師からも言われるでしょう。妊娠後期からは管理入院が必要なことが多いです。子宮腺筋症も早産リスク増加になります。十分過ぎるほど用心するに越したことはありません。また、子宮収縮の原因となる性交はやめておいた方が良いでしょう。
 
下記の記事を参照してください。

2017.9.8「Q&A1574 双子の場合:一卵性か二卵性か

2016.11.9「1絨毛膜性双胎のリスク因子は?

2016.8.27「妊娠方法によるふたご妊娠のリスクの違い

2015.4.19「1卵性の双子の原因は家系にあり

2013.8.2「ふたごは寒い地域に多い?

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。